これから長男を塾に送り、その足で次男を耳鼻科へ連れて行く、そんな金曜日の夕方の猛烈なバタバタが始まるまさにその瞬間のことだった。
治療中の歯が欠けた。
ただでさえ長引いていて気が重い奥歯の根管治療。
その最中の奥歯がポロリと欠けてしまった。
一瞬で頭が真っ白。
だが、ワンオペ育児の日常は一秒も止まってはくれない。
絶望で泣きたい気持ちを抑えて歯科医院へ電話し、なんとか本日の最終枠に予約をねじ込んだ。
これで子どもたちの予定は狂わずに済むけれど、私のメンタルは完全にポキリと折れてしまった。
何より辛いのは、口の中の強烈な違和感だ。
欠けた部分が鋭利にとがり、気になって仕方がない。
まともに喋る気すら起きない。
これから耳鼻科の受診で、先生と会話を交わさなければならないのだが、声を出すこと自体が苦痛で、ただただ無言でいたい。
今週も仕事をしながら、ワンオペで家庭を必死に回してきた。
今日を乗り切れば、夜に子どもたちが寝た後、一人でのんびり映画を観に行く予定だった。
それを心の支えに一週間頑張ってきたのに、もう映画館に行く気力なんて一ミリも残っていない。
すべての予定を放り出して、今すぐ布団を被ってふて寝したい。
