これは十数年前、

某デパ地下で働いていた時の出来事です。

 

 

百貨店では年に何回かパニック状態になるほど

大混雑する日があるんですが

新年の福袋の売り出しもその中のひとつです。

 

そしてデパ地下の福袋の争奪戦は

毎年凄まじいものがありました。

 

 

 

ところがある年、こんなことがあったんです。

 

 

店外に並んでいたお客さんたちが

開店と同時にドーーッと店内になだれ込んできて

食品売り場はどの店舗もあっという間に

福袋目当てのお客さんで大行列ができていました。

 

どこの通路もお客さんでぎっしりで

まさに大混雑状態。

 

 

すると、その大混雑の中、

人をかきわけながら

カウンターに近づいてくる男性が目に入りました。

 

 

60代ぐらいかと思われるその男性は

カウンターに辿り着くと

喉に補声器(声帯マイク)を押し付けながら

私たち店員に向かってこう言ったんです。

 

 

俺は障害者だから!

福袋!

ひとつでいいから早く!

 

 

 

 

 

「は?」です。

 

 

『障害者は列に並ばないで福袋を買える』

なんていう話は一度も聞いたことがありませんし

もちろん百貨店側からそういった指示を受けたこともありません。

 

 

ってゆ~か、

 

目も見えて、耳も聞こえて

自分の足で歩き回れるのに

「声が出ないから福袋よこせ」って何なの?

図々しいにもほどがある。

 

 

そう思った私は、

「福袋をお求めでしたら列にお並びください」

と言ってやったんです。

 

するとその男性から信じられない言葉が・・・

 

 

 

ふざけるな!

俺は障害者様だぞ!

優遇するのが当たり前だろ!

 

 

 

 

 

いいえ

優遇などいたしません

列に並ばない方に福袋はお売りしません

 

 

 

 

私がそう言うと「チッ!」と舌打ちしながら

どこかに行ってしまいました。

 

 

その後、フロアマネージャーとチーフに

「こういうお客様がいた」という報告をしたところ翌日の朝礼で

「障害者だから福袋を先に売れなど不当な対応を求めてきた場合は拒否すること」と言ってもらえました。

 

すると「俺は障害者なんだから福袋を早く渡せ!」とすごまれて

渡してしまった店舗がいくつもあったことが判明!

 

百貨店側から

「そういう事をしてしまうから被害が拡大していく」

「無責任なことやいい加減なことは絶対にしてはいけない」

「恐怖を感じた場合はマネージャーやチーフを呼ぶこと」

と厳重注意されていました。

 

 

 

それにしても「俺はお客様だぞ」

という言葉は聞いたことがありましたが

「俺は障害者様だぞ」などという言葉を

聞いたのは先にも後にもこの時一度だけです。

 

ああいう人って家族やご近所だけでなく

ありとあらゆる人達から嫌われてるんだろうなぁ~っと今でも時々思い出します。笑

 

 

 

タピオカ店激怒「お客様は神様ではない!」