これは離婚してもう何年もたった頃のお話です。
当時私が住んでいたマンションの近くにあったスーパーで
ある時から小さな穴があいているお肉のパックを発見する事が急に多くなって、
見つけるたびに店員を呼んでいました。
そして私は自分の心にこう誓ったのです。
こういうタチの悪いイタズラをする奴って絶対に許せない。
例えそれが大人であろうと子供であろうと
もし犯人を見つける事があったら
コテンパンにしてやる！
私のこの激熱な思いが天に通じたのか
そのチャンスはすぐに巡ってくることに。
ある日の夕方、
いつものように食品売り場で買い物をしていた私の目に留まったのは
いかにも上品そうな親子の姿。
母親は「髪はいつも美容院でセットしてもらってますの」
というヘアスタイルをしていて
着ている服も持っているバッグもハイブランド。
子供(娘)の方はおそらく幼稚園の年中さんか年長さんといったところでしょうか。
バーバリーのワンピースを着て
サラサラのロングヘアーには
ベルベットの濃紺のリボンをつけていました。
どうしてこの親子が気になったかというと
それは子供の不審な動き。
買い物をしている母親の様子をチラッチラッと気にしては
お肉のパックがある方を見ているんです。
その瞬間
「あれ？もしかしてこの子？」という予感がしたのでした。
そしてその予感はズバリ、ビンゴ！
母親が肉売り場近くの冷蔵ケースの中の商品を見だした時、
娘がまたチラッと母親の様子を確認したかと思うと
肉の冷蔵ケースの方に「タタタ～ッ」っと走っていったんです。
すると、一番手元にあったお肉のパックに人差し指で「ズブリ！」
あっ！
やっぱやった！！
そう思うと同時に母親の方に目を向けてみると
母親は娘の姿をジッと見ています。
タイミング的にどう考えても
「ズブリ！」とやった瞬間も見ていたはずなんです。
さて！慌てて飛んでくるか！？
・・・と思っていたら、何事もなかったかのように
知らん顔して冷蔵ケースの方を向いてしまった母親。
「マジか！？」と思いつつ、また娘の方に目をやると
自分が穴をあけた肉のパックを手に取り
手慣れた様子で冷蔵ケースの一番奥に「ポイッ！」と投げ込みました。
それを見た瞬間、全てが分かった私はこう思ったのです。
最近このスーパーでお肉のパックに
穴が開いている事が増えたのは完全にこの子の仕業。
しかも穴をあけたパックをすぐ隠したのは
発見が遅れるように（自分がやったと分からないように）するため。
こんなの常習犯の手口じゃん。
そしてこの母親は自分の娘がこういう事をしていると知りながら
いつも見て見ぬふりをしてきたってことね。
おそらく「自分の買い物を邪魔しなければ何をしようと関係ない」といった考えなんだろう。
これは絶対に許せない。
もう二度とこんなふざけた事ができないように
死ぬほど懲らしめてやる。
シラッとお買い物をしている母親に後ろから近づいた私は
母親の左肩を「ポン！」と叩き、ニッコリ笑ってこう言いました。
お母さ～ん
ちょっといいですか～？
え！？
は、はい！？
ビックリ仰天して振り返る母親。
ちょっとこちらに来て頂けますか？
そう言うと、肉売り場に母親を連れて行き
娘が隠した肉のパックを手に取って・・・
お宅のお嬢さんなんですけどね。
今このパックに右手の人差し指で穴をあけたんですよ。
え！？え！？
「え！？」って、お母さんも見ていたじゃないですか(失笑)
私が全てお見通しと知った母親の顔は
見る見るうちに引き攣っていきます。
穴をあけたパックを一番奥に放り投げるやり口といい
完全に常習犯ですよね？
違うとは言わせませんよ？
パックを放りなげる時についた
右手親指の指紋がちゃんと残ってますから。
すみません！
本当にすみません！
母親号泣です。
でも泣いたくらいじゃ許しません。
だってタチの悪い常習犯親子なんですから。
あのね、お母さん
生鮮食品のパックに穴をあけられてしまったら
もう商品としては扱えないんですよ。
廃棄するしかないんです。
言ってることわかりますか？
つまり、万引きされたと同じことになるんです。
謝って済むと思いますか？
申し訳ありません！！
本当に申し訳ありません！！
もう二度とこんな事はさせませんので
勘弁して頂けないでしょうか！
こんなこと主人や園に知られたら
私もう生きていけません！！
そういって母親、更に号泣。
ではもう二度とやらせないという事と
娘さんをきちんと躾ける事を約束できますか？
そして貴女も母親として恥ずかしくない行動を取ると約束できますか？
はいっ！！もちろんです！！
もう二度とこんな情けないことは致しません！！
では私から店の方に言うのはやめておきます。
ただし、お母さんはこのパックを持って
自分から店員に「子供が穴をあけてしまいました」と申し出てください。
そうすれば後は店員の方できちんと対応してくれるはずです。
事務所に連れていかれることもありませんから。
わかりました！！
言われた通りにします！！
ありがとうございます！！
感謝の言葉もございません！！
本当にありがとうございます！！
そう言うと、母親は穴のあいた肉のパックを手にし
娘の手を引いて店員の方へ歩いていきました。
店員に説明をしながら何度も何度も頭を下げています。
その後、その店員と母親は一緒にレジに向かい
レジの女性に穴のあいたパックを見せながら何か説明をしているようでした。
レジの女性が「わかりました」というようにうなずくと
肉のパックをレジ打ちをして、他の商品と一緒に買い物かごの中へ。
どうやら『買い取り』ということで一件落着したようでした。
セレブ志向の強い母親って、人に何か言われると
「ウチの子が何をしたっていうんですか！？証拠でもあるんですか！？」
ってキレてくるケースがとても多いんですが、
あの母親が私の話をこうも素直に大人しく聞き入れたのには理由があります。
そのポイントは
後ろから母親の左肩を「ポン！」と叩きニッコリ笑って
お母さ～ん、ちょっといいですか～？
と話しかけたこと。
こういう風に接すると、
「スーパーの関係者だ！！」
「もしかして万引きGメン！？」
と相手が勝手に勘違いしてくれちゃうんですよ（笑）
でも私は「スーパーの人間です」とか
「万引きGメンです」とか一言も言っていません（笑）
それにしても「何でそんなに慣れているのか？」というと
「こういう変な女・嫌な女を長年ずっと見てきたし接してきたから」ということと
離婚後、派遣社員として働くことになった私は
大前春子の如く、嫌な奴らをボッコボコにし続けていたからです（笑）
例えそれが上司であってもお客さんであってもです(←鬼か！笑)
今まで仕事の昔話は一度も書いていませんが
「信じられない話」「超スカッとする話」「大爆笑する話」が山のようにありますので
これからチョコチョコ書いていこうかな～っと思っています。
お楽しみに～～
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