遡る事1985年3月2日、土曜夕方のサンライズロボットアニメアワーにおいて、
怪物的人気を誇った「機動戦士ガンダム」の正統的続編「機動戦士Zガンダム」が始まりました。
そしてここから現在へと連なるガンダムサーガも始まっていくのです。
その1話は、ダークブルーと黒で塗られたガンダムMk-Ⅱの姿、
「クワトロ・バジーナ」の名を名乗ってコロニーに潜入したシャア、
動乱に巻き込まれる主人公カミーユの攻撃的ながら繊細な性格など実に衝撃的なものです。
以降も連邦正規部隊でありながら連邦の腐敗の象徴たるティターンズと彼らに反目するエゥーゴとの抗争、
その中でカミーユ自身も、ティターンズの側に就いていた事で反発していた
両親の死を目の当たりにしただけでなく、煮え切らない姿勢のクワトロに対する苛立ちからの修正、
香港で出会った少女フォウが実は人工的に強化されたニュータイプ・強化人間であったが故の悲劇など、
数々の出来事を通していきながら秘めたニュータイプ能力を肥大化させていく事となります。
そんなカミーユを見守り時に導いてきたのが、かつての宿敵同士であったシャアとアムロであり、
両雄の共闘というスタイルを描いたのも当時としては驚くべきポイントでした。
なお、アムロをあえてガンダムタイプに乗せなかったのは、
新主人公を食う活躍を見せるのを避けるためだったとか・・・
(一部ではそうした要望もあってか、後年ゼータプラスに乗っていたという説が設定された・・・とか)
一方でMS・MAのデザインも、初期は正統的デザインの機体が多い印象であり、
後半に進むにつれてガザCやバウンド・ドック、バーザムなど奇抜なデザインの機体も増え、
可変機能や性能以外の面でも多様な様相を形成していく事となっていきます。
また、「明らかにMSだろ」とツッコまれるアッシマーやギャプラン、
メッサーラがMA扱いされるなど、MSとMAの区別化がややこしくなったのも事実ですが。
その中でも後半の主人公機ゼータガンダムは、この時期のリアルロボットアニメのトレンドである
「後半の主人公機は変形がデフォ」を貫徹しているものの、ウェイブライダーへの変形はもっとも複雑で、
MS形態との各部の形状の差が激しいという、商品化においては超高難度のものとなり、
これが長年にわたる課題にもなりました。
近年ではMGの2.0やVer.Ka、METAL ROBOT魂、METAL BUILDのような完全再現と、
現行HG全種のような組み換え再現の二極化で固まりつつ、現在もアップデートが図られています。
RGも完全再現ですが・・・ジョイント周りが硬く破損報告が多数あるためオススメはできません・・・
もっとも・・・現在はガンプラ、魂アイテムのどちらも入手困難ですが・・・
そして終盤は多くの命が散り、最終話ではカミーユが倒すべき敵シロッコを仕留めるも・・・
前述したニュータイプ能力の肥大化が仇となり、シロッコの怨念に飲み込まれてしまい、
自身の精神崩壊を起こしてしまう衝撃のラストが描かれました。
なお、放送20周年となった2005年には新訳劇場版3部作が公開され、
この時のラストではカミーユは無事である方向に描かれています。
これは富野監督いわく「誰もが希望を持てるラスト」という事だそうです。
とはいえ・・・これによってZZへと繋がらない問題も・・・
全体的に重いですが、宇宙世紀の歴史を学ぶ上では機があれば観てほしいです。
40年越しの刻の涙、その形はどのように映るのか・・・という意味においても。