桜も散って、いよいよ春本番、と言いたいところですが、
春は、実は一番天気が荒れる、って知っていましたか?
きょうからあすにかけて、台風並みの低気圧が、
日本列島を通過し、各地で洪水や影崩れなどの
気象災害を起こす恐れがあるとして、気象庁が注意を呼び掛けている。
春は、長い冬が明けて生命の胎動を感じさせることから、
一見穏やかな印象をお持ちの方が少なからずいらっしゃるが、
実は、この、冬から夏への季節の移行の時期が、一番天気が荒れる。
昨年も、今回近付いている低気圧に非常に似た低気圧が
猛烈に発達して、各地で災害をもたらし、死者も出ている。
台風が来ている、と思って、警戒に当たることが求められる。
「台風じゃないのだから、大したことはないのではないか。」
台風は、勢力が弱まってくると熱帯低気圧、
さらに弱まると温帯低気圧(いわゆる「低気圧」)
と間違って伝えられることがあるが、実は、そこに強弱の差はない。
熱帯低気圧とは、「暑い」空気のみでできている低気圧で、
多量の湿気を伴うことから多量の雨を降らせる。
その中で、中心付近の最大風速が秒速17.2mを超えたものを、
「台風」と定義づけているだけである。
確かに、風、という意味では強弱はあるが、
雨量の多少で定義づけられてはいない。
台風から熱帯低気圧に変わったからと言って、
あくまで中心付近の最大風速が弱まっただけで、
雨量や周り風の強さが弱くなった、とは限らない。
温帯低気圧は、熱帯低気圧とは、そもそも出自が違う。
熱帯低気圧が先に書いたように「暑い」空気のみでできているのに対し、
温帯低気圧は、南の「暑い」空気と北の「寒い」空気が、
日本など中緯度の地域でぶつかりあって発達する。
また、台風が熱帯のみでしか発生できないのに対し、
温帯低気圧は、広範囲で南北の空気がぶつかるので、
その範囲は、実は、台風の2~3倍に達する。
(ぶつかるところを、前線、という。)
温度差が大きければ、その分活動が激しくなり、
低気圧の風雨が強まる。
今年の冬は寒かった。その分、温度差が大きくなり、
今回の低気圧の様に、猛烈に発達しやすいのだ。
台風から温帯低気圧に変わった、というのは、
「暑い」台風と、北の空気がぶつかって変質したに過ぎず,
範囲が広がる分、災害が大きくなることもあるのだ。
春は、それまで居座っていた冬の寒い空気が、
勢力を強めてきた夏の暑い空気に、押し出されそうになり、
踏ん張って、低気圧を強める、嵐の季節なのである。
今度、低気圧の通過する地域(といっても全国ですが)では、
今一度、災害に対する備えや避難先の確認などを、
しておくことを、是非お勧めいたします。