Column37.混乱する中国への対応 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

今週は、日本維新の会を取り上げる予定でしたが、
中国海軍フリゲート艦の自衛隊に対する
射撃レーダー照射を取り上げます。



尖閣諸島から程ない海域で、中国海軍のフリゲート艦が、
自衛隊機に対して、攻撃一歩手前のレーダー照射を行った。



照射とは、映画「TOP GUN」などにも出てくる、
ミサイルなどの発射前に、攻撃対象をレーダーで特定・捕捉し、
発射の際、照射対象へミサイルを導くものである。



照射を行えば、いつでも攻撃することができ、
攻撃対象がそれを検知することもできることから、
その攻撃を意思を示すものにもなる。



つまり、今回は武力衝突一歩手前の事態だったわけである。



以前の小欄で懸念していたことが、ここまで現実化してしまった。

http://ameblo.jp/depthsofnews/entry-11355064538.html



国民には、一層の覚悟が求められるとともに、

政府には、武力衝突を避けるために、全力を傾けることが求められている。



その点、今回の政府の対応は、非常にスムーズであった。
100%の確証を取ってから初めて公開し、
その後の国際社会への訴えも、効果的にしている。



一方中国側は、当初外務省が、
「私たちも報道で初めて知った。」と述べたことに象徴されるように、
政府や軍、共産党の間で情報共有や
意思疎通ができていないことがうかがえる。



以前の小欄でも載せたように、中国の国家体制は、
共産党が国家を指導する仕組みになっている。
その共産党の中では、中央軍事委員会が実質的に仕切っている。

そして、今はその党・国家体制の政権移行期に入っている。
http://ameblo.jp/depthsofnews/entry-11395327628.html



通常であれば、党軍事委主席(TOP)、党総書記(TOP)、
国家主席、国家軍事委主席は、全て同一人物が就任する。



しかし、今は10年に一度の政権移行期の最中で、
昨年9月の、党総書記交代から、
来月の国家主席交代まで、時間をかけて、行っている。



現在、党総書記は、ご存じの通り習近平氏である。
他のポストは、前総書記の胡錦濤氏がまだ就いている。
しかし、これらも全て3月までには習氏に交代することが、
確実となっている。



つまり、現段階は、TOPのレームダック(死に体)状態で、
コントロールが取れていない可能性もあるのだ。



中国外務省の報道官が、「報道で初めて知った。」と、
むざむざ情報コントロールが取れていないことを、
自らさらけ出してしまったことに、現在の混乱が見て取れる。



そして、今までと全く違うのは、その外務省が、
後になって「その事実はない、日本のねつ造だ。」と、
事実そのものを否定したことである。



これまでなら、すぐに「中国の行動は正当である。」と、
事実を認め、日本側を非難してきた。



そして、安倍首相の「戦略的互恵関係維持のために、
中国側が努力すべきである。」の発言に呼応するかのように、
「日中双方が対話による解決をすべきである。」と加えている。



中国側としては、事態を早く収拾し、
国際社会での体面をこれ以上悪くしないと同時に、
国民の反日感情を未然に防ぐ狙いもあるだろう。



つまり、これ以上発言を大きくすることはない意図を持っている。
これ以上の混乱を避けたいと考えているとみてよいだろう。



では、日本側はどうすれば良いのか。
今回の事態を、素早く国際社会に訴え、
アメリカからも日本支持の発言を取り付けた。

国際社会への正当性アピールという初期の目的も達した。



また、これ以上、証拠を突きつけ中国側を追い込み、
かつ証拠開示は我が国の防衛能力を
さらけ出してしまうことになりかねない。



そして、本来の目的は、中国海軍や監視船を、

一刻も早く、閣諸島周辺から立ち去らせることである。



そのために、習政権の安定を「支援」することも必要だろう。
それには、これ以上の追及はせず、対話を呼びかけることが必要だ。

実際、安倍政権も対話で解決すべき、と呼び掛けている。



もちろんその一方で、自衛隊・海上保安庁の警戒態勢は強化する。
また、これ以上が挑発行為続けば、尖閣に常駐携帯体制を敷くぞ、
という、ある意味「脅し」をかけることも必要であろう。



ただいまはまだ脅しの段階ではない。
習総書記が、残りのポストに就任し、
安定するのを注意深く見守る必要がある。



安倍政権には、引き続き、硬軟使い分けた対応を望みたい。



いかがでしたでしょうか。

今週も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。