・性発達障害
男性生殖器の発達はダイオキシンに非常に敏感です。
雄ラットでは、生まれる前にダイオキシンに被曝すると、性器重量の減少や精巣上体尾部にある精子の減少・射精精子数の減少を招きます。
ハムスターでも子宮内被曝で同じような影響が見られています。
マウスでは一回の投与で精子数への影響が見られています。
ダイオキシンによる女性化と去勢状態はラットとゴールデンハムスターで認められています。
ラットではいくつかの雄の性行動が減ることが知られています。
子宮内膜症
ダイオキシンと子宮内膜症の関連が報告されている。
またPCBとの関連も報告されている。
PCBと子宮内膜症
イタリアのラ・サピエンツァ大学のポルポラらの研究グループ (Propora et al. 2006)は子宮内膜症と残留性有機塩素化合物との関連をイタリアの出産経験のない生殖可能年齢の女性80人で調べた。
高レベルのPCBが子宮内膜症の女性に存在し、子宮内膜症症例で410 ng/g脂肪、対照群で250 ng/g脂肪の値であった。
糖尿病と糖・脂肪代謝異常
1997年、アメリカのブルーク空軍基地のアームストロング研究所のヘンリックセンらのグループは、ベトナム戦争時に枯れ葉剤散布をした989人の復員兵の血中ダイオキシンや血糖・インシュリンレベルを調べ、枯れ葉剤散布に従事しなかった同時期に従軍した1276人の復員兵のレベルと比較しました。
散布作戦従事者の血清中ダイオキシンの中央濃度は12.2 pptで、散布に従事しなかった者の中央濃度4.0 pptよりも高いことがわかりました。
散布従事者の血糖値異常は非従事者の1.4倍、糖尿病は2.3倍、糖尿病治療薬を服用しているものは2.3倍でした。
血清中インシュリン異常も3.4倍になっていました
血清中ダイオキシンレベルと血中ダイオキシンレベルを単純には比較できませんが、日本人血中ダイオキシンレベルがベトナム戦争復員兵の血清レベルより高いことは、糖尿病を生活習慣病として片づけて良いのかという疑問がわいてきます。
比較のために環境庁の『平成10年度ダイオキシン類長期大気曝露影響調査の結果について(第一次報告)』で測定された値とベトナム復員兵の値を示します(上図)