昨晩より幾らか空に近づいた花から
風の生まれる場所を聞かれたので
この真っ直ぐな道筋の果てを指差したら
陽気なリズムで踊り始めた
近くで閉まる扉の音と共に
若者が勢い良く日常の風に乗る
路肩を自転車が通り過ぎる
車道を自動車が駆け抜ける
その隙間で生まれた風が
歩道を行く人の頬をかすめた時
巡る季節の感傷に浸る
走り出してみると
まるで自分の身体から風が生まれる様だ
早送りで流れる景色に比例する鼓動は
風車を見ているみたいで美しい
すれ違う人の浮かない表情からも
ベビーカーに乗る赤ん坊の泣き声からも
風を感じる瞬間だと知る
規則正しい信号機の前で
深呼吸をして息を整えると
真新しい感情の息吹が風を纏う
腕時計の針が煽られた様に動けば
駅のホームに来る電車が
待ち人全員に風を送る
この温度こそが人間の体温なんだ
こうして風になった私たちの魂や言霊は
各々の役割を果たすべき場所に配置され
臆病風に吹かれながら彷徨う
黄昏が訪れる頃には
また風が生まれる場所に向かう
気がつくと
回廊の中にいた



















