祖母の住む街で
弟と作った折り鶴が
西日に向かって
飛び立つのを見た少年時代
私は年相応の鋭く低い眼差しで
空に溶け込んでゆくまで見送っていた
作り方を忘れそうになった分だけ
飛べずに留まっている折り鶴が
私の日常を見送る日々
弟はささやかな恋を煩い
夜空の下を彷徨い続ける
古ぼけた記憶の中に
飛び回っている折り鶴を
見届けているのだろうか
狭い部屋で独り
老人になった私が
「折り目が段々と雑になってきた」と呟く
祖母は欠けた湯呑みを持ちながら
「次からまた丁寧に折ればいいじゃない」と云い
二人で折り鶴を作る夢を見た
その夢の翼に乗った私は今
弟と数年振りに折り鶴を作る
懐かしい兄弟喧嘩も
この日だけは心地良く響き
共に買った新品の折り紙の数だけ
作った折り鶴を繋ぎ合わせて
眠る祖母の傍に置く
複雑に混ざり合った不思議な感情が
明日の朝 飛び立つのを見るだろう

