この世の光を全て奪った様な
輝きを持つ美しい壷に
厭わない言葉をかけない人はいないから
いつの日も異彩を放ち佇み続ける
私は毎日それを眺め
百万円の値打ちをつける
全国の骨董市で販売しては
目を見張るお客の顔を綺麗に映し
それはまるでスーパースターや
アイドルを見るかの様に
憧れを独占してはいるが
触れる者はいない
その光景に一種の孤独の影が見える
店仕舞いには磨き上げ
木箱にそっと入れる時
安堵のため息が
いつも壷の中に吸い込まれる
良く云えば古参者
悪く云えば売れ残り
その夜
私の手から離れ
他の家に飾られる事を考える
商売人としてはこの上ないが
確かな寂寥感はある
静かに木箱から取り出し
殺風景な居間に置く
この壷に花を挿す事もなければ
水を入れる事もない
ふと中を覗いてみると
手つかずの白さがそこにはあり
思わず値札を百五十万に書き変えた
明くる日も
明くる日も
色んな街で私は
美しい壷を眺めては
ひとつ歳を重ねる



















