KTC 凹スパナ/S10のすべて

KTC-5-1

 

一重丸京、二重丸京に引き続き、KTCスパナは1960年代に入ってから第2世代S10に切り替わります。

そのS10について、一冊の本を書くぐらいのつもりで徹底的に調べて、解説しています。

写真にもかなり拘りました。

本ページでは前半の凹パネル/S10を解説します。

一番最後に"Seven・K"の正体を推測します。

情報量が倍増したため、凸パネル/S100は後半のKTC-5-2に移動しました。

 

本稿は、JIS発行資料ならびに商標登録、国会図書館所蔵資料、KTCのカタログ、広告と社史、さらに手持ちの商品現物(約300本)を情報源としています。

これら公になっている客観データーを確認した上で、さらに独自の推察を随所で行っています。

そして、その推察理由と、根拠となるエビデンスは、全て明示してあります。

 

★S10の始まり

S10の登場は、1963年から1964年に掛けてと推察しています。

一方で、伏見への工場移転がちょうど1964年ですので、S10は1964年に新しい伏見工場で生産が始まったと考えるのが妥当でしょう。

下の1963年広告では、スパナ(6本セットのイラスト)はまだ二重丸京であり、会社名/京都機械工具の前側にも二重丸京が表示されています。

なお、同じ広告でメガネは既に楕円KTCになっていますので、第2世代への切り替えが始まっているのが分かります。

そして、翌1964年の広告では、スパナは登場しませんが、広告内から二重丸京が無くなり、楕円KTCロゴだけの第2世代を表す会社広告になっています。

これは商品群の第2世代への切り替えが終わったことを示しているのだと思います。

↓左側…1963年『産経会社年鑑』、右側…1964年『主要各種団体名鑑』より

↑国会図書館デジタル資料を拡大

1963年広告内の小さなイラストを拡大しても絵が崩れず、国会図書館デジタル資料のスキャン解像度は凄いです。⇒ 元資料 ※国会図書館IDが必要(登録無料)

 

 

1.商品一覧

本稿ではS10系①~③を解説します。

S100④~⑥は次ページKTC-5-2にて。

S10/S100を除く1960年代~現在のKTCスパナ⑦~㉗については、KTC-5-3にて。

 

2.バリエーション解説

第2世代スパナは、基本形状として凹丸パネル凸平行四辺形パネルの2種類。

さらに、それぞれにロング仕様があります。

写真の上から、

*S10  …凹丸スタンダード

*S15  …凹丸ロング

*S100…凸平行四辺形スタンダード

*S150…凸平行四辺形ロング

 

4モデル共に多くのバリエーションがあります。

 

★バリエーション-1…会社名表示4種

・会社名を4種類の方法で表示。

(1) KYOTO TOOL CO. 

(2) KYOTO TOOL(全角太文字)

(3) KYOTO TOOL(半角細文字)

(4) KTC TOOL 

 

・会社名として"KYOTO TOOL CO., LTD."と"KTC TOOL"が1974年と1985年に商標登録されています。

・楕円KTCロゴは1954年には商標登録され、二重丸京とダブルロゴで使用されていましたが、第2世代では単独ロゴに昇格しています。

 

★バリエーション-2…スパナヘッド形状2種

・S10/S100スパナヘッドに"尖り"(写真上側)と"やや尖り"(写真下側)の2種類。

・尖り度合いの使い分けは、14x17mm以上は"尖り"、12x14mm以下は"やや尖り"が基本。

・ただし、上の写真の様に12x14mm以下にも"尖り"が一部に存在し、"尖り"と"やや尖り"が混在。

・14x17mm以上での"やや尖り"は存在せず。

 

・スパナヘッドの形状をKTCは"やり型"と称していますが、一重丸京/京都機械時代から"やり型"の変遷を見ていくと、上の写真の様に大きく4種類あります。

・KTC解説では”やり型”とネプロス以降の”新やり型”の2種があると説明されていますが、実際には”やり型”は前述の通り"尖り"と"やや尖り"が同時期に混在。

・一重丸京の後期に登場した最初のやり形は"大尖り"で、過激に尖り。

※『大きく4種類あり』ですが、実はモデル毎に微妙な差があり、実際の種類はもっと多く、例えば第2世代コンビレンチM41は"やや尖り"と"新やり型"の中間。

 

★バリエーション-3…JISマーク有り/無し

・KTCはスパナで1952年にJIS認証を取得し、1999年にはその認証を返上。

↓上側…認証取得(1952年11月)、下側…認証返上(1999年5月)by JIS月報

⇒ KTC認証から返上までの変遷と、生産工場の詳細は、こちら

⇒ スパナJIS規格の詳細は、こちら

 

・S10/S100は、最初からJISマーク付き。

・そして、JIS認証返上よりも早めの1995年頃にはJISマーク無しに切り替わり。

・JISスパナ規格には標準/JIS-N、強化型/JIS-H、スパナやり型/JIS-Sの3種類がありますが、S10とS100は全てJIS-S。

・JISにはロング規格が無いため、ロング仕様のS15とS150にJISマーク付きは無し。

↑JISマーク付き&"JAPAN"有り(1993年1月生産)

↓JISマーク無し&"JAPAN"無し(1997年4月生産)

 

★バリエーション-4…"JAPAN"の有り/無し

・S10系の初期から中期にかけては"JAPAN"の刻印無し。

・しかしながら、上の写真2種の通り、1992年頃に"JAPAN"刻印が登場し、さらに1995年頃には再び刻印は無しに。

・"JAPAN"刻印は、1992年~95年の短い期間だけ。

・"JAPAN"刻印は、海外に輸出される日本製商品に表示が義務づけられていますが、S10が立ち上がった頃はまだ刻印は義務無し。

・1995年頃に刻印が姿を消したのは、海外製に移行したからだろうと推察。

 

★バリエーション-5…材質表示2種

・材質は裏面に"NICKEL CHROME VANADIUM"とフル表示が標準ですが、省略形の"Ni-Cr-V"が1990年以降に登場。

 

★バリエーション-6…凹細丸パネル

・凹丸パネルが細く、その分だけ縁が太くなっている仕様もあります。

↓左半分:標準、右半分:凹丸パネル:細い(太い縁)

 

 

3.商品解説

KTCロゴの入ったオリジナルは写真背景を青、さらに他ブランドに供給したOEM派生モデルは写真背景を緑にしてあります。

緑の派生モデルも多彩で魅力的です。

 

1)S10 JIS付き 

凹丸パネルのS10スタンダードは、最もポピュラーなKTCスパナです。

1964年頃に二重丸京モデルから引き継がれ、2002年の第3世代への切り替えまで約40年に渡って生産販売されました。

 

S10では9種類のバリエーションの組合せが確認できており、以下に1本ずつ解説します。

※S10のバリエーションは、単純計算では128通り(4 x 2の5乗)になりますが、手持ちの55本から確認できた下表の9種類が主要なところだろうと思います。

 

 ①-1 "KYOTO TOOL CO." with JIS & 尖り 

・英語の会社名であり商標としても登録している"KYOTO TOOL CO. LTD."からLTD.を除いて表示。

・KTCはJISスパナ認証を1952年に取得していますので、S10は最初からJISマーク付きで発売。

・裏面パネル右側の製造記号の"92"は1992年にも見えますが、次の①-2は"11"ですので、西暦の下2桁ではありません。

・下の4項の分析から"KYOTO TOOL CO."が一番最初の会社名表示と分かっていますので、1964年から1979年まで生産していた伏見工場製の可能性が高いと思います。

・裏面の材質表示は"NICKEL CRHOME VANADIUM"で、S10系は全て同じ材質。

・12x14mmよりも小さいサイズのスパナ形状は"やや尖り"が標準。

・但し、会社名表示が"KYOTO TOOL CO. "のモデルに限っては、S10とSB10/インチ、S15ロング共に"尖り"だけ。

・インチサイズは凹丸(S10/S15)にだけ設定されていて、凸平行四辺形(S100/S150)はミリサイズだけ。

↓写真下からS10、SB10/インチ、S15ロングの6本セット(全て"尖り")

 

 ①-2 "KYOTO TOOL" (太文字) with JIS & 尖り 

 ①-3 "KYOTO TOOL" (太文字) with JIS & やや尖り 

写真上側 ①-2

・会社名表示が"KYOTO TOOL"となり、"CO."が減っただけですが、ごちゃごちゃ感が無くなり、すっきりしました。

・製造記号"11"は何を示しているのでしょうか?(残念ながらKTC未公表)

・"KYOTO TOOL"は2種類目の会社名表示であることから、伏見工場または現在の久御山工場での生産と推測。

(久御山工場は1969年生産開始、1969年~1979年は伏見&久御山2工場体制)

・スパナ形状は、サイズが14x17mm以上なので"尖り"。

写真下側 ①-3

・上の①-2に対し、"やや尖り"スパナ。

・"KYOTO TOOL"には12x14mm以下のサイズで"尖り"と"やや尖り"が混在しています。

・これは、"KYOTO TOOL"生産時代になってから、12x14mm以下のサイズだけ"尖り"から"やや尖り"に切り替えたためでは無いかと推測。

 

↓"KYOTO TOOL" でJIS付きの6本セット。

・14x17mm以上は"尖り"スパナ、12x14mm以下(上から3枚)は"やや尖り"になっていて、これがS10とS100群の標準。

・12x14mm以下の"やや尖り"スパナが"尖り"よりも大きいのが分かります。

(12x14mmと14x17mmを重複させて計8本表示させています)

 

 ①-4 "KYOTO TOOL" (細文字) with JIS & 尖り  

・"KYOTO TOOL"の表示が太文字(大文字)から細文字(小文字)に変更。

・裏面の製造記号がアルファベット+数字の二桁になり、現在KTCで使われている製造年月記号と同じに。

・現行モデルでも使用されている製造年月記号"A1"より、1991年4月または2001年4月の生産。("1"は西暦xxx1年、A"はAprilより)

・このモデルは、C10最終期では無いので、1991年4月と理解。

・したがい、現行商品に使われている製造年月記号は少なくとも1991年には開始されていたと理解するのが妥当です。

※『KTC製造年月記号』の詳細は、こちらにて。

 

 ①-5 "KYOTO TOOL" (細文字) with JIS & 尖り、Ni-Cr-V  

・"J3"より、1993年1月の生産。

・この後の②-1、②-2と同じくNi-Cr-V表示と凹細長パネル(太い縁)。

・但し、前述2モデルと異なるのは、JISマーク付きで、"JAPAN"刻印がある点。

・Ni-Cr-V表示と凹細長パネル(太い縁)は日本製のこのモデル付近で始まり、そこから海外製に移行してJISマークと"JAPAN"刻印が消えたのではないかと推察。

 

↓細長パネル(太い縁)と通常パネルの比較

通常S10(写真上側)と細長パネル/太い縁(写真下側)を比較すると、パネル縁の厚みが異なり、その差が良く分かります。

鍛造型から全く異なるモデルになっています。

スパナサイズと刻印表示を除くとS10の鍛造型は4種類あることになり、"尖り"と"やや尖り"のスパナ2種類に"通常"と"細長"パネル2種類のマトリックス2x2。

 

 ①-6 インチサイズ/SB10 with JIS 

・インチサイズも設定されていて、品番はSB10。

・JIS規格ではインチサイズを"B式"と称していたことから、品番に"B"を付加したものと推測。(ちなみに、ミリサイスは"A"式)

・1952年にJIS認証を取得した初期のスパナ(二重丸京)のインチモデルは、JISにインチ規定(B式)がありましたので、JISマーク付き。

・会社名表示は初期の"KYOTO TOOL CO."。

・しかしながら、1977年にインチサイズは参考値に格下げとなり、以降のインチモデルは全てJIS無しに。

 

2)S10 JIS無し 

 ②-1 "KYOTO TOOL" (細文字) with やや尖り、Ni-Cr-V 

・JISマークが無くなり、また裏面の材質表示が"Ni-Cr-V"と簡略化されていて、これまでのS10とは異なっています。

・"E5"より、1995年12月の生産。

・この1995年あたりがJIS無しに切り替わった時期と推測。

・なお、1995年はまだKTC中国上海工場が立ち上がっていませんが、"JAPAN"刻印は無く、解釈に悩むモデル。

・スパナ形状は、12x14mm以下で標準の"やや尖り"。

 

 ②-2 "KYOTO TOOL" with 凹細長 & 尖り、Ni-Cr-V 

・凹丸パネルが細長くなり、その分だけパネルの縁が分厚く。

・"A7"より、1997年4月の生産。

・後半4項の『製造記号から分かること』で触れていますが、この商品は1997年1月から稼働を開始したKTCの中国上海工場製と推察。

 

 ②-3 "KTC TOOL"  with 尖り 

 ②-4 "KTC TOOL"  with やや尖り 

写真上側 ②-3

・会社名表示が"KYOTO TOOL"からもうひとつの商標登録である"KTC TOOL"に。

・”A9"より。1999年4月の生産。

・JIS返上申請と同時期の生産になりますが、JISマークは既に未表示。

写真下側 ②-4

・上の②-3に対し、サイズが12x14mm以下なので、"やや尖り"。

・製造記号が数字2桁の古いタイプですので、①-1~3と同じ前期モデルと推測。

・ただし、会社名表示が"KTC TOOL"でJISマークが無いことから後期のモデルとも思え、これも解釈に困るモデルです。

 

 ②-5 インチサイズ/SB10 JIS無し 

・上の①-6と同じ初期の"KYOTO TOOL CO."のインチモデルながら、JISマーク無しで、"JIS-S"用の刻印スペースが空白に。

・1977年からJIS規格でインチサイズが参考値に格下げになったために、暫定的にJISマークを消したのではないかと推測。

・この1977年がインチモデルのJIS無しへの切り替え点であり、その時の会社名表示が"KYOTO TOOL CO."だったのだろうと推測。

・言い換えると、少なくとも1977年までは会社名表示は"KYOTO TOOL CO."が続いていたことに。

 

・SB10のJISマーク部に空白の有り無し。

・上側…空白無し(鍛造型の文字刻印位置を変更した恒久対応)

・下側…空白有り(取りあえず鍛造型のJISマークだけ消した暫定対応)

 

 ★ S10 6本セット 

・S10解説の最後に6本セット。(品番…S106)

・一番最初の"KYOTO TOOL CO."版。

・1970年当時の6本セット定価は1,930円。

 

3)S15ロング 

S15ロングにもバリエーションがあります。

ただし、その中身はS10と同じですので、写真掲載をメインにして簡単な解説とします。

S10とS15の比較。

異なるのは全長のみで、スパナ形状や厚みなどの寸法は全く同一です。

14-17mmで、S10のL=162mmに対し、S15はL=192mmであり、約20%長くなっています。

JISスパナ/B4630では規格に対し全長の±5%しか長さ差を認めていませんので、当然ながらJIS認証は取れず、S15ロングは全てJIS無しです。

 

 ③-1 "KYOTO TOOL CO." with 尖り 

・S10と同様にロングS100も最初に"KYOTO TOOL CO.”が発売されたと理解。

・①-1の通り、"KYOTO TOOL CO.”は全てのサイズが"尖り"スパナ。

 

 ③-2 "KYOTO TOOL" (太文字) with 尖り 

 ③-3 "KYOTO TOOL" (太文字) with やや尖り 

写真上側 ③-2

・"KYOTO TOOL"で"尖り"。

・S15ロングで取り上げている6種類の中で、上の③-1とこのモデルは裏面の製造記号がアルファベット2桁("41")になっていますので、他の4種類より一世代古そう。

写真下側 ③-3

・上の③-2に対し、サイズが12x14mm以下なので、"やや尖り"スパナ。

・"JAPAN"の刻印が裏面の一番右に追加され、輸出も可能に。

・"A3"より、1993年4月の生産。

 

 ③-4 "KYOTO TOOL" (細文字) with 尖り 

 ③-5 "KYOTO TOOL" (細文字) with やや尖り 

写真上側 ③-4

・"KYOTO TOOL"が細文字に。

・"M8"より、1998年3月の生産。

写真下側 ③-5

・上の③-4に対し、"やや尖り"スパナ。

・"JAPAN"が③-3とは異なる位置に移動し、裏面パネル内の材質右隣に。

・"N3"より、1993年11月の生産。

 

 ③-6 "KTC TOOL"  with 尖り 

・会社名表示が"KTC TOOL"に。

・"A1"より、1991年または2001年の4月生産。

・会社名表示の"KTC TOOL"は最終期モデルですので、2001年4月生産の方と理解。

・私が手に入れているS10系の中では、一番に最後に生産されたモデル

 

 ③-7 インチサイズ/SB15 

・凹丸パネルのS10スタンダードとS15ロングにのみインチサイズ設定。

・会社名表示の"KYOTO TOOL"の文字幅が、ミリサイズに較べると広い。

 

 ★ S15 ロング 6本セット 

・S15ロング解説の最後に6本セット。(品番…S156)

・S10と同じく一番最初の"KYOTO TOOL CO."版。

 

 ★ S15ロング/ディスプレーケース 

S15ロング専用の店舗用ディスプレーケースです。

友人から譲って貰いました。

スパナコレクションの楽しみが増して、大いに喜んでいます。

手持ちのS15全30本を入れてみました。(5サイズが未入手なのが分かってしまいます)

ちなみに、背景は私のコレクションケースです。(18段が4つ)

 

↓何故か14x17mmが8本もあるのには、自分でも笑ってしまいました。

 

★ S10以前 

凹丸パネルのスパナは、一重丸京/京都機械に始まり、二重丸京/KTC(第1世代)にも存在する歴史のある商品です。

・一重丸京/京都機械

全体デザインは後のKTC2世代と同一ですが、凹丸パネルが短いのが相違点です。

スタンダード長さは無く、ロングだけの設定です。

私はこの大きなサイズ1本しか持っていないのですが、ほとんど見かけないモデルですので、余り世に出回らなかったようです。


・二重丸京/KTC

スタンダードのJISマーク付き。(品番:MCS)

KTC自身は1952年11月にスパナのJIS認証を取得していますが、JIS-S/やり型の規格は1957年に追加設定されていますので、このモデルも1957年頃以降のものと思います。

ちなみに、裏面の"67"より数字2桁の製造記号は二重丸京の時代に既に始まっていたのが分かります。

↓上側…二重丸京の表裏、下側…S10との比較

パネル内の刻印を除けば、各寸法は全く同一ですので、このデザインは二重丸京で始まり、S10にそのまま継承されたのが分かります。

 

二重丸京のロングもありました。(品番:MCL)

スタンダードと同様にロングも二重丸京と第2世代が同一形状です。

なお、カタログ上では二重丸京L=140に対しS15はL=147なのですが、実際には写真で分かる様にほとんど同じ長さです。

ロングも、二重丸京からそのデザインが始まっているのが分かります。

↓二重丸京ロングとS15の比較(凹丸ロング同士)

 

 一重丸京…当ブログ内の詳細解説は、こちら

 二重丸京…同、こちら ※二重丸京カタログは、次ページの巻末に掲載

 

★ S10 派生モデル 

(1) 米国 AWARD

KTCは1960年代から80年代に掛けて海外ブランドへのOEM供給を盛んに行っていて、その中心がFULLER向けでした。

凹丸パネルは、FULLLERと兄弟ブランドAWARDの両方があります。

KTCと比較するため、小サイズのAWARDから。

裏面の楕円KTCロゴよりKTC製と分かります。

↓上側…AWARDの表裏、下側…S10/S15との比較

比較写真で分かる様に、S10とS15のちょうど中間の長さになっています。

凹丸パネルはS10と同じ長さのままにして、凹丸パネル端とスパナの間を伸ばすことで長くしています。

 

Fig.21 Award 15/16x1 Open-End Wrench, with Inset for Reverse and Marking Detail.

Fig.21 shows an Award 15/16x1 open-end wrench with depressed oval panels, marked with "Chrome Vanadium" and the fractional sizes forged into the shank, with "Drop Froged" and "Japan" plus KTC-Circle logo forged into the reverse.

The overall length is 11.9 inches, and the finish is chrome plating.

Currently we're not famiiliar with the Award brand, but the KTC C-rcle logo indicates that the wrench was produced by the Kyoto Tool Company.

↑アメリカ工具解説サイト"Alloy Artifact"によるAWARD解説

当たり障りの無い解説ですが、KTC製ながらマイナーブランドが取り上げられているのは珍しいと思います。

 

(2) 米国 FULLER

同じくFULLER版もあります。

AWARDと同一モデルで、"ちょっと長めのS10"になっています。

次ページに凸パネルでS100相当のFULLERも掲載します。

⇒ FULLER/AWARDの詳細は、こちら(コンビレンチを含む)

 

(3) 米国 COMPANION

Fullerとは別に、SearsのブランドCRAFTSMANへコンビレンチを本格的に供給していました。

さらに、Searsの廉価版ブランドCOMPANIONとSEARSにもスパナを輸出していました。

なお、FULLER/AWARDとは異なり、S10と長さも同じです。

↓上側…COMPANIONの表裏、下側…S10との比較

裏面の"BF"は、Sears向け専用のKTC製造記号です。

なお、”BF"記号は1969年から1987年まで使用されたと聞いていますので、COMPANIONの生産もその期間内になります。

ちなみに、1969年は現在の久御山工場が操業を開始した年です。

寸法的にはS10と同一ですが、17x19mmでもスパナは"やや尖り"であることから、S10からの派生ではあるものの専用モデルとなります。

COMPANIONのKTCスパナは、アメリカ国内でもほとんど見かけることは無く、廉価版ながら今となってはとても希少で貴重なモデルです。

 

(4) 米国 SEARS

Sears自身のブランド"SEARS"のS10派生スパナもありました。

形状はCONPANIONと全く同一で、ブランド名を変えてあるだけです。

1977年~1981年のSearsカタログに日本製として掲載されています。

ちなみに、COMPANIONの方は、廉価版の位置づけのためか日本製のカタログ掲載が無く、年代を特定出来ませんが、SEARSと同時に販売されていたと考えています。

※Searsブランド位置づけ…CRAFTSMAN:サンデーメカニック向け、SEARS:家庭向け、COMPANION:さらに廉価版(Snap-onをプロ向けとした場合)

 

 

↑Searsカタログ/1977年、80年、81年

『From Japan、Not Craftman』の説明よりKTC製のSEARSと分かります。

 

Searsスパナには、戦前にMerit、戦後になってからDunlap、Companion、Searsの計4種類のブランドがあり、その内のCompanionとSearsが一時期KTC製でした。

⇒ Sears(Companion含む)の詳細は、こちら

 

(5) TOYOTA

KTCは、TOYOTA向け工具(車載とディーラー整備工場向けの両方)の供給を一手に引き受けていて、S10凹とS100凸の両方共にTOYOTA向けがあります。

(最近は工具の車載が無くなり、整備工場も一般汎用工具になっているようですが)

S100凸のTOYOTAモデルは、鍛造型記号からKTC製であることが分かりますが、S10凹にはKTC製を示す記号等は入っていません。

しかしながら、下の比較写真で分かる通り、S10そのものです。

S10凹モデルには"TOYOTA MOTOR"の会社名が入り、カタカナ"トヨタ"ロゴの有り無しがあります。

また、手元にある50本のTOYOTAモデル(S10/S100)には全てに"JAPAN"の刻印が入っています。

製造記号は、現在の製造記号、旧(数字2桁)、入っていないの3種共にあります。

S150凸モデルは、次ページに掲載。

↓S10と比較

 

【参考】Seven・K

Seven・KというKTCブランドで凹3分割丸パネルのスパナがあります。

パネル形状が3分割の丸パネルになっていますが、基本形状はS10と同一であり、S10の派生モデルと言えます。

Seven・Kというブランド名は、当時のKTC関係会社が7社あったことより。

⇒ 詳細は、KTC-5-3のこちらにて。

↑Seven・K、JIS-Sマーク付き。(裏面の"KT"よりKTC製と分かります)

↓S10とSeven・Kとの比較。(基本形状がS10と同一なのが分かります)

 

ここまでは、S10/凹パネル。

S100/凸パネル(カタログも)は、こちらへ。

 

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この回、終わり

KTCスパナ全5編それぞれのページには、こちらから

全5編:一重丸京、二重丸京、S10(本稿)、S100、S10系以外