KTC スパナのすべて
(1960年以降、但しS10とS100を除く)
KTC-5-3
【2023年7月8日 追記】
Seven・KをKTCの独自ブランドとして一覧表に追加すると共に、ブランド詳細の解説も追加。
Seven・Kの名前の由来も明確になりました。
⇒ 詳細は、本稿内のこちら
さらに、第2世代スタンダードモデルの"パネル違い6種"も追加。⇒ こちら
同時期にパネル違いだけで6種類のスパナをリリース出来るのがKTCの凄さです。
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KTCスパナの1960年以降の第2世代(S10、S100は除く)、ならびに2002年以降の第3世代(現行)を解説します。(S10はKTC-5-1、S100はKTC-5-2にて)
ちなみに、第1世代は二重丸京です。
1.商品一覧
本編では⑦~㉗を解説します。
・TOYOTA向け凸長方形パネル㉕とFuller向け凸丸パネル㉖は、OEMとしてでは無く、専用ボディーで、かつKTC刻印があるため一覧表に加えています。
・なお、日産ディーゼル向けの凸横長六角形パネルもKTC製の専用ボディーになっていますが、KTC刻印が無いため、このKTC一覧表には加えてありません。
・他のOEMは、S10とS100(①~⑥)に多く設定されていて、各稿(KTC-5-1&2)で解説しています。
※1950年代のホンダ向け車載スパナ(異形KTCロゴ刻印)を追加予定。
2.商品解説
第3世代
⑦ 現行スタンダード S2
・KTCの標準工具類が20世紀バージョンとして一斉にモデルチェンジされたのに合わせて、スタンダードスパナも2002年後半に新モデルS2へ移行。
・スパナ形状はネプロスと同じ新やり型が採用されています。
・KTCロゴも1995年に商標登録された新版になっています。
・製造年月記号"8L"より写真の商品は2018年7月の生産と分かります。
・なお、コンビレンチ版MS2には"Made in Japan"との刻印が入っていますが、スパナ版S2には"Japan"の刻印がありません。
・TRUSCOのオレンジブックには『製造国:中国』と記載されています。
(KTC上海工場は2004年に閉鎖されていますので、上海工場製ではありません)
薄口/ロング
⑧ 第2世代フラット KYOTO TOOL CO.
・薄口/ロングスパナは、タペットレンチとして二重丸京からの継承商品です。
・6本セット(10x12、12x10、12x14、14x12、17x19、19x17)、片側スパナにはストレート(オフセット無し)は共通するコンセプトです。
・このフラットは、二重丸京モデルと同じデザインで、会社名刻印が"KYOTO TOOL CO."に変更になった第2世代版です。
⑨-1 第2世代 凹丸パネル S20 "KYOTO TOOL CO., LTD."
・上の⑧のモデルチェンジ版ですが、他のスパナ(S10系)と共通性を持たせるために凹丸パネルデザインに変更されています。
・刻印スペースが豊富なためか英語会社名がフルに表示されていて、"KYOTO TOOL CO., LTD."になっています。
⑨-2 第2世代 凹丸パネル S20 "KYOTO TOOL"
・⑨の後期型で、会社名表示は"KYOYO TOOL"に変更されています。
・輸出を念頭にして"JAPAN"の刻印が追加されています。
・製造年月記号"U5"より1995年6月の生産。
⑩ 第3世代 S20 "KTC"
・会社表示が第3世代KTCロゴに変わっています。
・品番はS20のままです。
・現在も販売されている現行品です。
・製造年月記号"C5"より2015年10月の生産。
・6本セットと片側ストレートのコンセプトはニ重丸京の時代から。
(19x17/17x19、14x12/12x14、12x10/10x12)
・商品機能としては同じ物2本でも良いのに、わざわざ左右のサイズ表示を入れ替えているのは流石と言うか拘りを感じます。
★KTCロゴ2種の商標登録
↑ KTCブランド:写真背景 青
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↓ 独自ブランド:写真背景 緑
独自ブランド
KTCは、KTCロゴ以外の独自ブランドでも商品レンジを構成していて、スパナを含むハンドツールでは6種類の独自ブランドがリリースされています。
Seven・Kを除く5種類が商標登録されています。
(1) Seven・K…発売:1975年頃(商標登録なし)
(2) ToolMan…発売:1975年頃(Seven・Kよりも後)、商標登録:1985年
※Seven・Kと一時期販売重複。
(3) Profit…発売:1985年、商標登録:1992年(出願は1983年)
(4) Dツール(D-KTC)…発売:1982年、商標登録:1985年
(5) MirrorTool…発売:1984年、商標登録:1986年
(6) Nepros…発売:1994年、商標登録:1996年
Seven・KとToolManは伏見工場および久御山工場での生産で、他の4種は全て久御山工場製になります。
⑪ Seven・K

・1974年または1975年にKTCで初めて別ブランドとして設定されたSeven・K。
・JIS-Sマーク付きながら、DIY向けモデル(廉価版)になっています。
・ブランド名は、当時のKTCグループ会社が7社あったことから。
・凹3分割丸パネル。
・スパナ全体形状はS10/凹丸パネルと同一で、S10の派生モデルと言えます。
・JISマーク付きですので、製造元の製造記号が必ず入っていて、"KT"よりKTC製と分かります。
・一方で、JISマーク無しの"Seven・K"スパナもありますが、こちらにははっきりと"KTC"と表示されています。
・なお、Seven・Kには同じ"KT"刻印の入ったKTC製パイプレンチと、北陸KTC製を示す"丸H"刻印が入ったメガネレンチもあります。
・次のToolMan⑫よりも先行して発売され、ToolManと同時販売されていた時期もあった模様。
・現在の本社がある久御山工場がJIS認証工場になったのは1976年ですので、このSeven・Kは久御山工場が出来る前の伏見工場での生産と推察します。
・現在の久御山工場以外での生産が特定できる珍しいケースです。
↑ビニールケース入り6本セット。(JISマーク下にK.Tと表示)

・Seven・KのJISマーク無しです。
・JISマーク無しですので、製造元を示す製造記号を入れる必要は無いのですが、KTCと刻印されています。
・なお、写真の7x9mmサイズは、S10とS100には設定が無く、他社でも見かけない特異なサイズです。
★ブランド名"Seven・K"の由来
意味…"KTCグループ会社が7社"
社史『KTC50年の歩み』に1974年時点でのKTCグループ会社が7社掲載されていて、これが該当すると推測しています。
(1) KTC
(2) 京都機工…1960年~?、プライヤー生産、1979年JIS認証取得
(3) 北陸KTC…1970年~現在、輸出向け工場として立ち上がり
(4) ケーティーシー販売…1973年~1984年、京華産業からKTC販売部門が独立
(5) 京都ツール…1966年~1978年、熱処理部門の分社化
(6) KTCツール…1968年~1978年、鍛造部門の分社化
(7) KTC化工業…1974年~1978年、メッキ部門の分社化
※(5)~(7)は分社化後の1978年にKTCに復帰。
(4) ケーティーシー販売は1984年に工販合併。
(2) 京都機工は、少なくとも1992年までは存続。(1992年の独自広告あり)
グループ会社7社が同時に存在していたのは1974年~1978年の5年間。
したがい、この期間がSeven・Kの販売期間と一致するのだろうと思います。
京都機械工具株式会社 久御山工場の生産で、"Kyoto Kikaki Kogu Kabushiki Kaisha Kumiyama Kojyo"より"7つのK"と推測していたのですが、見事に外れました。
・Seven・Kは何故TONE第2世代のスパナに似せた3分割凹丸パネルを採用したんだろうと疑問に思っていました。
・しかしながら、Seven・Kは、KTC第2世代初期のメガネデザインに似ていることに気が付きました。
・このKTC第2世代初期のメガネは1963年の発売で、一方でTONE第2世代は1968年の発売です。
・したがい、このデザインはKTCの方が先でした。
↓TONE第2世代の初期スパナ(1968年)
⑫ TOOL MAN
TOOL MANは、KTCが廉価版として生産販売したKTCのブランドです。
上の廉価版Seven・K⑪を引き継いだモデルと理解しています。
※『S100のすべて』でも解説していて、一部内容が重複します。
・JISモデルには製造者記号の表示が義務づけられていることから、裏面パネル内の製造記号"KT"よりKTC製であることが分かります。
・同じく裏面右端の製造記号"S47"よりS100の14x17mmの鍛造型を使っていることが分かります。
・"TOOL MAN"の商標登録より1977年前後の発売と推測します。
・現在の久御山工場がJIS認証工場になったのは1976年ですので、このTOOL MANは久御山工場での生産と推察します。
・写真は14x17mmですので、S100の定石通りに"尖り"スパナ形状になっています。
・裏面パネルには"DROP FORGED"(鍛造)とだけ刻印されていて材質が分かりませんが、S100のNickel Chrome Vanadiumに対して、安価な炭素鋼(S45C等)を使用しているのだろうと思います。
・KTC S100とTOOL MANの比較です。
・その形状から全く同じ製品であることが分かります。
・12x14mmよりも小さいサイズの11x13mmではS10定石通りに"やや尖り"スパナ形状になっています。
・当然ながら、両方共に鍛造型の製造記号は同じで、"S13"です。


・"TOOL MAN"はKTC製であることは分かっていたものの、いずれかの工具商社向けのOEMだろうと考えていました。
・しかしながら、KTCが1972年に"TOOL MAN"を商標登録しているのを見つけ、KTC自身のブランドであったことが分かった次第です。
・販売は6本組セットのみです。
・パッケージには"ハロークオリティグッズ"とだけ印刷されていて、販売元や製造元がどこだか書かれていません。
・廉価版のためと理解しています。
・なお、手に入れてから2年間『販売元はどこだろう?』と商標登録を見つけるまで永らく悩んでいました。
・メガネとコンビレンチのセットもあります。
⑬ プロフィット S30 前期版
・薄くて軽いことに特化したプロフィットシリーズは、まずスパナとメガネが1985年に発売されました。
・片側が25度曲げて(持ち上げて)あります。
・スパナで左右が同じサイズと言うのは非常に珍しいかと思います。
・前期版の名称はプロフィットツールで、表には"PROFIT TOOL"のブランドロゴしか表示が無く、清いデザインです。
・ブランド名を表にした状態で左フラット側のスパナヘッドが首を持ち上げる方向にオフセットしています。
・一方で、モデルチェンジされた後期版⑫(下の写真)では逆の首をかしげるオフセットに変更されています。
・ちなみに、前期版の首を持ち上げるオフセットは、アメリカMACやドイツDOWIDATにも見られますが、世界の中でも少数派です。
⑭ プロフィット S30 後期版
・2000年にマイナーチェンジが実施されています。
・ブランド表示が単にプロフィットとなり、刻印も筆記書体の浮き出し文字"PROFIT"に変更され、清さ度合いが増しています。
・マイナーチェンジと同時にサイズ15mmが追加されました。
・薄くて軽く、工具としての基本性能が優れていて(握って良し、締めて良し)、私の一番のお気に入りです。
・ちなみに、第3世代に移行する前の2000年にモデルチェンジをしていますので、現行商品ながら、KTCロゴは一世代古い楕円KTCのままです。
⑮-1 Dツール DS15
・Dツールは、高級工具の市場ニーズがあるかの確認を目的として1982年に3,000セット限定で生産販売されました。
・結果として市場ニーズありとの判断となり、次のミラーツール⑮の開発につながっています。
・なお、"D-KTC"の商標登録は何故か3年後の1985年になっています。
⇒当ブログ内の詳細解説は、こちら
⑮-2 Dツール 金色
・Dツール購入者に後日配布された限定品の金色(8x10mm)。
・文鎮のようにアクリルに埋め込まれています。
↓専用工具ケース付の全48点。

⑯ ミラーツール DK15
・KTCは、1984年にミラーツールで本格的に高級工具市場へ参入します。
・販売期間は10年と短く、本命のネプロスに引き継がれます。(1984年~1994年)
⑰ ネプロス スタンダード NS2
・1994年に満を持してネプロスが発売され、現在に至っています。
・コンビレンチにはロング版とショート版のバリエーションがありますが、スパナの方は長さ1種類のみです。
・『高品質な高級工具のKTC』を確固たるものにした看板商品です。
・鏡面仕上げの綺麗さは格別です。
・個人的な感想ですが、刻印表示が多過ぎます。
・"5GQ"はnepros用の特別鋼材とのことですが、成分は公表されていないこともあり、表示することに意味を感じません。
・"MIRROR"は"MIRROR TOOL"の後継という意味合いかと思いますが、特に表示しなくとも充分に鏡面仕上げ/MIRRORと分かります。
・また、会社名表示としての"KTC"が表にも裏にもあるのは、過剰です。
・同じKTCの"Profit"や怪物"Snap-on"の様に、表面は"nepros"とサイズ表示だけのシンプルなデザインにすれば良かったのにと思ってしまいます。
・"nepros"だけのシンプル表示でも、neprosには訴えかけるブランド力が充分に備わっていると思います。
↑シンプルなデザインのneprosが良いと思う私の妄想です。(提案でもあります)
⑱ ネプロス アングルヘッド NS3
・ネプロススパナで唯一のバリエーションです。
・左右のサイズは同じで、オフセット角度を変えてあります。
⑲ ネプロス KTC50周年記念
・KTC/京都機械工具の創立50周年を記念して2000年にリリースされました。
・専用刻印の入ったネプロスと二重丸京のスパナを1本ずつアクリルボードで挟み、卓上ディスプレーが出来るようになっています。
・"nePros"の"P"を捩った"anniversary"を挟んで"KTC 50th - AUG 2000"の刻印が入っています。
・1,500セット作成され、従業員ならびに関係者にのみ配布された非売品です。
・従業員には個人名、関係者には個人名または団体、会社名が個別に印字されたようです。
・関係者の中にはKTCの広告掲載絡みで出版業界も含まれていて、それが私のコレクションに加っています。(Dツールと共に大事な逸品です)
⇒当ブログ内の詳細解説は、こちら

その他
⑳-1 丸棒スパナ/大型トラック用 S90
・大型トラックバスの前後アクスルUボルト用の大型スパナです。
・長さが600mmを越えますので、KTCスパナ群の中で特異な存在です。
・大きく長いので、光を均一に当てるのが難しく、なかなか上手く写真に出来なかったのですが、今回やっと満足できる写真が撮れました。
・一番上の写真、実は左右半分ずつ撮って、合体させています。
⇒ 当ブログ内の詳細解説は、こちら
・大型スパナは、一重丸京/京都機械から始まっていて、二重丸京、KTCと世代交代しています。
・一重丸京⇒二重丸京⇒KTCと同じデザインが引き継がれている唯一の商品です。
・KTCコレクターとしては3世代ともに手に入れているのが自慢です。
★インチ仕様
・インチ仕様もあります。
・1+1/16x15/16インチ。(24x27mm/S90-2427相当)
⑳-2 丸棒スパナ/小型トラック用(トヨタ専用)
・上の⑳-1は大型トラック用ですが、同じ形状の丸棒スパナながら、小型乗用車(パブリカ、カローラ)のトーイン調整時のタイロッド締付用にトヨタ専用で出ていました。(09xxx-xxxxxは、トヨタ純正の工具品番)
・12x14mmと17x19mmの2種類があり、両方共に何故か同じ品番09646-12011。
・長さは、⑳-1の半分で、約350mmですが、12~19mmのスパナとしてはかなり長めです。
⇒ 当ブログ内の詳細解説は、こちら
↑大型トラック用⑳-1との長さ比較
㉑ ニップレンチ 旧型 MCS-100
・モーターサイクル用ホイールのスポークニップル締付調整作業専用工具です。
・異形ながら正真正銘の両口スパナです。
・1991年のカタログNo.26には掲載されていますので、1990年頃からの商品と思います。
・次の現行ニップレンチ㉒には"JAPAN"の刻印がありますが、旧型の本品には"JAPAN"がありません。
・したがい、海外製と思いますが、KTC中国(1997年~2004年)はまだ稼働を始めていない時期ですので、台湾または中国の第3者企業への外部委託なのだと思います。
・最近まで本商品のことを知りませんでした。
・本稿を書いていて、その存在に気が付いた次第で、私のKTCコレクションを完結させたモデルになりました。
㉒ ニップレンチ 現行品 MCS2-100
・上の旧型㉑をモデルチェンジした現行品で、第3世代版です。
・”JAPAN"刻印が入っていますので、新型はKTC自社製と思います。
・2003年5月から販売されています。
㉓ ペダルレンチ CP2-15A
・自転車のペダル用15mmレンチで、片口スパナです。
・スパナ形状がユニークです。
・オフセット角度を大きくし、67.5度までおじぎをしたCP2-15Bもあります。
・2009年12月に新製品としてKTCホームページに登場しています。
・製造記号"J4"より2014年1月の生産品と分かります。
㉔ エアコン冷媒管用
・異形がもうひとつ。
・大径サイズでかつ極端に短いため、胴長がほとんど無く、最初にネットで見つけた時には写真を加工したフェイクかと思いました。
・1980年代から90年代に掛けてKTCは代理店1社に限定して数量契約のうえ納入するビジネスを『代理店オリジナル』と称して実施していました。
・その初回『代理店オリジナル』としてKTCの第1号代理店である京都の機械工具商社"ダイニチ(株)"だけに納められたエアコン冷媒管用スパナです。
・代理店からの企画で商品化されたようです。
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら
㉕ 平板打ち抜き
・プレス打ち抜きの板スパナです。
・小サイズで、8x9mm。
・厚みは2.6mmで、打ち抜きスパナとしては標準的な厚みです。
・『KTCが板スパナを作るのかな?』とも思ったのですが、楕円KTCのロゴはKTCそのものですので、KTC製は間違いなさそうです。
・KTCに確認しましたが、カタログモデルでは無く、また生産記録も残っていないとのことで、何用なのか、いつの生産かは不明とのことでした。
・KTC内にもこの板スパナは見たことのある人はいないとのことで、謎のKTCです。
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら
㉖ 凸長方形パネル(TOYOTAモデルのKTC版)
・凸四角パネルはトヨタ向けだけだと思っていましたが、KTC版を見つけました。
・カタログには掲載されていませんので、一般市販モデルではありません。
・また、JISマークは付いていません。(トヨタモデル自体がJIS付きでは無いため)
・刻印前のトヨタ向けボディーに、なんらかの目的で"KTC"と打刻し、KTC製品として出荷したのだろうと考えています。
・会社名刻印が"KYOTO TOOL"になっていて、"KYOTO TOOL CO."よりも新しい世代の会社名表示です。
・したがい、この時には既に凸平行四辺形パネルのS100(JISマーク付き)は存在していたと思います。
・にもかかわらず、敢えてJISの無い凸長方形パネルをKTC製品として出荷した理由があるはずです。
・後述する様にトヨタ向けの粗い仕上げのままであり、またメッキ仕様も安価にしていることから、廉価を強く意識した作りになっています。
・したがい、特定ユーザーまたは特定販路向けに特別廉価版として供給したのではないかと推測しています。
・KTC系の廉価版であるTool ManやSeven・Kでは無く、ブランド名がKTCである必要があったのではないでしょうか。
・ちなみに、Tool ManとSeven・Kは、廉価版と言ってもJIS付きです。
・KTCに確認したところ、KTC刻印の凸長方形パネルを出荷した記録は残っていないとのことでした。
・なお、KTCのカタログモデルは1万点ほどある一方で、カタログに掲載されないモデルはOEMを含めてその2倍(2万点)以上あると言われています。
・この凸四角スパナのKTC版も、その内の1点です。
・超レアなモデルだと思います。(中古工具屋さんで見つけていますが、オークションには少なくとも3年間ウォッチしていて1度も登場していません)
・KTCスパナにはパネル形状5種あり、そのブランド/納入先一覧です。
・表内に●が11個ありますが、KTCのカタログモデルは3つだけで、残りの8つはカタログ未掲載モデルです。
★基になっているトヨタモデル
★トヨタモデルとKTC版の比較(凸四角パネル同士)
・トヨタモデルとKTC版の比較です。
・形状と寸法は全く同一ですので、トヨタモデルにKTCと打刻したのが分かります。
・また、下の写真から分かる様に表面仕上げの粗さも同一です。
・但し、メッキ色だけは異なり、トヨタモデルは通常のクロームメッキですが、KTC版は若干緑色がかったメッキ色で、ビスの頭などで良く見かけます。
・ネット情報を見ると三価クロメートの色に似ていて、廉価なメッキを採用しているようです。⇒ メッキ色Web
・KTC版の方が廉価というのも不思議な気がしますが、いずれにしてもKTC製品では他に見たことが無いメッキになっています。
・表面仕上げの粗さとメッキ仕様より廉価を強く意識した製品であることが窺えます。
・メッキ色の差が分かる様に背景を白にした写真です。
・KTC版に色味が付いているのが分かります。
・また、トヨタモデルとKTC版の両方共にスパナ部とパネル部に斜め45度の筋が一応に付いていて、表面仕上げが粗いのが分かります。
・楕円KTCのロゴ形状がなんか変です。
・左側が今回の凸四角パネルのロゴ、右側は通常のS100です。
・凸四角パネルの"T"だけ直立していて、さらに"T"の上と下の文字エンドが異常に長くなっています。
・通常の楕円KTCの刻印ポンチ型を何故使わなかったのでしょうか?(製造工程または工場が異なる??)
国内OEM
(1) KTC刻印付き
HONDA/異形KTCロゴ

豊田自動織機

・豊田自動織機にOEM納入したメンテナンス用スパナです。
・裏面の楕円KTCロゴからKTC製と分かります。
・調査の結果、豊田自動織機G型用で、1953年~1959年に生産されたスパナ群であることが分かりました。
⇒ 詳細は、こちらにて。

・片口スパナもあります。
・KTCの片口スパナは他に見たことが無く、本品が唯一と思います。
(2) KTC刻印無し
TOYOTA

日産ディーゼル
OEM専用ボディーで日産ディーゼル向けの凸横長六角形パネルだけがKTC版が見つかっていません。
TONE/大型トラック用

・KTC大型スパナ⑳のTONE版です。
・1955年と1956年のTONEカタログに掲載されていて、本当に販売されたのかなと思ってきましたが、実在していました。
・ちなみに、その前年の1954年カタログには同じサイズの巨大コンビレンチが載っていますが、こちらは幻で終わっているのだろうと思います。
・TONE自身で大型トラック用コンビレンチを企画したものの断念し、二重丸京時代のKTC大型スパナを急遽OEM採用することに切り替えたのだろうと推測しています。
⇒ 詳細は、こちらにて。
BTC/バンザイ向け 大型スパナ
・大型スパナ⑳はバンザイにもOEM供給されています。
・KTC-4-2『二重丸京スパナ』と重複掲載。
海外OEM
スパナのOEMとしては、S10/凹丸パネルとS100/凸平行四辺形が使われていますが、例外として専用の凸丸パネルがFuller向けに供給されています。
なお、S100/凸平行四辺形パネルのFuller向けもあります。
⇒ コンビレンチを含むFullerの詳細は、こちら。
㉗-1 凸丸パネル /インチ仕様
・Fuller専用モデルとして凸丸パネルが設定されていました。
・製造記号はFuller専用の鍛造型ですので、"Fxx"になっていて、写真のモデルは"F04"。
・コンビレンチ凸丸パネルと同じように、スパナ凸丸パネルにも特異な製造記号"U2"があります。
㉗-2 凸丸パネル /ブランド無印
・裏面に楕円KTCロゴは刻印されているものの、表面には何も表示されていないKTC製スパナを見つけました。
・KTCロゴ刻印が入っていてブランド名が無印なのは、とても珍しいと思います。(珍しいと言うよりは、初めて見ました)
・裏面右側に"F68"と浮き出し刻印があることから、Fuller向けスパナの鍛造型を使っているのが分かります。
・その正体は何なのでしょうか?
・なお、見つかったのは1本だけで、使用感の無い美品です。
・ちなみに、KTCからFullerへの出荷は1960年代初頭から1980年代後半までですので、この無印KTCも同年代の製品ということになります。
・KTCに確認したところ、Fuller向け凸丸パネルを無印で出荷した記録は残っておらず、正体は分からないとのことでした。
★推測
・推測-1…製造元さえ分かれば、ブランド名は不要というマーケット向け。(特別ユーザー向けに対して、こういう出荷形態があってもおかしくはないと考えています)
*青森県の三沢基地そばのリサイクルショップで見つかりましたので、米軍または自衛隊絡みなのかもと考えてしまいます。
・推測-2…ブランド名"Fuller"の刻印を忘れたものが市場に流出。
*Fullerは米国向けのため、通常のFullerに無印が紛れ込んで日本市場に流れたとは考えにくいところです。
*凸丸パネルのスパナは国内向けには存在せず、米国Fuller向けだけです。
*ちなみに、見つけた近隣でFullerスパナは出回っていないようです。
*さらに、打刻忘れの無印が市場に流れる可能性があるのであれば、日本市場に大量に出荷されているKTC自身のスパナやコンビレンチに無印が見つかっても良いはずですが、皆無です。
・推測-3…第3者が独自ブランドとして販売することを前提に、KTCから第3者へ無印で供給されたが、第3者が刻印を忘れて出荷。
*別ブランドの凸丸パネルスパナは市場で見つかっていないので、この可能性は低いでしょう。
【参考-1】第2世代スタンダードスパナのパネル形状6種
第2世代(1960年~2000年)スタンダードスパナにはパネル形状が6種類もあります。
まず、OEM向けの専用ボディーとしてTOYOTA/凸長方形パネル(1)以外に日産ディーゼル/凸横長六角形パネル(2)とFuller/凸丸パネル(3)があり、計3種類が設定されています。
さらに、S100/凸平行四辺形パネル(4)とS10/凹丸パネル(5)があり、またS10の派生としてSeven-k/凹丸3分割パネル(6)があります。
したがい、スタンダード形状スパナとして1960年~1980年の時代に"全6種が同時生産"されていたことになります。(これがKTCの凄さだと思います)
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↓これ以降はカタログが最後まで続きます。
3.諸元表/カタログ
・S2 現行スパナ
・S30 ロフィット
上段:前期型、下段:現行/後期型
・KS15 ミラーツール
・NS2 ネプロス、NS3 ネプロス アングルヘッド
・S20 薄口ロング
上段:第2世代、下段:現行/第3世代
・大型スパナ

・ニップルレンチ
上段:旧型、下段:現行
・ペダルレンチ
・絶縁スパナ
KTC-5-1/スパナS10 ⇒ KTC-5-2/スパナS100 ⇒
⇒ KTC-5-3/S10系以外のスパナ(本稿)
この回、終わり








































































