KTC 凸スパナ/S100のすべて
KTC-5-2
KTC-5-1の『KTC 凹スパナ/S10のすべて』に引き続き、凸パネルのスパナ/S100を解説します。
情報量が倍増したため、S10とS100で2分割にしました。
項目番号等は、KTC-5-1をそのまま引き継いでいます。

1.商品一覧
本稿ではS100④~⑥を解説します。
S10①~③は、KTC-5-1にて。
S10/S100を除く1960年代~現在のKTCスパナ⑦~㉗については、KTC-5-3にて。
KTC-5-1の続きで、ここからは凸スパナのS100
4)S100 JIS付き
長さ、幅、厚みなどの寸法はS10凹丸と全く同一ながら、S100として凸平行四辺形パネルも併行生産販売されていました。
コンビレンチM41のスパナ版と言った趣です。

★サイズ設定
S10よりもS100の方が多くのサイズが設定されています。
S10は設定数は少ないものの良く使うサイズ(10x12や14x17等)を揃えた一般向け、S100は余り見かけない特殊なサイズ(10x11や13x17等)も含めたより幅の広いユーザー向けになっています。
↓左側…S10、右側…S100

★鍛造型記号
凸平行四辺形パネル(S100、S150)では裏面右側に鍛造型のスパナサイズを示す製造記号が浮き出し刻印で入っています。
S/スタンダードまたはL/ロングに数字2桁の計3桁表示。
私の手持ち品から製造記号の一覧表を作ったところ、記号構成が明確になりました。
・S100スタンダードは頭"S"、S150ロングは頭"L"。
・2桁目は左スパナサイズの末番号、3桁目は右サイズの末番号。
⇒ 鍛造型記号:(例)S24…S100スタンダードの12x14mm

12x14mm以下は"やや尖り"スパナ、14x17mm以上では"尖り"スパナモデルにこの製造記号が刻印されています。
12x14mm以下にも一部に"尖り"スパナモデルの存在が確認できていますが、鍛造型記号も共通した"S1"になっていて、非主流になっているのが分かります。
後述する『★ S100/凸パネル 派生モデル』の通り、この鍛造型記号から色々なことが分かり、味わい深い製造記号です。
なお、インチサイズの鍛造型記号はどのアルファベットを使っているのかなと思ったら、S100/S150にはインチサイズが設定されていませんでした。
↓手持ち商品現物の鍛造型記号
なお、全てのKTC凸パネル(スパナ、コンビレンチ)に浮き出し刻印で鍛造型記号がモデル別に付加されています。
"x"はサイズの下一桁を示しています。
("Ux"だけはスパナ、コンビレンチの両方に存在)
鍛造型記号は製造上の理由で入れてあるのだと思います。
何の印も無くまっさらなスパナが流れてくるので、スパナ切り出しや打刻工程でいくつのサイズで加工すれば良いのか分からないのだと思います。
したがい、製造工程でのサイズ識別のために鍛造型記号が入っているのでしょう。
一方で、S10/S15も含め凹パネルの鍛造型には、初めから浮き出し刻印でサイズが入っているので、どのモデルも鍛造型記号は入っていません。

④-1 "KYOTO TOOL CO." with JIS & 尖り

・S10と同様に初期はJIS付き、後期でJIS無しに。
・"S79"はS100スタンダード17x19mm用の鍛造型を使用していることを示します。
④-2 "KYOTO TOOL" (太文字) with JIS & 尖り
④-3 "KYOTO TOOL" (太文字) with JIS & やや尖り

写真上側 ④-2
・”KYOTO TOOL(太文字)"の"尖り"。
・スタンダード17x21mmなので、"S71"。
・"U2"より、1992年6月の生産。
写真上側 ④-3
・12x14mm以下のサイズは、凸パネルでも"やや尖り"が通常。
・スタンダード12x14mmなので、"S24"。
④-4 "KYOTO TOOL" (細文字) with JIS & 尖り
④-5 "KYOTO TOOL" (細文字) with JIS & やや尖り

写真上側 ④-4
・S10の①-1, 2と同じく裏面の材質表示はNi-Cr-Vに。
・裏面左側に輸出対応のために"JAPAN"が刻印。
・スタンダード17x19mmなので、"S79"。
・"F7"より、1997年2月の生産。
写真下側 ④-5
・裏面の左端とパネル内の2カ所に"JAPAN"の刻印。
・スタンダード12x14mmなので、"S24"。
・"M5"より、1995年3月の生産。
④-5 "KYOTO TOOL" with JIS、特別な鍛造型記号

前述の通り、S10系では12x14mmよりも小さいサイズのスパナは"やや尖り"が標準ですが、12x14mm以下にも"尖り"スパナが存在します。
その鍛造型記号は、標準の"Sxx"では無く、"S1"となっています。
スパナ形状が標準とは異なるため、鍛造型にも特別の番号を与えたようです。
④-6 "KYOTO TOOL" with JIS、鍛造型記号なし

12x14mmにも標準では無い"尖り"スパナが見つかっていますが、これも"尖り"で、鍛造型記号そのものがありません。
全部で40本のS100/S150を入手していますが、鍛造型記号が無いのはこの1本だけです。
製造工程で何の記号も入っていないまっさらなスパナが流れてきて、何ミリのスパナを切れば良いのか悩むのではないかといらぬ心配をしてしまいます。
さらに、そもそも標準から外れてわざわざ"尖り"スパナ仕様を作った理由が分かりません。
5)S100 JIS無し
⑤-1 "KTC TOOL" JIS無し & 尖り

・S100にもJIS無しモデルがあります。
・製造年月記号"M1"より、1991年3月または2001年3月の生産。
・但し、会社名表示の"KTC TOOL"と材質表示の”Ni-Cr-V"より後期モデルと分かりますので、2001年3月生産の方と理解。
・スタンダード17x21mmなので、"S71"。
⑤-2 "KTC TOOL" JIS無し & やや尖り

・JIS無しS100の"やや尖り"。
・製造年月記号が"A0"ですので、1990年4月または2000年4月の生産。
・上の⑤-1と同様に、"KTC TOOL"と"Ni-Cr-V"より2000年4月生産の方と理解。
・スタンダード12x14mmなので、"S24"。
⑤-3 "KYOTO TOOL" JIS無し、カタログ未掲載
・以下の2点で他とは異なるモデルですので、一般市販では無く、特定ユーザーまたは特定販売ルート向けと推定します。
(1) カタログ未掲載のサイズで、8x9mm。
(2) "KYOTO TOOL"時代は全てJIS付きのはずですが、これはJIS無し。
・鍛造型記号は、S100方式通りで"S89"ですので、S100の派生モデルです。
・ちなみに、S100派生8x9mmサイズは、Tool Manにも設定されています。
★ S100 6本セット
・S100の最後に6本セット。(品番…S1006A)
・最もポピュラーな"KYOTO TOOL"版。
・普通は12x14mmと17x19mmの間に14x17mmが入りますが、S100には14x17mmの設定が無いので、いきなりサイズが飛びます。
・その代わりにレアな11x13mmが入っています。
・一番小さな5.5x7mmも変わったサイズです。
・ちなみに、5.5mmはJIS規格の最小サイズで、1977年に5.5x7mmの規格が追加されています。
・変わったサイズ設定のS100を物語る6本セットです。
・スパナ形状が、約束通りに12x14mmまでは"やや尖り"、17x19mm以上は"尖り"になっているのが分かります。
★ S100 派生モデル
(1) 他ブランドへの応用(同じ鍛造型)
・TOYOTA

S100の鍛造型を使用したTOYOTA車載スパナの例です。
上から、"TOYOTA"、米国向け"LEXUS"、日本向けセルシオ(無印)、最後にオリジナルのKTC S100。
全て同じ鍛造型であるS100用12x14mmの"S24"を使用しているのが分かります。
TOYOTAモデルにはKTCロゴが入っていませんが、この"Sxx"がKTC製であることの明確な印になっています。
なお、3本目のセルシオ向け(無印)だけ"JAPAN"刻印が無いことから、KTC上海工場製と推測します。
2代目セルシオの後期型(1994年~2000年)と3代目(2000年~2004年)が、KTC上海工場の稼働期間(1997年~2004年)と一致しています。
ただし、セルシオは日本専用車両であり、輸出対象では無いので、KTC日本工場製ながら敢えて"JAPAN"を刻印しなかった可能性もあります。
ちなみに、一番上の"TOYOTA"は製造記号"F6"より1996年2月生産、一番下のKTCは"M5"より1995年3月生産と分かります。
なお、2番目の米国向け"LEXUS"には製造記号が無いため、生産年は分かりませんが、実車が1989年から輸出されていますので、他の3本と同じ頃の生産と思います。

S10と同じように会社名"TOYOTA MOTOR"もあります。
”TOYOTA"モデルに較べると"TOYOTA MOTOR"は一世代古いようで、凸平行四辺形パネルの4つのコーナーが丸みを帯びています。("TOYOTA"は凸パネルがかっちり出来ています)
14mm側を30度曲げたトヨタ専用モデルもあります。(品番…09032-1C190)
エンジン前面の奥まった部分にある補機の14mmボルト用。
"TOYOTA"刻印の通常モデルと共にトヨタディーラーで部品として入手できます。(本ページで唯一の今でも新品で入手可能なモデル)
⇒ アングルスパナの詳細は、こちら

↑アメリカebayで手に入れたLEXUS。
・MAZDA

S100はマツダへも納入されていました。
サイズから考えると車載工具では無く、ディーラー整備工場向けと思います。
OEM用で表にKTC楕円ロゴが入っている珍しい例です。(普通は裏に)
裏面の"S13"より、S100の21x23mm鍛造型が使われているのが分かります。
ただし、21x23mmはS100のカタログには無いサイズですので、OEM専用に鍛造型を持っていたことになります。
・TOOL MAN

KTC廉価ブランド"TOOLMAN"への応用例です。
"S47"より、S100の14x17mmの鍛造型と分かります。
実はこれもS100カタログには無いサイズです。
JISマーク付きには製造元の製造記号付加が義務であり、この商品は"KT"。
また、"S47"よりこの商品はKTC製と分かります。。
したがい、"KT"はKTCの製造記号であることがこのTOOLMANから説明できます。
ちなみに、"TOOLMAN"は、KTCにより1977年に商標登録されていますので、販売元もKTCと分かります。
廉価版のためか、本体並びにパッケージにKTCの名称は出てきません。
⇒ TOOLMANの詳細は、こちら
↑スパナセット(販売元はハロークオリティグッズと聞かない名称になっています)
↓メガネは北陸KTC製(JISマーク右隣の"丸H"は北陸KTCの製造記号)
(2) ヤンマー(別の鍛造型)
KTCのS100と同じ形状の凸平行四辺形パネルが、ヤンマーにOEM納入されています。

ヤンマーモデルとS100は、長さや厚みなど各サイズは完全に同じです。
さらに、スパナ形状も12x14mm以下は"やや尖り"、14x17mm以上は"尖り"になっていて、S100と全く同一仕様になっています。
しかしながら、何故かS100の鍛造型"Sxx"は使用せず、記号が"Yxx"の別の鍛造型から作られています。
なお、12x14mmでは"S24"と"Y24"であり、"xx"の取り方は同じ法則です。
"Y"はヤンマー専用を指すのだと思いますが、何故わざわざヤンマー専用の鍛造型を作る必要があったのかは不明です。
ヤンマーの方が先にあって、後からS100が登場したのか??
↑ヤンマートラクターの車載スパナ、8x10~26x32mmまでケース入りの7本。
(3) 米国 FULLER(インチ専用の鍛造型)

米国FULLER向けOEMで、S100相当です。
S100にはインチモデルが無いため、直接の比較は出来ませんが、10x11mmに近い3/8"x7/16"(9.53x11.1mm)がL=126です。
それに対し、S100の10x11mmはL=123であり、近似しています。
サイズが同じで、KTCのS100と同一のモデル群と捉えて良いと思います。
ただし、"U1"というFULLER向けのインチ専用鍛造型になっています。

FULLERにはクロモリ仕様もありました。
米国ではChrome Vanadium仕様とクロモリ仕様を併売し、オーストラリアではクロモリ仕様だけを販売していました。
ブリスターパッケージとビニールケース入りの2種類がありましたが、写真はどちらもクロモリ仕様です。
なお、Fullerのスパナ形状は、大きなサイズまで全て"やや尖り"です。
↑オーストラリア向けのパッケージです。
販売会社はFULLER AUSTで、パッケージ上は日本や英国なども販売先になっています。
米国向けはパッケージの赤白青帯がはためいていますが、オーストラリア仕様ははためいていません。
KTC社史によると、FULLER向けは1961年に始まり、1980年代まで続いたとのこと。
なお、冒頭で推察の通りS10系は1964年の誕生と推察していることから、凸平行四辺形パネルはこのFULLERから始まったのかもしれません。
(Fuller 、ヤンマー、 S100の順で登場??)
(4) 米国 AWARD

S10凹と同じく、FULLERの兄弟ブランドAWARDのS100派生モデルもありました。
6)S150 ロング
1970年/No.20カタログにはS150だけは設定されておらず、S10系の中で他よりも遅れて登場しています。
また、このS150は1996年/No.29まで掲載されたものの、次のカタログである1998年/No.30からは姿を消しています、
したがい、1997年前後に廃盤になったものと思います。
ちなみに、S150以外は、2001年/No.32のカタログまで継続掲載されてから翌年2002年に第3世代S20に切り替わります。
S150は、遅れて登場し、早めに姿を消したモデルです。
ちなみに、S15凹ロングと同様に、S150凸ロングにはOEM等の派生モデルは無く、KTCモデルだけです。
⑥-1 "KYOTO TOOL" with 卵形尖り

・スパナ形状が他のS10系(S10、S100、S15)とは異なります。
・"尖り”を横に広くして、"卵型尖り"と言った形状に。
・初期の二重丸京を彷彿とさせます。
・カタログで各サイズの横幅を確認すると全サイズで他よりも横幅が広くなっていますので、"卵型尖り"はS150の全サイズに共通していると理解。
・ロング11x13mmなので、"L13"
⑥-2 "KYOTO TOOL" with 卵形尖り、Ni-Cr-V、JAPAN

・最小設定サイズの6x7mm。
・スパナ形状は、極小ながらしっかりと"卵形尖り"。
・材質表示のNi-Cr-Vと、JAPAN刻印。
・"E5"より、1995年12月の生産。
・S150は他のS10系よりも早めに廃盤になっていますので、1995年製はS150最終期のモデルと推測。
・ロング6x7mmなので、"L67"。
⑥-3 "KYOTO TOOL" with 尖り

・大きいサイズのS150は、"尖り"スパナ。(24x27mmも同じ)
・スペック表を見ると、一番大きな2つ(22x24と24x27)はスパナ幅が他のS10系と同じですので、S150特有の"卵形尖り"は17x19mmまでの模様。
・ロング22x24mmなので、"L24"。
⑥-4 "KYOTO TOOL CO." with 卵形尖りスパナ、カタログ未掲載

・カタログでは設定されていない14x17mm。
・S100を見ると分かる様に、KTCにはカタログに無いサイズのOEM向けが多くあります。
・ただし、カタログに無いサイズをKTC自身のモデルとして生産しているのは非常に珍しいこと。(既出の⑤-3と、このモデルだけ)
・KTCに確認したところ、このサイズのS150は生産記録が残っていないとのこと。
・会社名表示が一番古い"KYOTO TOOL CO."であることから、初期(または正式発売前)に特定の目的で限定生産されたモデルのようです。
・薄汚れてはいますが、貴重品です。
・製造記号はちゃんと"L47"になっていますので、カタログモデルではなかったとしても、S150ロングで14x17mmの鍛造型は存在。
・スパナヘッドの形状は、他のS150と同じで、独特の"卵形尖り"。
★ S150 6本セット
・S150の6本セット(品番S1506)。
・S150自体があまり市場に出回らなかった様なので、6本セットがなかなか見つからず、手に入れるのに1年掛かりました。
・S150は元々7サイズしか設定されていない中から、一番大きな24x27mmを除いた6本のセットです。
・大きいサイズ(~17x19)のスパナは尖り、小さいサイズ(12x14~)は卵型尖りなのが分かります。
・会社名表示は一番古い"KYOTO TOOL CO."であり、初期の製品と思います。
★ロング同士の比較(S150とS15)

同じロング12x14mmのS150凸とS15凹を比較します。
(1) S150はS15よりも短い。(12x14…S15:L=167、S150:L=159)
(2) 前述の通り、17x19mm以下のS150は、スパナ形状が他のS10系と異なる。
下の写真は、10mmのスパナ部で、S150(右端)は"尖り"ながら横幅が広く"卵形尖り"になっていて、S15のどちらとも異なるのが分かります。
なお、ロング(S15、S150)はKTC自身の商品だけで、OEM供給や類似派生モデルは見つかっていません。(緑背景で写真が撮れるS15とS150を探しています)

★4モデル比較
S10系4モデルの諸元を比較します。
4モデルでサイズが一致するのは意外にも2サイズしかなく、12x14、17x19での比較になります。
『S150は他と雰囲気が異なる』と最初からなんとなく感じていましたが、カタログの数値にその差がはっきりと現れていました。
S15に対してS150は短くてスパナ横幅が広いのが分かります。
S150は、他のS10系よりも遅く登場していることもあり、生まれが異なるのかも知れません。
なお、長さと重さを除くとS10、S15、S100の3種は全く同一です。
重さの差は、凹と凸パネルの鋼材量の差です。(凸が凹より20~25%重い)

再度4モデルの揃い踏み。
上の一覧表の通り、4モデルに共通するサイズは2つしか無く、4本が同じサイズで揃っている貴重なショットです。
さらに、会社名表示"KYOTO TOOL"(太文字)で揃えました。

★スパナホルダー
モデル毎に色分けされています。
・赤…凹パネル用(S10、S15)
・緑…凹インチ用(SB10、SB15)
・ピンクメタ…凸パネル用(S100、S150)

4.製造記号から分かること
S10/S15に登場する製造記号は2種類あります。
・現在も使用中の製造年月示す2桁(アルファベット1文字+数字1桁)
・古い製造記号の数字2桁(内容が非公開のため何を示しているか不明)
手持ちのS10/S15(凹丸パネル)85本の製造記号から以下を調べて見ました。
1) 各バリエーションの製造順番と製造年
2) 古い製造記号(数字2桁)の意味
※現在も使用中の製造年月記号は、読み方が公開されていますので、本項の最後に一覧表を掲載。
★調査結果
=表の見方=
・1991/4・A1 ⇒ 刻印"A1"より1991年4月生産
・ 枠 ⇒ "JAPAN"刻印有り(1992年~95年に有り無しが混在)

★調査結果から分かること
(1) 現行の製造年月記号は、少なくとも1991年には使用が開始されている。
(2) JIS付きは少なくとも1993年2月まで生産され、一方でJIS無しは少なくとも1992年9月には生産が始まっている。(1992年から1993年に掛けてJIS無しに切替え)
(3) そして、1995年から再びJIS無しに戻る。
(4) S10は、少なくとも2001年4月までは生産。(2002年後半に第3世代に切り替え)
(5) 最終生産モデルは、"KTC TOOL"のJIS無し。
(6) 会社名表示4種の製造順番と時期
1st…KYOTO TOOL CO.…1990年以前のみ(1964年~恐らく1980年代)
2nd…KYOTO TOOL(太文字)…1990年以前~1995年頃
3rd…KYOTO TOOL (細文字)…1991年~1999年頃
4th…KTC TOOL …1999年~2001年
(6) 古い製造記号の使用は1990年頃まで。
※但し、1990年以降の後期モデルになる"KYOYO TOOL”(細文字)と"KTC TOOL”にぽつんと古い製造記号である"21"と"69"が登場していて、解釈に悩みます。
【2023年11月26日 追記】
古い製造記号は、鍛造型の通し管理番号と判明。(調査結果より1から94まで綺麗に並んでいるのが分かります)
記録が残っていないため、残念ながら管理番号から製造年月を特定することは出来ないとのこと。
1991年から現行の製造記号に順次切り変わっていきます。
(7) 調査結果からの生産地推測
"JAPAN"刻印の有り無しは1992年~1995年モデルに混在しています。
しかしながら、この"JAPAN"刻印表示が1995年頃から姿を消します。
なお、『KTCスパナのすべて後編』に登場する第3世代スパナS20には"JAPAN"刻印が無く、中国製であることが分かっています。
つまり、第3世代S20に先行する形でS10系も海外生産に移行したのでは無いかと推察しています。
一方で、KTCの海外工場であった中国上海工場は、1997年1月に稼働開始されていて、S10からJIS表示が消えたのと同じ時期です。
社史『KTC50年のあゆみ』では『一般市販スパナの38アイテムを途中工程まで上海工場で生産し半完成品として日本へ輸出』と説明されています。
しかしながら、一部の工程だけでも日本で製造されれば法令上は日本製と称して良いことになっているはずです。
したがい、日本で製造の後工程を行えば"JAPAN"を刻印できると理解しています。
しかしながら、S10最終期モデルには"JAPAN"が無いことから、S10は完成品の状態までKTC上海工場が製造したのではないかと推測しています。
例えば、商品解説『②-2』がJIS無しのS10で、製造記号"A7"より1997年4月生産であり、上海工場が稼働を始めて数ヶ月後の生産です。
↓②-2、KTC上海工場製と推測
ちなみに、2004年にKTC上海工場は閉鎖していますので、第3世代S20はKTCでは無い別の中国工場での生産となります。
1995年からJAPANが消えたことよりも、1992年までJAPANが無かったことの方が不思議です。
日本製で輸出される商品には法令で"JAPAN"の表示が義務づけられていて、一般的に1960年代からJAPAN刻印が登場しています。
しかしながら、KTCはコンビレンチも含めて長くJAPAN無しのままでした。
1960年~1980年代にFULLERやSEARS向けに本格的な輸出を行っていますが、KTCブランドは輸出しないという契約があったのかもしれません。
ちなみに、S10相当のTOYOTA向けは1960年代からJAPANが入っています。
★現在も使用中の製造年月記号
現行の製造年月記号については、2022年7月15日付けのFactory Gear TVでKTCの商品開発部長が読み方を公にしています。
製造年の末一桁と製造月のアルファベットイニシャルの2文字を10年毎に前後を交換して20年間を示しています。("G7"の10年後は"7G"、さらに10年後に再び"G7")
一覧表は1995年からになっていますが、M41を見る限りでは1990年頃から製造年月記号を採用しているようです。
【2023年11月26日 追記】
現行の製造記号の採用は1991年とのこと。
一覧表内で1996年~2005年が『数字+アルファベット』の順になっていますが、実際の製品に刻印されている製造記号を見ると。この期間も前後と同じく『アルファベット+数字』の順になっています。
したがい、10年毎にアルファベットと数字の順が入れ替わるのは2016年からであり、この表の1996年~2005年は『アルファベット+数字』に読み替える必要があります。
つまり、1991年に始まった現行の製造記号は、2015年までは全てが『アルファベット+数字』です。
【2024年10月9日 追記】
★修正した製造年号表(上記を訂正し開始年を1991年に)
5.カタログの変遷
★1970年/No.20
私が手に入れた中ではS10系が掲載されている一番古いカタログです。
S150凸はまだ設定されていません。
ちなみに、下に掲載の1960年/No.8カタログにはまだ二重丸京スパナが載っています。
冒頭で推測の通り、S10は1964年前後に生産が始まったと考えています。


【参考】1960年/No.8(二重丸京)
時代が遡りますが、S10に切り替わる直前、1960年の二重丸京カタログです。
KTCは1952年にJIS認証を受けていますので、当然ながらJISマーク付きです。
JISマークの横にある"1977"は、西暦と間違えそうですが、JIS認証番号です。
二重丸京とS10は、見た目は全く同一です。
長さが微妙に異なるサイズもありますが、二重丸京からS10へ同じ製品として継承されたと言って良いと思います。
凹丸パネルだけが設定されていて、S10相当のスタンダードだけでなく、S15相当のロングもあります。
インチ品番CS/CLに対し、ミリサイズ品番は"M"を追加してMCS/MCL。
なお、"T9"と"T3"が一覧表内に多く出てきますが、これは6本セットの品番です。


★1977年/No.17
S150が登場します。
さらに、1970年/No.12に対し以下のサイズが追加されます。
*S10…26x32、32x36、41x48
*S100…5.5x7、6x8、7x8、10x11、10x13、10x14、13x17、17x21、19x22、26x32、27x30

★1983年/No.20
1977年/No.17に対し以下が追加。
*S100…10x11、32x36、41x46
*S15…7x8

★1989年/No.26
1983年/No.20に対し1点だけ、S15の11x13mmが追加。

★2001年/No.32
S10系としての最終カタログとなり、翌年2002年に第3世代へ切り替わります。
S150は掲載されておらず、他よりも先に廃番になっています。
(1998年/No.30とNo.32の間で廃番)
1989年/No.26に対して以下が増減。
*S10…1点追加/8x10
*S15…5点追加/6x7、7x8、8x10、13x15、22x24、24x27
*S100…1点削除/25x28
長さ表示が5mm単位でまるめられています。(実物の長さは変化無く同じです)
*例:8x9…S10:L=112 ⇒ L=110

★第3世代 S2(現行)
そして、2002年後半に現行モデルのS2に移行します。
S2も既に20年の歴史がありますが、驚くことにバリエーションが全くありません。
企業としては正しい判断だと思いますが、コレクターとしては残念です。
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この回、終わり
KTCスパナ全5編それぞれのページには、こちらから
全5編:一重丸京、二重丸京、S10、S100(本稿)、S10系以外















