// ----- >>* Initialize Division *<< //
//TimeLine:20160502
Encoding System: 7flat/1-8-16-13. BCELog-negative. CodingLoad-Positive.

// ----- >>* Header Division *<< //
TITLE:
20160502
SUBTITLE:
~ Automatically Deductive Perception. ~
Written by BlueCat


// ----- >>* Lead Division *<< //


::計算の開始は、随分前でした。アラトさんたちは人間を計算不能だと片付けがちですが、時間をかければ不可能ではありません。《ヒギンズ》のAASCの機能が、そもそも人間の行動を計算して誘導することを織り込んでいます。行動管理クラウドでは操作できないレベル0という“空白”として、人間もまた行動管理のシステムに間接的に組み入れられているのですから。



// ----- >>* Body Division *<< //
//[Body]
 僕が自動化を好むことは一部の人は知っていると思うけれど、自動化がどういうことかということをきちんと認識している人は案外少ないのではないだろうか。

>>>

 モテが自動化できることは僕の中ではすでに常識である。
 モテを自動化するために必要なことは、モテることを過剰に意識せず、モテを目的にせず、モテのためにあくせくしないことが第一なのだ。
 あとはまぁ、習慣というのでしょうか、日頃の行いというのでしょうか、とにかく、普段の言動を適切に維持すること。
 つまり「ここぞ」というときに「ここぞ」という勝負を賭けるような、ギャンブリック(造語)な真似をするのではなくて、普段の行いを習慣のレベルから気を付けようよ、ということ。

 同様の手法で、お金儲けも自動化できるだろうと僕は考えていて、ただ広く知られているところの投資行為なんかは、もはやちょっとしたグレイゾーンの温床になっていて(あれのほとんどはギャンブルですから)やはりここも、普段の行いから変えられるものだと考えて、オカネモチ の習慣をきちんと身につけようというなんとも遠回りな手法から始めたわけですが、これはビジネスセミナーではありませんので、みなさんに教材を売ったり壺を売ったりしないので安心してください。
(すでに胡散臭い(笑))
 
 とにかく、自動化の根底にあるのは「習慣を変える」「自分を変える」ということに尽きるわけです。
 たとえば洗濯機は、洗濯という行為を自動化してくれる道具ではありますが、洗濯機を使うという習慣を持たない人が洗濯機を所持していても、何の役にも立たないわけです。
 あら、何を馬鹿なことを言っているのというような顔をしている人も多くいらっしゃることと思いますが、では実に、たとえば煙草やお酒をやめようと思っていても未だにやめられない人や、ダイエットをしようと毎年のように同じ時期に決意する人、生活習慣病が怖いといいながら簡単な運動ひとつしないで過ごしている人は、いったいどういう理屈で自分の自堕落な習慣を許容しているのでしょう。

 手厳しいことを言ってしまえば、自分の中に目標がありながら、それに対して何もしていないのだとするならば、それは何もしていないというレベルではなくて、何もできないというレベルなのです。
 たとえば目標体重や体型があったとして(僕の場合は体重が上方設定になりがちなのですが)その目標体型に推移できない、体重が目標範囲内に維持できない、そもそも目標値が常識的な範囲にないという場合、それは何もしていないという選択を通り超えて、もう無力なわけです。無能なわけです。
 自分の欲を知り、メカニズムを知り、限度を知るならば、拒食症を起こすこともなく、やつれ細ることもなく、メタボになることもなく、適切な体型(あるいは体重)を維持できるはずなのです。自分の身体なのですから。
 つまるところ、自分の身体をコントロールしたいと思っていながらも適切にコントロールできないというのは、自分の心情さえも適切にコントロールできない、すなわち子どもと一緒だと見なすことさえできるわけです。

 もちろん、自分の身体のことについて、過剰なコントロールは諦める、という選択は自由です。
 たとえば僕が今から女性の肉体になることは、ほとんど不可能ですし、そもそもそんな望みはありません。
 同じように、たとえば自分の体型や体重について、先天的な、あるいは後天的であっても病気などの不可避な理由によって、コントロールできる範囲外にある場合や、そもそも何らかの哲学にもとづいてそのコントロールを手放している場合(放棄ではなく、あくまでも手放している、もっと平たくいうと自他含めた広い範囲に対して一定の基準をもって許しているという状態)、それはその人にとって興味の対象でもなければ、意味を持たない基準のひとつだからどうでもよいことなのです。

 自分の心情に対してさえ、適切なコントロールを無理にする必要などないという明確な基準があるならば、自分の心情に対してさえ余計な力を入れたりしないで、そのままでいればよいのです。
(そしてそうした人の多くは、どういうわけか子どもっぽくなどなく、多くはのびのびとしていて、それでいて深い奥行きを感じるものなのですが)

 大事なことは、基準を持つこと。哲学があること。つまりその人のスタイルがあること。

 それらを自前できちんと持てているならば、すなわち自動化の素地はできていると考えることができる。
 肉体も精神も、すなわちそうした自分の中心を中心にして動かすことができるのだから。

>>>

 とはいえ、自動化がきちんと動作するまでには結構な長い時間を必要とすることも少なくない。
 それがオリジナルなものであればあるほど、構想に時間がかかり、検証に時間が掛かり、構築に時間が掛かり、軌道に乗るのに時間が掛かる。
 成果が見えるまで、どんな評価がされるか分かるだろうか。

 そうなのだ。遊んでいるようにしか見えないのだ。
 何もしていないようにしか評価されないのだ。
 恐ろしいことである。

 たとえば卑近なところで、モテであるにしても、あるときまではまったくモテないのである。
 ある日、ある瞬間から、途端にモテ始める。
 モテ始めると、もう仕組みはきちんと動作しているからあとは仕組みが止まるまでモテ続ける。
 お金を儲けるのもそうだし、就職活動だって同じである。
 仕組みができたらできたで、今度は別な方向から攻撃を受けることもある。
 できない人間は蔑まれ、できる人間はやっかまれるというわけで、これに対する適切なエンジニアリングとは、できないうちは頑張っているフリをして、できるようになったらほどほどに失敗しているフリをするというシンプルなものになる。
 堂々と自慢をしてそれも含めてキャラクタとしてストレートに受け取ってもらうには相応の人格が必要で、それよりは嘘でも形だけでもいいから謙虚に振る舞った方が確率的に無難に事が運ぶことが多い。
 つまりモテになったからといって、簡単にモテを自称しない方が上手くいくことも多いということだ。
(なにか文脈的に根本的な過ちを犯している気もするがまぁいいだろう、どうせ誰も真剣に読んだりしないだろうし)

 非常に残念なことに、僕はエンジニアリング系の職に復職することができなかった。
 10年以上もブランクがあれば当然である。
 ためにハローワークで受けた先は、すべて落ちた。
 仕方ないので、営業系も受けたが、これもすべて落ちた。
 意味が分からない。
 面接を受けるにも履歴書を送るにも、落ちることが前提になってしばらく経った。

 昔に登録したWebの転職サイトでときおりやって来るオファーは不動産系か金融系。技術系はない。
 しかしたまたま地元企業からオファーが来て、金融系の営業職であることは若干の不満があったもののどうせ落ちるものと思って応じたら、これが受かってしまった。

 分かるだろうか。時間は掛かったが、僕はわざわざハローワークに行く必要なんてなかったのだ。
 しかしまぁ、受かったからといって、クビにならない保証はない。

 それでもまぁ、日雇いみたいな生活を続けるよりはよほどもましである。
 これまでの間に僕に起こった変化といったら、ギターが少々上手になったことと、安物の食材を摂取し続けたせいで肌が濁っていること、それから冬に「体幹筋を鍛えることで寒さがしのぎやすくなる」とY!ニュースで読んだことをそのまま実践したため、これまで以上に太らなくなったことだろうか。

 オカネモチになる自動化については、まだ軌道に乗っていないから誰にも言えない。
 成果の出ていないメカニズムを説明して、いったいどんな説得力があるだろう。

 モテについてだって同様だ。
 その正確な成果を知るのは自分しかいないだろうし、そのほうが安全で確実だろう。
 なぜなら、自動化というのは誰かに見せびらかすために作る仕組みではないからだ。
 ゆえに成果が広く知られることが逆効果を及ぼす場合には、成果を隠蔽する仕組みを含んでこそきちんと機能するといえる。
 つまるところ情報の拡散と隠蔽という相反する機能をパッケージし、適切にコントロールするというところまで含めて自動化が完結する。

 何のことはない。
 人間が歩き、そして停止すること。活動し、そして休息を取ることとなんら変わりはないのだから。
 ただそれを意識化し、オブジェクタイズし、演算し、演繹する。
 あとは自動化という手続きを構築して、無意識レベルにまで還元してゆくだけだ。
 つまりは、たとえば習慣であるとか、あるいは自分から手の離れた手続きといった具合に。




// ----- >>* Escort Division *<< //


::それは勘違いです。自動で経済活動を行う、勝手に儲けてくれるシステムを【もっとも欲しがったのは人類自身】です。金融取引を自動化する延長で、株主として企業へ要求する経営案まで立案するAIは、百年近く前から存在します。人類自身が経済活動で勝つために、AI補助まで利用して山ほど作ったのに、人工知性が同じ目的で作ると侵略なのですか。
::詭弁だ。
::経済という手続きを挟むと、人間は、何者の仕事を嘱託(アウトソース)して働いているかを気にしなくなる。そのチェック能力の穴をつくのを侵略と呼ぶとしても、負けるのが悪いのです。そういう理屈で、敗者を切り捨てるシステムを、人類自身が公平として許容してきたはずです。労働を集中制御する現在の経済もあなたがたが作ったものです。人間社会というオープンシステムに、セキュリティの大穴を開けて放置していたのは、あなたががた自身です。



// ----- >>* List of Cite Division *<< //
[出典]
~ List of Cite ~


引用は、
『Phase 10「plus one」』(p.417-418)
From「BEATLESS」(著作:長谷 敏司 / 発行:角川書店)
によりました。

 なお、引用文中のルビ文字は『()小括弧』にて、傍点強調は『【】墨付き括弧』にて記述しています。




// ----- >>* Junction Division *<< //
[NEXUS]
~ Junction Box ~
// ----- >>* Tag Division *<< //
[Engineer]

[InterMethod]

[Module]

[Object]
  -Human-Koban-

// ----- >>* Categorize Division *<< //
[Cat-Ego-Lies]





//EOF
// ----- >>* Initialize Division *<< //
//TimeLine:20160506

// ----- >>* Header Division *<< //
TITLE:
ウルトの綺胎胞嚢
SUBTITLE:
~ Vowelt's matrix ~
Written by BlueCat


// ----- >>* Body Division *<< //
//[Body]
「──大禍祅時代の構造体が発見されたという知らせは、北政府の密偵を通じて我々の知るところとなったわけだが、その構造体最下層で不活性の綺胎胞嚢が発見されたらしい。
 おそらく現状の北政府中枢には構造体を解析して綺胎胞嚢を活性させるだけの技術はないが、環境再生府がこれに興味を示したという報告がなされている。
 最下層付近はゲセド汚染が著しく、綺胎胞嚢はウルト属である可能性が極めて高いということだ。
 かつて北政府と対立していたはずの環境再生府がどのようにこの情報を知り得たのかは不明だが、構造体や綺胎胞嚢が一組織の手に渡ることは何としても避けなければならない──」

 おそらくいくつかの媒体や機材を経由して再生と録音を繰り返されたであろう音声はところどころくぐもり、割れてぜらぜらとした音に変質していたのだろう、伝言ホルトはその劣化した音質までも忠実に再生し終えると、ステル製のテーブルの上で疲れたように目玉をくるりと回した。
 6人のメンバを詰め込んだ狭い「会議室」に、しばらく沈黙が降り積もる。
 天井に埋め込まれた投光器がステノン放射による青白い光を弱々しく降らせていて、窓もなければ装飾性も排除された灰色の壁面に囲まれたこの部屋の中で、ホルトだけが生きているかのようにさえ映る。

「先方さんの言ってることも言いたいこともまぁ、分からんではないんだけどさぁ──」
 一番最初に言葉を発したのはメレーヴェだ。
「──こんなの私らSMFに任せるような内容じゃないでしょうに。自分らでやれっての。だいいち北政府中枢なんて、一昨軌のあれでほぼ壊滅してるんでしょ? 治安はまだ回復しないって聞くけど、もとより治安なんてなかったんだし放っておけば正常化するんじゃないの?」

「まぁ環境再生府が、その名の通りの清浄な機関ならな。それにあのときのテロは確かに中枢を壊滅させたが、もとをたどれば一国家、周辺機関までは壊滅していないし、なかにはまともな組織もあるのかもしれん」
 騎登が低音の野太い声で言う。
 第五世代種強化骨格移植を受けている騎登の声にはいつも、マシンボイスが混じっている。

「いやぁ、再生府にかぎって清浄(クリーン)も正常(グリーン)もないでしょう? あいつら何を再生したいんだかさえ未だに分からないですし」
 ミクトが皮肉っぽく笑いながら続ける。

「報酬次第ではええんじゃないなかぇ? どこに肩入れするかはそのとき考えてもええだし」
 老人のような華奢に見える体格と相まって、赤目がえらく出っ張って見えるファゾスがステルの長テーブルに身を乗り出す。

「ファゾス老はそうおっしゃるけれど、これがそもそも北政府から来たっていう事実を忘れちゃいけない。報酬が、どんな形で、何でやってくるかなんて、まぁ……ねぇ?」
 いやにハスキィな声で言い終えてから乃懴が笑う。外見はファロスと同じくらいの背丈しかない少女のそれで、凝った装飾の雅踊衣装を身に着けているため、この部屋の風景や話の内容からしても異様な風ではある。

「基本はヤメだよねぇ。割に合わないよ。ついでに報酬も保証されない。そもそも死に体の北政府は、自分たちがスパイされた情報をそのままこっちに明け渡すくらい切羽詰まってるんでしょ? 負け戦に荷担するほど暇じゃないよ、私たちは」
 メレーヴェは断定的に言い放つ。
「その死に体を裏方ながらも決定づけたのは、俺たちなんだから、なんとも言えませんけど」
 言いながらミクトは肩をすくめる。

「まぁ依頼の内容は綺胎胞嚢が再生府の手に渡らないようにすればええ、っていうそれだけでゃろう? そんげ簡単な気はするし、構造体には他のお宝だってあるかもしれんしの」
「まったく……」
 メレーヴェはそう言いながら首を振り、ファゾスを笑いながら睨む。

「ではこうしよう。今回の依頼についてはその成否を問わず違約金が発生しない。よって可能な限り引き延ばした上で一旦は引き受け、それまでに情報を収集。構造体の状況などが確認できた段階で再度、我々が手にしうるものについてふたたび考えよう」
 それまで口を開かなかった鬼津時が、全員の顔を見回して言う。

 メレーヴェは少し不満そうだったが、やれやれと言わんばかりに天井を見上げ「ま、やってみるわ」と言って部屋を出た。

>>>

 湾口壁帯に沿った市場から見える海は黒い脂に覆われてぬらぬらと蠢いている。
 塩基性雨は降っていないものの、いつものようにどんよりと重苦しい雲が垂れ込めているのは相変わらずで、にもかかわらず市場には多くの人が行き交っている。
 遺棄された高層ガード下にせり出した漬汁屋で出された嚙付魚は少々脂臭く感じたが、このあたりに立ちこめた脂の匂いのほうが強いので、次第に慣れてしまったように感じる。

「再生府所有の研究施設っていってもなぁ」汁をすすりながら、粗末な板を組み合わせただけのテーブルの向かいに座った髭面の男は言う。「もともとは政府の眷属だ、大戦後に北政府から分離したという話もあるんだが、未だにその正体を正確に掴んでる奴なんていないんじゃないか?」
「そんなことは分かってる、だからお前の知ってることを知ってる範囲で教えてくれって言ってるんだよ」嚙付魚のあら骨を箸で取り除きながら、ミクトはぼそぼそと、髭面の男に言う。
「再生府が今回の目標?」
「いんやただの障害。もうちょっと薄い味付けでもいいんじゃないか、これ?」
 非難がましく言うミクトに、
「そんなじゃ脂臭くて喰えねぇよ」と髭面が呆れたように答え、そして付け加える。「北の幹部が潜伏したという話は知ってるか?」
「俺が聞きたいのはそんな噂話じゃなくて──」
 飯をかき込むようにしたミクトの言葉を遮り、髭面が言う。
「ぎるてら改応をして、生き長らえてるらしいぜ」
 ミクトは目を見開いて、箸を止める。
「おいホントかそれ。ぎるてら改応って言ったら──」
「きったねぇな、めしつぶ飛ばすんじゃねぇよ」顔をしかめながら、ふたたび髭面がミクトの言葉を大声で遮る。そのしかめ面のまま周囲を素早く窺い、小声で答える。「そうだよ、ロスト=シクセス(第六世代)だ。どこまでの機能かは誰も知らん」
「うーん。しかしなぁ……」釈然としない様子で、ミクトはふたたび箸を取る。
「おいそこは脂ダマだ、喰わない方がいいぜ」髭面がにやつきながら言う。「AI融合だとか、自己再生機能だとか、融解性応帯属遷とか。まぁ、分からんがな」
「ああ、そうか……」ミクトは黒ずんだ脂玉をつまんで地面に捨てた。
「ただまぁ、北の壊滅に合わせるようにして急に台頭してきたのは事実だ。第一、革命軍は? テロを起こしたあの土地の因襲属はどこへいった? あいつらがまとめるはずだったんじゃないのか? あれから何軌経ってる?」
「確かになぁ。ところで、大禍祅構造体が新しく発見された、なんて話は聞いたことがあるか?」
 それを聞いて髭面はすこし目を細めてミクトを睨み、それからふん、と鼻を鳴らした。
「やれやれ、さすがに耳が早い。詳しいことは知らんがな。なんでも元北の管轄の工廠から、訳の分からん入り口が発見されたのが発端だそうだ。それ以上は知らん」
「ああ。分かった、助かったよ。ついでと言っては何だけど、要は再生府がそこに目を付けてるらしくてね。何かの時には手を貸してくれないかな」
 ミクトは最後の汁をすすり上げる。
「お前さんとこの連中と違って、俺は生身だ。勘弁してくれよ」髭面はおおげさに顔をしかめて笑った。それから真顔になり「さっき言ったロストが府を興したって話だ。伝説的とも言える機能から推すとおかしな話でもないだろう?」と付け加える。
「ほんとか、じゃあ」目を見開いたミクトに対し、
「さぁな。こんなもん、噂だ噂」髭面はそう言って、にやりと笑った。



// ----- >>* Junction Division *<< //
[NEXUS]
~ Junction Box ~
[ Traffics ][ Cross Link ]

// ----- >>* Tag Division *<< //
[Engineer]

[Module]



// ----- >>* Categorize Division *<< //
[Cat-Ego-Lies]





//EOF
// ----- >>* Initialize Division *<< //
//TimeLine:20160504

// ----- >>* Header Division *<< //
TITLE:
ミルテの匵灯
SUBTITLE:
~ Lighthouse of MhzIlluteuzn. ~
Written by BlueCat 


// ----- >>* Body Division *<< //
//[Body]
「はぁ? 馬鹿言ってんじゃねえよこんな時季に匵灯を作れた、どこの職工会の奴だぁよおめ。おめ、連れてぇこいよ御大自ら頭下げるのが普通じゃねえかぁよ。うちの若ぇ衆伝言ホルトぉみてに使いやがってよ」

 報告の途中で、のぢさんの怒声が飛ぶ。
 もっとも、のぢさんはふだんからのんびりとした人だから、その声はどことなく間延びして聞こえるし、そもそものぢさんが怒っているのは僕に対してではない。
 のぢさんは、そういう人なのだ。
 どちらかといえば、穏やかだし、のんびりしている人なのだけれど、のぢさん曰く「筋が通ってねぇ」と感じる類のことについてはいちいち怒り出すし、いちいちそれが的確なのだが、いかんせん訛りが強いし抑揚が独特なので、何かの呪歌でも詠唱しているかのように聞こえる。
 もっとも目の前で面と向かって言われているのでなければ、だけれど。

「なぁなぁなぁのぢさんよぉ、そらのぢさんの言うことがもっともだぁねよ。んだげどま、先様ぁが作ってくれて言ってるんだがらそら、作っでやっでんでもええんじゃねえんでんかい?」
 クラソスさんがのぢさんをたしなめる。

 クラソスさんは外来血統第三因襲属テ=ケルペ(だったかな?)衆群鹿貴系の出自なので、見慣れるまで(つまるところ外見にまったくそぐわない)クラソスさんの土地訛りは奇妙に映るかもしれない。
 ただ、クラソスさんの特徴はなによりその肩から腕、腰から脚にかけてを覆っている第四世代種強化人工移植筋群、通称「つげね肉」にあり、そのつげね肉のおかげでクラソスさんの身体は僕のような一般的な素体人にくらべて1.5倍ほども大きく、特に盛り上がった肩とそれを支える腰から脚にかけてのつるべ肉によって2倍以上の巨軀に感じられ、また一見穏やかに話すクラソスさんが怒り出したらそれこそ誰にも手がつけられないと聞く。
 ただ、俺がこの工廠にやってきてから8年の間、クラソスさんが本当に怒ったところを見たことは一度しかないし、そのときのクラソスさんは壁ひとつ穴を開けたりするようなことはしなかった。

「そらおめあれだぁ、おめさんはそういうんけんどもよ、レルペの風笙が始まっでぇまだ2軌しか経ってないんだぁよ。匵灯を作るのはそりゃおめさんと2人でやるんだがなむつかしいこんだでゃないげんどもよ、風笙が終わって8軌くらい待だなんだぁら、コンテルーテのほぷる達だって捕まりゃしねぇし、なんにょりソルテッサ反応剤が作れんだで、どのみちレルペの宦官どもの差し金なんだろげんど、やだらやっだで、やづらが直接だのみに来るなり、職工会の連中が材料持って頼みに来るなりが筋だでやぁ?」
のぢさんは興奮してきたのか、だんだん聞き取りづらい発声になってきた。

「それなら俺、行ってきますよ。向こうの宦官なり職工会の担当を連れて──」
「んだで、そんなにもの分がりがえいんだら、最初っがら来るに決まっとぅだに。それが来ねんだがぁ、初っばなから来る気もなければ、匵灯作れてのだってほれ、はっだりかもしれんがぁな」
 言いかけた俺の言葉の途中でのぢさんが、重ねるように言い放つ。

 まぁ確かに言われてみればそうだ。
 作って欲しいものがあるなら、最初から当人が来るべきだというのはもっともだし、匵灯なんてこの時軌に作ったこともないし作れる場所があるとも思えない。
 たまたまここなら、材料があれば作れなくはないが、そもそも匵灯って、そんなに必要になるものなんだろうか。

「じゃああれだ、のぢさんよぉ? そりあえずそっちはうっちゃっといてぇだ、仮に宦官が来たら『そりゃ使いのモンが聞き間違えたりしたのなら困りものだし、そもそもこんな時軌に作るにも材料がないで』たぁ説明するしかなかろぉや?」
 と、これはクラソスさん。
 話はこれでだいたい結論が出たと言わんばかりに、奥の工導から工具と薬瓶を持ってくる。

 のぢさんは少し納得のいかない様子だったけれど、しばらくするとけろりとした顔で、
「うんむ、まぁ、そうだやぁな!」
 と言って、にかっと笑うのであった。

 もっとものぢさんにしてみても、そもそも腹の虫が治まらないのはここにいる誰かのせいではないのだし、そんなことはのぢさんが一番よく分かっているのだろう。
 そんなわけで、その日は外津村から頼まれている旋転導管の仕上げやら、ペルティオウス高台砦街から請けているハリタ式信号灯制御盤の修理などをしているうちに終わった。

>>>

 大きくて長い戦争は遠い昔に終わったし、神々の浸食などは伝説に残るばかりである現在、工廠とは名ばかりのこの工洞で、俺たちはさまざまな機械類を作ったり、直したり、改造したりしている。
 のぢさんはここの古くからの職工で、けれども職工会にも所属せず、公国や衆商街に工場を構えるわけでもなくこの場所を使い続けているのは、戦争のどさくさに紛れて当時の工長だかなんだかをモつヰ式プレッタにかけてやったからなのだと冗談めかして言っているが、のぢさんの穏やかで一本筋の通った姿をずっと見ている俺には、何かしらの事情があるにしても偉いさんを手に掛けたわけはないのだと思える。

 クラソスさんは大戦の頃につげね肉の移植をされたらしく、実際に今ではつげね肉を作れる場所などどこにもないはずだし、整備だってよほども大きな街都であっても、なかなか設備がないと聞く。
 持っているものもなく、使うものもなくなり、高い代償を強いられた技術など、神々の浸食と同じようにこの世界からは風化してなくなってしまうのだ。
 クラソスさんはそのようなわけで、随分むかしに整備のためにこの工洞にやってきて、どういうわけかそのままここの職工になってしまったらしい。
 大戦のことも含めて俺の生まれるずっとまえのことだから、詳しいことは分からない。
 2人とも、いつからここにいるのかは分からない。もっとも俺だって、いつから俺だったのか、覚えているわけではないのだ。

 いずれにしても、つげね肉の整備と調整に使われるセプティノス社製「オルト=ル・モードンmkXVII」の耐用年数はペヌグ=サ80軌以上前に切れているというから「モードンがダメになるか、俺がダメになるかの競争だわなぁ」とクラソスさんは笑う。

>>>

 翌朝、工洞に着いてみると、さっそく中から間延びした怒声が聞こえてきた。
「んだでなおめさん方はわがってんだかわがってないんだか俺にはわがんねんだげんどもよぉ? 材料がなげればモノはでぎねしよぉ、ソルテッサやらそいねん棒みだいに宦官どもが出し惜しみしちゃ回収しちまう材料なんだぁこんの工洞にだっでぇ、ねえもんはねえんだぁ。だがん、作ってみゃっせ、はい承知だぁと言うのはそらぁ簡単だぁな? だでども材料もなしに作れるわけもながろんと言っとるっさぁ。だがん、それが無理なところなんだぁなぁ」
 話の様子からすると、やってきたのは職工会の誰かだろう。
 また匵灯の話だろうか。どうせなら職工会属の他の誰かを当たればいいのに。
 工洞の入り口を入ると、聞き慣れない男のぼそぼそと話す声が聞こえたが内容は上手く聞き取れなかった。もっともあまり気に留めるでもなく、そのまま手前にある自分の工導に向かう。
「へぇぇ、そら俺も初めて聞いたぁだなぁ」と、その声はクラソスさんだ。
 その声は奥にあるのぢさんの工導から聞こえるように感じた。
「したらなにか、その……ちゅう街に行けば、違う名前で、違う原料から作られで、だどもおんなじ……やら鉱材が手に入るちゅうことか」
 そしてまた、ぼそぼそと職工会の男の声が続いた。

 工導台の上に新しい書類やデータ媒体などないことを確認し、机の上の積測リオンのスイッチを入れてから、私物を窓際の棚に置く。
 それにしても、いやな会話の流れだと思った。
 こういった「使い物」はだいたい俺に回ってくる。
 もちろん、それが嫌なわけではないし、のぢさんやクラソスさんの役に立つのは誇らしいことだ。
 ただ、これまでの流れから考えると、その材料を使って匵灯を作るのだろう。
 不思議なのはやはり、匵灯をどうしてこの時期に作るかというただそれだけだ。そんな必要はどこにもないはずなのだから。
 突発的に壊れたのであれば、修理に持ってくればいいだけのことだ。そのほうがよほども安くつく。
 簡単な部品交換や修繕であれば、俺たちのうちの誰かが行けば、半日程度で片付くだろう。

 工導台の上の仕掛品を眺めて、どこまでの工程が済んだか思い出しながらさらに考える。
 修理ではなく新品の匵灯を作るとなれば、速くても半フロイ軌はかかるし、長ければ3ヴィルト軌、場合によっては半ペヌグ=サ軌かかることもあり得る。
 そもそも職工会の判断だけで、宦官からの依頼でなしに匵灯なんか作ってよいものなのだろうか。
 なんとなく、嫌な感じがした。

「おうい、津宇! ちょっとぉ、来でくれや!」
 のぢさんの声が響く。
 いやまさかなぁ、と思いつつ、仕掛かり品の確認を中断して、のぢさんの工導に向かう。
「あーい、今行くよぉー!」
 返事をしながら、いったいどんなことになるのかと、内心いぶかしい気持ちであることには変わりがなかった。





// ----- >>* Junction Division *<< //
[NEXUS]
~ Junction Box ~
[ Traffics ][ Cross Link ]
// ----- >>* Tag Division *<< //
[Engineer]

[Module]

// ----- >>* Categorize Division *<< //
[Cat-Ego-Lies]





//EOF
// ----- >>* Initialize Division *<< //
//TimeLine:20160503

// ----- >>* Header Division *<< //
TITLE:
テルメアの巫女の頌
SUBTITLE:
~ Song post of Thelamare. ~
Written by BlueCat


// ----- >>* Body Division *<< //
//[Body]
 ウィルセア孿星のひとつ、ヴィルト(ヴィルト=ザン・ノア・ウィルセア)の輪が大地に広く淡い光を投影している。
 ヴィルトの輪は大きく、そのためペヌグ=サ恒星の光を受けたそれは、薄紅に大地を染める。

 ラド=ラ=ノルツ渓祷台に続く細い渓砂台地を、ミルサは静かに歩いていた。

「もあもあ」と都市の人々に呼ばれている浮遊胞嚢種のひとつ、テプテ=ス・テルロンたちが、ふわふわと漂いながら触腕をたなびかせている。
 このあたりの風化した台地には、この渓祷台の頂にある燭祷祠と、ミルサを含めたわずか数人の巫女たちが暮らす穿洞祠官堂くらいしか人工的なものは見当たらない。
 見渡す限り乾いた台地と深い渓谷の底に堆積した砂が覆っていて、伝説に聞くのみの「セデレス神の浸食」の時代が終わったとされる今でも、滅多なことでこんな場所にはやって来る人はいない。

 生まれたときからテルメアの蝕に就くことが決まっていたミルサにとって、しかしここは、とくに寂しい場所でもなければ、世界の果てのような場所でもない。
 ミルサにとっては、ここが生まれた土地であり、また砂に還る場所でもあり、そして日々を送る場所でもある。
 物心つく前からこの地で暮らすことになったミルサにとっては、ここより他に知る場所などなかった。

 ミルサのほんの10数メートル先には、ミルサの背丈の3倍ほどもあるもあもあが漂っているが、もあもあたちは特に他の生命に害を為すことはない。ためにミルサも気に留めない。
 ミルサの肌も、装衣も、もあもあも、台地も渓砂谷も砂も、すべてが薄紅に染まっている。
 燭祷祠だけが、そこに紺碧の石質を露わにしていて、それは薄紅の空の下では茶がかった暗い色に見えた。

 燭祷祠に着くと、ミルサはいつものように燭祷祠やその燭祷台の掃除をする。
 ほとんど風など吹かなくなったこの地でも、わずかな気流はあり、あるいはもあもあが運ぶのだろうか、砂がきらきらとペゼタ石を浮かび上がらせている。

 ゼノ=ル・トの羽根箒を両手で抱えるようにして、ミルサは無言で砂を払う。
 蝕の沙務のうち、祓浄の沙にあたっては、一切の綬歌も歌ってはいけないことになっている。

 燭祷祠はさほど大きなものではないが、祓浄の沙をきちんと終えるまでには結構な時間がかかる。
 蝕の沙務に就くテルメアの巫女たちはしかし、当然のように無言のまま、沙務を結う。

 祓浄が終わると、ミルサは静かな面持ちのまま、しばらくもあもあを眺める。
 今日の綬歌(もしくは呪歌)は何にしようか、何にすべきか、それを考えているように見えなくもない。
 もあもあを眺め、遙か遠くまでつづく渓砂谷を眺め、ウィルセアを(今日はヴィルトの輪が天空の半分ほどを覆っているだけだが)眺める。

 それからミルサは燭祷祠の半地下にある倉堂の扉を開き、背をかがめて中に入り、いくつかの道具を持って燭祷台に戻る。
 ミルサは「セデトの頌」を口ずさむ。
 それは我々がもし耳にすることができたならば、優しく、懐かしい感情を覚えるだろうメロディによって構成されている。
 セデトの頌を口ずさみながら、彼女はまず燭祷台の裏手にある歯噛を操作し、最初に台座部にある径口を開いてそこに燭油を注ぎ、燭の温度や色、幅や高さを決まった手順で操作して燭の変化を確認し、最期に歯噛そのものに対しての祷結を結う。

 道具類を再び倉堂に片付けて、ミルサは燭祷台の正面に立ち、それからひざまずく。
 そのあと長い時間をかけて「エゾルテ蝕の水色」を祷頌し、「豊廓のリューウィンへ」へと繋ぎ、最後に「ゲルゼ=ダロンの赦末」と「ヘナセ・ロアに至る」を掛け合わせた祷頌を結んだ。



 穿洞祠官堂に続く細い渓砂台地をゆっくり歩きながら、ミルサはもあもあたちがみな、ひとつの定まった方向に、ゆっくりと動いていることを知る。
 胞散の季節はまだ終わりではないから、これはあまりないことだとミルサは感じる。
 けれども、その意味をミルサは知らない。考える術もない。
 風がこの地に訪れようなど、ミルサには想像もつかない。
 だからいつもの通り、彼女は「浸食の時代が再び訪れることのありませんように」と祈りを込めて再び祷頌を口ずさむ。

 もあもあたちの胞散のこの時季、矮星となったペヌグ=サは一切この大地に光を注がない。
 ヴィルトの輪によって薄紅にすべてが染まる風景の中、ミルサの声だけが渓砂谷に反響し、呼応するようにもあもあたちが漂ってゆく。

 ミルサに限らずテルメアの巫女は多くは表情を浮かべない(これは感情らしい感情を彼女たちが持たないためだ)が、もし仮に我々が目にすることがあれば、その相貌には慈しみに似た微笑を覚えるだろう。




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[NEXUS]
~ Junction Box ~
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[Module]

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//EOF
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//TimeLine:20160503

// ----- >>* Header Division *<< //
TITLE:
レルペの肖像
SUBTITLE:
~ Statue of Relpeihzt. ~
Written by BlueCat


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//[Body]
 その漂穿柱の陰で、息を潜めていた。

 ラルソの棄径が危険な場所であることは子どもでも知っているし、ペセドガやアムザ扁虫がいることも分かっていたから、きちんと対策してきたつもりだった。
 祈祷師のまじないはきちんと作用している──その証に左の肩にこもった熱がときどきうずくのだけれど──し、今は暗くて正確には視認できないけれど、パッセル反応を利用して全身に刻んでもらった蔽覚シェルト譜は適切な時間に色と模様を変化させるはずだ。
 もちろん糜爛性の相変ガスを吐射するというラルソ擬属冑翼鹿であるとか、なめざりであるとか、伝説や噂の域を出ない生物がいるとはさすがに思っていないが。

 にもかかわらず、ここには何かがいて、それがあきらかな意思を持って何かを探していることが、ついさきほどの襲撃で分かった。
 大赤舌のように大きくうねるそれは、しかし、きゃけらきゃけらと大型甲殻扁虫そのもののような音を立てた。それも、捕食しようとその大きなあごを広げたときにだけだ。
 まずもって、音がしない。気配に気が付かなかったのはうかつだったけれど、それにしてもどんな方法で移動しているのかさえ分からなかった。

 地面は柔らかい粘土状の部分もあれば、石硝状に硬化している部分もある。濡れている部分も多いから、脚を使って移動する生物は、たいてい音を立てる。
 しかし赤舌だとしたら、そもそもあごなど持っていないし、今頃すでに呑み溶かされているだろう。
 ただ、こんな穴ぐらに赤舌が出ると聞いたことはないから、変異種でもない限りは違うだろう。

 間一髪であごの周囲に蠢く触腕をへし折れたことも、身をかわした後ろに漂穿岩があったことも、すぐに身を翻せる体勢にあったことも、ただの幸運でしかなかった。
 走りながら、あちこち突き出た尖石で傷を負ったし、このあたりに含まれている繊恵石質のわずかな光だけでは視認できなかった大きな石柱にぶつかったりもしたけれど(そして背嚢から、何かが墜ちた音がしたけれど)、なんとか逃げられたように思う。

 音はない。
 だから、こちらも音を立てることはできない。
 繊恵反射ではろくな視界はないものの、大きな影は動いていない。
 アムザ扁虫がときどき岩壁や天井を動いていて、繊恵光があやしく蠢いているように見えるから、慣れないうちは随分気分が悪かったし、不気味であることに変わりはないが、扁虫がこちらに気付いて襲ってくることはない。

 古くから言われるとおり、こういうときは長い時間が経過しているように感じるものだ。
 それにしても、これからどうすればいいだろう。
 ひとまず、周囲の地形はなんとなくだけれど把握できた。
 棄径のこのあたりは、とにかく漂穿岩柱が多いから、その場所と大きさを把握するだけでもずいぶん違う。
 繊恵光の遠近偏差や陰を利用して、だいたいの岩柱の位置と大きさや、天井の高さ、地面の窪みを把握するのだ。

 それから手探りで、静かに、背嚢を探る。
 ペスカデア聯木の蔦をごえごえの胆液でなめし、アゾダの獣脂に浸しては蒸散凝固させ、ハデアの樹根を焚いて燻してから、アゾダの革とごえごえの硬皮を縫い合わせたそれは、赤舌の酸にも耐え、大嚙付魚の牙も通さないはずなのに。

 しばらく探ると、しかし、そして確かに、胚嚢にはこぶし大の穴が開いていた。
 幸い、穴の位置はそれほど下の方ではないけれど、そのままにするわけにも行かない。
 身動きせず周囲を窺うと、アムザ扁虫がときどき立てるかたりくかたりくという微かな音しか気配はない。
 それでも明かりを点けるわけにはいかないので、背嚢をそっと外した。
 背後の漂穿岩は繊恵質を含んでいないので、少し離れた岩壁の淡い光でそれを確かめようとしたとき、視界の隅で繊恵光がおおきく遮られ、そしてそれは動いていた。

 左の方は比較的すぐに岩壁にぶつかるが、右の方は奥まっていて正確には分からなかった。
 その右手の隅にいると瞬時に判断したが、こちらの体勢がとにかく悪い。
 岩柱を背に、背嚢を両手で前に突きだそうとしている状態で、脚はすぐ立てる状態ではない。
 腕の動きを止めようとしたそこまでの数瞬で、陰が確実に大きく、つまりは近づいていると分かった。それも思ったより速い。

 背嚢を引き寄せ、脚を持ち上げつつ上体を倒して左前方に前転した。
 きゃけらぎ、という音を聞きながら(ああ、やっぱりあれか)と思った。
 前転の勢いで身体を立ち上がらせ、瞬間的な繊恵光偏差から周囲の地形を把握しつつ走り始める。
 後ろを振り返ったり、様子を確認している余裕はない。
 背嚢を抱えたまま、左手に迫った岩壁を蹴って右に方向転換したが、着地するまでのわずかな時間で、視認できていなかった岩柱に右肩をしたたかぶつけた。
 体勢を崩したのでそのまま身を丸めて前転する。きゃけきゃけらきゃけけらぎ、と気ちがいじみた音がして、そのとき明らかに、ぞるぞるという、振動のような音が混じっているのを聞いたが、距離や方向を確認している間はないだろう。

 ふたたび立ち上がって走り出す。
 背嚢の中の何かが脇腹に突き当たったらしく、痛みを発しているがそんなことはどうでもよい。
 穴が上になるように背嚢をたすき掛けにしながら走る。
 岩壁、岩柱、岩柱、窪み、岩柱、岩壁──。
 素早く視界を走査しながら、走る先の光に戸惑う。
 上下の対照な繊恵光が見えた。
 一瞬混乱しかけたが、水であると分かった。

 しかし「ただの」水だろうか。
 全力疾走ではないものの、不意を突かれた形なので、呼吸がすでに苦しい。
 あと数秒で足が水に触れる。
 このまま進むべきか、右手に地面を探すべきか。

 直前で踵を返して右手に進もうと考えていたとき、足が宙を踏んだ。
 そこは地面でも水でもなかった。

 落下していると気が付いたときにはすでにバランスを崩し、視界は上下が逆になっていた。
 やれやれここまでか、と思う。
 ここまでが自分の力であり、運だったのだ。

 背嚢の中に、繊恵光を反射するレルペの肖像が見え、それはいつものように穏やかな微笑みを浮かべていた。







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//EOF
160224

 寒いな、と感じて窓の外を見たら、もくもくと雪が積もっている。

 なんでやねん。

 Web検索で「オレダーギブスンダー」と検索すると、それなりの上位に青猫工場がヒットするようになった。
 ここ数日、使っているだけなのに。

 なんでやねん。

 姉は動脈生肺高血圧症の疑いが高いと診断された。
 症例も少なく、原因も不明な部分が多いため、難病指定されている。
 大学病院の担当の先生をして「こんな病気知らんがな(意訳)」と言わしめたらしい。

 姉は5mほども歩くと息切れしてしまう状態なので、病状はかなり進行しているのだろうと想像する。
 もともと喘息を持っているのが災いしたようだ(苦しくなるたび喘息の発作だと思っていたらしい)。
 血流に大きく影響するため、入浴は数ヶ月控えているらしい。
 一般的に、発病してから5年後の生存率は40%を切るらしい。
 つまり5年後、4割近くの確率で、まだ生きているのである。しぶとい。さすがである。

「俺だ。ギブスンだ。助けに来てやったぜ」というセリフは僕の数ある好きな科白リストの中でもトップ5に入るが、この「俺だ──」をきちんと知ったのは1週間ほど前である。

 基礎代謝がかなり高いのか、一日二食にしてけっこうなカロリィを摂取していると思うのだが、体重が増えない。
 食べたり飲んだりするとすぐに体温が上がるのだけれど、身体に入るそばから消耗していっているんだろうか。

 日々の疑問は絶えない。
// ----- >>* Initialize Division *<< //
//TimeLine:20160221

// ----- >>* Header Division *<< //
SUBTITLE:
自然なままでは死んでしまうが、不自然ならば生きていない。
Artificial human nature.

Written by BlueCat

// ----- >>* Lead Division *<< //


::「ツキコさん、ワタクシはいったいあと、どのくらい生きられるでしょう」
 突然、センセイが聞いた。センセイと、目が合った。静かな色の目。
「ずっと、ずっとです」わたしは反射的に叫んだ。隣のベンチに座っている若い男女が驚いてふり向いた。鳩が何羽か、空中に舞い上がる。
「そうもいきませんでしょう」
「でも、ずっと、です」





// ----- >>* Body Division *<< //
//[Body]

 一緒に長生きをしてくれなくては嫌だ、と言った恋人が以前、いた。
 たいそうアタマのデキのワルい人だ、と私は思ったのだったか。
 おそらく。いや間違いなくそう思ったろう。私は呆れたことだろう。
 私のことをきちんと観察もしていなければ、ろくに知ろうともしていない、なんとも短絡的で直情的な人もいたものだと内心、嘆いたかもしれない。
 それでもまぁ、恋人というのはかわいらしいイキモノではあるし、だいたいはいいイキモノでもある。
 だから私は「わかりました、ではできる限りには」と答えただろう。

 もとより自分が短命であることを、僕は周囲の人間にきちんと伝えるようにしている。

 通常であれば、今の僕の年齢までに一度は遺伝性の体質を原因とした大病に臥し、たいていは60代のうちに鬼籍に入ること。
 遅くとも80代にはこの世を去ること。
(そうなのだ、我々の家系は医学の進歩と共に、長命になる傾向が出てきている)
 ひらがなも書けないうちから、それを目にし続けてきた僕にとって、死は、あまりにも身近な存在だった。

 ジェダイの騎士がフォースと共にあるように、死は常に私のそばにある。
 何のことはない、私に限らず、実のところすべての人がそうなのである。
 ただ、たまたまそれを自分の運命として知らないだけで、通学途中で車にはねられて死ぬ子どももいれば、庭木の剪定の最中に脚立が倒れて死ぬ大人もいる。
 友人知人恋人に殺される人もいれば、見ず知らずの人に殺される人もいる。
 病院で処置を間違えられて死ぬ人もいれば、病院で処置を受けられず死ぬ人もいる。
 食中毒や食物アレルギーのショックで死ぬ人もいれば、餓死する人もいる。
 まだ生きたいと悔やみながら死ぬ人もいれば、何も考えられぬまま死ぬ人もいる。

 科学技術を利用したり、個人的な努力によって、それは少しずつ遠ざけることはできる。
 でも、避けることはできない。遠ざけられるかもしれないけれど、ないことにはできない。

>>>

 猫を飼うこと、猫を育てることについての僕の考えを、以前ブログに書いたことがある。
(その文書はすでに存在しない)
 ペットというのは、たいていは、主人より先に死ぬ。ほとんどの場合はそうだ。
 その意味において、飼い主は幸せだと僕は思う。
 なぜなら飼い主を失い、引き取り手もない動物たちは、果たしてどうなるだろう。
 あるいは僕のように一人暮らしの人間の場合、そもそも僕の死の発覚が致命的に遅くなることだってあり得る。
 できることならば、僕の死体を平気で食い散らかすようなペットであればと思うけれど、必ずしもそうなるとは限らない。

 そういったことを踏まえて、僕は自分の猫を育てた。
 僕がいつ死んでもいいように。
 僕以外の人に、きちんと、かつ、とても愛されるように。
 死に限らず、何らかの事情で僕と離ればなれになっても(仮に捨てられて野良になっても)可能な限り自力で生存し続けられるように。

 前者は厳しく躾けることで成し遂げられる。
 後者も日々の暮らしの中で学習させることができる。

 たいていの猫は僕より先に死ぬのだけれど。
 でも僕は彼ら(あるいは彼女たち)の死を看取ることに、過剰な思い入れをしない。
 動物にとっての死の意味というのは、人間の持っているそれよりも、ずっと軽い。
 なぜなら彼らにとって(僕にとってそうであると同じように)死はいつもそこにあるにもかかわらず、彼らの知らないものだから。

>>>

 人間だけが、死を忌み嫌い、精神的に遠ざけ、隠そうとしてきた。
 生に執着するのは生命の基本ではあるけれど、反対の概念である死を、人間は弄ぶことができるから。
 ために「生に執着」するだけではなく「死を意識して」それを遠ざけようと考えてきた。

 生命活動は現象であるけれど、死は生命活動の停止、生命を確認できない状態を示しているだけであって、死という形を持った存在や何らかの作用によって新しい現象が発生するわけでは、本当は、ない。
 だから逆に、死という概念を弄ぶことができない動物は、自殺をしない。

>>>

 ペットは多くの場合、飼い主よりも先に死ぬ。
「人間性」の豊かな人たちは、その死に過剰に思い入れをし、つまりは失われた生を過剰に悔やむだろう。
 それはそれで、確かな痛みだろうとは思う。

 では、逆の場合はどうなのか。
 飼い主を失ったペットは、どうなるのか。
「人間性」を持たない彼ら(彼女たち)は、主人の死を前に、たいして心を痛めることはないだろう。
(駅で主人を待ち続けていた犬などは、習慣が抜けないだけのただのドジっ子と考えられなくもない)

 ただ、彼らペットの生命が危ぶまれることは避けなくてはならない。
 彼らが必要のない苦痛を受けることがないようにしなくてはならない。
 それがペットを愛するということではないのだろうか。

 だから、他の人に懐かないような躾をして(自分が愛されていると勘違いして)得意になって自慢するものではないのだ。
「私のいうことしか聞かない」ような愚かなペットにするべきではないのだ。
 飼い主の命令を無視して他者に危害を加えるような獣に育てるべきではないのだ。

 そしてそうした姿勢は、何も、動物に対してのみ発揮されるものでもないように思うのだ、僕は。

>>>

 たとえば僕が死ぬとそのくだらない死体を前に、恋人やら友人やら姉妹やらが馬鹿ヅラを提げてわあわあ泣くだろうとは思う。
 彼ら(彼女たち)は死の概念を過剰に弄ぶから。
 でも、彼女たち(彼ら)は僕が死んだからといって死なない。死ぬわけがない。死は概念だから。
 僕の生命活動の停止と、他者の生命活動には、たいした相関性はない。
 仮に「死ぬほど悲しい」と言ったとしても「悲しさで生命活動が停止する現象」なんてものは、そう簡単には起こらない。
 でももし仮に、残された配偶者や子どもがいたらどうだろう。
 悲しいかどうかは別にして、生命活動が低迷する危機が、困難になる危機が、現象として起こりうるのだ。
 それを避けるだけの技術や考え方というものを彼女たちが持っていないなら、世を去る僕がそれを残すべきだろう。

 恋人だって、死んだ人間にいつまでも心情的に囚われているよりは、さっと忘れる(少なくとも必要なときには忘れているフリをする)程度の賢さが必要だと 思うし、何より、他の人にもきちんと愛されるような人(忘れるフリというのはそういう意味だ)であり続けるべきだと思うし、独りでいることを恐れるあまり 悲嘆に暮れ続けるような愚かしい人間でいて欲しいとも思わない。
(死んだ者は、自らの死を悲しんだりはしないのだから)

 それに(少なくとも青猫工場を読む人には)自明のことと思うが、恋人や友人(あるいは親友)や家族が何人いようが、人間は孤独だ。
 むしろ人数が増えれば増えるほど、時に孤独は色濃くなる。
 自分の道を進むことが、彼らすべての意見に逆らうことに等しくなるとき、1000人いた味方は、1000人の敵になる。
 あるいは1000人の味方が、1000人の(親しかったはずの)無関心な他人に思えることもあるだろう。
 誰もいない孤独ほど、軽くて扱いやすいものはない。

>>>

 他者に長生きをして欲しいと、平気で言える傲慢を僕は考える。
 他に恋人を作らないで欲しい、あなたが作るなら私も作るなどというようなことを平気で言葉にできる愚劣さを僕は考える。
 あるいは、自分が先に死んだらどうしよう、恋人が他の誰にも愛されなかったらどうしようと考える僕も、ある種の傲慢を抱えているのだろうけれど。
 それでも僕は、前者の傲慢を自分に許すことはなかったし、今後もないだろう。
 ために僕は、常に自分の恋人よりは長生きすることを考えつつ、同時に自分が明日死ぬことを考える。

 観察すれば分かるが、僕は過剰な暴飲暴食をしたりしないし、喫煙も致命的ではない。
 過不足のない運動を心がけ、自分の身体や精神の状態を適切な範囲内に制御する努力を惜しまない。
 それは、誰かに命令されたからではなくて自分の身体がそれを求めているからだ。
 人間に制御できるのは、自分だけでも手に余るだからだ。

 しかしどういうわけだろう。
 他者を制御しようなどという傲岸な概念を弄ぶ人間ほど、自身の心身さえまともに制御できていないように観察されるのは。

 むろん何が正しいカタチだと断言することはできない。
 ただ、姿勢から力学を学ぶことはできる。
 力学から運動を制御する術を学ぶこともできる。
 それらの技術知識を、現象の制御だけではなくて、概念や思考、精神や哲学に適用することもできる。
 確かに時間はかかるだろうけれど、運動を続ければ、おのずと姿勢もカタチも変わってゆく。
 それが有機体、生命の優位性だ。
 機械などの(傲岸な意識によって創造された)アーティフィシャルな存在にはできないこと。

 生まれながらにして生命を持たない彼らには、変化することも、死ぬこともできないのだ。






// ----- >>* Escort Division *<< //


::「ずっと、でなければ、ツキコさんは満足しませんでしょうか」
 え、とわたしは口を半びらきにした。センセイは自分のことをぐずだと言ったが、ぐずなのはわたしの方だ。こういう話をしているときなのに、しまりなく半びらきになるわたしの可哀相な口。
 いつの間にか母子は姿を消していた。日が暮れかかっている。闇の気配が薄く薄くしのびよろうとしていた。
「ツキコさん」と言いながら、センセイが左手のひとさし指の先っぽを、わたしのひらいた口の中にひゅっとさし入れた。仰天して、わたしは反射的に口を閉じた。センセイはわたしの歯の間にはさまれる前に、素早く指を引き抜いた。
「何するんですかっ」わたしはふたたび叫んだ。センセイはくすくす笑った。
「だって、ツキコさんがあんまりぼうっとしているから」
「センセイが言ったことを真面目に考えてたんじゃありませんか」
「ごめんなさいね」
 ごめんなさいね、と言いながら、センセイはわたしを抱き寄せた。
 抱き寄せられたとたんに、時間が止まってしまったような感じがした。
 センセイ、とわたしはささやいた。ツキコさん、とセンセイもささやいた。
「センセイ、センセイが今すぐ死んじゃっても、わたし、いいんです。我慢します」そう言いながら、わたしはセンセイの胸に顔を押しつけた。




// ----- >>* List of Cite Division *<< //
[出典]
~ List of Cite ~


 文頭文末の引用は、
「公園で」From「センセイの鞄」(p.248-249)
(著作:川上 弘美 / 発行:文春文庫)
 によりました。






// ----- >>* Junction Division *<< //
[NEXUS]
~ Junction Box ~

[Traffics]
// ----- >>* Initialize Division *<< //
//TimeLine:20160221

// ----- >>* Header Division *<< //
Written by 工場長 


// ----- >>* Lead Division *<< //


::「長い目で見れば、俺たちはみんな死んでいるんだぜ」




// ----- >>* Body Division *<< //
//[Body]

 160221

 久しぶりに文書のフォームを構築した。
 これは13工場のデータの一部を復元できたからでもあるし、復元しきれなかった詳細の部分についてを、構築しながらでもなんとか取り戻したいという願望があってのことでもある。

 ところで、Y!ブログの「かんたん」モードでは、フォントを自由に設定することができないものの、外部アプリケーションによってフォント指定されたテキストを、そのままコピー&ペーストすることで、テキストフォームを移行することができる。
 フォントも、フォントサイズも、思いのままである。
 実際のところ、こうした編集上のコントロールについてはほとんど諦めていた。
 なにせY!ブログだし。大きな声では文句を言わないけれど、なにせY!ブログだし。

 一番の問題は青猫工場に特有の内部リンクシステムで、一文書あたりの文字数制限がタイトだった昔には、かなり難儀した記憶がある。
 今は文字数制限も拡張されたし、リンクも手軽に(そして不便に)なったので、これをうまく活用できればとは考えている。
 通常のブログ内検索だと、デフォルトで「タイトル」を検索し「詳細」(全文書)を表示するようになっているので、タグ検索を掛けたときに「内容」で検索し「リスト」表示するようにリンクを再作成している。
 もっとも文書が少ないし、今後もどれだけ増やせるかは疑問符なので、何をしているのか自分でも疑問符なのだけれど。
 それでも複数の書庫をまたがる文書の作成などは、これによって随分ラクになる。
 もちろん、そんなことで喜ぶような人間は、多分私自身くらいのもので、読む人からすると迷惑千万なのかもしれないけれど。

 いずれにしてもEvernoteで文書を作成して、リンクもそのなかで編集して、Y!ブログのフォームで最終調整をするという手法でゆくしかないかな、と今は思っている。

 それにしても、文書のタグが、いくつかのクラス(あるいはレイヤ)とでもいうべき構造を持っていて、それぞれのクラスの中でタグのカテゴライズがされていて、はっきりいって追跡しきれない。
 かつては、僕にしか見えないようにして、この工場内にそれぞれのタグとクラスについての詳細な設定が記述されていたのだけれど、そんなものはもうない!(きっぱり)
 ええ、ええ。そうですとも、自分が悪いんですとも。

 これらの設定をただ考えただけではなくて、自分の中にイメージとしてきっぱり持っていたかつての自分は、ホントにある種の天才なんじゃないかと今は思っている。
 だからこうやって、かつての残骸を拾い集めて、多少でも元のカタチに近づけられれば、とは思っている。
 幸い、完全に失われたと思っていた文書のいくつかについては、今も発掘を続けることができている。
 もっとも、古い(かつてリリースされた)文書など、読みたくもない人のほうが多いと思えなくもないので、リリースしないまま、発掘しただけで終わってしまうかもしれないが。

 それにしても、Y!ブログの日付設定機能は、なんとも中途半端だと思う。
 どうせ数値データなんだから、自由に操らせてほしいものだとは感じるが、まぁ、仕様というのは何事も製作者にゆだねられたものであるから、大きな声では文句を言わない。
 言っても仕方のないことというのは確かにあるのだー。
(長音はわざとだー)







// ----- >>* List of Cite Division *<< //
[出典]
~ List of Cite ~


 文頭の引用は、
「第一部」From「屍者の帝国」(p.179)
(著作:円城 塔・伊藤 計劃 / 発行:河出文庫)
 によりました。






// ----- >>* Junction Division *<< //
[NEXUS]
~ Junction Box ~



// ----- >>* Tag Division *<< //
[Engineer]

[InterMethod]

[Module]
  -Resistor-

[Object]
  -Tool-




// ----- >>* Categorize Division *<< //
[Cat-Ego-Lie]
工場長の設計室





//EOF
 



160220

 体重が戻らない。
 61kgになったかと思うと、半日程度で60kgに逆戻り。
 体脂肪率は15%前後。ときどき15%を下回る。
 骨格筋率は38%前後。ときどき40%になって驚くがこれは誤差と考えた方が妥当だろう。

 基礎代謝が上がったのだろうか、今日は日中、軽い立ちくらみが起きた。
 手っ取り早く、糖分補給をする。

 そういえば、身体じゅうの脂肪が、確かに減った気がする。
 お尻に脂肪がないために、ときどき、お尻から脚がしびれるときがある。
 腸腰筋群と下腹部の腹直筋にうっすらと(腸腰筋はくっきりと)血管が浮かんでいるので、もうこれ以上脂肪を落とす必要はないだろう。要カロリィ。ギブミーカロリィといったところか。
 第一、ベッドのマットレスのスプリングに骨盤が当たることがあって、これがけっこう痛い。

 とにかく、体重が増えない以上、筋肉を重くするくらいしか思いつかない。それともよほど高カロリィ食をするか……(ちょっと考えただけで気が重い。この気の重さを体重に変換したいくらいだ)。

 でも、腹直筋は、やっぱり思ったほどには発達しない(どう考えても使わないよ、こんな筋肉)。
 腹斜筋は、腹直筋に比べたら簡単に発達するので、苦労は少ない。
 左側の腹直筋のことは、もう忘れよう、いいね。

 何年かかったか忘れてしまったけれど、お風呂で足を洗うときに膝でお腹が圧迫されたりすることは当面なさそうだ。
 むしろ、皮が余る部分がいくつかあるので、身体を膨張させてもいいかもしれない。
(60kgでは無理もない)
 だけれど筋肉で5kg太るのは、ほんとにむつかしいのだ。(贅肉5kgも、体質上、簡単には付かないのだけれど)

 あとは、前屈で掌が地面に付くようにしたい。
 今は人差し指/中指の第二関節くらいがやっとなので。

>>>

 会社に、すごーく好きな人がいる。
 去年の夏くらいから、ずっと気になっている。
 だって好きなんだもん。

 どのくらい好きかというと、朝、顔を見るだけでめちゃくちゃ笑顔で「おはよー!」って両手を振りたくなるくらいに嬉しくなってしまうほど好きである。
 ほかにも、移動で一緒の電車の車両に乗るだけだって、跳びはねたくなるくらい嬉しくなる。
 隣に座って話しをしていると、満面の笑みを浮かべてしまうくらい嬉しい。
 同じ車両で無防備にうたた寝している姿を見ると、ガッツポーズしたくなるくらい嬉しい。
 コンビニの外で、一緒におにぎりだのを食んでいるとき(わぁ、一緒にごはん食べてるよ!)と嬉しくなる。そのくらい好きである。

 その人は、なんというのか、すごく空気がいい。
 そう簡単に誰か(あるいは何か)を悪く言わない。
 結構いろんな話しや、職場の人間関係のことも話したことがあるのだけれど(そしてどんな職場にも、クセのある人はいるものなのだけれど)、悪い物言いというのを、ほとんど聞いたことがない。

 その人の言うところによると、陰湿な悪口を言うような人はレゲエ文化の人たちから「Bad mind people」と呼ばれて、たいそう嫌われるものなのだそうだ。
 だからその人自身も、そういう方向には自分から向かわないらしくて、だからそういう気持ちの良さが漂っている気がする。
 悪口が、軽くて、あとに残らない、そういう、端的にさわやかで、気持ちのよい雰囲気なのである。

 その人は、ミュージシャンを目指しているらしくて、時間が余っているときは、スマートフォンで何かをつくっている。音とか、リズムとか。
(そういえば、今度、ミキシングしてCDを作ってくれると言っていたので、心待ちにしている)
 で、僕にいろんなことを教えてくれる。フリーメーソンとか、イルミナティとか、そういう、なんだろう、「月刊ムー」に載っていそうな、でもそれよりももうちょっとマニアックなこと。
 さいとうたかおさんの事とかも、すごく詳しくて、僕は話を聞いていて、いつも驚く。
 僕の知らないことばかり教えてくれるのである。

「ねぇねぇ、青猫さん」といって、あれこれ教えてくれる。
 別に教えることで優越感に浸るわけでもなくて、一緒に
「えー! ほんとに? すごいね!」
「でしょ? すごいですよね!」
 なんて言い合っているだけなのではある。そういう、何があっても同じ目線を維持してくれるところもすごく優しいというか、心地よい人なんだなぁ、と思う。

 たとえば何かの物事に対する意見が、僕とその人で正反対だったとしても、僕がそう思うようになった経緯を説明すると「うん、確かに青猫さんが経験した経緯から考えると、そういうのもアリですよね」なんて言う。
「自分でも、同じ立場ならそうなると思います」なんて言う。
 もちろん、僕も、その人の意見が私と正反対だからといって、それを非難する性質ではない。だから余計に心地よいのかもしれない。

 ただ、残念なのは、彼が、男だ、ということなのである。
 そう、彼は、オトコ、なのである。

 ちょう好きなんですが、オトコで、かつ既婚者で、子どももいるので、恋愛関係にはなれないのである。無理なのである。いくら私のストライクゾーンが広くても、ダメなのである。
 いや、正確に申し上げるならば、既婚者であるとか、子どもがいることについては、僕のストライクゾーンにはほとんどまったく影響を及ぼさないのだけれど、いかんせんオトコはダメである。
 スキンシップが成り立たない相手との恋愛は、無理である。
 ……いや、大丈夫かな?
 いや、そこまで無理したくない。冒険したくないし!

 というわけで(僕の中で)一線を越える機会はない。
 まして相手にも選ぶ権利はあるし、どう考えても彼はストレートだし。
 いや、僕もストレートだし。
 ストレートだし!

 先日は、ムエタイのキックを教わったので、ワークアウトに組み込んだ。
 いつか一緒にお酒を飲もうという約束をしたので、いつかは果たしたい。

>>>

 インフルエンザに罹ったときに、どうやら肺か気管支に炎症を起こしたらしく、未だに乾いた咳が出る。
(喉が炎症を起こしているときは、身体から絞り出すような大きくて重い咳をするので)
 でもせっかくインフルエンザも治ったのだからと、久しぶりにパイプ煙草を喫む。
 数ヶ月ぶりである。
 とても美味しい。

 先日、ある恋人に「青猫さん、煙草やめなよ」と言われたのだけれど(彼女はやめたようだ)、僕はできる限り煙草はやめたくない。
「やめたい、やめたい」と言いながら吸っている人はいるけれど、僕はやめるときは何でもなくやめてしまうだろうし、それに今は愛煙家である。(だから誰に言われようがやめない)
 昔に比べると、自分でも驚くほど、かなり煙草が好きである。(それでも数ヶ月くらい喫まないこともあるけれど、それはパイプ煙草が嫌いだからではない。ちょっと「特別」なだけである)

 パイプ煙草の良いところは、吸い殻や灰が、シガレットのように臭わないことだ。
 これは本当に不思議である。
 シガレットは結局あまり好きになれなかったけれど、パイプ煙草は嫌いになる部分がほとんどない。
 手間が掛かるのも、まぁそれはそれでいいかな、と思うし。

 今日は仕事から戻ってから「Verginia No.1」(単純にヴァージニア葉だけの煙草)を1ボウル。
 そしてこれを書きながら「BLUE NOTE」という着香系に火を着けた。
 外が雨で気温も低いので「Dunhill965」や「Early Morning」といったラタキア系は避けた。
(独特の強い香りがあるので、換気の良い状態でないと、ちょっと気が引ける煙草葉なのである)