組織力を調べる方法のひとつに、困ったときの相談先の数&広がり度があると思います。


数は人数ですが、広がり度は部署やお客さま先、パートナー会社、大学などの数になります。




新入社員と中堅社員、管理職との差は広がり度にあるのかもしれません。




●一人で悩む人には


実際にあったケースですが、一番狭い人は一人で悩む人です。相談しません。聞いてみて、初めて困っていたというのがわかるケースです。


こういう場合は、「何でも相談してね」というよりも、こまめに声をかけるか、ときどき席替えをしてあげるとよいかもしれません。隣の席の人と話す機会をさりげなく、つくるようにします。




●部門外に出にくい人には


一番多いかもしれないのが、上司と先輩1~2人というケースです。要するに、自分の所属している小グループの範囲は相談できる人です。この人たちは、なかなか、部署を超えて声をかけるができにくいようです。


この場合は、


  • 司が他の部署との間を取り持つ



  • 本人が直接問い合わせられるように支援する



  • わからないときの相談先を社内窓口として設ける




などの手があります。




「上司が他の部署との間を取り持つ」は王道ですが、上司次第な面もあります。それが管理職の役割だという組織文化がしっかりしている企業なら、これがよいでしょう。但し、上司次第なので、上司で行き詰ったら先に進めないという落とし穴があることも忘れずに。




「本人が直接問い合わせられるように支援する」は、部署の役割を一覧表にする、担当者を明らかにする、でかなり改善できます。社内で誰が何を担当しているかわかるようにするわけです。当たり前だろうと思われるかもしれませんが、問い合わせる側の立場から担当者表を見直すと、結構わかりにくいことがありますよ。


それから、社内の人脈なり、論文なりデータベースが整備されている会社なら、それらを検索できるようにしてあげるのも手です。仕事を一通り覚えて、自分で考えられる範囲が広がったときに、こういうやり方もある、と教えてあげるのがよいでしょう。




「わからないときの相談先を社内窓口として設ける」は、いろいろなパターンがあります。


ボランティア制、定年退職間近の人制、ベテランへの登竜門制、人材育成制、ヘルプデスク制です。




ボランティア制はその名の通り、人助けが好きな人に10%程度の負荷でやってもらいます。上司や職場も認めたボランティアとして運用しますが、評価に反映しづらいのがネックです。人依存なので、継続性も欠けるかもしれません。




定年退職間近の人制は、退職間近の方々にお願いをします。これまでの人脈を活かして後輩たちを助けてもらいたい、というわけです。人によっては向き不向きがあるので、面談の上、本人の希望を聞いて任命します。電話を受けていきなり怒ってはいけません、などの初期教育も必要だと思います。ですが、毎年定年退職間近の方々は出ますので、制度として作りやすくはあります。




ベテランへの登竜門制は、最も権威ある制度です。人助けをできない人はベテランor管理職orリーダーとして認められない、と宣言します。その上で、会社にとって最も優れた社員を選んで、任命します。選ばれること自体が名誉になります。継続性や本人のモチベーションも高まるので、技術系の職業におすすめです。




人材育成制は、人を助けることとはどういうことか自ら体験し、考え、学んでもらう、というコンセプトのもとに、任命します。教育を兼ねているので、定年間近の人やベテランのように自分が答えを出せる人は選びません。むしろ、困っている人の立場になって、どうして部門の壁を越えられないのか、何があったら解消されるのか、などを考えてくれるように、これまでの仕事の幅が狭かった人を選びます。




ヘルプデスク制は、社内システムやマニュアルの改善に力点を置きます。問合せがたくさんある=システムや経路、マニュアルに改善すべきところがある、と考えます。結果を計測しやすいので、導入にあたって、説得しやすいのはこれかもしれません。




困ったときの相談先を増やす工夫を入れることで、問題解決の可能性やスピードがアップしますので、自社にあった方法を試してみてはいかがでしょうか。