世田谷区、都会の一等地、敷地100坪の家が放置されていた。かつて一人の男性が暮らしていたが、最近見ていないという。都内の空き家は10万戸、10年で4割増えた。「不法投棄」「放火」「倒壊」などの危機にさらされているものも多い。いったい家主はどこに消えたのか?取材班の追跡が始まる。

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閑静な住宅地として人気が高い東京都杉並区。空き家があり、近所で苦情が出ているとの報で取材班が出向く。敷地60坪の家が放置されていた。管理されている様子も人が住んでいる様子も無い。近所の人は不安を募らせていた。「塀が倒れそう」「よじ登って入っていく人がいる。」「落ち葉が迷惑」などなど。

空き家への放火などが起きており、かつゴミの不法投棄の場所になっている場所もある。

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取材班は家主がわからず迷惑だという対象を調査。杉並区では103件を数えた。

区役所を訪ねると、個人の財産である私有地には勝手に立ち入れない。

平成15年に杉並区は条例を作り、家主が適正に管理すること!としたが罰則規定があるわけではない。行政では立ち入ることはできず、警察も私有地には無断で立ち入ることはできない。

追跡チームは103軒の登記をとって家主を特定。103件中46件が相続。別の所有者に代わったものも30件以上。ほかに27件が同じ区に住んでいることもわかった。

家主が杉並区となっているものを追跡。家主は数年前に亡くなっていた。しかし相続をする人もいないらしく登記がそのままになっているようだった。

近所の人に聞き込みすると、三世代が住んでいる家だった。地方から出てきた銀行員が家主。当時の杉並区は畑の多い場所で、住宅ブームの中、どんどん宅地化していった。

それから40年。孫は独立し、その銀行員の娘が家主だったが、今はどこにいるかもわからないという。追跡チームはその家主の足取りを追うことにした。

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その女性は絵画教室を開いていたという情報を得る。

都内の美術館を訪ねて、そのプロフィールを検索すると確かに女性の写真と登録があった。住所は杉並区の空き家だった。14年前の登録だが、そこには14年前には既に住んでいなかった。

教え子を訪ねたが、やはり家主の行方はわからなかった。ただその女性の子どもの情報が得られた。息子が高校時代アメフトやっていて、成績も良かったという。

高校時代の親友を訪ねるが、その友人も家主の息子の消息は知らなかった。

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地縁や血縁が薄れる今の社会が浮かび上がる。

5年前に男性が消えた空き家。となり近所の付き合いは無かったという。

ところが、そこに男性は住んでいて発見されたときは白骨化していた。引き取り手もなく無縁仏となった。

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借金を残したまま行方をくらました弟が家主となっている家に住んでいた姉は「10年間以上連絡が無く、大変でした。」と語る。

’夢のマイホーム’が今では、寂しい空き家になっている。

と、杉並区の空き家について、ある情報が入った。家主の息子が住んでいる場所がわかった。息子を取材すると「母は入院している。」という。何故空き家をそのままにしているのかを聞くと「答えたくない。」という。

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家主がわからない空き家の増えている杉並区。住民はパトロールしている。1時間の見回りで4軒の空き家が見つかった。

「向こう三軒両隣といった昔の人間関係が崩壊している。」と見回りの地区長さん。

毎年3000戸のペースでこうした空き家が増え続けている。