皆さんは、〝21〟という数字から何をイメージしますか?
21世紀、ブラックジャック、江夏の21球、映画 『21g』 etc。
映画と言えば、『ラスベガスをぶっつぶせ』 の原題が 『21』 だった、なんてマニアックなネタもありますが・・・私がまず最初に思い浮かべるのは、〝かい人21面相〟。
昭和の終わり頃、日本中を震撼させた
グリコ・森永事件
の犯人が自らをそう呼んだ忌まわしい名称ですが、この事件の発端となったのが江崎グリコ・江崎勝久社長誘拐事件。
自宅で入浴中に拳銃等を所持した3人組の男に急襲され全裸のまま連れ去られたのが、今から41年前の今日・1984(昭和59)年3月18日のことでした。
翌日犯人からの身代金(現金10億円と金塊100kg)を要求する脅迫状が会社側に渡されましたが、受け渡し場所に指定した場所に犯人は現れず。
そして3日後の3月21日、江崎社長は自力で脱出して保護され、事件は収まったかに思えました。
脱出後記者会見に応じた江崎社長
ところが4月10日にグリコの工場などが放火の被害遭い、同月22日にマスコミ各社に届いた脅迫状から犯人グループが〝かい人21面相〟を名乗り出します。
「けいさつの あほども え・・・」
などと警察をあざ笑うかのような挑戦状・脅迫状はその後もたびたび出され、同年10月7日には
「どくいり きけん たべたら しぬで かい人21面相」
と書かれた紙が貼り付けられ、実際にシアン化ナトリウムが混入された森永製菓の商品が兵庫県内のコンビニで見つかったのです。
その後も〝かい人21面相〟名義の脅迫状が丸大食品・ハウス食品他、複数の食品会社に送りつけられました。
その間、コンビニに毒入り商品を置いた犯人と思われる野球帽をかぶった背広姿の男の姿も、ニュース等で全国に放映されました。
またハウス食品が用意した1億円の引渡しを行おうとした際、名神高速・栗東IC付近で不審車が発見されたものの、警察の連携不足により取り逃がす・・・という失態もあり、この一件で当時の滋賀県警本部長が焼身自殺するという痛ましい悲劇も起きました。
その後いくつかの動きがあったものの、翌1985(昭和60)年8月12日に犯人側から
「くいもんの 会社 いびるの もお やめや・・・」
という終息宣言が一方的に出されます。
奇しくも、あの日航ジャンボ機墜落事故の起きた日・・・しかも、その123便には、脅迫されたハウス食品の浦上郁夫社長が事件の終息を創業者である父・靖介氏の墓前に報告するため乗り合わせて亡くなる、という悲運もありました。
この宣言以降、犯人側の動きは完全に止まり、2000年2月13日に一連の事件全ての時効が成立。
投入された捜査員述べ131万人以上、犯人としてリストアップされた捜査対象者12万5千人という複数県・複数企業を相手にした脅迫事件は現在に至るまで犯人の正体が分からないまま〝お宮入り〟。
予め商品に脅迫状を貼ったりしたため、実際に毒を口にした方や死者が出ることがなかったのが、不幸中の幸いといえましょうか。
一体、この犯人は誰で、何が目的だったのか?
元グリコ関係者や暴力団組長、中には北朝鮮工作員などを犯人とする様々な仮説が唱えられていますが、動機が怨恨ならばなぜグリコ以外の企業も狙ったのか判然としません。
また金が目当てなら、どうして受け渡し場所に現れなかったのか?
・・・これは私の個人的な推測ですが、グリコは極秘裏に犯人グループと交渉し、身代金を支払ったのではないでしょうか?
グリコ側は口をつぐんでいますが、そうでもなければ当時の現金10億円という巨額な身代金を要求している大事な人質を犯人が簡単に逃がすわけがない、と思うから。
そしてこれに味をしめた犯人グループが2匹目のドジョウを狙って次々と食品会社を脅迫したものの、警察の捜査が身近に迫ってきたため一方的に終息宣言を出した・・・と睨んでいるのですが、皆さんの見立てはいかがでしょう。
もし犯人が生きているならば、時効が成立しているのですから是非その姿を見せ真相を明かして欲しいものですが・・・・果たして?