7月14日、国立感染研究所感染症情報センターさんが新型インフルエンザの最新感染者数を発表しました。


日本国内の報告数(厚生労働省確認分)2,894人で死亡数は0ですが(7月14日11時現在)、世界の報告数(WHO発表)では感染者数が94,512人で死亡数は429人となっています(7月6日9時現在)。世界では429人も死亡しているのですね。


下記に感染情報センターさんによる感染分布図へのリンクを掲載します。


日本国内の感染分布図


世界の感染分布図

さて、また新型インフルエンザのお話しです。


スペイン風邪(H1N1型)は、1918年に大流行しました。以前から言われていたことですが、スペインかぜに罹患したことがある世代(90歳以上です)に、今回の新型インフルエンザ(H1N1型)に対する抗体がある確率が高いということが、東京大医科学研究所の河岡義裕教授らの研究チームが発表した論文(13日付の英科学誌ネイチャー“電子版”)によって明らかになりました。


今回の新型ウイルスが登場する以前の1999年に採取された血清を使って、新型ウイルスへの抗体を調べたのですが、スペイン風邪が流行した1918年以前に生まれた世代の方々のみ、抗体を保有していたことがわかったのです。


つまり、それより若い世代は、新型インフルエンザに対する抗体をほとんど持っていないということです。


また、河岡教授の研究チームは、マウスやカニクイザルなどの動物を使い、新型インフルエンザウイルスの増殖性や病原性を調査しましたが、通常のインフルエンザよりも肺での増殖効率が高く、重篤な症状を引き起こしやすいことが判明しました。


新型インフルエンザは、従来のインフルエンザよりも毒性が高いということです。


さらに、研究チームは、タミフルや、現在開発中の抗ウイルス薬が新型ウイルスに効くかどうかも試しましたが、いずれもウイルスの増殖を抑制できることも明らかにしています。


過日、関西で“タミフルが効かなかった新型インフルエンザウイルス”の話がありましたが、やはりタミフルの服用をおろそかにしたからかもしれませんね。


クラウド・バスターの安全主義


なんとなく怖い・・・(笑)。以前、このブログでご紹介したデュポンさんのタイベック防護服です。

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日本では2007年に宮崎と岡山で家禽に発生したトリインフルエンザ“H5N1型”(17万羽の鶏が処分されました)駆除の現場でこのタイベックの防護服が使用されたそうです。


このH5N1インフルエンザが発生した場合にはもちろんのこと、今回の新型インフルエンザ“豚インフルエンザH1N1型”が強毒性に変異した場合にも、感染者の隔離などでこういった防護服が必要になるでしょうね。タイベック防護服は1,000円ちょっとでミドリ安全さんなどで購入できます。


全身を防護する防護服・・・服ですよ・・・それがなぜこんなに安いのでしょうか? 


1回ごとの使い捨てだからです。


会場の担当者さんに「洗って何回でも使えるますか?」と聞いたら「とんでもない!」と一蹴(笑)。ウイルス飛沫が付着した防護服を洗って使用するなどもってのほかなのですね。それに素材のタイベックは丈夫ですが、マスクの素材のような不織布のようなもので(マスクと同じ素材ではないですよ!)、何度も洗って使用するものではありません。


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タイベック防護服とゴーグルと手袋、N95マスク、シューズカバーがパッケージされた感染症防護対策セットがありました。企業ではいくつか備蓄された方がいいでしょうね。備蓄できる期間は約2年だそうです。


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資料が入っていた袋もタイベック製でした。

デュポン株式会社 http://www2.dupont.com/DuPont_Home/ja_JP/

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ミドリ安全さんのブースもありました。新型インフルエンザ対策製品として様々なタイプのマスク、ゴーグル、消毒液、手袋や、それらをパッケージした「新型インフルエンザ対策キット」などがたくさん展示されていました。

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いくつかのメーカーさんのN95マスクを数多く取り揃えています。


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バリエールというメーカーの抗ウイルスマスクも展示されていました。


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おや? どこかで見たセット・・・だと思ったら、


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新型インフルエンザ対策キット


僕が購入した「新型インフルエンザ対策キット」でした。これは僕の家のものです。ミドリ安全さんの製品はインターネット通販サイトのミドリ安全.comで購入できます。

ミドリ安全 http://www.midori-anzen.co.jp/

ミドリ安全.com  http://ec.midori-anzen.com/shop/category/category.aspx

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AP-2000


またまた面白い製品がありました。株式会社ブルーベースさんの空気清浄機なのですが、空気清浄機の本体からAPP(エアピュア・フィトンチッド)という間伐材から抽出した精油や35種以上の樹草木から抽出した植物エキスから作られている液体を霧化させて空気清浄効果を高めるものです。


APPは特にヒノキやヒバ、サワラといった除菌能力の高い樹木の精油を多く配合されており除菌効果を高めているのだそうです。


このAPPを霧化蒸散(微粒フィトンチッド化)することでマイナスイオンを発生させてリラグゼーション効果を高めるだけでなく、除菌、消臭、防虫効果を高めることが可能だそうです。霧化させるので部屋中の家具や床、繊維の奥まで浸透させるので丸ごと浄化できるのです。

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APPのボトルです。

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清浄機本体の横にAPPが入ったボトルをセットします。空気清浄機としてはプレフィルター→除菌フィルター→活性炭素フィルタ(消臭)ー→集塵フィルター(アレル物質除去・アジュバンド除去)の4層のフィルターで空気清浄を行います。


家電製品の空気清浄機並みの大きさですが、適用床面積は20畳と、かなり強力な空気清浄を行うものです。残念ながら当面は医療用として販売し、一般販売はしないそうです。


株式会社ブルーベース http://blue-base.jp/products/view/93


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さらに会場を歩くと、加湿器がたくさん展示されている一角がありました。


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ご覧のようにかなりのミストが会場に充満しています。インフルエンザには加湿も効果があるのです。

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さらに進むと妙なマスクが目を引きます。モレーンコーポレーションさんのブースです。N95マスク(レスピレーター)のようですが、マスクの前に網状のものが被せてあります。


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ご覧のように網が被せてあるのですが、この網がかなり堅いのです。


担当者さんに聞くと「握ってみてください」と言うのでぎゅっとマスクを握ると「ほら、形が戻ったでしょう?」と笑います。


「なるほど、形状記憶マスクなのですね?」と言うと、「形状記憶とまではいきませんが原形を保ちますね」とまた笑います。

これは海外製のレスピレーターで日本の市場では見たことがありませんでした。

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株式会社モレーンコーポレーションさんは医療用の製品を扱っている企業さんで、写真のような感染隔離ユニットや防護服なども扱われています。


株式会社モレーンコーポレーション http://www.moraine.co.jp/

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竹野株式会社さんのブースは驚きました。展示物はただの部屋にしか見えないのです。担当者さんに話を聞いたら障子紙や壁などに貼ってある壁紙などが製品なのです。


この壁紙が漆喰シート「イーシックイ」という製品でインフルエンザウイルスを不活性化させるシートなのです。竹野さんは写真台紙や壁紙など紙加工の製造メーカーです。そのノウハウを生かしたのがこの究極の壁紙イーシックイなのです。


漆喰は石灰を主成分とした素材で、天然の調湿と防カビという性質があります。これは石灰の天然のアルカリ性が作用するものです。つまりインフルエンザウイルスに対する抵抗が強く、結果的には抗菌もできるのです。


漆喰は、多孔質という構造から湿気を吸着させても再放出して湿度の調整機能を備えています。ホルムアルデヒド等の有害物質を吸着させて分解することも可能です。


竹野株式会社 http://www.ta-ke-no.co.jp/eco/shikkui/index.html


さて、以上のように「新型インフルエンザ対策フェア」のブースは面白い製品に満ちていました。中にはこれまで見たことがないような製品もありなかなか勉強になりました。


また同様のイベントがあれば、積極的に参加して内容をお伝えしますね。



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今日は有明の東京ビックサイトまで出かけました。


リードエグゼグティブジャパン さんが主催する展示会「オフィスセキュリティEXPO」に行ってきました。今回は第4回で、早くも「新型インフルエンザ」の対策製品も一挙に展示されていました。

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午後は今朝までの曇り空と強風が嘘のように晴れて、熱中症になるくらいの真夏の太陽がジリジリと地面を焼いています。

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オフィスセキュリティEXPOの中の「新型インフルエンザ対策フェア」ブースに向かいます。オフィスセキュリティは企業の災害対策と事業の継続についての関連製品やサービスを展示しています。

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防災用品としては階段でも怪我人を乗せて昇降できる器具などが初めて目にする製品で目立っていました。


「企業の事業継続」というと、突発的な災害や最悪の場合のテロなどによって起こる企業の経済的ロスやそれに伴う信頼の損失を避けるための防災用品の備蓄や、IT時代によってした企業情報の保護などを事前に計画し、それをいざという時にスムーズに実行できることが重要です。


毎年、会場狭しとばかりに多様な製品が展示され、企業コンサルティングやサービスなどについても説明される展示会ですが、今年は新型インフルエンザのパンデミックに合わせて(トリインフルエンザのパンデミックならば、こんなイベントなども開催してはおれませんけどね・・・)「新型インフルエンザ対策フェア」なるなんだか能天気なタイトルのコーナーが即席で作られていました。けれども・・・僕はこれを取材しに来たのです。

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スーパー・ルーム・クリーン


驚いたのは電気スタンド・・・というか部屋のムードランプのようなものの中に電球を囲むように光触媒「フォトエコ(フォト・エコロジー)」が入っていて、これにウイルスを吸着させてライトの熱で死滅させるというアイディア商品です。“自然対流式触媒空気清浄”というシステムです。


浮遊するウイルスは破壊できますが、感染予防を保証するものではないということです。


大阪のジェット株式会社というメーカーの製品です。商品名は「スーパー・ルーム・クリーン」で電気スタンドタイプT-36-Lが13,000円です。他も10,000円ほどの手ごろな値段です。


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上の写真の右がフォトエコ(光触媒)です。


ジェット株式会社 http://www.jet-japan.jp/


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株式会社IHIさんは空気清浄機「オゾンエアクリアeZ-2000/2000D」が展示していました。発売から3年で医療・福祉業界で実績No.1となった製品です。IHIといえば船舶のような大型ものの製造メーカーのイメージですが、実は業務用(おもに医療・福祉用です)の脱臭装置や殺菌消毒装置でも有名なのだそうです。


オゾンエアクリアは、防塵フィルタ→オゾン発生器→光触媒フィルタ→オゾン分解触媒→NOx除去機能付き脱臭フィルタ→抗ウイルスHEPAフィルタ・・・と6層のフィルタが搭載された空気清浄機です。万が一、感染者が室内にいたとしても、感染者からある程度の距離があれば、くしゃみや咳による空気感染を予防することができるそうです。


またインフルエンザウイルスが付着した筆記具、机、室内の壁、ドアノブなどに接触しても感染する場合がありますが、オゾンエアクリアから“くん蒸”によって放出されたオゾンガスがウイルスを不活性化させるので接触からの感染も予防することができます。


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オゾンエアクリア


オゾンエアクリアの「オゾンくん蒸」は北里環境科学センターの製品試験によって証明されています。


さらに新型インフルエンザ感染の疑いのある患者を隔離する時にもオプションの「簡易隔離陰圧テント」を使用すれば陰圧化での患者の隔離に使うことができます。


株式会社IHI http://www.ihi.co.jp/ozone/

次回も展示会に出展されていた新しい製品を紹介します。

またまたおかしな決まりが発令されました。母子3人乗り自転車の容認です。ただし、専用の自転車に乗車しなければ×というものです。


その専用自転車なるものは高価なうえに大仰にガードされた、そこら辺を暴走される方々のオートバイのような異形なデザインをしています。これが安全を確保した製品であるのかどうか疑問です。これは重心が上部に集中して転倒する可能性が高くなるのと同時に巻き添えで怪我をされる方も増えることと思います。私はどうも腑に落ちません。


(ここからは私感です)


大体が3人乗り自転車の容認自体がおかしいのです。子供を一気に2人も自転車で運ぶ必要性がどこにあるのでしょうか? 時間的に余裕がなければ早めに家を出る、距離的な問題はバスを利用する、一番いいのは歩くことです。目的地から5分以上かかると自転車に乗る方々が増えているような気がしますが、なんでも楽な方法を選択するのはいかがなことかと思います。


さらに3人乗り自転車の母親たちが「申し訳ありませんが・・・通ります」的な気持ちがあって走っているならばともかく「そこのけそこのけ」風に歩道を突っ走っているではありませんか? しかも携帯電話で話しながらという方々が多いようです。しかもそれだけのことを可能にする“運転技術”なんてないようです。彼女らを見ているとすべてが運任せに他人任せ・・・で、暴走する彼女たちを避ける他人の気遣いと事故を起こさないような運がなけりゃただの危険者でしかありません。


僕個人の考えですが、最近の人間を駄目にしたのはインターネット、携帯電話、ゲーム機、自動車にそれに自転車・・・だと思います。そのいずれもが良い使い方をすれば素晴らしい道具になるのだと思いますが、便利な道具よりも先んじて人の考え方があまりにも安易で自分勝手になりすぎて、「便利」なことばかりに重点を置きすぎるきらいがあるのです。


要するに一番駄目なのは人の心なのです。


インフルエンザだって、個人個人がきちんとマスクをしたり、早めに病院へ行っていたらこんなに感染は広がらなかったのです。犯罪だって個人個人が他人のことを思いやる少しでも気持ちがあれば、これほど日本に犯罪は広がらないのです。もちろん根本的には経済的な要因もあるでしょうが、犯罪を犯す人たちは経済的な話よりも自分勝手で手軽に金銭を得る方法として犯行を重ねているのです。この気持ちは3人乗り自転車や携帯や傘をさしながら自転車を運転したりする若い母親の気持ちと重なるものだと僕は思います。


個々に他人を考える気持ちがあれば、事故も犯罪も起こらないのです。

新型インフルエンザワクチンは当初の計画を大きく下回り、144万人~1700万人分しか生産できない模様です。


さて、日本テレビのニュースを見ていたら大阪で“タミフルが効かない新型インフルエンザ”が見つかったという内容でした。タミフルが効かなかった新型インフルエンザとしてはデンマークの事例に次いで2例目となるそうですが・・・。


この患者さん・・・女性なのですが、その発症までの経緯を見てみましょう。


17日:まず今回の感染女性の家族が新型インフルエンザと判明

18日:女性も予防的に同時にタミフルを服用

19日:この女性が新型インフルエンザと診断される

20日:リレンザ服用で回復する


なぜタミフルが効かなかったのか? 番組に出演した専門家の方は、「タミフルは基本的に朝夕5日間服用しなくてはならないのですが、快方に向かうと患者さんは途中で服用しないことがある」そうで、もしかするとこの患者さんも・・・ということも考えられるのだそうです。油断は禁物ということですね。


完全にウイルスがなくなるまでタミフルを飲み続けなければ結果的に効果がないということになるので、皆さんも心しておきましょう。


実は、通常の季節性インフルエンザでも、昨年インフルエンザ患者の45%が罹患した「Aソ連型」は、タミフルが効きにくいウイルスのようです。これを「タミフル耐性ウイルス」と表現するのだそうです。


いずれにしてもタミフルやリレンザだけでは心もとない感があります。新型(豚)インフルエンザも耐性度が増すのは時間の問題です。相手は変異しながら人間に襲いかかってくるのです。ところが肝心の人間はといえば薬品に頼りきりで生物としての抵抗力や免疫力は弱くなっていくばかり・・・です。


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国立相模原病院前にある花屋さんの庭先


今日も相模原まで母の見舞いに行きました。そして驚きました。2日前までは手足を動かすことはできるものの上半身を起こすことができなかった母がベッドの上にちょこんと座ってテレビドラマの「水戸黄門」を見ながらウフフフと笑っていたからです。


腕に差し込まれた点滴と、小水を抜くカテーテルは抜かれてはいませんが、鼻に突っ込まれていた酸素吸入器は外され、妙に身軽になっていたのです。


「昨日は、脈が遅いので心臓のMRIを撮ったし、今朝は手足のリハビリをリハビリ室でやってもらったよ」と母はベッドの傍らに置いてある車椅子を指さします。


「もう車椅子で移動できるの?」


「いや、もう車椅子もいらないくらいだよ。ほら・・・」といきなりベッドから降りると2~3歩を歩いて見せたのです。


「ほううう・・・凄いね。凄い回復力じゃん」と僕が驚くと「当たり前だよ」と威張って見せるのでした。


母がこれほどまでに回復したのは発見と処置が早かったからだと思います。


「それに今日からおかゆを食べてるんだよ」体の右側が麻痺して口から食事をとるのが危険だと思われて点滴による栄養補給のみであったのに軽いながら食事もできるようになっているのでした。


「へえ、もう食べられるんだ。それも凄いね」僕は母の回復力に改めて驚きました。僕たちがいる間にも夕食が運ばれてきましたが、その食事(おかゆ、白菜の煮物、豆腐とダイコン、ニンジンの煮物あんかけ、ヨーグルト)をペロッと平らげて見せては「ははは」と笑うのでした。


この分では早めにここを退院できるようです。ここを退院したら実家のある大和市にある別な病院で「言語リハビリ」のために入院する予定です。今日は電話でそちらの病院とお話ししました。


国立相模原病院で不可能な治療は、その治療が可能な他の病院との情報連携によって患者を回すという仕組みができているようです。僕は当初、それが何らかのよくない習慣なのではないのか? と疑問に思いましたが、どうやら違うようです(笑)。こういった周辺病院との密な連携が可能であれば、無意味なたらいまわしで命を落とす患者さんをたくさん救えるのでは? と思うのです。


ま、とりあえずは母の回復力に任せておけば大丈夫だろうと、僕は夕方の6時過ぎに病院を出て、千葉まで戻るのでした。


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小田急線 海老名駅操車場


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僕は4日分の処方薬を飲むのです。中には気管支を拡張するためのシールもあります。初めて見ました。


2度にわたって母親が脳梗塞で入院したことを書きましたが、それにまつわる僕の罪な行いを告白しましょう。


母親が倒れた時、僕は風邪をひいていたような状態だったのです。熱はありませんが喘息のように酷い咳が出て、体力が失われつつあったのです。酷い咳を続けるとかなり体力を消耗してしまいますよね。


少し前に心筋梗塞の検査を受けた時に「肺に炎症がある」と言われた所以です。僕はスギ花粉、イネ科の植物、ハウスダスト等のアレルギーがあるので1年を通して風邪のような状態になっているので、今回もアレルギーだろうと思っていましたが、よく考えるとインフルエンザ罹患時のように粘土の高い鼻汁も出ていました。


新型インフルエンザではないと思いますが、別なインフルエンザの可能性もあったのです。それなのに脳梗塞という病気を患っている母親の元にノコノコと出かけてしまったのです。母親に移さないようにとマスクをしていきましたが、それは完全ではありません。大病で体力が失われている母親には通常のインフルエンザでも命取りになってしまうかもしれません。


あれだけ散々インフルエンザの恐怖について書いている当人がそのような意識の低さなのですから呆れます。ただし、今回のように肉親に何かが起こった時に本能的に対応してしまうのが人間です。母親が倒れたのに「風邪引いてるから行かない」なんて言えないのです。


それでも僕の場合には妹と妻に代わってもらうことが可能でした。遠隔地にいても電話やメールで母親の病状を知ることができます。画像を送ることだって可能です。しかし、両人共に会社勤めで仕事があり、フリーライターといっても無職なような状態の僕しか自由に行動できないのです。


予想したとおりに病院でも僕の激しい咳が止まらずにゲホゲホと咳をしては、妹や看護師さんに白い目で見られました(マスクはしていますし、まめに交換していますよ)。病院なのでそこで診てもらえばいいじゃないか・・・? 

そうなんですが、初診時間を過ぎていたのです。結局、その日は神奈川に泊って、翌日の早朝になって妹によって無理やり地元の小さな病院に連れて行かれたのです。


その病院は母親のかかりつけの病院です。


診断後、医師は「扁桃腺が腫れていないからインフルエンザではないと思う。気管支炎だね。原因はアレルギーでしょうね。お薬を出しておきましょうね」と言います。僕はホッとしました。母親と妹に移す可能性がなくなったのですからね。


さて、その医師は母親のかかりつけの医師ですから母親のことについて報告しました。


「先生、僕は先生にいつもお世話になっている勝子(かつこ)の息子なのですが・・・」


「あ、そうなんですか・・・」


「実はおとといの夕方に母親が・・・」と僕がそこまで言うと、医師は「え!どうしたの?」と驚いた表情をします。母親がしんだように勘違いされたと思った僕は慌てて言葉をつなぎます。


「あ、死んではいませんよ」


「あ、そうですか。よかった・・・」


「脳梗塞で倒れて、相模原病院に入院しました」


「そう・・・お母さん、ええと・・・」と言いながら電子カルテをカチャカチャ見ながら「あ・・・12月に来たのが最後ですね。このときは鼻血が出て止まらないとかで貧血状態だったのです。鉄欠乏性貧血・・・それで脳梗塞か・・・ふうん・・・」


「コレステロール値が高い(僕の家系病です)ので相模原病院に通っていたのですが、そのときに紹介状を書いていただいて、先生に診てもらえと言っていたのですが、半年も来ていないのですか・・・」


「通院されていたらいくらか予防もできたかもしれませんが、お母さんは煙草を吸うからね」


「そうなんですよ。いくらやめろと言っても聞かないんですよ。煙草やライターに灰皿を捨てても、また買ってきては陰で吸っているんです」


「でも、今度は苦しい思いをしたので止めるんじゃないかな」


「そうですよね」


それから病院を出て、母親の入院している国立相模原病院に小田急線に乗って向かいます。国立相模原病院は「小田急相模原」という駅から歩いて15分ぐらいの場所にあります。


ベッドに横になっている母親を見ると、92歳で亡くなった一関(岩手県)の祖母そっくりな顔になっていて不謹慎にも笑ってしまいました。


「なにゅを笑う・・・」と言って母親が笑います。元気な様子でびっくりしました。入れ歯を取っているので、なんだか間抜けた表情です。


「ほら・・・」と母親が言うと右手と右足を動かして見せます。たった3日で回復したのです。


「こいつは誰だ?」と妹を指さすと母親は「せちゅ子だよ」と言います。僕の妹は世津子(せつこ)と言いますが「さ行の言葉」がうまく発音できないようです。それでも昨日よりはずっと修復されているようです。意識もしっかりしています。ただ、たまにあくびを連発します。脳梗塞による症状のひとつなのでしょうね。


午後になって僕の妻も病院にやってきたので、病室はにぎやかになって母親は嬉しそうでした。


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おっと、今回の主旨です。


たとえば新型インフルエンザでなくてもインフルエンザや感染する病気に罹患した人が、病人のお見舞いに行くのはよほどの理由がないかぎりは止めましょう。理由があって出かけたとしてもなるべく病人に近寄らないこととマスクをしっかりと正しく装着することを忘れてはいけません。


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前回、僕の母親が脳梗塞になったことを書きましたが、今回はその続きです。その前に脳梗塞についてWikipedia「脳梗塞」 を参照すると・・・。以下にそのまま引用します。


脳梗塞(のうこうそく、cerebral infarction/stroke、別名:脳軟化症(のうなんかしょう))とは、脳を栄養する動脈の閉塞、または狭窄のため、脳虚血 を来たし、脳組織が酸素、または栄養の不足のため壊死、または壊死に近い状態になる事をいう。また、それによる諸症状も脳梗塞と呼ばれる事がある。なかでも、症状が激烈で(片麻痺、意識障害、失語など)突然に発症したものは、他の原因によるものも含め、一般に脳卒中と呼ばれる。それに対して、緩徐に進行して認知症(脳血管性認知症)などの形をとるものもある。 (Wikipedia脳梗塞より)


怖いですね。脳梗塞と脳軟化症が一緒だということも初めてわかりました。僕の母親の場合は梗塞の撮像(MRIの映像)がやや大きく、早い処置のために比較的軽症で済んだようですが、上記中の脳卒中に該当するのでしょうかね。軽症といっても以下のような治療とリハビリをしなくてはならないそうです。


2週間は入院しなくてはならないのですが、この間にカテーテルで“血液をサラサラにする薬液”を動脈内に投与することで治療していきます。これを「血栓溶解療法」と言うのだそうです。その後、言語リハビリというリハビリをしなくてはならないのですが、入院した国立相模原病院ではそのリハビリができないので、他病院で言語リハビリを行う予定です。


発見が遅れたり、また年齢による劣化(老化)のひとつだろうと油断して、処置を誤ると大変なことになってしまうそうです。


母親の病状は、発症期より意識ははっきりとしており、瞬間的に返事をするようなことは、ろれつも普通に返事ができます。ただ、言葉をつなぎながら長く話をしなくてはならない場合には、なかなか言葉が出てこないのです。


また発症当日と翌日までは、左の脳に梗塞ができたたために逆の右側の手足が麻痺して力が入らない状態でした(右にできた場合には左側が麻痺するそうです)が、3日目には手足が普通に動かせるようにまで回復しました。手の握力もやや弱いくらいで驚くほどの回復力でした。


早期発見と処置が功を奏したのですね。


「発症の状態について」  

病室で妹と母親に話を聞いて、発症当時の様子を知ることができました。それは以下のようなものでした。


僕からの電話を切ったあと、母親は夕飯の用意をしてから横になってテレビを見ていたそうです。すると、いきなり気持ちが悪くなって、その場で嘔吐してしまったのです。朝から食欲がなくコーヒーゼリーしか食べていなかったようですが、口から噴水のように吐しゃ物が噴き出したのだそうです。しかも1度だけでなく数回吐いたそうです。頭痛はなかったそうです。ただ、突然気分が悪くなったというのが母親の場合の症状です。


母親は意識が朦朧となりながらも自分が汚した部屋を掃除したと言います。それを裏付けるように妹が帰宅して救急車を呼び終わって待機していた時に部屋の中を見まわすと、部屋に敷いてあったカーペットがきれいに畳まれて玄関にあり、部屋中の家具には乱暴に何かをふき取ったような跡があったと言います。母親は無類のきれい好きなのですが、なにもこんな時までと少し涙が出ちゃいます。

妹が玄関のドアを開けて室内に入ったとき、ドアを開けようとしてふらふらと立つ母親が見えたそうです。意識はしっかりとしているのですが言葉が出てこない母親を見て脳の病気というイメージから「母親は死ぬのではないか」という思いが頭の中を駆け巡りながらも何もできない自分に腹が立ったそうです。


そこに救急車が来て、妹は少しほっとしたようです。母親を運び出し、搬入病院が決まるとあっという間に病院に到着したので少し驚いたと言います。救急車と救急隊の方々のありがたみがわかったとも言います。救急車を大した用もないのに使う人たちが増えているといいますが、そのために誰かの命が失われるようなことがあれば最悪です。


脳梗塞は高脂血症や動脈硬化、高血圧などの所謂“血液の粘度”が高い方に多く発症する病気です。心筋梗塞の疑いありと診断された(笑)かく言う僕もそのひとりです。脳梗塞の予防策としては、生活の不規則を改善する、油っこい食事を控えるだけでなくバランスの良い食事内容にする、煙草を吸わない、飲酒を適度にする、運動をする、普段から水をたくさん飲むように心がける・・・ということです。水をたくさん飲むのは効果的なようですよ。


おっと、今回も脳梗塞の話で終わってしまいました。次回は必ず、私の犯した罪について書きましょう。

少し現実的ではありませんが、誰でも“嫌な予感”がすることはあると思います。何か大事が起きる前に草鞋の紐が切れた(笑)とか・・・あ、今は靴の紐ですかね?


先週の木曜日の朝、いきなり母親のことを考えたのですね。僕の母親は神奈川県にある某町に妹と一緒に二人暮らしをしているのですが、 母親は今年で79歳。結構いい年なのです。それでも足腰はしっかりしているし、風邪もあまりひいたことがありません。不健康なところはコレステロール値が高いくらいなのですね。


でも、その日はなんだか胸騒ぎがしたので電話してみたのです。


すると、誰も電話に出ないのですね。妹は仕事があるので昼間はいませんから母ひとりなんです。出かけることと言えば月一の美容院とか夕方に近くのスーパーに出かけるくらいで大抵は家にいるはずなのです。「あ、美容院なのかな?」と考えて電話を切ってしばらく仕事をしていましたが、なんだか気になって仕方がないのですね。それでまた電話をしてみるとまたもや誰も出ないのです。


不安が増幅されていきます。それでも僕は何も行動を起こしません。「まさか・・・」などという切羽詰まった真剣な感情は、通常であればそんなに簡単に精神内から湧き出てくることはないのです。


午後になってから再度、電話をしてみると「もしもし・・・」と母親の声が電話から聞こえてきたので僕は安心しました。聞けば美容院に行っていたとのこと。「今日は美容院の日だったの?」「そうだよ。心配かけてごめんね」母親の声を聞いて安心した僕は「何かあったら電話して」と言って電話を切ると、仕事の資料に目を通すことにしました。


資料を元にパソコンで仕事の構成などを考えていると、メールが着信しました。妹からでした。


メールの文章を見て驚きました。


「家に電話したらお母さんが変なの。あと少しで自宅に帰りつくからそっちからも電話してください」とあります。


え? さっき電話を切ったばかりなのに・・・とぞっとした僕は慌てて母親に電話しました。「出ろ!」と叫びます。「もしゅもし・・・」電話に母親が出たのですが明らかにろれつが回っていないのです。


「あにょね、ふう・・・おかしいんだよ。ふう・・・はにゃせなくなっちゃったにょ・・・よ」


「どうしたの?」


「ふう・・・おかしいにょぅ・・・だめ・・・わきゃんにゃ・・・」


「ちょっと待って、今から行くから、それまで頑張って!!!」


「あい・・・」


電話を切って家の中を走り回って身支度を整えると、ハッと気がつきました。僕は千葉に住んでいるので、どんなに急いでも2時間以上はかかります。神奈川の救急車を呼ぼうと考えて、その前に再度母親に電話をしてみました。


「は、もしもし・・・」妹でした。妹が帰り着いたのでした。


「おふくろはどうした!」


「お母さんが変なの。立てないみたいで、話もできないみたい・・・」


「じゃこれから行くから」


「千葉からじゃ時間かかるからいいよ。これから救急車を呼んで病院へ連れて行く。また電話するね」


「おう」と電話を切っても心配で心配で居ても立っても居られないのですが、何があるかわからないので妹からの電話を待ちます。


30分後に妹から電話がありました。


「相模原の国立病院(国立病院機構相模原病院)に連れてきてもらって、今、検査を受けてもらっている。はっきり病名がわかったら、また電話するね。兄さんは明日こっちきに来てくれればいいから」


「その前に、午後に電話した時は元気だったのに、何があったのかわからないか?」と言うと・・・。妹は以下のような話をしてくれました。


妹が残業になりそうなので、いつもはしないのですがなんだか不安になって母親に電話をしたら、母親の話し方がおかしいし、苦しんでいるようだった。なんだか命に関わることが起こったようなので、妹は同僚に残業を代わってもらって急いで(と言っても妹が家に到着するまでには1時間以上の時間はかかっています)自宅に戻ってみると、母親が壁に手を当てて立っていたのですが今にも崩れ折れそうな様子で、何を聞いてもわけのわからないうめき声だけが発せられてきちんと言葉が出なかったのだそうです。


とりあえずは電話を切って、妹からの連絡を待つことにしました。


それからだいぶ時間が経過して午前2時近くになって電話が鳴りました。


病院で脳のMRIを撮ってみると“脳の血管に梗塞”があることがわかりました。脳梗塞でした。幸いにも発見が早かったので2週間くらい入院して、血液をサラサラにする薬品をカテーテルで流し続けるという治療をしなくてはならないということでした。


こうやって書いてみると、今回、「虫の報せ」という記事タイトルにはしたものの・・・僕の場合の虫の報せは、不安感だけで行動を起こしていないためにまるきり役に立っていないことがわかります。妹が母親に電話しなければ母親はどうなっていたかわかりません。いつもはしない電話1本によって母親は大事に至らずに済んだのです。妹には虫の報せというものがあったようです。


非科学的であっても、何かを不安に感じたら、その不安を取り除くべき行動を起こすことが重要ではないかと僕は思うのです。電話1本で、その不安を取り除くことができればいいだけなんですからね。


翌日、僕は国立相模原病院に向かいましたが、この話にはまだ続きがあるのです。


安全なことが趣味であるはずの僕が犯した愚かな罪のお話なのです。と言っても犯罪ではありません。それではまた次回・・・。