術後感染による瘢痕拘縮:鼻柱後退を伴うアップノーズに対する修正再建術
2020年国内の美容クリニックでシリコンプロテーゼ挿入術および他人の肋軟骨(IHCC)による鼻中隔延長術を受けました。術後3日目に鼻尖~鼻背が発赤・腫脹し、プロテーゼを摘出したのですが、その後徐々に鼻柱が後退し、術後1ヵ月でアップノーズが顕著になりました。患者様は、この手術の10年前に別のクリニックでI型シリコンプロテーゼを留置しており、今回の手術ではプロテーゼの交換を行わず、延長術を受けたそうです。感染の原因は、プロテーゼを交換せず、異物であるIHCCによる延長術を行ったことにあると考えられました。2019年から2020年にかけて国内の一部の美容クリニックで非常に多くの方がIHCCで鼻中隔延長術を受けました。2019年に海外の由緒ある形成外科雑誌にIHCCが非常に有用な素材であると報告され、IHCCの販売が促進されたと考えられました。しかしその投稿論文の著者は、珍しくPh.D.(博士)は持っておらず、共同著者は、これも珍しくM.D.(医師)ではなく、Engineer(開発に関わった技術者でしょうか)でした。この雑誌は審査が厳しく、著者のほとんどがPh.D.&M.D,つまり医師であり、医学博士を持つ研究者レベルの方々です。この発表論文は違和感がある内容で、なぜ投稿論文が受理されたのか疑問でした。以前この雑誌の査読(論文審査)を他の医療機関から私が専門ということで依頼されたことがあるのですが、海外の著名な医師から審査を通して欲しいというプッシュがあったと聞きました。このような雑誌であっても外部からの圧力によって審査は通るものなのでしょう。この患者様は当院で3回の修正術を受けました(2回目の手術は、3回目の手術の準備であり、2回目の1週間後にメインの3回目の手術を行いました)。1回目の修正術は感染から10ヶ月後で以下です。・鼻骨々切り幅寄せ術・鼻尖部移植軟骨摘出・瘢痕減量術・鼻中隔部IHCC摘出術・肋軟骨による再延長術・鼻根~鼻背部細片耳軟骨移植術・両側鼻孔縁形成術(肋軟骨)2、3回目の修正術は、皮膚の伸展性が回復するのを待ち、1回目の修正から2年10ヶ月後でした。・鼻尖部皮下剥離術1週間後に・ストラット法による鼻柱移動術・左右下外側鼻軟骨修正術・鼻柱基部細片耳軟骨移植術左:術前 右:3回目修正術5ヶ月後↓術前 正面↓3回目術後5ヵ月↓術前 斜位①↓3回目術後5ヵ月↓術前 ②斜位↓3回目術後5ヵ月↓術前 側面↓3回目術後5ヵ月次回鼻翼挙上術を検討していましたが、患者様が治療を要する不整脈を発症し、修正術は、これで最後となりました。術後感染における修正は、複数回必要なケースもあり、また感染による組織変性によって皮膚の伸展性を待つことになればゴールまでが非常に長くなります。ー手術料金ー1回目手術・鼻骨々切り幅寄せ術 660,000円(税込)・鼻中隔部IHCC摘出術 440,000円(税込)・肋軟骨による再延長術 1,650,000円(税込)・鼻根~鼻背部細片耳軟骨移植術 550,000円(税込)・両側鼻孔縁形成術(肋軟骨) 220,000円(税込)2,3回目手術・鼻尖部皮下剥離術 330,000円(税込)・ストラット法による鼻柱移動術 770,000円(税込)・左右下外側鼻軟骨修正術 385,000円(税込)・鼻柱基部細片耳軟骨移植術 275,000円(税込)別途術前検査料、診察料、麻酔料、薬剤料を要します*上記料金は2024年9月時点の正規料金です*モニター割引があります銀座すみれの花形成クリニック 院長 横山才也日本美容外科学会(JSAPS)専門医日本形成外科学会専門医ホームページhttp://ginza-sumirenohana.com/ 手術サテライトhttps://ginzasumirenohana.wordpress.co