36話 公園と家出少女と心の虹!
初夏の公園は、緑が眩しく、鳥のさえずりが心地よく響いていた。ハナちゃんは、いつものように元気いっぱいに公園を駆け回り、ヨシダさんはベンチで日向ぼっこ、チヨは木陰でスマホをいじっていた。そして、公園の隅には、いつもと変わらず佇む自販機、タカシがいた。
「あれ?あそこにいる子、一人ぼっちで寂しそうじゃない?」ハナちゃんが、公園のベンチに座り、俯いている少女、サキに気づいた。
「ほんじゃ、ちょっと話しかけてくるかのう」ヨシダさんが立ち上がり、サキに近づく。
ヨシダさんはサキの隣に腰を下ろした。
「こんにちは、お嬢ちゃん。何か困ってるのかね?」ヨシダさんが優しく声をかけると、サキは顔を上げ、不安そうな瞳でヨシダさんを見つめた。
「…別に、何も」サキはぶっきらぼうに答えたが、その声は震えていた。
「もし、何かあったら、ワシたちに話してみるとええ。ワシらは、みんなおせっかいじゃからのう」ヨシダさんが笑顔で言うと、ハナちゃん、チヨもサキの周りに集まった。
「そうだよ!私たち、みんなで力になるから!」ハナちゃんがサキの手を握り、励ます。
サキは、意を決したように、自分の身の上話を始めた。
「…私、家族と上手くいってないんです。特に、お母さんと。いつも私を責めるんです。『あんたはダメな子だ』って。『もっとしっかりしなさい』って。でも、私だって頑張ってるのに…。将来のことも不安なんです。何をしたいのか、何ができるのか、全然分からなくて…」
サキは、目に涙を浮かべながら、自分の悩みを吐露した。
「学校でも、友達とうまくいかないんです。みんな、私のことを『変わってる』って言うんです。一人ぼっちでいるのが楽なんですけど、本当は、誰かと一緒に笑いたいんです。でも、どうすればいいのか分からなくて…」
サキは、孤独と不安に押しつぶされそうになりながら、言葉を続けた。
ハ「そっか…辛かったね」ハナちゃんがサキの背中を優しく撫でる。
「…ありがとう」サキは、少しだけ表情を和らげた。
「よし、それじゃあ、元気を出してもらおう!」ハナちゃんが手を叩き、提案する。「タカシ!何か温かい飲み物とか、美味しいものある?」
自販機、タカシは、いつものように豊富な品揃えで応えようとした。しかし、なぜか出てくるのは賞味期限切れの缶コーヒーや、見たこともない色の謎のドリンクばかり。
(どうなってんだ、俺の機能!?さっきまでちゃんと動いてたのに!)タカシは内部で焦り、機能の再起動を試みる。
「仕方ないのう。ワシが何か面白い話でもしてやろう」ヨシダさんは咳払いをして、話を始めた。「ワシの若い頃はのう…」
しかし、ヨシダさんの話は、昔の武勇伝や自慢話ばかり。サキはうんざりした表情で、ハナちゃんは苦笑い、タカシは機能の再起動を試み、チヨはスマホで霊界の情報を調べていた。
「ちょっと、ヨシダさん!話が長すぎるよ!」ハナちゃんがヨシダさんの話を遮る。
「霊界の情報によると、サキちゃんの未来は…」チヨがスマホの画面を見ながら、話し始めた。しかし、その時、霊界の住人たちが次々と現れ、騒ぎ始めた。
「お前ら、今は忙しいんやから邪魔せんといて!」チヨは霊たちを追い払おうとするが、霊たちはチヨの周りを飛び回り、騒ぎを大きくするばかり。
公園は、カオスと化した。ヨシダさんの武勇伝はますますヒートアップ、チヨは霊たちに囲まれ、サキは俯いたままだった。タカシは、機能の再起動に苦戦していた。
「もう、めちゃくちゃだよ!」ハナちゃんは頭を抱え、叫んだ。「みんな、ちょっと落ち着いて!今はサキちゃんの話を聞くのが先でしょ!」
ハナちゃんの言葉に、ようやくみんなの動きが止まった。サキは、戸惑いながらも、自分の悩みを打ち明け始めた。
「私…どこにも居場所がないんです。家族も、友達も、誰も私のことを理解してくれない。将来のことも、何もかも不安で…」
サキの言葉に、ハナちゃんは優しく語りかけた。「サキちゃん、大丈夫だよ。私たち、今日会ったばかりだけど、サキちゃんの話、ちゃんと聞いてるからね。それに、ヨシダさんもチヨちゃんも、タカシも、みんな優しい人たちだから、きっとサキちゃんの力になってくれるよ!」
ハナちゃんの言葉に、サキは少しずつ心を開き始めた。その時、タカシの機能が突然、正常に戻り、光り輝き始めた。
(…やっと直った!)タカシは内部で安堵し、温かいココアと、美味しそうなサンドイッチを出す。
「あれ?さっきまで変なものしか出てこなかったのに…」ハナちゃんが不思議そうに呟くと、ヨシダさんが言った。
「もしかしたら、お嬢ちゃんの心が通じたのかもしれんな。ワシらの熱意が、自販機に伝わったんじゃろう」
ヨシダさんの言葉に、ハナちゃんは笑顔で頷いた。「そうだ!みんなで温かいココアを飲んで、美味しいサンドイッチを食べよう!」
みんなでココアを飲み、サンドイッチを食べていると、サキの表情が少しずつ和らいでいった。
「ねえ、サキちゃん。何かやりたいこととかない?」ハナちゃんが尋ねると、サキはポツリと呟いた。
「…綺麗な景色が見たい」
サキの言葉に、ハナちゃんは提案した。「それなら、夕焼けを見に行こう!この公園から見える夕焼けは、すごく綺麗なんだ!」
みんなで公園の丘に登り、夕焼けを見た。サキは、生まれて初めて見る夕焼けに、目を奪われた。
「…綺麗」サキは、感動のあまり、涙を流した。
その時、チヨが霊界の住人たちを連れてきた。「サキちゃん、見て!あれは、霊界の虹やで」
空には、七色の美しい虹がかかっていた。それは、霊界と人間界を繋ぐ虹だった。
「この虹はな、希望の象徴や。サキちゃんの未来も、きっと虹のように輝いてるわ」チヨが優しく語りかけた。
サキは、虹を見つめ、自分の未来に希望を感じ始めた。ハナちゃんたちは、サキの背中を優しく押し、サキは、笑顔で公園を後にした。
公園に、いつもの穏やかな時間が戻った。タカシは、機能が正常に戻ったことを確認し、新商品を追加しようとするが、またもや謎のドリンクが出てきた。
(俺の機能、どうなってんだー!)タカシの内部で叫び声が響き渡るのであった。
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