《前編》 より

 

【変わり種】
 『ソビエト帝国の崩壊』『アメリカの逆襲』など多数のベストセラーを出している小室直樹さんも、風変わりという点では人後に落ちない。
 最初に本が売れたとき、巨額の収入が彼のフトコロに転がり込んできた。が、彼は「これではこれまでの生活のペースが崩れてしまうから困る」と、早くも絶筆宣言をした。
 ラジオの番組にいっしょに出演したとき、マイクのテストに登場した小室さんは、こともあろうに「ニャーオ、ニャーオ」と猫の鳴き真似をした。私でさえ、「今日は、竹村です」と真面目にやっているマイク・テストで猫の鳴き声をやったのは、おそらくこの人が最初で最後であろう、
 空前絶後、私も脱帽する変わり種であった。(p.193-194)
 この程度で空前絶後だろうか?
 桃太郎と一緒に隣の猫にからかわれているチャンちゃんにとっては、まるで普通のことである。

 

 

【受け止め方】
 「アルバイトをしながら英語が習える。こりゃ一石二鳥や!」とほくそえんだ私のもくろみは、バイト初日で無残にもこわれた。
 こういう経験の受け止め方には、二通りある。ひとつは、「人生とは辛いものだ」というネガティブな受け止め方である。もうひとつは、「これくらいひどい経験をしておきゃ、あとは何が来ても驚かない。何やっても食っていていけるわ」というポジティブな受け止め方である。
 私の場合は、もちろん後者である。人生に対して非常に楽観的になれる。(p.205-206)
 現実に起こっていること自体はあくまでも客観的事実に留まっている。それをどのように受け止めるか、それにどのような解釈を施すかが、その後の別れ目である。
    《参照》   『ブレイヴ・ガール』 リズ山崎 (メディアファクトリー)
              【クビになったトラ】
    《参照》   『トレンド学』 秋元康 (マドラ出版)
              【運は思い込み】

 

 

【もっと変人に・・・、もっと嫌な奴と・・・】
 もし自分が職場やいまの環境の中で、ちょっと変人扱いされているとしたら、それに臆し、めげるのではなく、もっともっと“変わっている”部分を伸ばし、あるレベル以上になる努力をしたほうがよい。(p.214-215)
 長所伸展法ならぬ変人伸展法。
 平均値の側に流れたら価値はなくなる。突出したら長所、しなかったら無意味。
 自分で自分を狭めることはない。自分の能力はしょせんこんなもんだ、というふうに自分で思い込んでしまっている人が、世の中には結構多いものである。
 この本を読み終えたら、さっそく“イヤな奴”とどんどんつき合って、あなた自身の“意外な能力”を発掘してほしい。(p.221)

 

 

【自信】
 自信などというものは、いいたいことをいい、人とぶつかって、いじめられ、辛い目に遭っていくうちに、自然に生まれてくるものである。
 自信がないから何も言えない・・・といった消極的な態度では、いつまでたっても自信などつきっこない。(p.234)
 言っちゃって、やっちゃって、その都度、軌道修正しつつ進む。
 そのような経験の蓄積が自信になる。
 蓄積しよう。

 

<了>

 

  竹村健一・著の読書記録