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 お3方とも1930年生まれで、長く日本のオピニオンリーダーとして活躍してくださっている。お3方の対談本は、いつも日本の尊さを自覚させてくれる。タイトルに関連した部分だけ書き出しておこう。2006年8月初版。

 

 

【天下り】
日下 : 伊勢神宮の鳥居などの木は20年ごとに新しく取り替えているのですが、使っている古いほうは天下り先が決まっている。次の神社の鳥居に使われ、また次の神社と3回ぐらい先が決まっているのです。あれが天下りの始まりらしい(笑)。(p.71)
 森や樹木を大切にしてきた古代文明のあり方が日本では今でも維持されているという記述の中にあるこのジョーク、笑えない。
天下りを多くかかえ込んでいた日産はゴーン改革の餌食になったし、天下りの甚だしい無駄使いだった 「かんぽの宿」 は、結果的に外資系企業の日本進出を招く誘因になった。ヤクザのシマがギャングのテリトリーになったようなものである。仁侠道には人本主義という日本の香りが残っていたにせよ、ギャングにそれはない。そもそも天下り官僚は単なる既得利権集団という貪欲な寄生虫であって、ヤーさんだって一緒にされたら迷惑がるような卑しい人々なんじゃないだろうか。
日下 : 公務員改革というと、すぐに人件費を抑えようとか、定員を減らそうという話ばかりしていますが、国民の気持ちを代弁すると、卑しい公務員をなくしてほしいということです。 ・・・(中略)・・・。 国民は公務員に品質を求めているのです。(p.195)
 民間企業は国際競争に晒されながら技術革新を続けているけれど、公務員は1960年代の燃費の悪いボロ車程度の品質が今でもキチンと維持されているのだろう。生存競争に晒されていない環境下で権限ばかり持つところの人間は、革新しないどころかその人的資質は宿命的に劣化するのである。

 

 

【日本は世界の鑑】
竹村 : 歴史学者は 「神話と歴史は別だ」 といいますが、やはり日本人の魂をつくっているものは日本の神話です。ギリシャ神話ではなく日本の神話を学校では教えるべきです。
渡部 : とにかく私は、こんなに豊かな文化を持った日本全体をユネスコのような機関が特別の遺産にして大切にしなさい、といいたい(笑)。こんな国に攻撃するだとか、貿易摩擦を起こすとか、変なことするのはやめなさいと(笑)。
日下 : 本当にそうですよ。日本は世界の鏡です。それがわからない国は、だんだん病んできておかしくなるはずです(笑)。
竹村 : 人類の祖先はアフリカから出てきたという定説がありますね。そこから、一番遠いところまで来たのが日本人の祖先です。
 だから日本人は最も好奇心に富んだ優秀なアドベンチャラスな民族だと、
ケン・ジョセフさんが、『失われたアイデンティティ』 (光文社)という本に書いています。(p.73-74)
 日下さんの発言の中にある 「日本は世界の“鏡”」 は、文章化した出版社の誤記。鏡 ⇒ 鑑。
 渡部先生は、連綿と続いている天皇という存在の特異性が世界の人々にとって関心の的になっていることを以前からいくつもの本に書いて教えてくれている。日下さんは、日本にある様々な 『見えない資産』 の価値を事あるごとにいくつもの書物に記述して気付かせてくれている。そして、お3方共通して、中韓のアジア文明とは明らかに異なる、神道を基盤とする日本文明の価値を昔から語ってくれている。
 

 

【イラク人の日本訪問】
日下 : 先日、イラクのサマワ地区で働く医者や小学校の先生、族長さんなど5,6人を外務省が日本へ呼びました。外務省の外郭団体が旅行会社を通して京都へのツアーを企画したということで、彼らに金閣寺や清水寺を見せて回ったのです。
 しかし、東京財団はその他に自衛隊中央病院を見せました。自衛隊中央病院は築57年ぐらいのオンボロ病院です。その古い病院を見せると、彼らは本当に感動していました。
竹村 : へえ、どうしてですか。
日下 : 彼らはこんなことをいったのです。
「こんな古い病院が自衛隊の中央病院だと知って、私たちは人生観が変わりました。落ちているゴミを拾う人はいますし、看護婦さんもドクターも。それから患者までもゴミを素早く拾います。古くてとてもきれいな病院です。
日本は自分たちは古い病院を大事に使いながら、私たちのイラクにはピカピカの病院を13もつくってくれたのだと知り、感動しました。しかも、われわれはきちんと清掃しないから、新しい病院がいまは汚くなってしまっています。こんなにはずかしいことはありません。メンテナンスの大切さということを日本に教わりました。これからイラクへ帰ったら、心を入れ替えて清掃します」 (p.76-77)
 マスコミは自衛隊派遣のことばかりで、日下さんが書いてくれているような病院を13個も作っていたことなど報道していないだろう。陰徳も尊いけれど、諸外国のために良きことを行っている場合には、それらを具体的にキチンと報道してもらったほうが、日本人一人一人は誇りが持てるだろうし嬉しいはずである。

 

 

【歴史認識】
渡部 : 日本人なら知っておかなければならないのは、支那事変は向こうが始めたということです。これは厳然たる事実なんですよ。
竹村 : そういうこれまでの常識とは異なる主張が、海外のメディアで報道されて、もっと知られるようになればいい。
渡部 : 東京裁判でも、このシナ事変は日本が始めたのだということで、関係者が呼ばれています。けれども少し調べたら、事実とは異なることがわかり、皆帰えされました。このことは、国際的にすでに認められているのですが、広まっていないだけです。
竹村 : 僕は国際的に認められているとまではいいませんけれど、たしかに広まっていないのは事実です。これではあかんと思うね。
日下 : そうです。日本人自らが誤ったことを信じていたら終わりです。 (p.164-165)
 下記リンクは、NHKで誤った世界史を教えていた先生の著作である。
   《参照》   『鉄道地図から読みとく秘密の世界史』 宮崎正勝 青春出版社
                【満州鉄道】

 なぜ、日本人自らがあやまったことを信じさせられてきたかは、下記の著作に記述されている。
   《参照》   『楽しい読書生活』 渡部昇一 ビジネス社 《後編》
              【反日教育の出発点】

 第二次大戦の発端だって、日本の侵略ではなく安全保障上の行為だったことはすでに常識である。渡部先生はその証拠となるマッカーサーの発言を引用している。
渡部 : ですから私は、英語の雑誌にも書きました。「英語の先生たちよ。生徒にたった一行でいいから、この英語を覚えさせてくれ」 と。
「 Their purpose 」、 「Their」 は日本人のことです。 「 Their purpose, therefore, in going to war was largely dictated by security. 」 この文章だけは、すべての日本の子供たちに暗記させてくださいと。
日下 : セキュリティを危うくしたのはアメリカなのです。(p.155)

 

 

【日本の国歌 「君が代」 】
竹村 : 日本のいいところといえば、「君が代」 があります。僕は毎年 『これだけ手帳』 というのを出しているんですが、そこにいくつかの国の国歌を乗せています。 ・・・(中略)・・・。 他の国の国歌と比べて、日本の 「君が代」 がいかに平和な国歌かと気づかされます。
渡部 : 他国の国の国歌は血まみれですから(笑)。
竹村 :国のために剣をとれ、銃をとれとか、命をささげよ、といったものすごい歌詞が多いのです。戦争しなさい、戦争しなさいといっているようなものです(笑)。
 「君が代は~」 というのんびりした歌とは、まったく違います(笑)。日本人は国歌を含め、自分の国のいいところにもっと自信を持っていいのです。(p.206-207)
 歌詞の国際比較という点で 「君が代」 はたいそう水際立ったものであるけれど、「君が代」 の歌詞の正しい意味を知っている日本人もまた多くない。
   《参照》   『知っておこう!日本の国歌 君が代』 五十嵐直詞 リーブル

 

<了>