《前編》 より

 

 

【日本のパスポートが闇世界で高値で取引される理由】
 筆者が学生のときにアジアを旅していると、不良の異邦人から「日本人は、いざとなったらパスポートを売ればいい金になるからうらやましい」と聞かされたことがあった。その不良によると、世界中の旅券のなかで、日本旅券が最も高い値段で売れるというのだ。(p.132)
 その理由は、経済的に強いからということではない。
 (世界中の多くの国々と)友好的な関係を持つ国は、世界を見渡しても日本だけである。日本が世界中の国と友好関係を保っているからこそ、国際社会のなかで日本が担える特別な役割があるのではないか。これは他者との協調を大切にしてきた日本の和の精神があってはじめて可能なことである。(p.134)

 

 

【エルトゥールル号の遭難事件】
 日本の外交の歴史で、これほどの美談があったろうか。 ・・・(中略)・・・ 。日本ではあまり知られていない。だが、トルコでは社会科の教科書に必ず紹介されている有名な事件で、日本とトルコの友好の証として、百二十年の時代を経た今もトルコ国民に記憶されている。(p.136)
 4頁に渡って、概要が書かれているけれど、下記のリンクで代用してしまう。
   《参照》   『世界から絶賛される日本人』 黄文雄 (徳間書店)
             【山田寅次郎】

 

 

【礼儀の根本】
 終盤に、著者と北野たけしさんの対談が収録されている。
竹田  ではたけしさんからご覧になって、日本をよくするためには、何が必要であるとお考えになりますか。
北野  最近、小笠原流の本を読んでいてとても面白かったんですが、礼儀が理論にかなっているというか、食事の仕方から上座・下座の決め方、刀の置き方までが実に科学的でした。礼儀というのが、単に目上の人へのおべっかじゃなく、なぜこういう行動をするのか、ということが理路整然と書いてある。そうやって礼儀作法を科学的なこととうまくリンクさせて教育すべきだと思うんですね。(p.221)
 礼法・作法の源流は忍術だろう。忍びの者たちが、敵味方を判別するため、ないし、大切な人を守るために様々な礼法や作法を作ったのである。
    《参照》   『美人のお作法』 友常貴仁 (インデックス・コミュニケーションズ)
                【作法の元】

 このことは、「今日の忍者たる世界各国の諜報機関の人々は、日本人より礼儀正しい」という下記リンク内の記述からも窺えるだろう。
   《参照》   『新説2012年 地球人類進化論』 中丸薫・白峰 (明窓出版) 《前編》
                【日本の忍者マスター】

 これらのことを書きながら思ってしまった。
 小中学校の授業の、国語は「呪文術」、美術は「美呪術」、算数は「算術」、体育は「忍術」と名称変更するだけで、日本人の魂靈は、大いに蘇るんじゃないだろうか・・・と。ついでに、「甲賀流○○忍者学校」とか「伊賀流○○忍者学校」なんていう名前に変更したらもっと良いかも。そうしたら日本人のみならず、世界中から忍者に憧れている子供たちが日本に押し寄せてくるかもしれない。
   《参照》   『人生の錬金術』 荒俣宏・中谷彰宏 (メディアワークス)
                【美呪術】
                【国語という「呪文術」】
   《参照》   『日本人の知らない日本語2』 蛇蔵&海野凪子 (メディアファクトリー)
                【忍者】

 

 

【日本を知らないと、日本人としての発想が出てこない】
竹田  銀山温泉の外国人女将が、 『ニッポン人には、日本が足りない』 といいましたが、外国人の反応を見て、我々日本人がハッとするような点は多いですね。
北野  そもそも「何でも自由にしろ」というのも良くない。今、若者文化を見ていると絵から音楽から何もオリジナリティーがないでしょう。丸っきりコピーで、少しは日本的にならないかっていいたいね。所詮、人間に自由な発想なんてものはほとんどない。自由に発想する前に、どれだけのことを知っているか、ということがまずあって、それを知ったうえではじめて「自由」が出てくる。(p.222-223)
   《参照》   『天才論』 茂木健一郎 (朝日新聞社)
             【創造性】

 上記に続いて、
北野  自由であることが良いかどうかはスポーツを見ても分かります。たとえば。サッカーはいちばん不自由なスポーツ。使えるのは足と身体の一部だけ。でもサッカーの試合くらい、オリジナリティーあるプレーが生まれる競技はないでしょ。(p.223)
 不自由な制限の中からこそ創造性は生み出される、と言っている。
 日本の伝統芸能には様々な型がある。型という不自由な形式の中で表現しようとするから、エネルギーが充填され、観客はその目に見えないエネルギーを感受することによって感動するといえるだろう。
   《参照》   『萬斎でござる』 野村萬斎 (朝日新聞社)
             【 能楽の 「型」 】

 黒澤監督の作品も、能という日本の伝統芸能に慣れ親しんでいたからこそ、世界の人々は魅了される点が少なくなかったのである。
   《参照》   『ときめく美』 小田孝治 (ヒューマン)
             【やっぱり日本文化は能だ。】

 

 

<了>
 
 

  竹田恒泰・著の読書記録

     『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』

     『日本人て、なんですか?』