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 英語教員として日本に来て、日本人と結婚し、山形県・銀山温泉にある日本旅館の女将となったジニーさん。この本のタイトルはジニーさんが写った公共広告のCMコピーでもあるという。


【ジニーさんの “着物デビュー” 】
 ユタ州ソルトレイクシティーに住んでいた小学校1、2年生の頃、ハロウィンの仮装で、「GEISHAになりたい」、と言ってお母さんに作ってもらったそうである。
 また、アメリカにいるころから、日本語が書いてあるTシャツも、「かっこいい!」 と感じていたそうである。最近のアメリカ映画では、漢字やひらがなの書かれている服を着て写っている俳優を良く見かける。ジニーさんがアメリカにいたのは20年ほど前だろう。
 日本で銀山温泉旅館に嫁いで働くようになった5ヶ月目頃から、本物の日本の着物を常用するようになったという。最初の数ヶ月は、きつくて非常に疲れたけれど、今ではすっかり慣れてしまったそうである。


【生け花】
 生け花とフラワーアレンジメントの大きな違いは、シンメトリーにするか否か。自然の中に美を見る日本人にとって、左右対称などは殆どありえないことなのに、欧米ではシンメトリーが美の基本なのである。このような違いが、ジニーさんにとって、最初は驚きであったという。
 ジニーさんは、『ニッポン人には、日本が足りない』 ことの一つとして、こう書いている。
 生け花の勉強を始めたことにより、日本の伝統的な文化や芸術に触れ、なにより日本人の心を知ってゆくチャンスであり、とても楽しんでいます。・・・日本の若い方々が、こういった生け花の素晴らしさを体感したことがないとしたら、なんだか残念な気がします。 (p.148)


【あいまいで優しい日本語】
 お断りするときの、あいまいで優しい日本語、「お客様、それはちょっとご遠慮いただけますか。」 このような、相手に嫌な思いをさせずに断るということは、ジニーさんにとってとても難しいことだったそうである。 (p.158)

 上記の表現を、外国語に翻訳すれば、何処の国の言語であれ、「やめてください」 にしかならないのである。通訳を介して外国人と話す場合は、“日本人がいくら外国人に気を使って優しい日本語を使っても100%無駄” ということである。

   《参照》  日本文化講座⑩ 【 日本語の特性 】 <後編>

           ○○○ 世界で最も《 繊細 》な表現をもつ日本語 ○○○
 外国人と話す場合は、無神経で傍若無人で恥知らずな日本語表現で良いことを意味している。言葉=文化であるから、日本人から見れば、同じ東洋人といっても、近隣諸国の中国・韓国、いずれも、無神経で傍若無人で恥知らずな国民なのである。気を使って付き合っても日本人がバカを見るだけである。


【敬語などの難しさ】
 ジニーさんは、敬語、丁寧語、謙譲語がもっとも難しいという。お客様からお土産を頂いたときに、「どうもありがとうございます。あとで召し上がりますね」 といったり、「私がいらっしゃいました」 と言ってしまったり・・・(p.160)

 これは、気の毒だけれど良く分かる。日本人に敬語、丁寧語、謙譲語のテストをしても正解率は70%程度ではないだろうか。大学生程度の若者であればその率は50%以下であるような気がしないでもない。


【同じなのは住所だけ】
 家族のありかたについて、旦那様が温泉組合の会合などで夜いなかったり、テレビばかり見ていて家族との会話が少ないことがジニーさんには気がかりなようだ。
 「これって家族かしら? みんなバラバラで同じなのは住所だけじゃないの?」 (p.207)
 確かに、日本の家族はアメリカに比べたらバラバラに違いない。親子で会話のない家族って、確かに家族とはいえない。たんなる同居人である。


【我慢強さと親切心】

「我慢強さと親切心こそ日本人に備わっている素晴らしさ、価値ではないかと思います。」 (p.215)

と ジニーさんは書いています。銀山温泉は、東北地方のど真ん中、山形県東部の山間地にあります。我慢強さというのは、この地方ならではの素晴らしさかもしれない。なにせ、銀山温泉は、テレビ小説 『おしん』 のロケ地であったそうである。
 親切な人々は、世界中どの国にもいますが、ジニーさんがそう表現してくれるのは嬉しいことです。
 「精神と美が共存する日本」 (p.170) とも書いてくれています。


【ジニーさんファン】
 この本の中に掲載されているジニーさんの着物姿の写真を見て思った。「着物の似合わない日本人より、着物の似合うジニーさん(外国人)のほうが好きである」 と。チャンちゃんと同じように思う日本人が、少なからずいるに違いない。

 

<了>