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 いろんなことが書かれている日本論である。著者は明治天皇の玄孫にあたる方。だから早い時期から「日本」および「日本人」という意識を常に持って研鑽されていたんだろう。日本人であっても普通の日常生活者だと、なかなかそうはいかない。2011年1月初版。

 

 

【中国の若者】
 平成22年(2010)に中国の新聞社が行った調査によると、中国人の若者にとっては「最も好きな国」が日本であることが分かった。(p.15)
 中国では依然として反日教育が続いているけれど、15歳から20歳という世代の若者に関しては、「日本が最も好き」という結果になっている。アニメやかわいいファッションといった日本発の文化が大きな因子なんだろうけど、中国の政治力より日本の文化力が勝っている何よりの証拠である。
   《参照》   『日本力』 伊藤洋一 講談社
             【「かわいい」 以外の理由】

 

 

【日本アニメが世界に与えた影響】
 世界選手権をはじめ、北京オリンピックでも活躍した、イタリアのエースであるピッチニーニは『アタック№1』を観てバレーボールにあこがれ、主人公の鮎原こずえと戦うのが夢だったという。
 また『キャプテン翼』の影響でサッカーを始めたというプロのサッカー選手が世界中に数多くいる。かつて「世界最高のサッカー選手」と称えられたフランスのジダンをはじめ、ガットゥーゾ、デルピエロ、トッティ、ザンブロッタなど2006FIFAワールドカップの優勝国イタリアの代表選手の多くは『キャプテン翼』のファンである。ジラルディーノは「翼が歩んでいた道こそ僕らの夢そのものだったんだ」と語った事がある。
 集英社によると、『キャプテン翼』の世界での正規累計販売部数は約1000万部、国内販売部数は約7000万部に上るという。(p.23-24)
 日本アニメの世界進出は、大方の日本人が想像している時期よりはるかに早い。
   《参照》   『クール・ジャパン 世界が買いたがる日本』 杉山知之 (祥伝社) 《前編》
             【アニメブームはアメリカよりもヨーロッパの方が早かった】 ~

 

 

【アニメが創る、日本の良き理解者】
 集英社のマンガ誌編集者から聞いた話だが、雑誌に連載するマンガに絶対に必要な条件は「正義」だという。日本マンガ・アニメは一見ふざけているように見えても、その根底に「正義」があり、正直で真面目で勤勉な日本人の価値観が、マンガ・アニメを通じて世界に伝播されていることになる。
 子供のときから日本のマンガ・アニメに慣れ親しんで育ってきた異邦人たちは、マンガ・アニメを通じて、日本に親近感を持つようになり、これが日本文化や日本的価値観に興味を持つきっかけとなる。異国に日本の良き理解者をえることは、日本の将来にとってどれだけ大きな財産になるだろう。(p.25)
   《参照》   『数年後に起きていること』 日下公人 (PHP研究所)
             【日本マンガ・リテラシー(読み書き能力)が世界を変える】
   《参照》   『日本人の「覚悟」』 日下公人 (祥伝社)
             【日本発のアニメ】

 

 

【世界一の美食都市・東京】
 『ミシュランガイド東京』の発売で最も衝撃を受けたのは、あるいはパリの美食家たちだったかもしれない。なぜなら、世界屈指の美食家と評されるパリジャンにとって、美食天国のパリの地位が東京に奪われたというのは、聞き逃すことができないニュースに違いないからだ。(p.36)
 評価基準の厳格なミシュランガイド2010年版で、東京の三ツ星レストランの数はパリのそれを上回ったという。
 2010年版の東京では、星が付いた197軒のうち実に132軒が日本料理店だったことから見ると、ミシュランが東京を世界一の美食都市としたのは、日本食が高く評価された結果だと思われる。(p.38)
 個人的には美食になど全然興味がないけれど、美食レストランの存在は、世界全体の経済力の遷移状況や文化的潮流を知る上で大きな指標となるので書き出しておいた。
 日本人が思っている以上に、日本文化そして日本食は、世界から注目されている。
   《参照》   『ハリウッドではみんな日本人のまねをしている』 マックス桐島 (講談社新書) 《中編》
             【メタボ大国・アメリカの救世主】

 

 

【神々に新穀を供える新嘗祭】
 新嘗祭は天皇陛下が新穀を神々に御親供あそばされる日であるから、国民はそれまで新米を食べてはいけないのである。近年は早く新米を食べるのが贅沢であるかのように思われているが、本来そのようなものではない。新嘗祭の翌朝に家族全員で神に五穀豊穣を感謝し、揃って新米を口にするのが美しい日本人の姿なのではないか。
 ・・・(中略)・・・ 。
 愛媛県松山市に飲食店8店舗を展開するハッピーダイニング(宇都宮貞史社長)は、一日1500膳から3000膳の仕出しを担う系列会社を含めて、新嘗祭翌日までは決して新米を使用しないように徹底しているという。
 このような企業が増えれば、失われた日本の姿は取り戻せるのではないだろうか。(p.51)
 形に表して「神々を敬する」ことはこの上なく大切なこと。「敬」は宗教とか上下関係とか言う世界を維持する上での強制などではない。それは高度に進化した社会に見られる普遍的なあり方である。
   《参照》   『アミ3度目の約束』 エンリケ・バリオス (徳間書店) 《前編》
             【叡智と敬いの気持ち】

 日本国では天皇陛下が日本国民の代表として「神々を敬する」ことを毎日欠かすことなくなさってくれている。だのに日本国民が不敬の日々を過ごしていたりフライングしているのでは、ちょっと忍びない。そんな状態なら、本来はイエロー・カードなのだけれど、世界の中心たる日本文化の根幹を弁えない人々ほどブーブー言い出すものだから、無教養故の無自覚に対して識者達はひたすら沈黙するしかないのである。
   《参照》   『日本人て、なんですか?』 呉善花・竹田恒泰 (李白社) 《前編》
             【日本では、神様の威力も人間次第】
   《参照》   『ついに始まった大禊祓い 日月神示』 中矢伸一 (ヒカルランド) 《後編》
             【御稜威(みいづ)】

 

 

【ウズベキスタンのナヴォイ劇場】
 国境を少なくとも二回超えないと海にたどり着かない国を「二重内陸国」といい、世界中で、リヒテンシュタインとウズベキスタンの2カ国しかない。 ・・・(中略)・・・ 。
 私は、(ウズベキスタンの)首都のタシュケントを訪れたとき、中央アジア最大のオペラ・バレエ劇場である、ナヴォイ劇場を見学する機会を得た。 ・・・(中略)・・・ この建設工事を担当したのが、シベリアに抑留され強制労働させられた日本人だったという。(p.67)
 大東亜戦争末期に外地にいた65万人の日本人がソ連に強制連行され、そのうちウズベキスタンに連行されたのは2万5千人。さらにそのうちナヴォイ劇場の建設には500人が充てられ、約60人が事故などで亡くなったという。建物自体はビザンチン様式だから、それを日本人が造ったなんて外見からは想像もできない。
 1966年、タシュケントを震源とする大地震が起き、市内では震度8を記録し、建物のおよそ3分の2が倒壊した。ところが、当時築18年を迎えたナヴォイ劇場はまったくの無傷で、見渡す限りの瓦礫の山のなかで、凛として輝いていたという。これを見たタシュケントの市民は、完成度の高い仕事を成し遂げた日本人抑留者たちのことをあらためて称えた。中央アジアのなかでもウズベキスタンの親日の度合いが抜きんでているのは、抑留者たちのおかげなのかもしれない。(p.69)
 ナヴォイ劇場にまつわる詳細については、下記リンク先にある動画像を見てください。
   《参照》   日本兵が造ったナヴォイ劇場