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 アミ・シリーズの愛蔵版3冊を誰に上げてしまったのか覚えていなかったけれど、猫の親分の所にあった。どうせ 「猫に小判」 で壁飾りだったにちがいない。だから子分が読書記録を書いてあげる。親分のために。
 

 

【愛と依存】
 ビンカは、地球人ペドゥリートと双子の魂をもつ女の子で、キアという星に住んでいる。アミの導きでいくつかの文明を旅しながら共に学んでいる。
「なにかに、あるいはだれかに依存しすぎるっていうのは、それがたとえ双子の魂でも、お母さんでも、子どもでも、おばあさんでも、ネコでも、好きな虫でもなんでもよくないことだよ。だって、それは人々を奴隷化して、魂の自由をうばってしまうことになるからね。でも、魂の自由なしには、ほんとうの幸せなんてありえないからね」
「じゃあ、愛は中毒なの?」
とぼくはひどく混乱して聞いた。
「もし、幸せになるのがほかの人しだいだとしたら、そうだよね」
「でも、それが愛というものよ? アミ」
そうビンカが言った。でもアミは同意しなかった。
「それは執着だよ。依存だし、中毒だよ。ほんとうの愛はあたえるものだよ。愛するひとの幸福に、幸せを感じられることだ。いつも自分のそばにいることを強要したり、ひとりじめにすることでなくてね。でも、きみたちはまだそういうことを理解するには幼すぎる(きっと、たくさんの読者もおなじかもしれないけれど・・・・・)」(p.66-67)
 愛のレベルが低いと、依存とか執着とか嫉妬とかの様相を呈するようになる。
    《参照》  『戻ってきたアミ』 エンリケ・バリオス (徳間書店)
             【愛と執着】

 依存心も執着心も嫉妬心も無いけれど、他者に奉仕する気にもなれない人って、たんなる無気力なのだろう。

 

 

【地球当局と銀河系当局の違い】
「きみたちの世界では書類だけが重要だけど、“上” の世界では愛がもっとも重要視されるんだ。銀河系当局は、名字でも血液型でも、書類でもなく、だれがその子をいちばん愛しているかということで、子どもの “保護者” とみなすんだよ」 (p.69)
 文明人の3大条件の第1条件 「愛が、宇宙の基本法であること」 に即している。
 
 
【仕事】
「これもほんとうのことだけど、銀河系当局は、一人一人、その人にいちばんむいている仕事をたのむんだよ。そうするとやっぱり、やるほうのやる気もやりがいも、ぜんぜんちがってくるからね」
「そうなんだ・・・地球じゃあそんなことあんまり考えてもらえないよ・・・だから、一人ひとりが、できる範囲内でなんとかやっている・・・」
「そうやって、たくさんの適性や才能を失ってしまうんだ。地球には改善しなくてはならないことがたくさんある・・・」(p.174-175)
 アミの星では、奉仕自体が仕事になっている。そして、神と調和したひとは、奉仕する仕事がやめられなくなってしまうのだという。神と調和せず、自分が生きるために人と競争してまでより多くのお金を稼ぐために仕事をする地球とは大違い。
 アミの星は個々人の適性に関してまで、きめこまやかな配慮の行き届いた世界である。このことだけを取り上げても、地球ってとっても悲しい星。

 

 

【叡智と敬いの気持ち】
「執着といらだちは、叡智とは対極にあるものだ。成長のさまたげにしかならないんだよ。それから、うやまいの気持ちを忘れちゃいけない。銀河系当局はそういうものをとても大切にしている」 (p.299)
 進化した星であればあるほど、叡智と敬いの気持ちは両輪のごとく大切にされる。敬いの気持ちは愛を第一の基準にする人々にとっては憧憬に近しい当然な感情なのであろうけれど、私たちのレベルの世界であっても、様々な悪弊を未然のうちに防ぐことができるという有効性が機能する。
 成文法である法律が出現する前には、不文律というものがあってきちんと立派に機能していた。その不文律の基底となっていたものこそが、それぞれの “敬いの気持ち” なのであろう。
 法律が施行されるようになると、人々は国や地方の財政で福祉を行おうと条例化・成文化を求めるようになる。叡智を欠くと、敬うことを忘れ、物やお金や他者に依存して、自分自身の愛にもとずく奉仕をしようとはしないのである。