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 GW前だから(←読んだのは)行動派の人の本をと思い古書店で目に入ったのがこの本。著者が23歳の頃に書いたもの。同年代の若者が読むには良い本だろう。学生時代に仲間たちとアメリカンバーの経営を始めて成功させた過程から書き始められているけれど、それも含めて面白い本だった。95年11月初版。

 

 

【カクテルの世界】
 昔、お酒が「命の水」と呼ばれていた頃から、たった一つのカクテル、たった一つのバーボンを通して、何人もの情熱と挫折、人生の涙とドラマが展開されてきた。
 ~ そんな多くの人達の「命の輝き」が込められた一本一本の酒をバーテンダーが「自分の色」に染め、飲む人の心に注ぐ ~ それがカクテルの世界なんだ。(p.19)
 アルデヒド分解酵素を体内に保有していない人々でも、映画や小説の登場人物に同一化してお酒が出てくるシーンを感受していたら、このような「カクテルの世界」って分かるはず。本当に飲める人ほどじゃないだろうけど・・・。
   《参照》   『字幕の中に人生』 戸田奈津子 (白水ブックス)
             【名訳】

 

 

【何をするために?】
 「なんで僕は人間に生まれてきたんだろう? 何をするために? なんでニッポンに? なんでこの時代に? ただの偶然なのかな? それとも意味があるのかな?」

 僕は、こんな事を考えたり話したりするのが好きなんだ。
 いくら考えても、いくら話しても、いつも答えは見つからないんだけど、いつの日か、もし万が一、答えを見つけることが出来たら、すべての悩みから解放されるような気がするからさぁ。(p.62-63)
 若い頃は、誰だってこんな疑問をもっているものだと思うけれど、そうじゃない人っているのだろうか。
 著者と同類な若者は少なくないはず。その思い、大切にした方がいい。輪廻転生の意味を問うなら、人は決してお金や地位や名誉のために生まれてきたのではない。
 広く静かな海を眺めたり、色とりどりの草花に囲まれた草原を歩いたり、真っ赤な夕陽や紫色の空に包まれたり、無邪気な赤ちゃんの寝顔を見たりした時に感じる、アノ、透き通るような安らいだ気持ちのままで生きていく方法を探しているんだ・・・
 誰か知りませんか?   (p.63)
   《参照》   『LOVE&FREE』  高橋歩 (サンクチュアリ出版)
             【透きとおるものへ】

 

 

【地球って星は・・・】
(このままじゃ、いけないな、オレ。でも、どうすればいいんだ・・)
 ちょうどそんな時、青い海の中でイルカに逢ったんだ。
 イルカは、赤ちゃんのようでもあり、母親のようでもあった。
 すべすべしてて、プクプクしてて、“ふわぁー”とした優しさで僕を包みこんだ。
「オレは自分一人の力で生きて行くぜ!」なんて肩を張って生きてきた僕は、初めて、『他人の優しさに全身をゆだねる快感』に酔いしれた。
 青い海の中で、イルカの『無限に溢れてくる他人への優しさ』みたいなものをジワジワーッと肌で感じていた。
 ・・・(中略)・・・ 。
(オレもイルカみたいな優しい人間になりたいなぁ。)って、身体中で思った。
そして本当に不思議なことに、インドでサイババに逢った時も、マザー・テレサの生き方を知った時も、これとまったく同じものを感じたんだ。大きな大きな「他人への思いやり」みたいなものに、身体中が“ふわぁー”と包まれて何故かとても安らいだ気持ちにさせられた。
 ・・・(中略)・・・ 。
「制覇」「一番星」「天下無双」なんていう言葉より「優しさ」「愛」「調和」みたいな言葉にあこがれるようになった。
 ・・・(中略)・・・ 。
「そんなに争わなくてもいいじゃん。

 そんなに傷つけなくてもいいじゃん。
 オレかあいつ、どっちが勝つかの勝負はやめて、二人が笑えるゲームをしようよ。
 そんな生き方を考えてみようよ。
 自然や他人を“力”で思い通りに使うんじゃなく、自然や他人の持っている大きな
エネルギーや、透き通る優しさに身を任せて、もっともっと“やすらぎ”を分け合おうよ。
 地球っていう星は、みんなが幸せになれるように出来てるんだもの。」(p.118-119)
 そう、本来は、そうだったんだろうけど、実際の現在の地球は、モノ・カネに支配された人間たちのエゴが、互いを損ない続け、優しさは口先だけのことにとどまっている。
 「もっと優しい世界にしたい」と思う人々は多くても、その実現を阻む勢力の実在を知っていながら、それを語る勇気のない政治家やマスコミたちが、その願いを実現させない側で振舞っている。残念だけど、地球の現状はまだその段階。日本の政治家も日本のマスコミも、世界の幸せより自分の命や我欲が大切。彼らが勇気を持って舵を切りさえすれば、「もっと優しい世界にしたい」という多くの人々の思いは速やかに実現するのにね。
 だから、著者の思いが地球上で実現するには、まだもうちょっと時間がかかる。

 

 

【一人ひとりも日本も紅葉し始めている】
「ヒローになりたい!」から始まった僕の青春は、「優しい人間になりたい」そして、「幸せになりたい」へと紅葉し始めてきた。
 でも、それは僕だけに限ったことではない。
「豊かになりたい!」から始まった『日本』の青春もまた、「幸せになりたい」へと紅葉し始めているんだ。(p.120-121)
 「成功」より「幸福」を選ぶ人の割合は確かに多くなっている。
   《参照》   『お金の正体』 日下公人 (KKベストセラーズ)
             【お金の正体】

 日本は、戦後から培ってきた多くの技術を海外諸国に与えて、海外諸国の繁栄に寄与している。それは日本の使命ですらある。そして国内では、「成功」より「幸福」を選択する国になってゆくはずである。
   《参照》   『勃発!サイバーハルマゲドン』 ベンジャミン・フルフォード 《2/4》
             【世界に愛されている現在の日本経済】
   《参照》   『日本民族の役割』 助安由吉 (エイト社)
             【日本民族に運命づけられていること】
             【日本の若者達】

 

 

【社長になるより・・・】
 でも、実のところ、内容に関してはかなり悩んだんだ。
 最初は「仲間とアメリカンバーを始める」の章を深く掘り下げて、「成功哲学」的なものを書こうと思っていた。「21歳で社長になる秘密」みたいな本を書いたほうが喜ばれると思ってたんだ。
 でも書いていくうちに、なぜかつまらなくなってきた。
(社長になったからってなんなんだ? 金持ちになったからってなんなんだ?)という思いが頭に渦巻いて、どうしようもなくなった。
 本文にあるように、僕は社長になるよりイルカになりたいし、サイババになりたいし、マザー・テレサになりたいんだもん。
(だったら、そんな思いをそのまま書いてみよう!)
 そんな気持ちで、書いていくうちに、読んでもらった様な内容になった。(p.126-127)
 それで正解だと思う。
 ピュアな気持ちが素直に表現されていて、それが読む者に伝わってくる。
 「成功」より、それとは違った「分かち合う幸福」。
 多分、そういう生き方を選択できる人って、地球人類を進化させるために、自ら選んで未来からこの地球に転生してきた魂たちなんだろう。(この地上で、そのミッションをやり遂げるのって、結構大変なんだけどね・・・)
 この本に共感するタイプの人には、きっと下記の著作が相応しいはず。
    《参照》   『プレアデス星訪問記』 上平剛史 (たま出版)
    《参照》   『アミ小さな宇宙人』 の3部作

 

 

  高橋歩・著の読書記録

     『愛しあおう。旅に出よう。』

     『アドベンチャー・ライフ』

     『イツモ。イチマデモ。』

     『HEAVEN‘S DOOR』

     『人生の地図』

     『LOVE&FREE』

 

 <了>