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 カクテルバーや出版社をゼロから起業して成功させた上で、それらから身を引き、夫婦で世界中を旅して歩き、帰国後、沖縄で起業し始めた頃に書かれた著作。著者の体験談が書かれている。企業家を目指したい若者や、人生そのものを考えてみたい人にはいい本だろう。2003年7月初版。

 

 

【受験勉強の目的】
 もともと俺は、目標さえクリアになれば、完全燃焼できるタイプだから、そこからは、成績もウナギ登りで、春には、キチンと合格できたんだよね。(p.28)
 “目標さえクリアになれば”とあるけれど、普通の人は、なかなかその目標がめっからない。でも、それって、人につくってもらうものじゃないから、そこは自分で何とかしないと・・・。
 著者の場合、受験勉強の“目標がクリア”になった原因は、吉田聡の「純ブライド」っていう漫画。
 俺もこれ読んで、「うおー、同棲してぇ!」って舞い上がっちゃって(笑)。
 そこで、「大学受かって、ひとり暮らしすれば、同棲できるじゃん!」っていう衝撃的な事実に気づいたわけよ。肝心の相手は、まだ未定だったけど・・・、まあ、ひとり暮らしさえできれば、なんとかなるだろうって楽観的に考えてさ。そこからは受験勉強にも身が入ったなぁ。単純明快。(p.28)
 著者の場合は、常に「快感原則(楽しいこと・ワクワクすること)」に則した目標設定である。モチベーションを高める方法に、正邪という判断因子は不要かもしれない。著者の場合、下記リンク下部の最後のリンクに該当するけれど、これが最強かも。
   《参照》   『SEの読書術』 著者10名 (技術評論社)
             【モチベーションが高まる理想を見つける : 萩本順三さん】

 

 

【イチローよりも頑張ってるか!】
 トム・クルーズが主演をしていた『カクテル』という映画に嵌って、カクテル作りに挑戦開始。
 「よしっ。独学でカクテル修行をして、先輩を抜かすぞ!」って、新たな目標を決めて、燃え始めたわけよ。
 さっそく、その日から、仮眠する3時間以外のすべての時間をバーテンダー特訓に注ぎ込む「1日21時間体制!」をスタートさせた。 ・・・(中略)・・・ 。自分の中の合言葉は、「おい、あゆむ! イチローよりも頑張ってるか!」だったね(笑)。(p.36)
 多分、イチローより頑張ってた、だろう。凄い。

 

 

【自分たちの店を持つ】
 友人4人で自分たちの店をもとうとしていた時、600万円という高~~いハードルが目の前に現われた。
 「しょうがないよ。今は、あきらめよう」って、4人で話した後、俺は、すごくブルーな気分で家に帰ってきてさ。 ・・・(中略)・・・ 「俺の人生はいつも、そうだな」って。
 小学生の頃、野球選手になりたくてリトルリーグで頑張っていた時もそうだったし、高校生の頃、ギターでデビューしたいと思って本気で取り組んでいた時もそう。サーフィンのプロになるぞって燃えてた時もそうだ。
 結局、いつも、「いざ、本番!」って時に、ビビったり、逃げたり、負けたりして、自分の中でうまく言い訳しながら、「本気でやる」はずだったことが、「趣味でいいや」ってことになって、知らぬ間にフェイドアウトしていって・・・っていう同じパターンを繰り返しているじゃねぇかよ、って想ったんだ。 ・・・(中略)・・・ 「オマエ、また逃げるのかよ!」って、俺のココロが叫んだんだ。「ダメだ! 今回は、逃げずにチャレンジしてみろよ!」って。(p.40-41)
 何かをやり遂げている人って、先天的に優れた資質があって失敗知らずなんだろうと思いやすいけれど、以外にもそうじゃない。諦めや挫折にみちた自分の過去を分かっていて、そんな自分との決別を決意した人だけが、成功できているんじゃないだろうか。下記リンクの著者もそうだったことを書いている。
   《参照》   『夢を翼にのせて』 岡村嘉子  双葉社
             【 “子供のころから何をやっても長続きしないタイプだった” という著者 】

 著者の翻意に同調した友人たち4人による600万円捻出作戦のことが書かれているのだけれど、通称「ポキポキ」って言うバイトのこととか、いろいろおかしくて爆笑してしまった。結局、4人で1ヶ月以内に620万円を集めたのである。起業のメドは立った。そして、自分たちの感性を信じつづけた結果、2年後には4店舗まで拡張し大成功したという。ところが、
 俺の心が叫んでた。
「いつまでも、小さな成功にしがみついてちゃダメだ!」って。「プータローに戻って、また、ゼロから新しいことにチャレンジしながら、どんどん自分を磨いていこうぜ!」って。(p.55)
 著者23歳。

 

 

【二つ目の起業(出版社)】
 いざ、発売! っていう日に、俺たちの出版社「サンクチュアリ出版」の記念すべき1冊目の本であり、俺の自伝である 『HEAVEN‘S DOOR』 が新宿紀伊國屋の棚に、ドーンと積まれたのを見た時は、感動したなぁ。
「よしっ! これでベストセラー確実! 出版なんて、ちょろい、ちょろい!」なんて言いながら、早くも4人で乾杯してたよ。
 でも、いつもどおり、そうは問屋がおろさないんだよね(笑)。 (p.64)
 『HEAVEN‘S DOOR』は同年代の若者が読むには相応しい優れた著作だと思うけれど、本って必ずしも内容で売れるわけではない。最大3000万円まで膨らんだ負債も、4冊目のヒットから上向きに転じていった。
 俺の中でも、「そろそろ、出版社も軌道に乗ってきたことだし、またプータローに戻って、ゼロから新しいことにチャレンジしてみたい」っていう欲求が溢れてきた頃でもあったしね。(p.69)
Keep sanctuary in your heart.
 高橋歩。26歳。夏。 (p.69)

 

 

【世界一周の旅】
 プーになって、次にやったこと。
 それは、6年間付き合ってきた彼女のサヤカと結婚して、ふたりで世界一周だ! (p.74)
 2ヶ月間バイトで資金を貯めて、経路を定めぬまま旅に出たという。
 他人を知るということは、自分を知るということでもある。(p.80)
 ということで、世界の路上で出会った人々の言葉が書かれている。

 

 

【この仕事ができて幸せよ】
「私が掃除することで皆が気持ちよくなる。他人はなんて言うか分からないけど、私は誇りを持ってるわ。この仕事ができて幸せよ」
 ロンドンの地下鉄の暗いトイレで、明るく元気に働いていたブロンド美人の言葉。若さと美貌とトイレ掃除っていうのが、あまりにもミスマッチな気がして、「この仕事、大変だね」なんて聞いた俺への返事として。(p.91)
 まさに「一隅を照らす」の心である。
   《参照》   『未来を拓く君たちへ』 田坂広志 (KUMON)
             【人生の意味・仕事の意味】

 

 

【今、この瞬間を幸せな気分で過ごすために・・・】
「俺たちはお金のために音楽をやっているんじゃない。今、この瞬間を幸せな気分で過ごすために、音楽が必要なだけさ」
 サハラ砂漠で出逢ったノマド(砂漠を遊牧する人々)の若者たちの言葉。俺たちふたりのために、見たこともないほど素晴らしいパーカッションを叩いてくれた彼ら。「すごいよ! ここまですごかったら、デビューして大金持ちになれるぜ!」という俺の安易な言葉に対してのひとこと。(p.95)

 

 

【なんくるないさ~】
 沖縄の言葉。
 まあ、なんとかなるさ~、の意味だね。英語的には、「Don’t worry , be happy」っていう感じかな? インディアンの教えにもあるけど、人間には、「自分でコントロールできることと、できないこと」があるよね。その、コントロールできないことを、くよくよ考えてもしょうがねぇじゃん! まぁ、飲んで元気だそう! 今日も、海がきれいだしなぁ~、っていうフィーリングだね。(p.123)
 ケセラセラやメイファースも同系統。
 沖縄には、ほかにも、いい言葉がある。
 「いちゃりばちょ~でぇ~」
 出逢えばみな兄弟、っていう意味の言葉。この島には、ほんと、フラットな人が多い。お金や、肩書きなどで人を判断することなく、「ひとりの人間」として見てくれている感じがする。(p.125)

 「ちむぐりさ」
 他人の不幸などを聞いた場合、普通、「残念だったね。大変だったね」という当事者の気持ちを思いやった言葉を掛けるけど、沖縄の場合、「ちむぐりさ」(俺も、肝が痛いよ)っていう感覚で、表現する人が多い。(p.126)

 

 

【本当に大切なものだけを】
「世界を旅しながら、シンプルに気持ちよく生きている人たちに出会っていくうちに、『俺は、ずいぶんと人生に必要じゃない荷物を背負っているなぁ』って感じたよ。やっぱり、俺も、多くのものを守ろうとするんじゃなくて、潔く、本当に大切なものだけを選んで、それを深く愛していきたいな、って思うようになってきたんだ」(p.205)

 

 

【旅の終わり】
「俺は20年間、世界中をずっとずっと航海してきた。繰り返される日々がいやだったからな。でも、愛する女性を見つけた日から、俺は変わった。今では、愛する妻と子供たちと一緒に暮らすために、このジブラルタル海峡を1日2往復するだけに繰り返される毎日を過ごしている。でも、神に誓って言う。今が、いちばん幸せだ。俺の冒険は、彼女という宝を見つけることで終わったんだ」
 スペインの南端からアフリカ大陸のモロッコへ。ジブラルタル海峡を越える船の甲板で出逢った船員の言葉。(p.93)
   《参照》   『イツモ。イチマデモ。』 高橋歩 (A-Works)

 

 

【未来のために・・・】
「未来のために、今を耐えるのではなく、未来のために、今を楽しく生きるのだ」 (p.237)
 そう。
 基調は、何と言っても“ワクワク”。

 

 <了>