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 1年8ヶ月間、夫婦でホリデーアパートメント(安い貸別荘のようなもの)に1週間ずつ滞在しつつ、世界中を旅して歩いた体験の中から紡ぎだされた言葉が記述されている。
 8割方写真で構成されており、文章が少なすぎて勿体ない気はするけれど、それなりの良さもあるにはある。この書籍にはページ表記がない。

 

 

【ライフワーク】
 100以上の島々が浮かぶタイ・パンガー湾で、一緒にボートに乗ったおじさんが、突然質問を発した。
 「あんたのライフワークはなんだい?」
 名前でも、年齢でも、国籍でも、職業でもなく、このおじさんは 「ライフワーク」 を一番最初に聴いた。
 同じことをおじさんに質問すると、
 「HUMAN BEING」 だって。
 最高の答えではないか。 
 『日本を降りる若者たち』 も、“外こもり” などという狭い発想から出て、このオジさんのように答えられるのならまだましだろう。

 

 

【豚】

 他人のルールに縛られる人間を 「家畜の豚」 という。
 自分のルールを持たない人間を 「快楽の豚」 という。
 どっちにしても、オレは豚が嫌いだ。
 やはり、豚ではいけない。 HUMAN BEING でなければ・・・。

 

 

【 「濃い」 】
 インド人って優しいとか、一風変わった体験ができたとか、
 そんな軽いもんじゃなく、
 イイもワルイも都会も田舎も全部ひっくるめて、
 とにかく 「濃い」 の一言に尽きる国。
 インドに関するこの表現は、良く分かる。
 言いえて妙である。

 

 

【プライド】
 旅を続けながら、どこに行っても誰に逢っても、オレがオレであり続けられることに、自信を持ててきた。

 ただひとつ。 世界中の同世代の奴らと語っていて、 いつも 「負けた!」 と思うことがある。
 それは、「自分の国への誇り」 だ。

 やっぱり、オレは日本人なんだし、「日本的なもの」 を知って、愛して、誇りを持つことは、人間として自然だと思う。

 「自分の国の歴史や現実」 についての話を 「堅い話」 とチャカしたり、「愛国心」 みたいなものを 「右翼」 とか言って変にタブーにするのは、逆に不自然な気がしてきている。
 海外を自分の足で歩いて語り合う機会がなければ、このような"日本国籍を有する人間"としての世界標準に思い至れないということ自体、日本の教育が歪んでいる証拠。
 いかなる者の配下にあって、そのような愚かな教育がなされてきたのかは、下記の書籍に記述されている。
   《参照》   『タイゾー化する子供たち』  原田武夫  光文社
   《参照》   『楽しい読書生活』 渡部昇一  ビジネス社 《後編》

 

 

【貧しい国の豊かな人々】
 たくさん食べることはない。 一匹の魚を骨まで味わってごらん。
 そのほうが、本当の 「おいしさ」 がわかるから。

 たくさん読む必要はない。一冊の本を文字が溶けるまで味わってごらん。
 そのほうが、本当の 「おもしろさ」 がわかるから。

 たくさん愛する必要はない。ひとりの人を心ゆくまで愛してごらん。
 そのほうが、本当の 「愛」 がわかるから。

 貧しい国の豊かな人々が、オレに、そう笑いかけている。

 

 

【選び疲れるよりも】
 モンゴルの大草原にて、
 「狭くて、なんでもある場所」 にいるときは、道を選ぶことに必死だった。
 「広くて、なんにもない場所」 にくると、ただ歩くだけだった。
 選び疲れるよりも、歩き疲れて眠りたい。

 

 

【パーフェクト】
 キリマンジャロの麓に広がる野生の王国アンセボリにて、
 「すげぇ」 ここでは、それ以外のコトバはいらない。
 自然のリズムに身体を任せきったとき、
 いつもココロの中から全身に広がっていく、この 「透明な感情」 はなんなんだろう?
 この感情の中に、オレの探しているパーフェクトは、きっとある。
 「透明な感情」。 この表現にドキッ。
 こんな当たり前な表現すら忘れていた自分自身に、失望気味の疲労感を覚えてしまう。
 おそらく誰であれ、この国に生きていると、知らず知らずのうちに、魂の感情が曇ってしまう。

 

 

【透きとおるものへ】
 「目指すのではなく、楽しむ」
 「手に入れるのではなく、愛し続ける」
 ハワイにいると、そんな生き方がオレを誘う。

 シンプルなものへ。
 純なものへ。
 透きとおるものへ。

 自分にとって本当に大切なことを見抜き、
 人生のすべてをかけて、静かに深く愛していきたい。
 これと同じようなことを、中学生の頃、ノートの裏側から綴った詩に書いた記憶がある。
 なのに、何故そうなっていないのか? 
 掛け違えた人生よ。

 

 

  高橋歩・著の読書記録

     『愛しあおう。旅に出よう。』

     『アドベンチャー・ライフ』

     『イツモ。イチマデモ。』

     『HEAVEN‘S DOOR』

     『人生の地図』

     『LOVE&FREE』

 

 <了>