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 ベドゥリートという少年が、宇宙人のアミに出会って、いろんな体験をしながら学んでゆく。
 宇宙にある文明のようすや人間が目指すべきもについて、子供でも簡単に分かるように書かれている。でも、頭の固い大人やドグマにかぶれた宗教人は、スンナリと理解できないことだろう。 1995年3月初版。再読。
 このアミのシリーズは、かわいいイラスト入りの愛蔵版が出ている。それを所有していたけれど、とっても良い本なので人にあげてしまった。

 

 

【地球の危機】
「可能性はかなり高いね。科学と愛のバランスが科学の方に異常に傾き過ぎている。何百万ものこういった文明が今までに自滅してきているんだ。今、地球は変換点にある。危険そのものだよ」 (p.54)
 地球の危機の最大の引き金は、環境汚染や核戦争のこと。
 そのことを地球人に気付かせるために、アミたち宇宙人はいろんな方法を用いてきた。この著作もその一環である。
 地球に原爆が落とされたあと、われわれの円盤がひんぱんに目撃されはじめた。それは地球人が宇宙で唯一の知的生物ではないという証拠を残すために意識的にしたものなんだよ。それが一つの情報だよ。その後、円盤の目撃回数を増加させた。これがまた別の情報だ。次にわれわれを撮影するようにさせた。同時に幾人かの人、たとえば君のような人との小さな接触の機会をつくった。また “メッセージ” を、人々の脳波に送った。これらの “メッセージ” はラジオの音波のように空気中にあり、すべての人に届くけど、ある人はそれを受信するのにふさわしい “受信器” を備えていて、別の人は備えていない。 “メッセージ” を受け取った人の中には、それを自分自身の考えとして受けとったり、また他の人は神からの霊的なインスピレーションとしてとらえ、また別の人はわれわれ宇宙人の “メッセージ” と考える。ある人はこれらの “メッセージ” を、かなり自分の考えやその信仰によって歪曲して表現したり、また別の人はかなり純粋に表現する」 (p.67)

 

 

【科学と愛のバランス】
「われわれは脳を二つ持っているんだよ・・・」
「えっ!!」
「一つは頭。これは言ってみれば “コンピューター” で地球人の知っている唯一のもの。でも胸にもう一つ別の脳を持っているんだ。目には見えないけれどちゃんと存在しているんだ。こちらの方が頭より重要で、あの男の胸で輝いて見えた光のことだ。われわれにとって本当のインテリとか賢者とか言うのは、この二つの脳の調和がとれている人のことを言う。つまり頭の脳が胸の脳に奉仕するという形であって、多くの地球の “インテリ” のようにその反対ではないということだよ」 (p.102)
 胸の脳だけが発達している “善良なおバカさん” は、頭の脳だけが発達している “悪いインテリ” のカモにされてしまう。現在の地球全体もそんな状態である。知性と情緒はバランス良く発達してゆかねばならないのだけれど・・・。
             【心臓にも脳細胞】

 

 

【見える円盤、見えない円盤】
「でも、どうやったら見えなくできるの?」
「自転車の車輪が速く回転している時、スポークは見えないだろう、あれと同じようにわれわれはこの円盤の分子が速く動くようにするんだ」
「へーェ、うまくできているんだな。でも下から円盤がみえたらいいのになあ・・・」
「勝手にそうするわけにはいかないんだ。この円盤が未開文明の世界にいる時は、視覚可能か不可能かの決定は、 “救済計画” の方針に従って決定されるんだ。(p.85)
 可視化したり不可視化したりは自在である。未開文明である現在の地球の科学では理解できない人は多いのだろうけれど、円盤は海中でも地底でも自在に航行することができる。

 

 

【距離と時間】
「地球人は、あまりにも距離と時間に制約されすぎて生きているからね・・・」
「それ、どういうこと」
「今日旅行に出て、きのう帰るということもできるんだ」
「まるで頭がおかしくなるような話だね・・・」 (p.96)
 理解できようができまいが、このことは念頭においておいた方がいい。

 

 

【未来社会は農園形態】
「都市形態っていうのはね、たくさんの欠点があるんだよ。その一つとしてあまりにも多くの人々が集中するために生じる精神の異常によって、人々にも、惑星にも悪影響を与えることなんだ。 ・・・(中略)・・・ 。なぜなら人々は幸せじゃないからね。それを地球が知覚するんだよ。人々には、自然や空間が必要なんだ。花や木や庭が・・・」
「ずっと進歩している人たちにも?」
 と当惑して聞いた。
 アミが言うように、未来社会は、 “農園” のような生活形態になるというのに対し、ぼくは全く逆に考えていた。(p.127)
 農園形態と言っても、農業生活者になるということではない。広大な緑地の中にドーム型などの建物が散在するような形態である。地球上で栄えたかつての高度な文明もそのような形態だった。

 

 

【長生きは退屈?】
 先進文明世界に住む人々は老いるということがない。生まれ変わることを目的とする場合には、あえて肉体が老化することを選ぶほどである。そんなに長生きって、地球人からみれば退屈に思えるけれど・・・
「もし、思考が愛のために使われている時、愛のために奉仕している時には、退屈というのはありえないんだよ」(p.143)
 「つまんなぁ~い」 とか 「退屈~う」 って思ってばっかりいる人は、人が喜ぶことや奉仕活動にでも精を出せばいいのである。

 

 

【地球が生き延びたら】
「われわれの間には競争もなければ、誰も兄弟から抜き出ようなどといった野心を持っている人はいない。ただ、みな人生を健全に楽しむことだけを望んでいる。そして人々を愛しながら、われわれの最大の幸福は、人に奉仕し、援助することそして人の役に立っていると感じられることによって得られるんだ。 ・・・(中略)・・・ 。
 もし、地球の人が生き延びて、エゴイズムや人間不信を克服できた時にはすぐにでも、宇宙親交の仲間に入れてあげることができる。もしそれが実現すれば、人生は今までのように生き延びるための過酷で激しい生存競争から解放され、すべての人に幸福な生活が訪れはじめるよ。その時にはわれわれは、地球が平和で不正のない連合した世界になるために必要なものをすべて与えよう」
「アミ、とっても美しく、すばらしいことだね」 (p.168-169)
 地球が生き延びるために、何かやってる?
「平和のために何か貢献している人は、みなよい水準に達している。何かできるにもかかわらず何もしない人たちは、ほんとうに冷淡な人か、共犯者なんだよ。愛が不足している。よい水準に達していないんだ」(p.171)

 

 

【アミの星】
 アミの星にはお金がない。誰でも必要なものは必要なだけ持って行くことができる。もちろん、それは愛を元にしながら、奉仕することを幸福と感じることのできる人々だけが集う場合に限って可能な社会形態である。
「実際ここにはほんの少ししか仕事がない。重労働はみな機械やロボットがやってしまうし」
「ここは “天国” へ行くよりもいいや!」
「ぼくたちは “天国” にいるんだよ。ペドゥリート。そうじゃない?」 (p.176)
 世界の指導者たちが、アミの星をまねようとすれば、直ぐにでもできることなのに、経済危機や戦争といった愚かしいことを繰り返しつつ、地球が最悪の状況にまで行き詰まらなければ、それを実現しようとは思い至らないらしい。
 現在地球上で使われている軍事費が、貧困撲滅のために転用されるならば、世界中の貧困は直ちに消え去るのである。それほどに現在の地球人は愚かしいことをやっている。
   《参照》   『お金のいらない国』 長島龍人  新風社
   《参照》   『黄金の帝国』  三原資忍  サン企画
              【ムァーの社会】

 

 

【宇宙の宗教】
「神は “溺れかかっている世界” に対してまったくの無関心で、ただただ妄想的な “自己救済” や個人の “完璧さ” や “進歩” だけにのみ関心ある信心顔した人よりも、信仰者でなくても、兄弟に対しても心をさいている人を好むんだよ」
「それには気がつかなかったよ。アミ、でもどうして、そんなに神について知っているの?」
「だって、神は愛だからね。愛を感じ、体験する人が、神を感じ体験する人なんだよ。人を愛せる人が、ただ人の役に立つことを望むんだよ」
「アミ、君の宗教は?」 (p.188-189)

「 ・・・(中略)・・・ どんなことでも愛に反した行いは君自身に反した行いになり、愛である神に反したことにもなるんだよ。だからこそ、宇宙の基本法は愛であり、愛が人間の最高位のもので神の名を “愛” と言うんだ。宇宙の宗教とはまさに、愛を感じることであり、愛を捧げること。これに尽きるんだよ。これがぼくの宗教なんだよ。ペドゥリート」 (p.211)
 本来は “宗教” などという言葉を使うのは不本意なのであろうけれど、アミは地球人ペドゥリートの概念に則して分かりやすいように回答している。
 地球上で語られている様々な宗教も、この記述に合わない場合は、自己愛(教祖愛・教団愛)という偽物である。

 

 

    アミ・シリーズの続編  ⇒  『戻ってきたアミ』
 
<了>