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 センセーショナルなタイトルの割には、平凡な内容しか書かれていない。以前から著者が書いていたことの繰り返しである。2010年9月初版。

 

 

【社会循環】
 著者は、時代の支配者は、武人⇒知識人⇒富裕者⇒武人⇒知識人⇒富裕者 いう順で循環していると考えている。そして現在の社会は富裕者が支配する時代であると。
 富裕者の権力は、大企業がコントロールするものであることから、大企業そのものが大恐慌によって崩壊しなければ、権力を手放すこともないのだ。(p.124)
 つまり、富裕者から権力が他へ移動するには、史上最悪の大破綻しかないと考えている。
 このままいくと、この巨大な危機=世界大恐慌は、世界経済が完全に行きづまってズタズタに解体されるまで進行し、私たちが求めるような真の経済改革は、略奪資本主義が粉々になるまで開始されないだろう。
 現在の富裕者の権力の背後にある大企業は、多国籍企業もあれば国際金融資本もあるために、この巨大な危機は津波より遥かに速く世界中を席巻する。インターネットのネットワークによって、光の速さで崩壊が爆発的に起こる可能性もある。(p.124)

 

 

【第3の破綻】
 かねてから予測し警告してきた 「第3の破綻」 は、直ぐそこに迫っている。非常に早く展開すれば2010年夏から秋、遅くとも年内に起こるだろう。(p.49)
 第1の破綻は、2007年のサブプライム・ローン崩壊。
 第2の破綻が、2008年のリーマン・ショック。
 そして 第3の破綻 を、 「史上最悪の大破綻」 と予測しているのだけれど、幸か不幸か、これはまだ起こっていない。多くの人々は、今年か来年と予想している。
 これまでの世界経済破綻・第1波、第2波と大きく異なる点は、ヨーロッパが発生源となるだろうということだ。(p.49)
 EU圏内に、それらしい兆候は多々あったけれど、破綻には至っていない。

 

 

【神のシナリオは米ドル暴落で世界を変革する】
 ヨーロッパが発生源となる第3の破綻が呼び水となって、最終ステージ(米ドルの暴落)へと進むと、著者は予測している。
 ヨーロッパとアメリカの潰し合いになると、最後の最後でヨーロッパが逆転勝利することが予想される。
 そのバックボーンとなるのは、やはり金(ゴールド)で、ヨーロッパ諸国の金保有量は、明らかにアメリカのそれを上回っている。(p.131)
 ヨーロッパ、特に大英帝国の金保有量は多いらしい。
   《参照》   『新たなる金融危機に向かう世界』 副島隆彦 (徳間書店) 《後編》
              【イギリスがEUに加盟しながらユーロを受け入れない訳】

 しかしながら、現代において、金は鉱脈からのみ産出されるわけではない。錬金術はエジプトからヨーロッパへ伝わったかのように見えるけれど、錬金術の本家は日本である。
   《参照》   『地球維新 ガイアの夜明け前』 白峰 (明窓出版) 《後編》
              【ロシアの錬金術】
   《参照》   『ネオスピリチュアルアセンション』 エハン・デラヴィ/中山康直/白峰由鵬/澤野大樹 (明窓出版)
              【錬金術と貨幣経済】
 世界から、一夜にして国際通貨が消滅し、日本円や中国人民元のほうが信頼されるようになるかもしれないのだ。(p.131)
 中国人民元はあり得ない。
   《参照》   『地球維新 ガイアの夜明け前』 白峰 (明窓出版) 《後編》
              【世界通貨としての 「円」 】

 

 

【間違った経済学の終焉】
 私は 「世界の貧困をなくす」 というインスピレーションを得て経済学を志した。
 そして、経済学を学ぶうちに重大なことに気付いた。それは、「間違った経済学が、世界中の貧困を生み出している」 ということだ。(p.170)
 間違った経済学というのは、基本的には、富の均衡をもたらさない経済学のことを言っているのであろうけれど、より明確に表現するならば略奪資本主義となり果てている状態を言っているのだろう。
 もう今時、「市場原理が機能している」 とか 「神の見えざる手が市場に働いて均衡するようになる」 などという学説を真顔で言う人はいないはずである。今日の市場経済は、明らかに人為的作為によって仕組まれていることなど、見え透いた事実である。知らないのなら、その人が愚か過ぎるのである。
    《参照》   『連鎖する大暴落』 副島隆彦 (徳間書店)
              【CMEの先物取引】
 金持ちたちの略奪資本主義は、もうすぐ崩壊する。それは神からのメッセージであり、神の変革によるものだ。
 神とは、全宇宙であり、自分の心の中に存在するものである。(p.177)

 

 

【それぞれの霊性に合った経済学】
 私は、霊的なものに最初に関心を持ち、次に哲学に関心も持ち、それから経済学によって世界から貧困をなくすことに関心を持った。
 西洋の経済学は、理論が先に立って人間の霊性を置き去りにしているが、人にはひとり一人、違った霊性がある。性格も違えば、環境も違う多くの人々に、一様の経済学を適用しようということが無理なのだ。
 日本の人には、日本人の霊性に合った経済学があり、または、それは経済学という名前ではなく、「道」 かもしれない。相手によって変わるのが経済学であり、神の教えもひとり一人に対して異なっているのだ。(p.179-180)
 高度に霊的に進化した存在(HEB)が集う社会は、貨幣経済というシステムを持たない。
   《参照》   『神との対話 ③』 ニール・ドナルド・ウォルシュ (サンマーク出版) 《後編》
              【HEBと人間の違い】
   《参照》   『アミ小さな宇宙人』 エンリケ・バリオス (徳間書店)
              【アミの星】

 地球上で最も霊性の高い民族である日本人は、脱貨幣経済へ向けて、過渡期となるシステムを考案できるはずである。それを世界に先駆けて示さなければならないのである。

 

 

【著者の描く未来のシナリオ】
 神はまだ略奪資本主義の代わりとなる 「正しい経済と社会」 については具体的に示してはいない。今のところ、自らのシナリオに基づいて、この世界と社会の変革をはじめるという啓示を降ろすことにとどまっている。(p.188)
 この記述の中にある、「自らのシナリオ」 とは、プラウト社会のことである。
   《参照》   『2010年資本主義大爆発』 ラビ・バトラ (あ・うん)
             【プラウト経済政策】
             【プラウト経済・社会体制】
 
<了>
 
 

  ラビ・バトラ著の読書記録

     『史上最悪の大破綻!!』

     『2010年資本主義大爆発』

     『2009年断末魔の資本主義』

     『新世紀の大逆転』