既掲載のラビ・バトラさんの著作と主旨は同じ。2010年ごろ資本主義経済は終わると以前から主張していた著者の見解は、2年以内に基軸通貨ドルの終焉となって確実に実現することだろう。著者は、資本主義経済が破綻した後、どういう体制の社会にすべきなのかも、以前から語っている。2008年2月初版。
【終わりの予兆】
《参照》 『ドル亡き後の世界』 副島隆彦 (祥伝社) 《後編》
日本でも、「いざなぎ景気」 以来という長期間続く好景気だといわれているのに、個人消費がいっこうに増えないという現象が起こっている。それと根源は同じだ。富裕者が富をすべて持ち去っているのだ。
「格差の拡大」、「腐敗の膨張」、「モラルの劣化」 それが、資本主義経済の崩壊を確実に引き寄せている。(p.140-141)
モラルの劣化現象は、崩壊前夜の象徴である。
「格差の拡大」、「腐敗の膨張」、「モラルの劣化」 それが、資本主義経済の崩壊を確実に引き寄せている。(p.140-141)
日本銀行の福井俊彦総裁が、インサイダー取引容疑がかけられた村上ファンドに1000万円出資していたという出来事も象徴的だ。 「民間シンクタンク理事長時代に出資したのだから問題はない」、というのが福井総裁の弁明だ。
しかし、前任者の速水優・前日銀総裁は、総裁就任前に所持していた株式を大学に寄付していたという。本来のモラルから考えると、福井総裁の投資ファンドへの出資も就任前に精算しておくべきだっただろう。
日本の金融のトップのモラルがこのありさまだ。
同時に日本社会全般のモラルの低下もはなはだしいようだ。政治家や官僚の不祥事も後を絶たない。(p.162-162)
真の愛国者は、清廉潔白である。しかし、前任者の速水優・前日銀総裁は、総裁就任前に所持していた株式を大学に寄付していたという。本来のモラルから考えると、福井総裁の投資ファンドへの出資も就任前に精算しておくべきだっただろう。
日本の金融のトップのモラルがこのありさまだ。
同時に日本社会全般のモラルの低下もはなはだしいようだ。政治家や官僚の不祥事も後を絶たない。(p.162-162)
《参照》 『ドル亡き後の世界』 副島隆彦 (祥伝社) 《後編》
【速水優・元日銀総裁】
【崩壊の後にくるもの】
今、私がもっとも伝えたいことは、「崩壊のあとには必ず創造がやってくる」 ということだ。(p.194)
崩壊の恐怖と絶望の闇から、「希望」 の黎明が燦々とさしはじめ、現代のさまざまな矛盾を、朝日が凍てついた大地を溶かすように溶融させていく。
その 「希望の黎明」 は、東の国、日本からさし始めているのだ。(p.190-191)
崩壊の恐怖と絶望の闇から、「希望」 の黎明が燦々とさしはじめ、現代のさまざまな矛盾を、朝日が凍てついた大地を溶かすように溶融させていく。
その 「希望の黎明」 は、東の国、日本からさし始めているのだ。(p.190-191)
【プラウト経済政策】
著者の掲げるプラウトとは、「プログレッシブ・ユーティライゼイション・セオリー ( Progressive Utilization Theory ) 」 という理論の頭文字をとった略語。
アサヒビールは、かつて、極度の経営難から人員を縮小せざるを得なかった時期があった。しかし、スーパードライで劇的に復活した折、会社を去って行った人々全てに復職依頼の通知を送っている。それも樋口さんという日本人経営者だったからこそできたことである。
ゴーン氏は、「日本人の勤労意欲と愛社精神は素晴らしい。世界でも類を見ないだろう」 などと評価するコメントを述べているが、どこまでも口先だけである。その実態は、かつての日産社員達と系列会社の人々が営々と築いてきた富を持ち去るだけである。
苛烈な国際競争に晒されている今日でも、日本の高度成長期前半の経営を維持しつつ、さらに発展しているのは、トヨタ、キヤノン、日本電産といった雇用重視の企業である。
《参照》 『敗者の論理 勝者の法則』 増田俊男 (プレジデント社) 《後編》
【日産ゴーン改革の影】
著者の掲げるプラウトとは、「プログレッシブ・ユーティライゼイション・セオリー ( Progressive Utilization Theory ) 」 という理論の頭文字をとった略語。
プラウト経済政策の究極の目標は、私の使命でもある 「世界から貧困をなくす」 ということだ。
プラウト経済政策では、富と権力を一極集中させず、富の分配を公平にする。労働者にも個々の生産性に見合った手厚い分配をおこなう。そしてなによりも、雇用の確保を最優先する。(p.201)
日産のゴーン氏に限らず欧米の経営者達は、モラルにおいても霊智においても非常に劣った人材(人罪)だからこそ、富と権力を一極に集中させるような経営を行うことができるのであろう。プラウト経済政策では、富と権力を一極集中させず、富の分配を公平にする。労働者にも個々の生産性に見合った手厚い分配をおこなう。そしてなによりも、雇用の確保を最優先する。(p.201)
アサヒビールは、かつて、極度の経営難から人員を縮小せざるを得なかった時期があった。しかし、スーパードライで劇的に復活した折、会社を去って行った人々全てに復職依頼の通知を送っている。それも樋口さんという日本人経営者だったからこそできたことである。
ゴーン氏は、「日本人の勤労意欲と愛社精神は素晴らしい。世界でも類を見ないだろう」 などと評価するコメントを述べているが、どこまでも口先だけである。その実態は、かつての日産社員達と系列会社の人々が営々と築いてきた富を持ち去るだけである。
苛烈な国際競争に晒されている今日でも、日本の高度成長期前半の経営を維持しつつ、さらに発展しているのは、トヨタ、キヤノン、日本電産といった雇用重視の企業である。
《参照》 『敗者の論理 勝者の法則』 増田俊男 (プレジデント社) 《後編》
【日産ゴーン改革の影】
~ 【日本電産】
【プラウト経済・社会体制】
日本の高度成長期前半の社会こそがプラウト経済状態だった、と著者は語っている。
世界が崩壊の淵に立たせられるとき、日本人の魂が醸し出す幾多の優れた側面を知悉している海外の人々が、日本を先頭に立たせるべく第一に浮上させることだろう。
日本の高度成長期前半の社会こそがプラウト経済状態だった、と著者は語っている。
私たちが迎える次の時代には、物質と知識、そして精神が調和する、新しい経済思想と社会文化、企業文化を築かなければならない。
その解答は、プラウト経済政策であり、「資本主義の仮面をかぶった社会主義」 と非難された時の日本のような、調和のとれた経済・社会体制ということだ。(p.233)
著者は、日本の将来を感じとっている。
その解答は、プラウト経済政策であり、「資本主義の仮面をかぶった社会主義」 と非難された時の日本のような、調和のとれた経済・社会体制ということだ。(p.233)
2010年前後の資本主義崩壊は、恐らくアメリカの破壊的な経済崩壊から開始されるだろう。この崩壊は、瞬時に世界に波及し、日本はその混乱の中から、きっとかつて戦後復興を成し遂げたときのように復興するだろう。
そして、世界にプラウト経済民主主義の光明を灯す、灯台となるであろうことを、私は感じ取っている。(p.235)
“灯台もと暗し“ なれば、自らの高貴なる立ち位置を自覚せぬ現在の日本人達は、己の煤けた魂を磨き、再び灯りがともるはずの灯台の煤けたガラスを磨いておかなくてはならない。そして、世界にプラウト経済民主主義の光明を灯す、灯台となるであろうことを、私は感じ取っている。(p.235)
世界が崩壊の淵に立たせられるとき、日本人の魂が醸し出す幾多の優れた側面を知悉している海外の人々が、日本を先頭に立たせるべく第一に浮上させることだろう。
【日本の復活】
<了>
ラビ・バトラ著の読書記録