行ったことがあるわけではないから、ニュージーランドの印象は 『ピアノ・レッスン』 の重たく暗い海岸線のイメージ程度である。1840年建国という歴史の浅い国だからなのだろう、文化の綾を思わせるような記述はなく、想像以上の “アレッ” と思わせるような発見は殆どない。
【3つのキーウィ】
キーウィには3つある、まずは、キーウィフルーツ、二番目にニュージーランドの国鳥、そして、ニュージーランド人の意味。オーストラリア人をオージーと呼ぶがごとくである。
【3つのキーウィ】
キーウィには3つある、まずは、キーウィフルーツ、二番目にニュージーランドの国鳥、そして、ニュージーランド人の意味。オーストラリア人をオージーと呼ぶがごとくである。
【国鳥:キーウィ】
太古から生き延びてきた巨鳥、南半球最大、いや世界最大と言われたモアが絶滅したのは、気候の変化のせいでもあるが、その長い肢の骨髄がマオリの大好物だったことも一因といえる。国鳥に指定されたキーウィは、モアと違って目立たないうえ、あまり味がよくないので、生き延びることができた。人間のほうのキーウィは、そこから何らかの教訓を読み取っている。 (p.70)
この何らかの教訓がニュージーランド文化に関連して書かれているかといえば、何も書かれてはいない。
【キーウィフルーツ】
命名を巡っての経緯が興味深い。
命名を巡っての経緯が興味深い。
キーウィフルーツはニュージーランド原産ではないが、外来の多くの作物と同様、この国の気候に合って、よく育った。60年代初めにある輸出業者がアメリカの巨大市場にこの果物を売り込もうとした。だが、1つ問題があった。当時は冷戦の真っただ中。アメリカ人は少しでも共産主義と関係がありそうなものに、極度に神経を尖らせていた。それまでニュージーランドでは、この果物は「チャイニーズ・グーズベリー」と呼ばれていたのだが、共産中国を連想させるこの名ではアメリカの消費者に受け入れられそうにない。
そこで輸出業者は広告代理店に何かいい名前を考えてくれと依頼した。そのリストの30番目にあったのが「キーウィベリー」だ。輸出業者はこれに飛びついたが、年のため植物学者に問い合わせたところ、「これはベリーではない。果物だ」と言われた。かくして「キーウィフルーツ」が誕生したのである。 (p.73-74)
そこで輸出業者は広告代理店に何かいい名前を考えてくれと依頼した。そのリストの30番目にあったのが「キーウィベリー」だ。輸出業者はこれに飛びついたが、年のため植物学者に問い合わせたところ、「これはベリーではない。果物だ」と言われた。かくして「キーウィフルーツ」が誕生したのである。 (p.73-74)
【人口分布】
人口の4分の1、すなわち、たったの90万人が、日本と同じ面積にパラパラと住んでいることになる。人口密度が低すぎるから、いつでも必要なときに専門業者を呼べるわけではない。だから、DIY (Do It Yourself) の日曜大工用具店が必要不可欠。娯楽ではなく生活の一部。こんな国に住みたいと思う。
オージーにからかわれるまでもなく、自分たちの国には人間よりも羊のほうが多く住んでいると、キーウィは知っている。羊の数はざっと5000万頭。
ニュージーランドの人口はざっと360万。その四分の三近くが5つの主要都市に集中している。その5都市のうち、ひとつだけ(オークランド)が「都市らしい都市」を自任している。 (p.12)
西海岸の辺鄙な村を車で通ったとき、道端で手を振っている人がいても、おそらく助けを求めているのではない。人の顔を見るだけで、うれしくてたまらないのだ。 (p.29)
5都市の残りは、北から、ハミルトン、ブルズ、ウェリントン、クライスト・チャーチ。ニュージーランドの人口はざっと360万。その四分の三近くが5つの主要都市に集中している。その5都市のうち、ひとつだけ(オークランド)が「都市らしい都市」を自任している。 (p.12)
西海岸の辺鄙な村を車で通ったとき、道端で手を振っている人がいても、おそらく助けを求めているのではない。人の顔を見るだけで、うれしくてたまらないのだ。 (p.29)
人口の4分の1、すなわち、たったの90万人が、日本と同じ面積にパラパラと住んでいることになる。人口密度が低すぎるから、いつでも必要なときに専門業者を呼べるわけではない。だから、DIY (Do It Yourself) の日曜大工用具店が必要不可欠。娯楽ではなく生活の一部。こんな国に住みたいと思う。
【自然の衝動?】
そもそも、観光客がわざわざニュージーランドでカジノをする、というマーケティングの結果が出るわけはない。誰をターゲットに計画したのかを思えば、発祥からしてイングランド文化に傾斜していた国民の競馬趣味の延長としてなのだろう。
最近では、別のタイプの「自然の衝動」を満足させるツアーもある。「この国の取り柄は景色だけじゃないか」という批判に対抗すべく、ラスヴェガス顔負けのカジノがお目見えしているのだ。ただし、お客は主にキーウィ。外国人観光客は景色を見るのに忙しいらしい。 (p.95)
カジノのことを、別のタイプであれ「自然の衝動」と書いている著者のメンタルが理解できない。射幸心や金銭欲は、誰にでも備わっている自然なものではない。そもそも、観光客がわざわざニュージーランドでカジノをする、というマーケティングの結果が出るわけはない。誰をターゲットに計画したのかを思えば、発祥からしてイングランド文化に傾斜していた国民の競馬趣味の延長としてなのだろう。
<了>