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 ノムヒョン大統領から イミョンバク大統領 へ変わったことで、韓国の 「反日」 的な様相は収まるらしいけれど、この本は、IMF直後にキムデジュン大統領が就任した頃に出版された本である。初版は2000年3月。再読。


【頼りになるのは日本だけ?】
 日本の強力な民間協力の想定なしには、韓国経済再建の見通しを立てることはできない。それが韓国の実状である。たんなる儲けのビジネスではなく 「協力」 を含んだビジネスでは欧米は頼りにならず、頼りになるのは日本しかないことぐらい、韓国人も本心では分かっている。  (p.60)
 と書いてあるけれど、ビジネスマンとの交流の深い著者だからこそ、そう書けるのであって、一般の韓国人がそのように本心で分かっているとはいえないだろう。
 韓国の産業界は、製造ラインやコア部品に関して、殆ど日本に依存している状態を決して公になどしないし、一般人がそのようなことに興味を持つこともまたないのである。
 欧米のビジネス界は依然として 「食うか喰われるか」 の世界である。日本のビジネス界は全体的に 「協力」 を旨としている。どの国であれ自国の長期的繁栄と安定に資することを願うならば、日本企業との交流を深めればいいのである。日本企業のモラルと技術力は圧倒的に世界一だからこそ、それが可能である。

 

 

【漢字を廃止して、民族文化の根を絶った韓国】
 漢字語は、音だけでは決して正確な概念規定ができないのだ。しかし、ハングルでは、音だけが手掛かりとなるから、言葉の抽象度が高ければ高いほど、意味の説明には膨大で複雑な論理を要する。ここで、多かれ少なかれ「難しい」と敬遠されがちとなる。高度な精神性と抽象的な事物にかんする語彙 ---- 倫理、道徳、哲学、芸術、科学 ---- いってみれば文明語彙のほとんどが、韓国の一般の人々にはもちろんのこと、かなりのインテリにも正確に理解されないまま、しだいに遠く無縁なものとなっていかざるをえないのである。
 いまの韓国語では深遠な哲学の思想の議論はまず成り立たない。いかに朱子学の伝統を誇っても、あの陰陽の気学の概念展開をハングルだけで理解することはできない。ハングルだけで世界的な水準をもった哲学論文を書くこともほとんど不可能である。日本語や西洋語でやるしかない。
 そこまでいわなくとも、私の知る韓国のご老人の中には、「韓国語では難しいことは考えられない。考えようとすればどうしても日本語になる」といわれる方が何人もいる。いまや私も完全にそうなっていて、小説ならば韓国語の方が速く読めるが、専門書は日本語のほうが数段速く読める。   (p.91)
 漢字を廃止し 「ハングル」 だけにした韓国。日本も漢字を廃止して「ひらがな」だけにしたら日本文化も即座に絶たれてしまうだろう。
 ところで、「ひらがな」 のない中国語に関しても、韓国と同様なことがある程度いえるはずである。日本語には、漢字の 「音(漢語)読み」、「訓(大和言葉)読み」、「ひらがな」、の3つが混在している。中国文学として世界に名高い 「漢詩」 の解釈をめぐって、日本人と中国人のそれを比較した場合、日本人の解釈の方が、深遠かつ繊細になることがあるのである。中国語というだけで、日本語に比べて明らかに深さ繊細さの限界を意味しているのである。
 しかも、中国は、同じ漢字といっても繁体字から簡体字へと切り替えてしまっている。既に文化は絶たれているも同然である。日下公人さんが、「今に中国も韓国も日本の文献から自国の文化を学ぶようになる」 と書いていたけれど、それは過去になされた中・韓為政者の言語文化に関する愚かな決断によって、行き着くであろう当然の結果である。
 中国、韓国は、決して日本を越えられないとする最終根拠は、この言語(国語)にあるのである。
       《参照》   日本文化講座⑩ 【 日本語の特性 】

 

 

【「ハングル」と「仮名」の比較】
 朝鮮半島もベトナムでも、漢字が入ってきた当初、それを母国語の音に充てて用いること(表音文字として利用すること)は行われたが、日本の 『古事記』 や 『万葉集』 にみられる万葉仮名のような大きな発展を見ることはなかった。ましてや、仮名を用いての訓読みという方式が生み出されることはなかった。結局は、漢語(漢文)はそのまま外国語として知識層に学ばれ、一般的には韓国語やベトナム語のなかに、外来語として漢語をそのまま取り入れていったのである。
 韓国や北朝鮮が現在用いているハングルは、日本の仮名よりもはるかのちの15世紀(李朝)に成立したものだ。ハングルは、韓国語の音を完璧に表記するために人工的につくられたもので、漢字からはまったく独立した文字である。
 そのため、ハングルを作り出しても、ハングルをもって漢字の訓とする発想が生まれることはなかった。あくまで漢字は漢字、ハングルはハングルという、互いに自立した個別の文字としてあったことが、日本語の漢字と仮名の関係とは根本的に異なっている。 (p.121)
 この記述からも、言霊言語国家、大和民族のルーツの深遠さが推測できようというもの。数千年前、阿蘇山や八ヶ岳の噴火に遭遇した大和民族は、新たな居住地を求めて朝鮮半島や中国大陸に移住し、漢字を発明し黄河文明を起こした。
 やがて大和民族のルーツである日本に漢字をもたらすに及んで、音読みの漢字に訓読みを充て、大和民族本来の深く繊細な咀嚼力で、周辺文明を十分に消化・吸収し取り込んでいったのである。
 技術を含む文化は、日本にもたらされることによって、その内容は深化し高品質化し繊細さが増す。日本の技術や文化が海外に出ることによって、その内容が深化し高品質化し繊細さが増すことはまずありえない。その不可逆過程を定めているのが 『日本語』 である。

 

<了>