中央線で読む新書 -42ページ目

江戸の閨房術

「江戸の性愛術」の著者による。
こちらはランダムに江戸時代のセックス指南本を上げていく。
ランダムすぎて、方向性がなく、源泉もされておらず、途中で飽きる。

【話のネタ本にGOOD】 新潮選書 2005年
渡辺 信一郎
新潮選書 江戸の閨房術

憲法「押しつけ」論の幻

戦後の憲法制定の過程で、自由民権運動の植木枝盛に着目した
鈴木安蔵(まったくの民間人)の「憲法草案要綱」(まったくの私案)。
それにGHQは着目したとされるが、GHQも植木枝盛の憲法案に
ダイレクトに接していることを論証。それにより、現行憲法はGHQの
押しつけでなく、「日本の土壌の中に眠っていたデモクラシーに注目し、
それを発掘」したものである、が本書の題名の謂い。

【話のネタ本にGOOD】 2006年
小西 豊治
憲法「押しつけ」論の幻

現代ロシアを読み解く

二月革命のあと、ケレンスキーらの臨時政府が、言論・出版・集会の自由、
地方自治、普通直接選挙による憲法制定会議の招集など自由主義的な
政策が打ち出されたために、その後のボルシェビキによる十月革命がなければ
ロシアも欧米と同様の民主国家になってであろうとロシアの知識人の多くが
ペレストロイカ以降、思ったとのこと。
ところが長きに渡る民主集中による後遺症で、ソ連崩壊後は、欧米並みの
民主国家・市民社会でなく、契約が履行されない「中世社会」となったのであった。

契約が履行されないとなると後払いが成立しないため、その場で貨幣と商品を交換、
あるいは物々交換となる。まさに中世的な「バザール経済」で、それは地下経済化で
もあろう。

【時間潰しにGOOD】 2002年
袴田 茂樹
現代ロシアを読み解く―社会主義から「中世社会」へ

グーグル

書店で見るとまだ4刷。 
随分話題になったはずだがそんなものか。
ネット広告やロングテールなど、
今となっては世に出回った内容なので
今となっては目新しさはない。

書き手のお陰で読みやすい代物でもある。

【今となっては】 2005年
佐々木 俊尚
グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

中高年からはじめる男の料理術

案外面白い。
特殊な日本語で書かれる料理本の読み方はじめ楽しく読める。

巻末の「知っておきたい料理用語集」がGOOD。

「ゆでこぼす」など、煮汁があふれるまで沸騰させることかと
思ってしまうが、材料をゆでて煮汁を捨てることである。

ほか煮る系では

「ひと煮」は煮立ったところに調味料を入れると沸騰が
おさまるが、再び沸騰する、このこと。

「さっと煮る」は、材料が温まる・色が変わる・表面が固くなるなどの
程度の煮加減。

「煮詰める」、蓋をしないで材料を煮て、余計な汁気を蒸発させる。

「煮含める」、たっぷりの煮汁で煮て、そのまま冷やして味を含ませる。

「煮きる」、酒やみりんなどのアルコール分を蒸発させる。

【話のネタ本にGOOD】 2006年
川本 敏郎
中高年からはじめる男の料理術

デモクラシーの論じ方

AさんBさんの延々と続くデモクラシーを巡る対話。

形式か実質か。議会制度=民主主義なら貴族による議会制も民主的となり
実質をとればマスヒステリーにさらされる。

つまるところ、デモクラシーとは正解が無く、懐疑(西部邁が保守主義の
本質としたところの)でもって、曖昧なコンセンサスとして存在するもので
あろうか。

【通勤用にGOOD】 2001年
杉田 敦
デモクラシーの論じ方―論争の政治

BRICs

○中国・ロシアは2010年をピークに生産者年齢人口が低下する。
○各国のリスクとしては、
 ブラジル…2006年10月の大統領選。
 ロシア…原油価格。1バレル50ドルを切ると成長率が6%以上から
  3.5%まで鈍化する恐れ。              
 インド…外資導入に積極的な現政権の今後。
 中国…鳥インフルエンザ。
○各国の富裕層は
 ブラジル…宗主国ポルトガルの移民階層が経済を支配。1%が
  国民所得の半分を占める。
 ロシア…エネルギー関連のバーター取引(政府が把握できず脱税の温床)で 
  財をなす。人口の4~5%が富裕層。
 インド…英国植民地時代からの発達したタタ、ビルラ、リライアンスなどの財閥が
  幅をきかせる。カースト制度による階層の固定化が今後の成長の足かせになる。
 中国…長者番付上位が不動産業者。金融資産持ちが多く、日米欧の金融機関が
  その流動資産の取り込みを計る。
○BRICsの富裕化は糖尿病の患者を爆発的に増やし、2030年には1億2889万人に
  達する見込み。
  中産階級化は植物性食品から動物性食品への移行でもあって、中国・ロシアの
  需要が乳製品の価格を上げている。中国の肉食化が今後穀物含めて中長期的に
  国際取引価格を上昇させる可能性がある。
○これらの国はパソコンの普及率が低く、その普及が半導体市場へ影響を与えよう。
○資源インフレがロシア・ブラジルには追い風だが、インドには逆風で、地理的に近い
  中国の協力が必要となる。中国の資源関連企業に資本を出すことで資源確保を図る。
○とは言え、インドは中国を仮想敵国としている。その両国に積極的に武器輸出するのが
  ロシア。プーチンは資源に次ぐ外貨獲得手段と位置づけている。しかしその多くの武器
  は80年代までに開発されたもの。今後競争力を失うと見られる。
○船便では日本-中国が3日のところ、日本-インドでは3週間。航空便も少ないのが
  現状。今後、日本インドの経済交流は高まろうが、ストライキが多く、それによる生産性の
  低下を織り込めるかが問題点。
○4ヶ国のうち、ロシア以外は京都議定書に不参加。

○インドは原油獲得のためにナイジェリアと関係を深める。ナイジェリアは原油埋蔵量10位。
  人口も日本を上回り世界9位(中国 インド 米国 インドネシア ブラジル パキスタン 
  ロシア バングラデシュ ナイジェリア 日本 が人口のベスト10)。
○人口4位のインドネシアは2005年の実質成長率が5.4%。世界有数の産油国であったが、
  油田の老朽化、国内のモータリゼーション・工業化により、2004年に原油の純輸入国となる。

旧来のG7やサミットの枠組みではものが決められない情勢となろうか。
京都議定書がいい例。

【書物としてGOOD】 2006年
門倉 貴史
BRICs 新興する大国と日本

花街

都市史としての花街。
読んで面白いものではないが、この手のものだと洲崎や吉原が
中心になるところ、全国に散らばっているので、その点は好感。

地図から花街を読み解く試みは面白い。

【話のネタ本にGOOD】 2005年
加藤 政洋
花街 異空間の都市史

江戸の性愛術

奇書。買うべし。
江戸時代、道後で女郎屋を営むものが従業員向けに記したセックスの
テクニック本「おさめかまいじょう」を解説。

客がふにゃちんだったり、馬並みだったり、包茎だったりした場合の
対処法はじめ、オーラルセックス・パイズリ・体位とありとあらゆる事柄に
及ぶ。

引用箇所直後に著者がざっくりと現代訳をするのだが、その日本語が
また絶妙。内容にシンクロする春画が数多く載せられているがそれもいい。

その他、張型について、ばれ句(エロい狂歌)をテキストに解説する章も
GOOD。

【書物としてGOOD】 新潮選書 2006年

渡辺 信一郎
江戸の性愛術

麻原彰晃の誕生

口減らし同然で盲学校に入れられ、閉鎖的な生活を20歳まで送る。
しかし周囲の子と違い、目は見えたため、優位を保つことができた。

熊本大学医学部や東大法学部を目指すと公言。それは虚しい向上心で
あった。当人はそれに気づき、あがき、徐々に日本社会を喰っていく。
盲学校の外の社会の人々(つまり健常者)が次々と集まってきたのだ。

まだヨガ教室時代の「オウムの会」には、ヨーガ教室の講師、高野山の
修行僧までが集まる。一級のヨーガ指導者であった。
なぜ世の中はオウム・麻原にダマされたのか的な批判が飛び交ったが
ヨーガ指導者としてのまっとうなベースがあるのだから、短絡的な批判は
後付の理屈であろう。

オカルト雑誌をうまく利用し、ヒヒイロカネの読者プレゼントなどを行いもする。

その後、宗教法人化に向けて邁進し、泊付けのためダライ・ラマと接見まで
する。(宗教法人化するなり在家会員の2/3が脱会。阿含宗・創価学会との
掛け持ちが多かったため。掛け持ちが多かったと言う点は重要であろう)

宗教法人となってからはご存知の通り。

本書は、堀井が「若者殺しの時代」でいう「若者文化」から大幅に外れた
場所にいた松本智津夫が、ヨーガ・オカルト・宗教でもって若者文化との
スプレッドを縮めていった過程である。

【書物としてGOOD】 2006年
髙山 文彦
麻原彰晃の誕生