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投資家から見た株式市場

出版当時の相場の関心は持ち合いの解消であったため、持ち合いに
多くが割かれている。
持ち合いのルーツは
・61年から65年にかけての下げ相場の中で証券会社を中心とする
 日本証券保有組合、銀行を中心とする日本共同証券が設立され、
 株の買い支えが行われた。相場が持ち直すとそれらが放出すること
 となるり、それを安定株主が引き受けることとなった。
・67年から75年にかけての対内直接投資の自由化によって外資による
 買収が可能となり、それを防衛するために持ち合いが進んだ。

日本の相場史としては本書は物理的な厚みの割に内容は薄く、
「決定版 チャート分析の真実」吉見俊彦の「参考資料 昭和・平成相場
変動史」がよい。

【いまさら読むほどのものではない】 1996年
浅野 幸弘
投資家から見た株式市場―バブルの構造と市場再生の条件

奇妙な情熱にかられて

病理としてのマニア。

【物足りず】 2005年
春日 武彦
奇妙な情熱にかられて―ミニチュア・境界線・贋物・蒐集

会社のカミ・ホトケ

佐高信が喜びそうな題材だが、選書だけにしっかりとしている。

イニシエーションとしての入社式、企業が祀る神社、社葬…といった
企業宗教を題材とする。

【話のネタ本にGOOD】 講談社選書メチエ 2006年
中牧 弘允
会社のカミ・ホトケ―経営と宗教の人類学

世俗宗教としてのナチズム

「ヨハネ黙示録」や中世ドイツのキリスト教文学などから、
十九世紀半ばのワーグナーのオペラ「神々の黄昏」を経て
二〇世紀まで流れてくるラディカルな黙示録的終末論が、
ヒトラーの恐怖の政治学のなかにもはっきり認められるから
である。(206)

と著者はナチズムがドイツの世俗宗教であるとする理由を
まとめている。本書は「すべての政治行為を民族救済の神話と
象徴を骨子としたドラマに仕立てていくことに自らの先駆者と
しての役割を見出そうとしていた」ディートリヒ・エッカルトに多くを
割いているのが本書の特長でもある。ナチスの母体であるトゥー
レ協会にて神秘主義でもってしたイデオローグである。


【通勤用にGOOD】 2000年
小岸 昭
世俗宗教としてのナチズム

日本のムスリム社会

久々に読み返すも、それでも熱心に読める。
日本で暮らすイスラームの人々について
大変勉強になる。

【書物としてGOOD】 2003年
桜井 啓子
日本のムスリム社会

迷宮の美術史 名画贋作

割と面白い。

WW2終戦後にナチスのコレクションからフェルメールの
作品が見つかる。ナチスにそれらを売り渡した容疑で
ファン・メーヘレンというオランダの画家が取り調べを受ける。
そうしたところ、あれは贋作で自分が描いたと証言。
容疑がナチス協力者から詐欺師へ。
売国奴から、ナチスから金を巻き上げた英雄へ、
またあまりの力量に「われわれはフェルメールを失った。
だがその代わりにファン・メーヘレンを見出した」と口走る
専門家さえいた。しかしそれほどの腕をもつメーヘレンも
死後、オリジナルの作品が競売にかけられたが、たいした
値は付かず、あくまでも贋作家であった。

【話のネタ本にGOOD】 青春出版 2006年

岡部 昌幸
迷宮の美術史 名画贋作

学閥支配の医学

門外漢にもおおよそ見当がついている範疇の事柄。
参考文献にもあがっている保阪正康の「大学医学部」や
「新・大学医学部」(共に講談社文庫)の方が面白い。

【読むほどのものではない】 2002年
米山 公啓
学閥支配の医学

人はいつから「殺人者」になるのか

佐木隆三の「殺人百科」などからすると 薄い。
腹立たしいほど中味が薄い。

小林薫・宅間守・緒方純子・林真須美・岡崎一明・林郁夫・
山田みつ子・福田和子・高橋祐子を、章を割って事件を振り返る。

【読むほどのものではない】 青春出版 2005年
佐木 隆三
人はいつから「殺人者」になるのか

メディア社会

「八月十五日の神話」の著者による。
メディアについてのエッセイである。

47 ホリエモンの野望 」(200-206)は面白い。

【つまみ読みにGOOD】 2006年
佐藤 卓己
メディア社会―現代を読み解く視点
 

丸山真男の時代

丸山真男にまったく興味はないのだが、どこらやで
誉めてあったので読む。

戦前にリベラルな帝大教授らを中心に糾弾した蓑田胸喜に1章あててあり、
そこが面白い。箕田は「原理日本」なる月刊誌を1925年から1944年まで
発行し、「大学教授思想検察官」の役割を果たした。
戦後も1960年代まではファナティックな人物見立ててで用いられたとのこと。
「日本原理」で攻撃された知識人の表が54ページにあるが、大川周明、安岡
正篤の名もある。
その蓑田は戦後「文化犯罪者」となり、自殺にいたる。

【つまみ読みにGOOD】 2005年
竹内 洋
丸山眞男の時代―大学・知識人・ジャーナリズム