中央線で読む新書 -39ページ目

日本の憑きもの -社会人類学的考察

これは面白い。

キツネ・イヌ・死者がニンゲンに憑くのに加えて、
キツネモチ、イヌガミスジという具合に「憑きもの筋」という
特定の家がある。

1972年の書物だが、60年代にはまだ「憑きもの筋」の出で
あることで縁談が破談となる例があった。まだまだホットな
題材であったのだ。

村の住人の連帯感の強さが産んだ徒花が「憑きもの筋」であるが
その効用も著者は認めている。因習・前近代・非科学と突っぱ
ねたりはしないのである。

要するに、キツネやオサキに憑かれないようにするためには、
人から妬まれないようにふるまい、また人に憑いたといわれない
ためには、意地が悪い、気性が激しい、人にくってかかる、などと
みなされないように心がける。だから憑きもの信仰は人間関係の
和を促進し、部落の連帯感を強め、伝統的な規範の維持に役立
側面を持っている」(177)

【書物としてGOOD】 1972年
吉田 禎吾
日本の憑きもの―社会人類学的考察

思想としての全共闘世代

新左翼の政治史とサブカルチャーの個人史。
「全共闘世代」ものではいつもこのパターンにはまる。
「思想としての」とマクラをつけたところで同じことである。

政治の季節以降に関しては蛇足。それは著者が会社員
でないため、マスとしての「世代」から外れたためである。
当人にその自覚はないが。

そもそも「全共闘世代」とはある一時期に大学生であった
ことが条件となるものに過ぎない。大学に入らなければ
その世代に加われないうえ、卒業・中退後に非政治的集団に
属せば、政治から無縁である。

就職しては政治から離れ、就職しないとマスから外れる。
そうした二律背反にあって、「全共闘世代」論に基づく80年代や
90年代はあまり意味がないのではないか。

【読むだけ無駄】 2006年

小阪 修平
思想としての全共闘世代

ファスト風土化する日本

前半は地方の犯罪あるところにショッピングモールあり。
後半はイオンのショッピングモールによって、本来は都市型の
タワーレコードやスターバックスが地方にやってきた、てな構成。

私の出身地は瀬戸内海沿岸だが、ショッピングモールによって
駅前は廃れて昔からあった寿司屋はなくなり、あるのは国道沿いや
ショッピングモール内にある、うどん・天ぷら・刺身の組み合わせで、
「なんとか御膳」を出す店舗」ばかりである。

前半は前半なのに蛇足、後半は浅いがまあ読める。
地方と都市を往き来しているものは、たいがいが薄々感づいている
ことではあろうが。

地方の飲食文化は、飲酒運転の罰則強化で、さらなる衰退の
危機にさらされている現在、地方の「ファスト風土化」は違う局面に
入りつつあろうか。

【話のネタ本にGOOD】 洋泉社新書 2004年
三浦 展
ファスト風土化する日本―郊外化とその病理

通貨を読む

読みづらい。新聞社のニンゲンが書いたものとは思えない。

【わざわざ読むほどのものではない】 2004年

滝田 洋一
通貨を読む―ドル・円・ユーロ・元のゆくえ

下流社会

とくに面白くもない。

売春の合法化を説く宮台真司がなんだかんだいいながらも
東大名誉教授の娘と結婚したことを例に、「晩婚化の理由は階層化」を
言うのだが、まあそんなもんでしょう。

【わざわざ読むほどのものではない】 2005年
三浦 展
下流社会 新たな階層集団の出現

辞書と日本語

三省堂に入社し、辞書編集に長年携わった著者による。
小さな辞書の方がフットワークがよく、新語の掲載が早いため、
辞書の場合は大は小を兼ねないなど、もろもろ。

【話のネタ本にGOOD】 2002年
倉島 節尚
辞書と日本語 国語辞典を解剖する

明治人の教養

和洋折衷していく明治人の教養。

【他によいものがある】 2002年
竹田 篤司
明治人の教養

UFOとポストモダン

こっちこそ長山靖生で読みたい代物。

アメリカにおけるUFO・宇宙人のあり方の変遷。
なぜUFOはWW2以降に生まれたのか?
なぜUFOの目撃騒動は73年頃を境になくなったのか?
etc etc。

マイケル・ムーアの「華氏911」と、宇宙人解剖フィルムや
エリア51などの政府の隠蔽・陰謀論が地続きとの指摘は
面白い。

【話のネタ本にGOOD】 2006年

木原 善彦
UFOとポストモダン

千里眼事件

参考文献にあがっている
一柳廣孝『「こっくりさん」と「千里眼」』講談社選書1994年
で十分なのだが。 とくにあらためて書かれる内容ではないように思える。

【他によいものがある】 2005年
長山 靖生
千里眼事件―科学とオカルトの明治日本

古本通

「日本古書通信」「全日本古本屋地図」の編集者。
読み物として面白いわけではない。

【読むほどのものではない】 2006年
樽見 博
古本通 市場・探索・蔵書の魅力