今回のコラムは(年表1)を眺めながらお読み下さい。
 http://www.cpa-itoh.com/rekisi/saka40/index.htm

 「坂の上の雲の40年間」は大きく次の3期に分けられます。

 【第1期】前体制の破壊
 【第2期】国体の形成
 【第3期】対外的独立と世界体制への参加


 【第1期】前体制の破壊とはいわゆる幕藩体制の破壊のことです。
 当たり前のことですが、1868年の「王政復古の大号令」を出すと同時に
 全国各地の殿様がいなくなったわけではなく、相変わらず「藩」が基本の
 政治形態だったのです。
 前体制の破壊とは。言い換えれば「侍」体制の破壊です。
 この破壊に10数年かかりました。
 
 「明治維新」は「徳川」幕府を倒したと理解されがちですが、
 本質は徳川「幕府」を倒したのです。
 源頼朝以来約700年続いた「幕府」(武士政権)に終止符を
 打ったのですから、人々の意識の中に残っているあの懐かしい社会を
 完全に消し去るには10数年という時間が必要だったのです。

 【第2期】国体の形成とは破壊の後の新体制の確立のことです。
 大日本帝国憲法の下に内閣と議会で日本を運営していく体制を
 作り上げました。議員は選挙で選ばれます。
 アジアではじめての近代国家運営システムの確立です。
 最近、イラクでは無理やり「選挙」が行われましたし、
 中国では共産党独裁で未だに選挙は行われていません。
 
 大日本帝国憲法を基礎にした体制は体内的なことですが、
 対外的には前体制時に結ばれた「不平等条約」の改正に向けて
 この第2期から涙ぐましい努力を始めます。
 しかし欧米列強はまだまだ日本をレベルが一段下の国とみなして
 条約改正のテーブルにも着いてくれませんでした。
 
 第2期で国内体制は完全に固まりましたので、
 【第3期】では対外面に一点集中して活動を開始します。
 対外的独立とは「不平等条約」の撤廃です。欧米列強と「平等」な条件で
 生活や交易ができてはじめて一国として「独立」していると言えます。
 関税の自主権がなく、治外法権のもとでは
 日本が独立しているとは言えません。
 
 世界体制への参加とは、日本が欧米列強と肩を並べて世界を舞台に活動する
 「一等国」になると言うことです。当時の世界体制は帝国主義でした。
 従って日本も帝国主義の世界に参加していきます。そして誰もが、
 日本人だけでなく欧米人の誰もが、夢にだにしなかったことを
 成し遂げてしまいます。

 当時世界最強と考えられていた大国ロシアの軍隊を極東の一小国が
 負かしてしまいます。日本海海戦ではまさに日本の完全勝利でした。

 サッカーに例えればワールドカップの本戦で日本のチームが
 ブラジルのチームに3-0で勝ったようなものです。

 欧米人にとっては驚天動地でした。
 アジア人にとっては真っ暗闇に突然日の光が差し込みました。
 そして日本人は有頂天になりました・・・。