【4】分野限定やパワー配分が持つ“経営上の意義”
1》キーワードは“限定”
それは、女将がやりたかった営業(宣伝広告)を、広く展開するのではなく、
インターネットに“限定した”ことです。
もちろん、インターネットが他のメディアより優れていると
申し上げているのではなく、“限定した”ことに意味があるのです。
店の経営そのものを、宣伝的にするか非宣伝的なままにしておくかを考えれば、
意見の対立は解消しなかったでしょう。
オール・オア・ナッシングでは、戦うか諦めるかしかありません。
しかし“部分的妥協”なら、お互いが大きく歩み寄れるのです。
2》対象を“限定”して一歩踏み出したB社
その部分的妥協は、K屋のケースだけではなく、様々に効果を発揮します。
たとえば数年前、印刷業のB社では、
システムをマッキントッシュで統一するか、
それともWindows普及に対応するかで、
社内の見解が真っ二つに分かれたことがあったそうです。
その時、当時の専務が、導入に見合う客を新たに見つけるから、
新たに見つけた客にだけはWindowsを使わせてくれと言って
Windowsを導入したおかげで、
かなり前から“パソコンに強い印刷屋”という評判を定着させました。
3》日程を“限定”して行動を進めたC社
新規顧客開拓か既存顧客の契約量アップかで社長と専務の
意見が食い違った保険代理店のC社では、
毎月の業績を締める25日から月末までは新規開拓を考えるが、
それ以外は既存顧客へのアプローチを優先するという
“営業ルール”を決めました。
新規開拓で既存先との交流がおろそかになることを恐れた社長と、
既存先集中で新規開拓力を失うことを懸念する専務との“妥協”でしたが、
その妥協が“次の一歩”を生んだことは、まぎれもない事実です。
“妥協”と言うとマイナスのイメージが先行しますが、
行動につなぐという意味では、非常に重要な施策でもあるのです。
【5】部分で試しながら全体を変えて行く経営手法?
1》それは“予算管理”の基本思想?
経営方針や活動の方向を全体として決めてしまおうとするのではなく、
部分的に活動する機会を作って試しながら考えようとするのは、
実は“予算管理”の基本思想なのです。
予算というと、単に“資金や経費の割り振り”のように感じがちですが、
それと同時に、何に取り組むかの行動自体を割り振っているのです。
印刷業のB社では、システム予算にそれが出ていますし、
保険代理店C社では売上見込(目標)や営業経費に出ているだけで、
その基は“行動プラン”そのものなのです。
冒頭の料亭K屋でも、インターネットでしか広告をしないと決めましたが、
そのためのパソコンやプロバイダーとの契約は必要でした。
自分でホームページを更新するために、ソフトも購入しました。
そして逆に、予算では“ここまでは使える”
という目安が金額で出てくるから、行動が一層具体的になるのです。
2》一歩進めば意外な効果も出る…?
面白かったのは、ホームページに写真を載せようとした際、良い写真を
撮りたいからと言って、30万円のデジタルカメラを買おうとした
ご主人に、ホームページに載せるのが目的なら3万円程度のカメラで
十分として、女将が高級カメラを買わせなかったことです。
それが『良いものの追求という姿勢ばかりではなく、
目的に合わせた料理を提供することも必要だ』
という主人の感覚変化につながりました。
逆に『宣伝ではなく地域を紹介するという姿勢に、
料亭のあり方のようなものを再認識した』と女将は言います。
3》予算管理は単純な予測経営ではない!
経営は迷いの連続です。
しかし、世の中の変化は待ってくれません。
そのため、常に
“費用や労力を限定して試す場を持つ”発想が欠かせないのです。
そして、その発想が“予算管理を通じて経営する”ことで、
比較的自然に実現されるのだとしたら、
予算管理への考え方も変わるのではないでしょうか。
もちろん、予算管理の前に、実績管理が明確でなければ、
変化対応の前に、現在の問題に気付かない経営に陥っているかも知れません。
要注意です。
1》キーワードは“限定”
それは、女将がやりたかった営業(宣伝広告)を、広く展開するのではなく、
インターネットに“限定した”ことです。
もちろん、インターネットが他のメディアより優れていると
申し上げているのではなく、“限定した”ことに意味があるのです。
店の経営そのものを、宣伝的にするか非宣伝的なままにしておくかを考えれば、
意見の対立は解消しなかったでしょう。
オール・オア・ナッシングでは、戦うか諦めるかしかありません。
しかし“部分的妥協”なら、お互いが大きく歩み寄れるのです。
2》対象を“限定”して一歩踏み出したB社
その部分的妥協は、K屋のケースだけではなく、様々に効果を発揮します。
たとえば数年前、印刷業のB社では、
システムをマッキントッシュで統一するか、
それともWindows普及に対応するかで、
社内の見解が真っ二つに分かれたことがあったそうです。
その時、当時の専務が、導入に見合う客を新たに見つけるから、
新たに見つけた客にだけはWindowsを使わせてくれと言って
Windowsを導入したおかげで、
かなり前から“パソコンに強い印刷屋”という評判を定着させました。
3》日程を“限定”して行動を進めたC社
新規顧客開拓か既存顧客の契約量アップかで社長と専務の
意見が食い違った保険代理店のC社では、
毎月の業績を締める25日から月末までは新規開拓を考えるが、
それ以外は既存顧客へのアプローチを優先するという
“営業ルール”を決めました。
新規開拓で既存先との交流がおろそかになることを恐れた社長と、
既存先集中で新規開拓力を失うことを懸念する専務との“妥協”でしたが、
その妥協が“次の一歩”を生んだことは、まぎれもない事実です。
“妥協”と言うとマイナスのイメージが先行しますが、
行動につなぐという意味では、非常に重要な施策でもあるのです。
【5】部分で試しながら全体を変えて行く経営手法?
1》それは“予算管理”の基本思想?
経営方針や活動の方向を全体として決めてしまおうとするのではなく、
部分的に活動する機会を作って試しながら考えようとするのは、
実は“予算管理”の基本思想なのです。
予算というと、単に“資金や経費の割り振り”のように感じがちですが、
それと同時に、何に取り組むかの行動自体を割り振っているのです。
印刷業のB社では、システム予算にそれが出ていますし、
保険代理店C社では売上見込(目標)や営業経費に出ているだけで、
その基は“行動プラン”そのものなのです。
冒頭の料亭K屋でも、インターネットでしか広告をしないと決めましたが、
そのためのパソコンやプロバイダーとの契約は必要でした。
自分でホームページを更新するために、ソフトも購入しました。
そして逆に、予算では“ここまでは使える”
という目安が金額で出てくるから、行動が一層具体的になるのです。
2》一歩進めば意外な効果も出る…?
面白かったのは、ホームページに写真を載せようとした際、良い写真を
撮りたいからと言って、30万円のデジタルカメラを買おうとした
ご主人に、ホームページに載せるのが目的なら3万円程度のカメラで
十分として、女将が高級カメラを買わせなかったことです。
それが『良いものの追求という姿勢ばかりではなく、
目的に合わせた料理を提供することも必要だ』
という主人の感覚変化につながりました。
逆に『宣伝ではなく地域を紹介するという姿勢に、
料亭のあり方のようなものを再認識した』と女将は言います。
3》予算管理は単純な予測経営ではない!
経営は迷いの連続です。
しかし、世の中の変化は待ってくれません。
そのため、常に
“費用や労力を限定して試す場を持つ”発想が欠かせないのです。
そして、その発想が“予算管理を通じて経営する”ことで、
比較的自然に実現されるのだとしたら、
予算管理への考え方も変わるのではないでしょうか。
もちろん、予算管理の前に、実績管理が明確でなければ、
変化対応の前に、現在の問題に気付かない経営に陥っているかも知れません。
要注意です。