cb650r-eのブログ -7ページ目

cb650r-eのブログ

ブログの説明を入力します。



千葉は眼鏡をかけ直し、真顔に戻った。
「そうか。……いいでしょう。俺も久々に“大阪”で話してみたくなったよ」

胸の奥が熱くなる。
――これで基調講演は決まった。

だが、戦いはまだ終わらない。
フォーラム全体の設計、他の登壇者との調整、ライバル企業との競合――課題は山積みだ。

応接室を出ると、永田町の夕暮れが広がっていた。
ビルの谷間に沈む夕陽が、空を朱に染めている。

俺は拳を握りしめ、つぶやいた。
「行けるぞ、成瀬。ここからだ」



 

「はい。やっとスタートラインに立てましたね」

二人で並んで歩き出す。
四十年ぶりに再会した旧友の言葉を胸に、俺は心の中で固く誓った。
――このフォーラム、必ず成功させる。

 

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

本題に入る

だが、いつまでも思い出話に浸ってはいられない。
「さて――今日の本題に入ろうか」

俺は背筋を正し、声に力を込めた。
「成瀬代理、説明を頼む」

成瀬代理が資料を開き、淡々と企画を説明していく。
関西の経営者や市民向けのカーボンニュートラル・フォーラム。
その意義、地域社会へのインパクト、そして――基調講演を千葉理事にぜひお願いしたいこと。

千葉理事は黙ったままスマホを取り出し、眼鏡をずらしながら予定を確認している。
部屋の時計の針が響く。秒針の一音ごとに、心臓が早鐘を打つようだった。

やがて彼は顔を上げ、口を開いた。
「……その期間は、海外出張もないし、日曜日であれば会議も入っていない。大丈夫だと思う」

「本当か!」

思わず声が上ずった。

千葉理事は笑みを浮かべ、ソファに背を預ける。
「ただし、山ちゃん。俺は忖度しないぞ。壇上に立ったら、容赦なく“現実”を語るからな」



 

「もちろんだ。俺たちが欲しいのは、本物の言葉だけだからな」

成瀬代理が横で深く頷いた。
「ええ。甘い幻想ではなく、関西の市民や経営者に“現場の声”を届けることが、フォーラムの目的です」

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

まさかの対面

四菱総合研究所の本社が入るビルは、永田町の国会議事堂前駅に直結していた。
地下1階の総合受付を抜け、無機質な廊下を進んで応接室へと案内される。

成瀬代理と二人、ソファに腰を下ろし、緊張を胸に待つ。
やがて――ノックの音。

「お待たせしました」

ドアが開き、背の高い細身の紳士が姿を現した。眼鏡の奥の瞳は鋭く、どこか神経質そうにさえ映る。
俺たちは立ち上がり、名刺を差し出そうとした。

「大阪ビジネスコンサルタンツの――」

その瞬間だった。
名刺を渡しながら顔を見た途端、頭の中が真っ白になった。

驚きに固まったのは、向こうも同じだった。
わずかな沈黙を破ったのは、彼の方だった。

「……山ちゃん、か?」

 

 

「え……千葉っち?」

信じられない。
四菱総合研究所の研究理事、千葉誠一氏。
それは、和歌山西高校時代のクラスメイト――千葉君だった。

「高校卒業以来、40年ぶりか。まさか、こんな場所で会うとはな」
「いやあ、千葉っち、全然変わってないな!」
「山ちゃんこそだよ。すぐ分かったよ」

旧友との再会に、張りつめていた空気が一気にほどけていく。
成瀬代理がようやく口を挟んだ。

「お二人、同級生だったんですね」
「そうそう。クラスも一緒で、こいつは硬式テニス部の部長で、学級委員長。成績も優秀で、大阪大学工学部に現役合格したんだ」俺は一気にまくしたてた。

「いやいや、昔の話だよ」

しばし、懐かしい日々がよみがえる。家族のこと、同級生の消息――時間が逆流したように会話が弾んだ。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

第一関門突破

翌日の夕暮れ時。湯浅所長から一本の電話が入った。
「千葉理事が――大阪ビジネスコンサルタンツさんとお会いするとのことです」

「あっ、そうなんですか。本当ですか。所長、ご尽力に感謝いたします!」
「いやいや、“お会いする”だけです。引き受けるとは言ってませんよ」
「分かっています。あとは、我々の誠意をどう伝えられるかです」
「ご健闘を祈りますよ」

短いやり取りの中にも、胸が熱くなる。
電話を切ったあと、私は成瀬代理に向き直った。

「まずは――第一関門突破だ!」
「ラッキーでしたね。じゃあ、来週は永田町の四菱総合研究所へ出張ですね」

 



久々の東京出張。その響きに、胸がわずかに高鳴った。

 

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

研究所訪問の成果

高砂研究所を後にすると、外はすでに夕闇が迫っていた。
車に乗り込むと、成瀬代理が大きく息を吐いた。
「いやあ……千葉誠一さん。まさか名前が出るとは思いませんでした」

「相当な大物のようだな」

「大物なんてもんじゃありません。業界では、以前は“ミスター・ターボチャージャー”と呼ばれ、今は“カーボンニュートラルの司令塔”と呼ばれています。欧州の国際会議でも何度もスピーカーを務めていますし、国のエネルギー政策に対しても大きな発言力を持っている。……正直、雲の上の存在ですよ」

 



――なるほど。つまり、千葉さんにご登壇いただけるのなら、このフォーラムは一気に格が違うものになる。
だが逆に言えば、だめなら“並の企画”に終わってしまう。

俺は車の助手席で、前を見据えたまま呟いた。
「千葉さんを口説き落とせるかどうか……それが成否を決めるわけか」

成瀬代理がうなずく。
「はい。ただし、もしお会いできたとしても、一筋縄ではいかないはずです。千葉さんは、安直なイベントやセミナーには決して登壇しません。信念で動く方ですから」

「つまり、中途半端な提案では門前払い……ってわけだな」

車窓に映る大阪の街の灯りが、どこか挑発的に瞬いて見えた。
次なる戦いの舞台に登れるのか、それとも門前払いか。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

ある一人の人物

俺は続けた。
「所長、我々がやろうとしているのは単なるイベントではありません。経産省や自治体が“もう一度旗を掲げたい”と考えている。だからこそ必要なのは、御社のような現場の声なのです」

 



湯浅所長の眼光が鋭くなる。
まるで心の奥を見透かすような視線だった。

「……山本さん」
低い声が響いた。

「あなたは、私に“技術”ではなく“未来”を語れ、と言うのですね」

「はい」
俺は一歩も引かず、頷いた。

短い間。
だが永遠のように感じられる沈黙が落ちた。

やがて――所長の口元が、かすかに緩んだ。

「……面白い」

その言葉が放たれた瞬間、応接室の空気が変わった。

湯浅所長は、ある一人の人物の名前を俺たちに伝えた。

 

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

K-1にΔ(デルタ)降臨!

高野山のほど近くにある峠――通称「K-1」。
俺が週末そこに通い詰めるようになって、もう10か月になる。

最初にこの峠について、最近の事情を説明してくれたのは常連の森くん。
彼から聞かされたのは、ここには「二人の圧倒的に速いライダー」がいるという話だった。

ひとりは、俺の大学時代の同級生であり、今の“師匠”でもある男。
通称「シータ(θ)」。
元ノービスライダーで、しかも白バイ隊出身という筋金入りの走り屋だ。

そして、もう一人が――「熊本さん」。
現役のライディングスクールのインストラクターで、
仲間内では“シータと双璧”という意味で「デルタ(Δ)」と呼ばれているらしい。

 



実はこの二人、かつて一度だけK-1でバトルをしたことがあるという。
その話をシータから“ここだけの話”として聞いたのだが――
どうやらその時、デルタはK-1名物の直角コーナーでコースアウトしたらしい。
(ま、伝説のバトルには、そんなオチもつきものだ。)

そして今日――
その“Δ(デルタ)”さんが、ついにK-1に降臨された。

その愛車がこちら。

 

オリジナルカラーでフルペイントされたNinja1400㏄
 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

 

未来を語る視点

沈黙の中、所長の視線は一点を見つめたまま動かない。
応接室を満たすのは、時計の針が刻む音だけ。

――このままでは終わる。
だが引き下がれば、今回のフォーラムは骨抜きになる。

俺は深く息を吸い、言葉を選ばずに切り込んだ。

「……所長」

湯浅の眉がぴくりと動く。

「確かに、技術的取り組みには機微があるでしょう。だが――今回、私どもがお願いしたいのは、御社の“技術”そのものではない」

「……?」

「必要なのは“未来を語る視点”です。水素を使ったゼロエミッション火力発電――それが社会をどう変えるのか。人々の暮らしに、どんな希望を与えるのか。それを語れるのは、開発の最前線に立つ御社以外にありません」

 



沈黙が再び流れる。
成瀬代理が驚いたようにこちらを見る。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

必要なのは実例

成瀬代理がすかさず前に出る。
「所長、その点は我々も理解しています。フォーラムで重要なのは、“理念”ではなく“実例”。だからこそ御社の取り組みをお借りしたいのです」

 



湯浅所長の目が細められる。
「……ほう。だが実例を出したところで、それをどう伝えます? 参加者が“自分ごと”として受け止めなければ意味はない」

――来た。
真正面から試されている。

俺は背筋を伸ばし、言葉を選んだ。

「所長のおっしゃる通りです。ですから我々は“フォーラム”という形を選びました。シンポジウムのように議論を散らすのではなく、参加者自身に結論を導かせる場です。そこで貴研究所の挑戦を提示できれば、“これは遠い未来の話ではない”と実感させられる。私はそう確信しています」

湯浅所長の眉がわずかに動いた。
わずかだが、その眼差しに変化が見えた。

「……なるほど。思い付きでお話しされているわけではなさそうですね」

応接室の空気が、ピリリと震えた。
――勝負はまだこれからだ。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

湯浅所長がお待ちです

視察を終えると、受付で「湯浅所長がお待ちです」と声を掛けられた。
いよいよだ。

俺たちは会議棟の一室へ案内された。
扉を開けると、窓際に立つスーツ姿の男性がゆっくりと振り返った。穏やかな表情だが、眼光は鋭い。

「ようこそ高砂へ。所長の湯浅です」



その一言で、空気が一気に引き締まった。
――この人が、我々の構想を左右するキーマンだ。

「湯浅所長、ご案内ありがとうございました。さて――今回の訪問の本題なのですが…」
私が口火を切ると、所長の目が鋭くなったように感じた。

「成瀬さんからお電話で伺いました。フォーラムの件ですよね」
穏やかで落ち着いた声が応接室に響く。

「はい。我々OBCとしては、この関西地区におけるカーボンニュートラルの機運をもう一度高めたい。そのために、御社のような先端事例をぜひフォーラムで紹介させていただきたいのです」

一拍の沈黙。
所長は指先で机を軽く叩き、こちらを値踏みするように見据えた。

「……山本さん」
その声には圧があった。

「正直に言いましょう。私は“お題目だけのイベント”には協力する気はありません。再生可能エネルギーだ、水素だと掛け声をかけても、結局は机上の空論で終わるものが多い。参加者に“夢物語”を語るだけなら、我々の名前を出す価値はない」

言葉が胸に突き刺さる。
しかし――ここで怯むわけにはいかない。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。