高すぎる宿泊費
――鹿島市・松尾市長との面談。
――長崎・郊外の研究施設にて矢野教授との面談、および施設視察。
プリンターから出てきた「西九州出張旅程表」を手に、大杉主任が胸を張って天野次長のデスクにやって来た。
「我ながら、完璧な出来映え」と大杉主任が低い声でつぶやく。
「確かに……短時間で、よくここまで調整できたわね」
旅程表を眺めながら、天野次長も感心したようにつぶやく。
「大杉主任のサポートのおかげで・す・よ!」――と、自ら言い放つ大杉主任。
「もっと褒めてもいいんですよ? 私、ほめられて伸びるタイプなので。次長は“ほめ”が足りないんですよ」

「あなたは、褒めると調子に乗りすぎるタイプだから…」
「これが世にいう令和の“ほめ”不足。なんちゃって」
「ほら……やっぱり調子に乗るじゃない」
天野はくすっと笑い、旅程表を手に千﨑部長のもとへ向かった。
「たった一日で、よくここまで調整できましたね……」
旅程表に目を通しながら、千﨑部長が感心したように言う。
だが、その視線が欄外に移った瞬間、眉間にしわが寄った。

「……で、この“佐賀の宿泊費”という欄。数字が一桁、多いような気がしますが?」
「……はあ。伊達木社長のご紹介で、今さら断ることもできず……」
「二人分の料金でも高いと思いましたが……まさかの“一人当たり”ですな、この料金」
「……はい」
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