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cb650r-eのブログ

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CB650R e-clutch を買う夢を見ました。

 

チョップ印

 

 私は慣れない手つきで、シスター社のタイプライターを使い、元住銀行向けの信用状開設依頼書を打ち込んでいた。貿易に関わる銀行書類は厚く、6枚複写など当たり前だ。シスター社のタイプライターは、そんな私にとって頼りになるパートナーだった。
 仕上がった書類にはミスタイプが目立ったが、取手は「没問題、没問題(メーウェンティー)」と軽やかに口ずさみながら、小さな丸いゴム印をポンポンと押していく。そのゴム印には細かい文字で「THE OSAKA TRADE CO. LTD」と刻まれていた。後に知ったことだが、これは「チョップ印」と呼ばれ、訂正印としてよく使われるものだった。
 チョップ印だらけになった信用状開設依頼書に、私も係印を押し、取手がそれを今福課長に提出した。課長は不満げな表情を浮かべていたが、取手が何か小声で説明すると、しぶしぶながらも検印を押してくれた。その依頼書は元住銀行の国際部宛にFAXで送られ、原本は嘱託の社員さんが、他の領収書や請求書とともに、元住銀行に配達してくれた。

 それから2週間が過ぎたある朝、大阪港のコンテナヤードにある関西ロジテクスから電話がかかってきた。輸入書類はすでに元住銀行経由で当社に届いており、その日の為替相場で円に換算した金額を吉本衣装の経理担当者に伝えたところ、午後には当座預金に入金されていた。



このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。




 

 

私の CB650R e-clutch は、納車遅延中です。

 

取手 豪という男

 

「取手さん、質問してもいいですか?」
「まさか、『四海(スーハイ)ってどこの国にあるんですか?』なんて聞くつもりじゃないだろうな?」

 私は、全くの素人感覚で質問した。

 「まず、四海の会社って山本衣装さんの現地合弁会社ですよね。それなのに、なぜ手数料の安い外国送金取引で決済しないんですか?それに、もう5月ですけど、Tシャツはシーズンに間に合わないんじゃないですか?さらに言えば、グループ内取引なら、直接メインバンクに頼めばいいのに、わざわざ高い手数料を払ってまで、どうして商社であるうちを通すんですか?」

 取手は少し考え込んだ後、にやりと笑った。

 「う~ん、いい質問だ。まず、L/C決済じゃなくて外国送金でいいんじゃないかって?はい、素人発言ですね!東国はね、外貨の管理が厳しいんだ。だから貿易は基本的にL/Cでやるんだよ。そしてTシャツなんて、年中着るだろ?なにが5月だって!季節関係なく売れるものさ。それからな、どうしてうちを通すかって?それはもちろん、俺様の日頃の営業努力の賜物に決まってるじゃないか!さっさとわかったら、行動に移しやがれ!ウピピ~」

 

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【悲報】4回目の下方修正

 

 10月14日、ホンダドリームの某店が、山本 直太郎氏(仮名;57)に対し、CB650R e-clutchの納車が2025年以降になることを電話で通知しました。同店の責任者A氏によると、CB650Rは現在、1店舗あたり1か月に1台の割り当てしかなく、山本氏の車両も例外ではなく、納期が2025年以降に遅れる可能性が高いとのことです。

 ホンダの国内生産力に関しては、全国のホンダドリーム店を約60店舗と仮定して推定すると、都市部への積み増しを考慮しても1日あたり2〜3台くらいかな、なんて推測されます。何せ、これが当社の「最大限の努力」なんですから。

 今回の納車遅延は、6月6日、7月1日、9月19日に続く4回目の納期の下方修正です。このような度重なる修正に対し、一部からは、ホンダはバイクの世界最大手でありながら、生産能力の見通しが甘~いとの指摘が上がっています。

 また、バイクレースの最高峰MotoGPでも、近年ホンダは、ドゥカティやアプリリアの後塵を拝しており、技術面での課題が深刻です。さらに、経営面でも米ゼネラル・モーターズ(GM)とのEV共同開発を中止するなど、戦略の迷走が見られます。そう、バイクなんて二の次、三の次なのです。たぶん。

 

自称バイク評論家の取手 豪 氏(西日本E&Iジャパン 執行役員)のコメント

 「日本国内のバイク販売なんて、メーカーにとってはとっても、とっても大事なんだよ。「ホームページには「最大限の努力」とか書いているけど、会社の「フィロソフィー」に「それぞれの持ち場、持ち場で最善の努力をしなければなりません」て書いてあるから、だって、しょうがないじゃない?。「さ」って打ったら、「最大限の努力」って自動変換されちゃったりして。ウピピー。
 おい、糞貧乏小市民の山本よ。調子乗るのもいい加減にしろよ。バイクを売っていただけるだけ感謝せい。毎日、鈴鹿方面に向かって感謝の土下座をしろ。これで連載100回まで継続決定だな。ウピピー。

私の CB650R e-clutch は、納車遅延中です。ホンダ頑張れ! 

 

輸入初案件

 

 毎週月曜日に行われる実績発表の進行役、それは部内…いや、社内一の嫌われ者、取手豪(とりで たけし)だ。そして、彼は私の指導社員でもある。昭和62年に入社した彼は、私より3年先輩だ。
 

 その日も、朝礼が終わると、取手はすかさず私のもとにやってきた。肩に軽く手を回しながら、イヤミな笑みを浮かべてこう言った。「高経大(高野山経済大学)貿易学科卒のエリートちゃんには、この数字はちょっと物足りないかもしれないけど、まあ、頑張ってちょうだいね」と言い残し、営業室へと降りていった。
 

 翌日、朝の会議が終わり、一階の会議室から自席に戻ると、取手がクリアファイルに入った書類を、私の机にポンと無造作に投げた。
 「山ちゃーん! あなた超ラッキー! 記念すべき第一号案件は、ド楽勝の輸入案件です。ハイ、これ。」

輸入者:吉本衣装㈱
輸出者:四海吉本衣服有限公司
商品:Tシャツ
価格:US$1.5 × 5,000着 = US$7,500(約113万円、運賃、保険別)
決済方法:輸入信用状(L/C)

取手は続けて言った。「金額は課長決裁権限内!つまり、与信審査…ご・無・要!」

 

いちいち、むかつく。どうにもやかましい奴である。

 


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私の CB650R e-clutch は、納車遅延中です。

 

試用社員諸君!

 

 今日から4月末までは、国際業務部での研修期間だ。主に座学が中心だが、伊丹空港や大阪港の荷捌き場の見学も含まれている。さらに、元住銀行での研修や、部長が以前勤めていた中堅商社、カネミツ商事での1週間の研修、主要取引先の工場見学など、さまざまな経験を積むことができた。次第に、学生気分も抜けてきたように感じる。

 

 

 毎朝8時から会議が始まる。参加者はほぼ全員が日経新聞を持参している。若手社員を中心に、外国為替や日米金利のほか、経済のトピックスが発表される。特に月曜日には、前週末までの個人成績が公表される。本部社員の年間目標は、年収の3倍が基本だ。ここで言う目標は貿易取扱高ではなく、外国為替の収益である。

 

 具体的に言うと、顧客からは1米ドルにつき1円の手数料をいただく。当社が元住銀行に支払う手数料は1米ドルあたり20銭だ。たとえば、100,000米ドル(約1,500万円)の取引では、8万円+α(基本手数料など)が当社の収益となる。円建取引の場合はさらに複雑で、取引額の0.1%を顧客から受け取り、取引額の0.025%を元住銀行に支払うことになる。結果、当社の収益は取引額の0.075%+αだ。たとえば、1,500万円の取引なら、11,250円の収益になる。

 

 本部実務社員には、それぞれ固定の取引先があるので、目標の6割くらいまでは自然に達成されることが多い。年間目標はおおよそ年収の3倍に設定されており、具体的には私の場合、(初任給15万円×12か月+賞与:15万円×2か月分×年2回)×3=720万円だ。ただ、これを達成するには、少なくとも年間で10億円程度の取引をこなさなければならない計算だ。

 

 会議室の移動式ホワイトボードには、マグネットで貼られた模造紙に手書きの赤い棒グラフが描かれ、各個人の「達成率」が一目でわかるようになっている。同期の吉富と私も、試用社員ながら、グラフの右端に名前が追加されている。少しだけ焦る自分がいた。

 

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私の CB650R e-clutch は、納車未定です。

 

1990年4月2日、辞令交付


 本店3階の大会議室。ステージ正面には日の丸が掲げられ、その上には「平成二年度入社式」の看板がバトンに吊り下げられている。君が代の斉唱が終わると、堀崎社長の祝辞が始まった。堀崎社長は元住銀行の元役員で、フランス・パリ支店長を務めた経歴を持つ。酒に酔うとシャンソンをアカペラで歌うらしいが、幸運にも私はまだその場に居合わせたことはない。

 1986年に施行された男女雇用機会均等法のおかげで、今年は4年制大学を卒業した女性も総合職として採用されている。しかし、男性31人に対して女性はわずか3人。その中の一人、阪大卒の河合さんが新入社員代表として挨拶を行った。彼女は4年ほど勤めた後に退職し、苦労して弁護士になったらしい。最近、地元で起きた未成年者の重大事件を担当する弁護士として、夕方のニュースに映っているのを見かけた。

 新入社員の辞令交付は五十音順で進んだ。私は最後から2人目で、最後は吉富 太郎君。「山本 直太郎、本部、国際業務部 試用社員を命ず」——上釜副部長がそう読み上げた。式典が終わり、上釜副部長から一人ひとりに辞令が手渡された。私に辞令を渡す際、「今回は、執行猶予つきにしとくか……。」とニヤリとしながら手渡してきた。

 午前中は別館の会議室で、外部講師によるマナー講座が行われた。名刺交換の仕方、エレベーターの使い方、タクシーの乗り方、そしてお酌の作法まで、社会人としての基本所作を一通り教わった。

 

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1990年4月2日、入社式


 今日は1990年(平成2年)4月2日、月曜日。世の中はバブル真っ只中。新卒採用は空前の売り手市場で、22歳の私も完全に浮かれていた。二度寝、いや当然至極の朝寝坊である。
 午前8時15分、愛車のBMW K75に跨がり、大阪市中央区にある大阪貿易株式会社の本社へ向かう途中だった。信号待ちで、青になるのを今か今かと待っている。上下スーツに革靴、そして羽織っているのは色あせた「MICHIKO LONDON」の黒いウインドブレーカー。見た目はともかく、心臓はバクバクである。
 やっと信号が青に変わり、私は慌ててアクセルを開け、クラッチを雑につないだ。すると、バイクは予想外のウイリー状態に。すごい衝撃で前輪が接地したが、ひるむわけにはいかない。
 今日はエープリルフールではなく、入社式だ。8時半までに本社3階の会議室に集合し、9時から辞令交付式が始まる。遅れるわけにはいかない。8時27分、3回目の本社訪問だったことも幸いして、何とか本社の駐車場に滑り込む。やむを得ず、来客用の駐車スペースにバイクを停め、ヘルメットの中に脱いだウインドブレーカーをぐちゃぐちゃに丸めて詰め込み、タンクの上にそのまま置いた。そして、正面玄関へ向かって走っていくと、そこには一人の男性が立っていた。人事部の上釜副部長…。一次面接から最終面接まで担当していた、あの人だ。

「ほう、さすが新人類。入社式から外車で重役出勤とはね。」

 万事休す。どうやらすべて見られていたらしい。私は、最後に到着した新入社員だったようだ。
 

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最後のマージャン

 

 1990年(平成2年)4月1日、日曜日の夕方。自宅の固定電話が鳴った。受話器を取ると、大学の悪友、北山からの電話だった。
 「山ちゃん、今から広田んちで麻雀しようぜ。当分できなくなるだろ?」
 広田も同じ大学の同級生で、彼の部屋は母屋に隣接したプレハブ建て。なんと全自動麻雀卓まであるという夢のような場所だ。
 「もう一人は川道か?」

 北山は当然のように留年決定、卒業後、広田は家業の運送会社に就職、川道は実家の美容室を手伝うことになっている。
 「そうそう、もう3人揃ってる。あとは山ちゃんだけ!」いつも通り、外堀は完全に埋められている。

 麻雀は6時頃から始まり、8時頃に街中華からチャーハンや中華丼が届き、腹ごしらえをしながら競技は続行。予定では12時までに帰るはずだったが、気づけば深夜の3時。勝ったのか負けたのか、今となってはよく覚えていない。とにかく少しでも寝ようと、目覚ましを2個枕元へ。6時半にセットして、布団に潜り込んだ。そして、すぐに深い眠りへと落ちた。
 

 

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CB650R e-clutch は、注文から5か月経っても納車の気配さえありません。なぜ、こうなったのか振り返ります。(ご勝手にどうぞ、ですね)

 

自分の誇り

 

 永年勤続表彰を受けた日の帰り、いつものようにJRの最後尾の車両に乗り込んだ。左隅の一番後ろに立つのが、私にとっての「指定席」だ。
 会社に勤めて32年。だが、胸を張って誇れる成果もプロジェクトも、何一つ思い浮かばない。出世も同期の中では下の方。支店長どころか、次長にすらなれなかった。
 一体どうして俺はここまで続けてこられたのか。俺の取り柄って何だ?
 誰にも負けないこと、誇れること。それが何かをずっと考え続けたが、浮かんでくるのは一つだけ――。人生で唯一、1番になって尊敬のまなざしを浴びた思い出。

 「オートバイの限定解除免許を持っている。そして、ほんの一瞬、誰よりも速かった。」

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CB650R e-clutch は、注文から5か月経っても納車の気配さえありません。なぜ、こうなったのか振り返ります。(ご勝手にどうぞ、ですね)

 

役職定年

 

 私は、専任社員になった。しかし、給与は来月からこれまでの約半分に減る。勤務先は引き続き「大阪ビジネスコンサルタンツ」肩書は「医業・介護経営コンサルタント部次長」。だが、肩書に見合った権限や責任は何もない。部長は田下さん。旧関西貿易出身で、平成元年入社の一つ先輩だ。
 私の出向元である「西日本E&Iジャパン」は、2015年4月に「大阪貿易」と、そのライバルであった「関西貿易」が合併し、「大阪トレーディング・ホールディングス」の傘下に入った会社だ。田下部長は両社の「融和」を何よりも重んじるが、業績と礼節に関しては一切の妥協を許さない。しかし、人目のない場所では驚くほどフレンドリーで、旧大阪貿易出身の私には特に気を遣ってくれているように感じる。

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