オートバイをもう一度(7) | cb650r-eのブログ

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1990年4月2日、入社式


 今日は1990年(平成2年)4月2日、月曜日。世の中はバブル真っ只中。新卒採用は空前の売り手市場で、22歳の私も完全に浮かれていた。二度寝、いや当然至極の朝寝坊である。
 午前8時15分、愛車のBMW K75に跨がり、大阪市中央区にある大阪貿易株式会社の本社へ向かう途中だった。信号待ちで、青になるのを今か今かと待っている。上下スーツに革靴、そして羽織っているのは色あせた「MICHIKO LONDON」の黒いウインドブレーカー。見た目はともかく、心臓はバクバクである。
 やっと信号が青に変わり、私は慌ててアクセルを開け、クラッチを雑につないだ。すると、バイクは予想外のウイリー状態に。すごい衝撃で前輪が接地したが、ひるむわけにはいかない。
 今日はエープリルフールではなく、入社式だ。8時半までに本社3階の会議室に集合し、9時から辞令交付式が始まる。遅れるわけにはいかない。8時27分、3回目の本社訪問だったことも幸いして、何とか本社の駐車場に滑り込む。やむを得ず、来客用の駐車スペースにバイクを停め、ヘルメットの中に脱いだウインドブレーカーをぐちゃぐちゃに丸めて詰め込み、タンクの上にそのまま置いた。そして、正面玄関へ向かって走っていくと、そこには一人の男性が立っていた。人事部の上釜副部長…。一次面接から最終面接まで担当していた、あの人だ。

「ほう、さすが新人類。入社式から外車で重役出勤とはね。」

 万事休す。どうやらすべて見られていたらしい。私は、最後に到着した新入社員だったようだ。
 

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