その日は、朝から曇天でいつ雨が降って来てもおかしくない天気でした。
知らない、おそらく農場の人と思われる男性が、ホルスタインを連れて来ました。紐に繋がれたウシは、なんの抵抗もすることなく、静かに実験室に入って来ました。
ブタの時の悲鳴が忘れられない学生たちは、今日はどんなことが待っているのか怖くて、全員無言でした。
倒牛法という方法を用いて、ウシを横倒しにしました。それでも彼は抵抗しませんでした。
「では、瀉血法を行います」
教授は、大きなバケツを用意すると、ウシの首筋を切り、これが動脈ですと言うと、慣れた手つきでそれをぷつっと切りました。どっと血が溢れてきて、バケツはすぐ満杯に。
「これで血が止まれば瀉血は済み、死に至ります。内臓に損傷がないもっともポピュラーな解剖前の処理です」
ウシは拍子抜けするほど、おとなしく、ただ死を待つように、そこに横たわっていました。
なん分ぐらい経ったでしょう。
なんだ、先週のような修羅場はないのか、と言わんばかりに、わたしたちは少しの安堵感を覚えました。とその時、
オオオオー
ウシが鳴き出したのです。
「おかしいね、もう意識無いはずだけどなぁ」
教授が言いました。
けど、事切れる寸前、ウシは確かに、そして静かに鳴きました。そして、なんと涙を流したのです。
わたしたちは、初めて、今になって初めて命を奪うことの重さを知りました。ウシにも感情があるのです。死ぬことが怖いのです。
わたしを含む何人かは、泣きました。ニワトリの時あんなに怖かった、殺すと言う行為の重さを忘れていました。
鳴かなかったニワトリ、逃げ惑い悲鳴をあげたブタ、そしていま泣いているウシ。
みんな、みんな、怖かったよね?いつか誰かに屠畜される運命にあっても、もっと生きたかったよね?
ごめんなさい
ごめんなさい
わたしは忘れない。忘れてはならない。
道具のように毎日大量に捌かれるマウスやラットたち、たかがシャンプーのために目を潰されるウサギ。人間の見栄のために皮を剥がれるキツネや、チンチラ。
農場にいた腹に窓が開けられているヒツジ。
狭いストールに閉じ込められたウシ、身動き出来ないほど押し込まれて飼育されるニワトリ。
沢山の、産業動物や、実験動物。
その上に成り立っているわたしたちの暮らしは、一体なんなのだろうね。わたしが畜産学科で学びたかったのは、本当にこういうことなのかな。
その日の実験室での講義は全く頭に入らず、翌日に渡って行われた解剖は、どうやってレポートしたのかすら覚えてません。
その後のわたしは、動物実験を拒否するように、行動学を選択し、ヒツジやヤギの世話をしました。そして、ヒツジやヤギにも感情があることを確信しました。
いっとき、ビーガンになった(あの時の声が忘れられず肉が食べられなくなったのです)こともありました。とあるきっかけから、今でこそ牛肉も鶏肉も豚肉も食べられますが、常に頭の中には彼らの姿があり、命をいただきます、という心を持って、残さず食べるよう心がけています。また、動物実験をしていないメーカーの商品を選ぶようにしています。
そういう意味では、あの実験をしたことは無駄ではなかったと思えるようになりました。
最近の研究では、植物も会話をすることがわかっています。決して否定するわけではないのですが、ビーガンの方々はそれをどう思うのでしょうか。
話しは逸れましたが、未だに上記したような劣悪な環境下にある動物はたくさんいます。
わたしが学生の頃、アニマルウェルフェアという言葉はありませんでした。
だからこそ今、産業動物や、実験動物たちの尊厳を守るべきなのではないでしょうか。
そのために何ができるか、わたしは学んでいきたい、そして少しずつ変えていきたいと願っています。
by 椿硝子さん
https://www.jaeve.org/information/document/2011-08-22/2011report-vet-main.pdf
履修科目に動物実験があるから獣医をあきらめたというボランティアさんも数名おられます。
みんな命
唯一無二
個性豊かな
大切な子たち
なぜ切り刻むのか?
当たり前に許されるのか?
やましくなければ隠さないでよいはず。
でも、日本の動物実験業界は、情報を公開しないではないか。
一般の感覚からは大きくかけ離れた動物実験業界。
議員さんたちどうか、法改正で、ここにメスを入れてください。
殺されるのはいや。
麻酔なく電極を入れる実験はいや。
猫が痛みに辛抱強いからと、脳の実験に使われているのを皆様ご存知ですか。
痛いのはいやだ。
殺されるほうがまし。
里親募集中
民間ボランティアは、動物たちを必死で助けている一方で、
実験者たちは研究を名目に、科学の発展を口実に、
やっていることは虐待にほかならない。
そうでないなら、市民にきちんと、示してください。
恥ずかしくないなら、堂々と公表すればよいのでは?
昨日、パルTNR動物福祉病院にて。
鹿嶋の野犬、臨時のオペが終わりました。
シェルターの地域猫クロ部長。
愛されてます。
ブラッシングをありがとう
動物虐待相談が相次ぎ、シェルターの合間に、下妻市、土浦市と駆け回ります。
炎天下の犬飼育は無理でしょう。
動物たちは苦しんでいます。