感情のトリセツって何
「困った感情にどう対処するか」について、
私たちはいろいろな努力をしていると思います。
例えば、「怒らないようにしよう」
「感情的にならないようにしよう」などと、
できるだけ「困った感情」を避けて
暮らそうとしているのではないでしょうか
これはいわば「困った感情」を抱かないための予防で、
こうした「予防」に力を入れていると思います。
もちろん、「予防」も大事ですが、
ひとたび引き起こされてしまった「困った感情」
をどうしたらよいか
その「困った感情」の”トリセツ”について…
今回は「困った感情」のトリセツの著者である、
水島 ひろ子(精神科医、日本における対人関係療法の第一人者)
先生から教えられたいと思います
◆感情を上手に扱いながら、人と人との関係を
改善し、心の病を治していくのが対人関係療法です
感情がわかると、いろいろ変わる!
「困った感情」に悩まされなくなるだけではありません。
「感情の取り扱い方」を知るだけで、
次のような効果が期待できます
・ムカッとしても、すぐに対処できるので機嫌よくいられる
・不安になっても、「やってみよう!」と思えるようになる
・うつうつとした気分を引きずらなくなる
・感情に振り回されず、冷静な判断ができるようになる
・人間関係のトラブルが減る
・感情的な人と会っても、傷つきにくくなる
・イヤな気持ちを抱えなくなるので、健康になる
・今、自分が抱えている問題点がわかるようになる
・感情をコントロールできると、もっと自由に生きられる
身体感覚にも感情にも「何かを知らせる」機能がある
私たち人間には、感情という「機能」が備わっています。
この「機能」は身体感覚と似たようなものです。
例えば、何か熱いものを触ったときは、
「熱い!」と身体が感じるため、
手を引っ込めてやけどを防ぐことができます。
何かにぶつかったときは、「痛い!」と身体が感じるため、
痛いものをよけたり、傷をケアしたりすることができます。
「熱い!」「痛い!」という身体の感覚が
身の危険を「知らせて」くれるので
すばやく適切な行動がとれるのです
◆感情にも、こうした機能があります
例えば、「不安」という感情は、
「転職先でうまくやれるか不安だ」
「将来結婚できるか不安だ」…
などというように、
「自分の安全が確保されていない」
ということを「知らせる」もの
・「安全が確保されていない」状況に出合ったことを
知らせるために…
胸が苦しくなったり、心臓がドキドキしたりと、
心身が不安モードになるのです
このままでは危険だ、と判断した場合は、
反撃に出たり、逃走したり……
パニック状態になったりします
「感覚」は変えられないが、「感情」は変えられる
何かを「知らせる」という点で、
感情は身体感覚と似通っていますが…
身体感覚の場合、「火の上を歩く」などという修行を
極めて熱さを感じない人間にでもならない限り、
「熱い!」ものはいつまでも「熱い!」ままです。
一方、感情の場合、
「身の回りに起きたことをどう認識して扱うか」
によって感じ方が変わってきます
◆身体の場合は、熱ければ手を引っ込めるしかない。
しかし、感情の場合は…
捉え方を変えれば、別の選択肢が見えてきます
この「感情の特性」を知らないと…
例えば「不安」を感じた場合、
「不安のあまり新しい一歩を踏み出せずにいる」
以外の行動が取れなくなってしまうでしょう
こうした感情の「特性」や「機能」、「活用法」を
教えてくれるのが、このトリセツ(取扱説明書)です
捉え方が変われば、感じ方も変わる
私たちは「熱いものに触ってはいけない」
「寒いときは温かい恰好で」
「どこかの痛みが長引くときは、病院に検査に行くように」
などど、身体の感覚についてはよく学んでいます。
しかし、私たちは心の感覚、つまり感情については
ほとんど学んでいないのではないでしょうか
水島先生曰く、
学校でも、「先生、ムカつくんですけど」と言ったところで、
「ムカつくなんて言ってはいけません」
「我慢しなさい」程度しか
教えられていないかもしれないと……
今まで多くを習ってこなかった「感情」についての、
「トリセツ(取扱説明書)」を読むか読まないかで……
人生の質を少しでもよいものにするために、
少しでも生きやすくするために、
感情の扱い方を学んでいきませんか
◆この本で「困った感情」として取り上げられている7つの感情、
①怒り
②不安
③不機嫌
④悲しみ
⑤悔しさ
⑥寂しさ
⑦罪悪感
を水島先生の対人関係療法のエッセンスが詰まった
このから少しずつ教えられていきましょう
次回は「怒り」の扱い方を解説していきたいと思います。
アンガーマネジメントは「怒り」と上手に付き合う技術ですが、
ほぼほぼ同じような考え方です。
アンガーマネジメントの考え方に付加した機能や
さらに「怒り」の特性、役割、機能、活用法を
わかりやすく説明してくれているので、
ワタシは水島先生のこのを学ぶ意義があると思いました
ぜひ、「困った感情」の取扱い方を学びたい方は、
一緒に7つの困った感情ついて、解き明かしていきませんか。
「困った感情」のしくみを知ることで…
孫子の「敵を知り己を知れば、百戦してあやうからず」
でも、困った感情は「敵」ではないです
感情には良いも悪いもないというのが、大前提ですね。
全ての感情を人生の良き「相棒」にしていきましょう