ボクたちはまた銀の鍵の洞窟へと潜り込んだ。
一旦は宝を掴んだというのに、
同じ洞窟に2度も潜るなんてバカバカしい。
と、はじめは思っていたんだけど、
何度も戦っているうちに、
ろと王子も戦い方がわかってきたらしい。
3匹のキングコブラに対しては、
ボクが攻撃しているのとは、
別のコブラを狙ってくれるようになった。
2度洞窟に潜ったことも、
無駄じゃなかったのかもしれない。
困難に何度も立ち向かったからこそ、
合理的な戦い方がわかってきたのだから。
お互いの力量がわかってきたからこそ、
適切な戦い方がわかってきたのだから。
彼は寡黙だけど、
何も考えていないわけではないのかもしれない。
銀の鍵を手に入れるのは、
さほど苦労することではなかった。
2度目だからね。
1度目と同じように迷っていては、
リーダーであるボクの力量が疑われることになる。
ボクたちは、
他の何ものにも目を向けず、
一直線に銀の鍵を目指して進んだんだ。
・・・嘘だ。
本当は他の宝に目がくらんだのだけど、
ろと王子がボクを制してくれたんだ。
何も考えていないどころか、
結構ボクのことを見ているのかもしれない。
銀の鍵を持ち帰ったはいいけれど、
今のところ、
銀の鍵が役に立ったことと言えばリリザの福引所くらい。
でも、
ボクたちはムーンブルクを目指している。
ゆっくりと福引をしている場合じゃない。
ミニロトの子だからと言って、
ボクがギャンブルが好きというわけじゃないんだ。
だけど、手元に1枚だけ福引券がある。
1回だけならやってもいいだろう。
1回目の福引はハズレたけど、
残念賞として福引券をもらえた。
ハズレの景品が福引券だったら、
まるでハズレという事実がなかったかのように、
もう一度福引ができるのだけど、
それはハズレということになるのだろうか。
いや、そんなことは福引所の店主が決めればいいこと。
当たりハズレに対して、
どんな景品がついてくるとしても、
ボクたちがとやかく言うことじゃない。
しかも、
どちらかというと、
ボクたちが得したほうだ。
とやかく言う理由もない。
とやかく言う理由はないが、
もう一度引く理由はできた。
1回だけだと言ったけど、
もう1回ぐらいならやってもいいだろう。
2回目の福引もハズレて、
また福引券がもらえた。
・・・。
もう1回ぐらいなら、と言ったけど、
あと1回ぐらいはやってもいいのではないだろうか。
3回目の福引もまたハズレた。
そして、また福引券がもらえた。
も、もうそろそろやめたほうがいいのか・・・な?
いや、
あと1回。
あと1回だけ。
あと1回引こう、ろと王子。
あと1回ぐらいいいだろう。
福引1回引いたからといって、
それでムーンブルクが滅びるわけじゃないさ。
ムーンブルクだってロトの血を引く王家。
ムーンブルク王だってロトの血を引いてるんだ。
簡単に「ぎょえーっ!」とやられたりはしないさ。
いや、むしろ。
こっちの福引屋のほうがハーゴンの手先かもしれない。
だっておかしいと思わないか、ろと王子?
ハズレてもハズレても、
また福引券をくれて、
いつまでもいつまでも、
無限回廊のようにボクたちに福引をさせ続けるんだ。
そんなことをして得をする者なんているのか?
いるとしたらハーゴンじゃないか。
ハーゴンなら、
ボクたちの足止めをしようと、
福引をさせ続けたとしても不思議じゃないだろう?
だから、ボクは福引を回す。
ボクはハーゴンを倒す!
トドメだ、ハーゴン!
これが最後だ!
そしてハズレた。
今度は福引券ももらえなかった。
正真正銘のハズレだ。
なぜだ?
なぜ、もう福引券をくれないんだ?
ハーゴンよ。
なぜ、ボクたちに福引を続けさせない?
これは無限回廊じゃなかったのか?
いつまでも福引をさせてくれるんじゃなかったのか?
・・・いいだろう。
今回はこのぐらいにしておいてやるさ。
でも、いつか見てろ。
ボクは必ず戻ってくる。
必ずだ。
そして、薬草と毒消し草をいくつか買った。
道具屋が福引券をくれるはずだ。
そうすれば、
その券を持って、
また福引ハーゴンと戦える。
ボクは券と魔法を使えるんだ。
だけど、
無情にも、道具屋は福引券をくれなかった。
なぜだ!
信じられない!
彼らは本当にハーゴンを倒したいのか?
それとも、すでにハーゴンの言いなりなのか?
ボクに福引券を渡さないということは、
ハーゴンを野放しにするのと同じなんだ!
と、
叫んでいたら、
ろと王子に無言で諌められたよ。
しまった。
少し熱くなりすぎたようだね。
寡黙なだけあって冷静じゃないか、ろと王子。
お礼というわけじゃないけど、
ボクはろと王子に、
はじめて鎧を買ってあげたよ。
ボクとお揃いの鎖かたびらだ。
まぁ、
さっきは少し熱くなりすぎたけど、
これで水に流してくれ。
仲良くしようじゃないか、ろと王子。
さて、
仲良しのボクたちは、
今度こそ南のムーンブルクを目指した。
手強かった魔術師や鎧ムカデも、
ボクたちの行く手を阻むことはできなくなっていた。
しかし、
ボクたちに負けじと、
敵もチームワークを発揮しようとすることもある。
魔術師3匹に鎧ムカデ1匹。
なかなかいいパーティーじゃないか。
だけど、
ボクにはこのほど覚えたマホトーンがある。
ギラを封じられた魔術師たちは、
ろと王子に斬られるのを待つだけの存在でしかない。
ボクたちのコンビネーションも、
決して悪くないような気がしているよ。
ムーンブルクを目指していると、
その途中でムーンペタという町に辿り着いた。
人と人が出会う町、と町の人が言った。
人と人か。
誰と出会うのだろうと思っていたら、
ボクたちは犬に出会った。
なるほど。犬とも出会うのか。
犬は、鼻を鳴らしながらボクたちに走り寄ってきた。
まるでボクたちの仲間になりたそうな顔をしている。
確かに戦力は多いほうがいいけど、
果たして、この犬は戦力になるのだろうか。
ボクは、喉を撫でるフリをして、
犬の口を開いてみた。
ダメだ。
こんなキバじゃ戦えない。
残念だけど、
キミを連れていくぐらいなら、
ボクの妹を連れて行ったほうがマシだ。
妹はロトの血を引く王女なんだからね。
おっと。
まるで、
妹を旅に連れていくような言い方をしてしまったね。
そうじゃない。
そうじゃなくて、
妹さえ連れて行かないのだから、
妹よりも役立たずであるキミを連れて行ったりはしない。
そういう意味さ。
町を出て、
ボクたちはさらに南西を目指す。
ムーンブルクはもう少しだ。
と、思ったところに敵が出た。
鎧ムカデに手こずっていたのが懐かしいほどに、
新しい敵は強かった。
マンドリル。
なんて奴だ。
1回戦っただけで、
ボクたちはすぐに町に逃げ帰った。
ろと王子、銅の剣じゃダメだ。武器を買おう。
ボクは鎖鎌を買って装備し、
お下がりの聖なるナイフをろと王子に渡した。
が、
ろと王子に聖なるナイフは、
あまりにも似合わなかった。
仕方がない。
コーディネートは大事だ。
ナイフは華麗なボクのほうが似合う。
そして、この鎖鎌はボクには似合わない。
庭の草取りをさせられているように見えてしまうからね。
ろと王子なら草取りでも似合うことだろう。
装備を整えたボクたちに、
また犬がついてきた。
またか。
確かに、
敵が強くて、犬の手も借りたいほどだ。
いいだろう。そこまで言うのなら連れて行こう。
ボクは犬にサマンサという名をつけた。
ロトの時代にあったと言われる国の名に因んだ名だ。
その国では、
ラーの鏡と呼ばれる秘鏡で、
国王に化けた魔物の正体を暴いたと言われている。
この小さな犬も、
正体を現せば、
ボクたちの役に立つほどの存在であるかもしれない。
そんなあり得ない想像をしながら、
ボクはそう名付けた。
サマンサ。
悪くない名だと思う。
サマンサを連れたボクたちは、
町を出て、またムーンブルクを目指した。
さあ、サマンサ。
ボクたちと共に戦おう。
と、言って振り向いたら、
そこにサマンサの姿はなかった。
なんだ。町を出たらついて来ないのか。
ろと:レベル9
カイン:レベル8
サマンサ(ムーンペタ犬):レベル?
ぱがて におけ べぶぼぶ ぼぜび ばすと
えとみな けはへ えせに ぶつはけ
やほふ ほ
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目次
【1話:出会い】
【2話:銀の鍵】
【3話:ムーンペタ】
【4話:ラーの鏡】
【5話:ドラゴンのツノ】
【6話:ルプガナ】
【7話:アレフガルド】
【8話:大灯台】
【9話:ベラヌール】
【10話:デルコンダル】
【11話:ペルポイ】
【12話:テパ】
【13話:盗賊ラゴス】
【14話:海底洞窟】
【15話:ロンダルキアへの洞窟】
【16話:ロンダルキア】
【17話:ハーゴンの城】
【18話(最終話):破壊神シドー】
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