ドラクエ2冒険日記(8) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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ロトの剣を手に入れた後、
ボクたちは、
さらに深い地下を目指したよ。
昔は、
この地下に竜王が住んでいたという話だけど、
それも15代目かいんの時代の話。
今は、ただの廃墟だ。
と、思っていたら、
玉座に何者かが座っているのが見えた。
話しかけてみると、
その何者かは、
竜王のひ孫だと名乗った。
竜王にも子孫がいたとは知らなかった。
ボクたちは、剣を構えたよ。
いや、
見栄を張っても仕方がない。
ボクが構えたのは剣じゃない。槍だ。
剣は……ボクには装備できないんだ。
ロトの剣は、ろと王子によく似合う。
サマンサ王女は聖なるナイフを構えていたよ。
しかし、いつも思うんだ。
サマンサ王女は構えたほうが弱そうに見えてしまうんだよね。
両手でナイフを握っている姿が、
立て籠もり犯に見えるというか、
まるで今から取り押さえられてしまう人であるように、
どうしても見えてしまうんだ。
今度、杖を買ってあげることにしよう。

しかし、
今は、構え方が様になっているかどうかを
議論している場合じゃない。
15代目かいんが仕留め損ねた悪の化身を
ボクたちが倒さなければならないんだからね。
とはいえ、
竜王のひ孫だということは、
ここ100年で、竜王は3世代も代替わりしていたわけだ。
遥かロトの時代の伝説によると、
竜の女王から生まれた竜王は、
数百年を生きてきたのだと聞いていたけど、
案外伝説というのは当てにならないのかもしれない。
竜王のほうも、きっと数百年は生きられないんだ。
100年で3代継いでるんだから、
1代あたり30年か40年ということなんだろう。
ラダトーム王ラルスが16世になるまで、
ロトの家系が15代目かいんに移るまで、
その長きに渡って生きていた竜王のおとぎ話は、
やっぱりおとぎ話だったんだと思ったほうがよさそうだ。
そうでないと、
15代目かいんが竜王を倒したというのも怪しくなるからね。
そろそろ寿命で死ぬところだったかもしれないんだから。

決着をつけようじゃないか、竜王の末裔よ。
滅びるのは、竜王の末裔かロトの末裔か。
白黒つけようじゃないか。
ボクたちは竜王のひ孫ににじり寄り、
ろと王子の剣の切っ先が、
竜王のひ孫を射程圏内に捕らえた。
しかし、
竜王のほうは、
まるで戦う気がなさそうな素振りなんだ。
竜王のひ孫は、
「最近ハーゴンという者が偉そうな顔をしていると聞く」
と、偉そうな顔で言った。
「実に不愉快じゃ」
と言う口振りもまた、不愉快に感じるほどだ。
「もし私に代わってハーゴンを倒してくれるなら、いいことを教えるが、どうじゃ?」
竜王は、そうボクたちに取り引きを申し出たよ。
しかし、
そんな取り引きに応じるボクたちじゃない。
だって、そうだろう?
15代目かいんは、
世界の半分が取り引きの材料だったんだ。
それを
たかだか1情報だけで、
取り引きできるわけがない。
とは言うものの、
取り引きしようとするまいと、
ボクたちがハーゴンを倒すことは決まっている。
だったら、
取り引きに応じても、
何も困らないといえば困らない。
タダで教えてもらえるも同然なんだからね。
しかし、
それはそれ。これはこれ。
竜王と取り引きなんてできるわけがない。
ボクは、断る!と、
竜王の申し出を突っぱねた。
そして槍を構えた。
さあ!
来い!竜王!
取り引きはナシだ!
潔く戦え!

しかし、
竜王のひ孫の返事は、
ボクたちの想像とは違った。
「そうか。嫌か。お前は心の狭いやつだな」
と、拍子抜けなことを言うんだ。
そう言われてしまうと、
なんだか、ホントに心が狭いような気分に、
なってしまったんだ。
「ならば仕方ない!地獄で業火に溺れるがよい!」
なんて感じで襲ってくるかと思ってたからね。
戦意がない敵に剣を向けるのも、
ロトの子孫としては正しくないような気がして、
ボクたちは、
ひとまず竜王のひ孫の話を聞いたよ。
すると、ひ孫は、
5つの紋章を集めれば精霊の守りが得られる、
という話を教えてくれた。
紋章、か。
そういえば、
ボクたちは、すでに太陽の紋章を手に入れている。
紋章が5つ揃うと、
精霊が助けてくれるのか。
確かに、悪い情報じゃなかった。
そして、
その紋章のひとつが、
かつてメルキドという町があった場所の、
南の島にあると言うんだ。

メルキドの話になると、
ボクたちも竜王のひ孫も、
なんとなく、よそよそしくなってしまった。
結論から先に言うと、
城塞都市メルキドは、
すでに滅びて、なくなってしまっている。
滅ぼしたのは、
もちろん竜王の子孫の仕業なんだろう。
しかし、
それに関して、
ボクたちロトの子孫も、
知らぬとは言えない所業を犯しているんだ。
かつて、ロトの時代、
メルキドは、大魔王に脅かされていた。
そこで、
メルキドの科学者は、
町を守ろうと、メルキドの守り人を造った。
守り人の名前は、ゴーレムと言った。
やがて、
初代ロトが大魔王を滅ぼし、
アレフガルドは平和になり、
メルキドもまた魔物の脅威から解放されたが、
それでもゴーレムは町を守り続けた。
長い年月の末、
ゴーレムはやがて、
見境なく通行者を攻撃するようになったと言われている。
そして、
そのときゴーレムを倒したのが、
15代目かいんだったんだ。
見境なくなっていたとはいえ、
ゴーレムがメルキドを守っていたのは確かだったんだ。
メルキドを守るために造られたゴーレムは、
敵見方がわからなくなるほどの年月が経ってさえ、
ただただメルキドを守り続けたんだ。
考えてみれば、仕方のない事だとも思う。
守るために造られたとはいえ、
誰から守るか、というのは、
はじめから曖昧だったと言われているんだ。
とにかく、
メルキドの守り人を15代目かいんが倒した。
その後、すぐに竜王が倒され、
アレフガルドから、魔物の姿がなくなった。
それで、
そのときは、メルキドも安泰だったんだけど、
竜王に子孫がいて、
またアレフガルドに混沌が訪れたときに、
メルキドは、
すでにメルキドを守るだけのチカラがなかった、
そういうことなんだろう。
だから、
竜王の家系はメルキドを滅ぼした実行犯であり、
ボクたちロトの家系は、
その手助けをした共犯者ということになるんだ。
そういう意味で、
ボクたちと竜王は、
単純に敵対すればいい関係とも言えなくなっているんだ。
少なくとも、
メルキドに生き残りがいたならば、
ボクたちも竜王のひ孫も、
同じように憎いことだろう。

ついでに言うと、
竜王のひ孫がハーゴンを良く思っていないことも、
実は、ボクには想像がついている。
というのも、
15代目かいんの時代の書物には、
こう書かれているんだ。
竜王が15代目かいんに世界の半分を与えて、
手を組もうとしたのは、
アレフガルドから、
さらなる世界に向けて進出しようとしていたから、
らしいんだ。
竜王が世界進出すると、
アレフガルドが手薄になるから、
それで、15代目かいんにアレフガルドを任せたいと、
竜王は考えていたようなんだ。
世界の支配。
つまり、
今まさしくハーゴンがやっていることは、
100年も前から竜王がやりたかったことなんだ。
しかし、
100年前は15代目かいんに阻止され、
今となってはハーゴンに先を越され、
敗北に敗北を重ねた敗残の一族の末裔である、
竜王のひ孫が、
ハーゴンを良く思っていないのは、
当然と言えば当然なんだ。
もちろん、
ボクたちのことだって、
良く思っていないんだろうけど、
ハーゴンかボクたちか、どっちかを選ぶとすれば、
ボクたちのほうがマシだ、
と、竜王のひ孫も思ったんだろう。
哀れと言えば哀れだ。
竜王知っているか?
お向かいのラダトームの王がハーゴンなんだよ。
100年前は虐げていたラダトームの王に、
今や虐げられているわけだ。
もしも、世界に羽ばたきたいと思っているのなら、
これだけは教えておいてやるよ、竜王。
まずは福引屋を開くんだ。


さて。
ボクたちは、
竜王の城を出て、
メルキドの南の島を目指したよ。
そこには大きな灯台があってね。
案の定、
ろと王子の笛に山彦が返って来たよ。
つまり、
竜王の言うとおり、
ここには紋章があるということになる。
ここでも、
魔物たちがボクたちの行く手を阻もうと、
立ち塞がってきたけどね。
何度もサマンサ王女の首を落としてきた死神も、
今や眠らせたまま冥土入りさせるという、
攻略法が確立されているんだ。
サマンサ王女の活躍は大きくて、
死神を10回中9回ほど、
ラリホーで眠らせることができるんだ。
とはいえ、
たまに起きる死神もいる。
ろと王子のほうは相変わらず不器用で、
起きている死神を倒してくれればいいのに、
起きている死神に攻撃されながら、
眠っている死神を攻撃しようとする。
今や英雄ロトの剣を装備していて、
死神も1撃のもとに屠れるのだから、
元気な死神を攻撃してくれればいいのに、
あえて弱った死神を攻撃しようとする。
ボクの槍じゃ、
元気な死神は1撃じゃ倒せないんだ。
ロトの剣を装備できなかったことを気にしてるんだから、
そんなにこれ見よがしに、
ボクの攻撃が弱いのを晒させなくてもいいじゃないか。
弱ったほうの死神だったら、
トドメが刺せるんだから、
ろと王子は元気なほうを倒してくれればいいじゃないか。
ろと王子は、
天然に意地がワルいんだ。

それはそうと、
サマンサ王女のラリホーは冴えてるのに、
ゴーゴンヘッドのラリホーやマヌーサは、
逆に10回に1回ほどしか、
ボクたちには届かない。
3人おそろいの魔除けの鈴が、
やっぱり効いているんだと思う。
ボクたちは3人でひとつだ。
補えてるかどうかわからないけど、
ボクだって、
みんなの役に立ちたいと思っているんだ。

しかし、
ドラゴンフライが5匹現れて、
同時に炎を吐き出されてしまうと、
ボクでなくとも、誰も誰かを補えることなく、
ボクたちは黒こげにされてしまうんだ。
サマンサ王女はもとより、
2ターン目に突入すれば、
ボクも、ろと王子も、
そろって黒こげになって、
ラダトームに逆戻りさ。
気付けば邪教の商売神父に金銭の半分を奪われ、
その上で、仲間の蘇生費用までも、
追加で支払わされてしまうんだ。
大灯台の散策は、
本当に大変だったんだ。
都合10回ほども、
ラダトームと往復したかもしれない。
しかし、
やがてボクたちは、
塔の中で老人と出会い、
老人に道案内をしてもらえたんだ。
だけどね。
世の中甘くないもので、
案内をしてくれたのは、
魔物の罠だったんだ。
だって、
老人の正体は赤ちゃんだったんだ。
魔物の赤ちゃんが、
人間の老人のフリをしていたんだ。
とはいえ、
一度ルプガナで倒しているわけだからね。
ルプガナのときの2倍の人数で現れたけど、
4匹いても赤ちゃんは赤ちゃん。
バブーとも言わせないうちに、
ろと王子が瞬殺してくれたよ。
サマンサ王女のバギとの連携も見事だった。
4人の赤ちゃんを泣かせる前にあしらうとは、
これは4つ子が生まれても平気そうじゃないか。
そう赤面するなよ、ろと王子。
キミはロトなんだからね。
繁栄とまでは言わないにせよ、
細々とでも子孫を残さなければならない立場だ。
キミは歴史に疎いようだが、
血脈というのは重要なものなんだよ。
英雄は英雄の血脈によって生まれるんだ。
天空の血脈と王族の血脈と魔物使いの巫女の血脈が、
混じることによって初めて勇者のチカラが覚醒する、
そんなおとぎ話だってあるんだ。
ま。
これは歴史とも言えないおとぎ話なんだけどね。
だけど、
ボクたちの物語も、
きっと、いつかおとぎ話になるはずさ。




ろと:レベル18
カイン:レベル17
サマンサ:レベル13

紋章:☀★



ぜらせ ゆなひ ののまは
るうや ぱぐべ のじもひ
おりな ぺべり のわたね
すむと ぽたの ばきうま
なたひ にがね ぞせけぺ みざ




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目次
1話:出会い
2話:銀の鍵
3話:ムーンペタ
4話:ラーの鏡
5話:ドラゴンのツノ
6話:ルプガナ
7話:アレフガルド
8話:大灯台
9話:ベラヌール
10話:デルコンダル
11話:ペルポイ
12話:テパ
13話:盗賊ラゴス
14話:海底洞窟
15話:ロンダルキアへの洞窟
16話:ロンダルキア
17話:ハーゴンの城
18話(最終話):破壊神シドー


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