ボクたちはベラヌールから旅の扉を使って、
ペルポイ西の祠へと移動した。
すぐそこの毒の沼地の岩山から、
ロンダルキアに行けるのだという話だ。
さあ、ろと王子!
邪神の像を掲げるんだ!
すると、いつも寡黙なろと王子は、
何故だか得意顔をしている。
開けゴマ、という顔だ。
ゴマって何だよ。とボクはつぶやく。
ろと王子は、
洞窟に入ってすぐに山彦の笛を吹いた。
山彦が返ってきた。
つまり、この洞窟には、
5つ目の紋章があることになる。
ボクたちは紋章を探して地下を探索し、
そして、5番目の命の紋章を見つけた。
これで5つの紋章が揃った。
精霊の導きを受けられる。
ボクたちは、
洞窟を出て、また航海し、精霊の祠を探した。
しかし、浅瀬の洞窟と同様、
この祠もなかなか見つからない。
いったいどこだ。どこにある。
と思いながら、
ボクは自分で書いた冒険日記を読み返した。
書いてあったよ。
ボクたちは、デルコンダルを探している途中に、
浅瀬の洞窟も精霊の祠も見つけていたんだ。
探しているときは見つからないものだ。
あのときは、デルコンダルを見つけられずに、
浅瀬の洞窟や精霊の祠ばかりが目についたんだ。
今回は、洞窟や祠を探しているのに、
デルコンダルやザハンばかりに辿り着いた。
思い通りにはいかないものだよ。
祠は、冒険日記に書いてあるとおり、
ローレシアとデルコンダルの中間あたりに位置していたよ。
5つの紋章を携えて祠に入ると、
どこからともなく声が聞こえてきた。
その声は、精霊ルビスと名乗った。
ルビスとは、
この世界の創造神だと伝えられている。
ルビスは、
ボクたちが何者なのかに気付いたようで、
「ロトの子孫たちですね?」
と言った。
そう。ロトの子孫のろと王子と、
かいんの子孫の王子カインだ。
それと、元犬のサマンサ王女だ。
と、ボクは心の中でつぶやいた。
どうせ言っても聞こえないだろう。
声だけで、姿がないんだから。
ボクがそう思っていると、
ルビスは、
「勇者ロトとの約束を果たすことにしましょう」
と言った。
ボクたちは、精霊の導きであるルビスの守りを授かった。
ハーゴンのまやかしを打ち破れるという話だ。
ボクたちはまたベラヌールに戻る。
ルビスの守りを授かって、
また道具袋が圧迫されている。
用済みとなった山彦の笛と月のかけらを道具屋で売った。
ついでに邪神の像も売ろうとしたが、
道具屋がどうしても買い取ってくれなかった。
仕方ない。
一応持っておくことにしよう。
何かの役に立つかもしれない。
まやかしを解いた後に十字架の中心で使ったり、
そんなこともあるかもしれない。
道具整理の後、ロンダルキアへの洞窟の探索に戻った。
この洞窟は、とにかく大変な洞窟だ。
長いだけじゃなくて罠ばかりだ。
きっと、精霊ルビスが、
世界を作った時に、
面白半分でこの洞窟も作ったんだ。
おかげでボクたちはこんなに苦労をしている。
こんなものを作るぐらいなら、
滅びたムーンブルクをもう1度作ってくれ。
と、ボクは心の中で精霊に苦情を出した。
ロンダルキアへ続く洞窟。
洞窟って、普通は地下に潜るものなんだけど、
ここはどんどん階段を上っていくような作りになってるんだ。
ロンダルキアは高地だからね。
ここは低地と高地を繋ぐ洞窟なんだ。
洞窟に入るとすぐに、
落とし穴の罠が待ち構えている。
そして、落ちた先である地下には、
腐った死体がうようよしているんだ。
3歩歩くとまた腐った死体が出てくる。
甘い息でボクたちはよく眠ってしまい、
とにかく戦いが長引くんだ。
ここでやられてしまうと、
きっとボクたちも腐った死体になってしまうんだろう。
いやだ。腐りたくはない。
ボクたちは腐ったミカンじゃない。
落とし穴フロアの次は、無限回廊だ。
東に進んでいたはずなのに、
いつまで進んでも、
同じところをぐるぐると回ってしまっている。
いったい、どういう作りになっているんだ。
と、ボクが悩むとでも思ったかい?
そんなに不思議なことじゃない。
だって、世界は繋がってるんだからね。
東と西が繋がり、南と北は繋がっている。
そんな世界は、ドーナツ型をしているんだ。
だから、地中では、
その形が相似形で小さくなった構造をしていても、
何も不思議はないんだ。
ん?
いや?不思議か?
球体なら中心に行くとともに相似形で小さくなるけど、
ドーナツ型だったら、相似形で小さくなってしまうと、
世界からはみ出してしまうじゃないか。
こ、これはどういうことなんだ!
この洞窟の構造!
不思議だ!
不思議すぎる!
名探偵のボクにも、サッパリわからないよ!
と、悩んでいると、
ろと王子が不思議そうな顔でボクを見る。
何を今さら、といった表情だ。
フンッ。
不思議なのははじめからわかっていただろう、
と言わんばかりの顔つきじゃないか。
違うぞ。
ボクの感じた不思議さは、
キミのとは深さが違うんだ。
キミの不思議さが地下1階の深さだとしたら、
ボクのは地下2階の深さなんだ。
腐った死体よりも、さらに1層深いんだ。
一緒にしないでくれるか、ろと王子。
さて、
そうこうしている間に、
サマンサ王女もレベル19になり、
イオナズンを覚えたよ。
戦いの幅も広がってきた。
先日、ボクもザラキを覚えたからね。
ザラキは、ベギラマとは違って、効く確率が高いんだ。
ベギラマは50%ぐらいしか効かないけど、
ザラキは90%以上で敵を仕留めることができるんだ。
消費MPは同じだからね。
とても使いやすい呪文だ。
ダークアイやフレイムなら、
ボクだけで4匹1度に葬ることができる。
サマンサ王女のイオナズンもよく効く呪文だ。
ベビル程度なら、
イオナズンで一掃してしまえる。
あとはろと王子が強い武器を手に入れれば完璧さ。
聞くところによると、
戦士でも呪文の効果を発動できる、
稲妻の剣なんてものもあるらしいじゃないか。
案外、この洞窟にあるかもしれないよ。
と、思った矢先に宝箱だ。
開けてみなよ、ろと王子。
最強の剣が入っているかもしれないよ。
しかし、ボクたちの期待は外れた。
ろと王子もガッカリした表情だ。
ケンはケンでも、ふくびきけんだったよ。
しかし、
そのすぐそばの部屋の宝箱がロトの鎧だったので、
まぁ、悪いことばかりでもなかった。
悪いと言えばキラーマシンだ。
はぐれメタルと同じぐらい堅くて、
ダメージが全く通らない。
そして、高い攻撃力で2回攻撃をしてくるんだ。
しかも、
痛恨の一撃まで繰り出すんだから手に負えない。
ボクたちは、
サマンサ王女の死体を抱えてスタコラさ。
王女の死体を抱えたまま、
ボクたちはベラヌールに逃げ帰ったよ。
教会に行ったり道具屋で薬草を買ったり、だ。
ところで、
ここに来て道具屋が福引券をよくくれるようになった。
薬草2つに対して、福引券も2枚くれたときもあった。
さては、ハーゴンも焦っているな。
ボクたちを足止めしたくて、
福引きで時間稼ぎをさせるつもりだ。
しかし、その手には乗らない。
ハーゴンの陰謀とは無関係に、
ボクは福引をする。
残念だったね、ハーゴン。
ボクはオマエの陰謀で福引をするんじゃない。
ボクの意思で福引をするんだ。
残念だったな。
ま、何も当たらなかったんだけどね。
ボクの意思で何も当たらなかったんだ。
文句ないだろう?
ボクたちはまた洞窟に潜った。
そして、今度は待望の稲妻の剣を手に入れたよ。
こうなると、ろと王子は鬼神のごとき強さだよ。
シルバーデビルなんて1撃だ。
次にキラーマシンに会ったら、
今度はネジの1本も残らないように破壊してあげるよ。
と、
そんな自信を持っていたんだけど、
ドラゴン4匹に囲まれてしまうと、
その自信も一気に叩きのめされる。
特に炎が熱くてね。
ろと王子やサマンサ王女は10ほどのダメージなのに、
ボクだけ30以上のダメージを受けたりするんだ。
ボクはまた水の羽衣を羨んだよ。
そんなタイミングで、
すべてがFになったよ。
お金の話さ。
おっと。
さてはFの意味がわかっていないようだね、ろと王子。
Fというのは16進数の16のことだ。
FFというのが16×16のことで、
この世界で最も強い数字、255を意味するんだ。
そして、
FFFFとなると16を4回掛け合わせた数字を意味する。
今、この財布の中のお金、
65535ゴールドのことだよ。
ボクたちはFに支配されているんだ。
覚えておくといい。
いくらキミが強くなっても、
FFの壁を超えることはできない。
すべてがFになったわけだから、
ボクはミンクのコートを買おうと思う。
いいね?誰も何も異存はないね?
ろと王子、稲妻の剣とロトの鎧を持っているんだから、
キミはもう何も要らないよね?
サマンサ王女、言うまでもないが、
水の羽衣を着ているキミに発言権はない。
2人に有無を言わせない状態にして、
ボクはコートを買った。65000ゴールドだ。
いい着心地だ。暖かい。
さあ、また洞窟に行こう!
今度は洞窟を突破しようじゃないか!
満を持したボクたちの前に、
メタルスライム8匹が立ちはだかった。
フッ。メタルスライムか。
こいつらは、実は大した経験値を持っていない。
ラリホーで眠らされたところで、
ギラの集中砲火を浴びることになるんだ。
だから、ボクたちは、
メタルスライムを相手にしたりはしない。
そう思ってスルーして行ったんだけど、
まさか追ってくるとは思っていなかった。
逃げ出したボクたちは回り込まれ、
結局はギラに炎上した。
くっ。
みんな。出直しだ。
ろと:レベル26
カイン:レベル24
サマンサ:レベル20
紋章:☀★☾
♥

りぼも ぜよぐ せそぎぐ
ぐぷえ ぜなあ ぴののま
おぺわ ねろば さぐびぽ
らさき よねば りぴたた
なぴの なれび ぬげわわ せむ
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目次
【1話:出会い】
【2話:銀の鍵】
【3話:ムーンペタ】
【4話:ラーの鏡】
【5話:ドラゴンのツノ】
【6話:ルプガナ】
【7話:アレフガルド】
【8話:大灯台】
【9話:ベラヌール】
【10話:デルコンダル】
【11話:ペルポイ】
【12話:テパ】
【13話:盗賊ラゴス】
【14話:海底洞窟】
【15話:ロンダルキアへの洞窟】
【16話:ロンダルキア】
【17話:ハーゴンの城】
【18話(最終話):破壊神シドー】
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