ロンダルキアは寒い。
温度計を見ると-40度だよ。
華氏-40度。-40°Fだ。
ボクたちはFに支配されているからね。
全てがFの世界では、
温度の単位も°Fだよ。
ちなみに、華氏-40度は、
セ氏でも-40°Cだ。
どうでもいいといえば、どうでもいい。
ただ、そんな気温であっても、
ボクのミンクのコートは暖かい。
さすが65000ゴールド。
Fが4ケタもあるんだから、
所詮一桁の-40°Fなんかに負けようはずもない。
一方で、
サマンサ王女の水の羽衣は、
もう凍ってしまっている。
今後は不凍液の羽衣を作るといい、
と、モハメに教えてあげようかと思う。
そんな寒い中、
ボクたちはアークデーモンと出会った。
ヤツは出会い頭にイオナズンを唱えてきたよ。
これがまた痛くてね。
HPが100少々しかないボクに対して、
イオナズンのダメージは70越えだ。
あるいは、普通に攻撃してきたって、
40や45のダメージで2回攻撃してくる。
ボクは常々虫の息なんだ。
しかも、やたらめったらタフなろと王子よりも、
さらにタフなヤツで、
稲妻の剣を携えたろと王子の攻撃でも、
3回斬らないと倒れない。
つまり、
ボクは3回イオナズンを受ける覚悟をして、
戦闘に臨まないといけないということさ。
毎ターン、力の盾を掲げるばかりだ。
ボクはこの戦闘に必要なのかどうか、
少し悩んできたところさ。
アークデーモンとの戦いは、
常に死と隣り合わせなんだけど、
ブリザードとの戦いになると、
隣り合わせどころじゃない。
ヤツのザラキを受けてしまうと、
極寒の中でも暖かいコートを纏っているボクでも、
一瞬で血液が凝固してしまって、
そしてボクは死に至ることになる。
ろと王子やサマンサ王女が死んでも、
ボクがザオリクでなんとかするんだけど、
ボクが死んでしまうと、
一度ベラヌールの教会まで、
戻らないといけなくなる。らしい。
実際のところ、
ボクが死んでる間に何をしているのか知らない。
とにかく、ボクが生き返ると、
いつもベラヌールの教会にいるんだ。
もちろん、
ボクだっていつもやられてばかりはいないさ。
ヤツがザラキをする前に、
こっちだってザラキを唱えるんだ。
ボクのザラキだって、
氷の妖精みたいなブリザードの血液を
凍らせてしまうことができる。
とにかく、
要は早い者勝ちってことさ。
先にザラキを唱えたほうが勝つ。
いつも、
そんなイチかバチかの戦いになるんだ。
しかし、
そればかりを気にしていると、
シルバーデビルの甘い息に眠らされて、
ベギラマの集中豪雨によって、
灰にされてしまうんだ。
シルバーデビルは白銀色の猿でね。
ロンダルキアの雪景色の中では、
とても発見が難しいんだ。
そんなわけで、
よく先制攻撃をされる。
ヤツの甘い息ときたら、
ちょっとしたスイーツよりもずっと甘い。
そんな戦いで、
ボクたちは3人同時に眠ってしまい。
次に気が付いたのは、
ベラヌールの教会だった。
ろと王子はロンダルキアの祠で目が覚めたらしい。
45000ゴールドあった手持ちが、
半分になっていたよ。
この白銀色の猿よりも、
ちょっとだけ黄色みを帯びた猿がいる。
デビルロードというんだけどね。
雪景色とは色が違うから、
先制攻撃をされることは多くはない。
そして、
甘い息も大して甘くないので、
それほど眠らずに済む。
でもね。
たまに、
2番バッターのように自己犠牲精神が強いヤツがいてね。
ピンチになるとメガンテを使ってくるんだ。
ボクはまたベラヌールで目を覚ました。
財布の中身はまた半分になっていたよ。
ある時はアークデーモンのイオナズンで、
ある時はブリザードのザラキで、
ある時はシルバーデビルのベギラマで、
ある時はデビルロードのメガンテで、
ボクたちは痛い目を見せられた。
ギガンテスの痛恨の一撃で、
サマンサ王女が殺害されたときもあった。
もはや連続殺人現場だ。
犯人ははじめからわかっていて、
被害者は3人の中の誰になるかがわからない。
そんな物語だよ。
サマンサ王女が棺化の能力を発揮したところで、
ろと王子が覚醒した。
負けじと会心の一撃で、
ギガンテスを仕留めたよ。
ギガンテスは宝箱を落とし、
ボクたちはまた破壊の剣を手に入れた。
先日のは売ってしまって正解だったよ。
死んでばかりで、
なかなかハーゴンの城まで辿り着けずにいたんだけど、
ボクたちは幾多の苦難を乗り越えて、
瀕死状態ながら、やっとハーゴン城に辿り着いた。
ローレシアとよく似たお城だ。
と、いうのは幻だということが、
すぐにボクにはわかったよ。
ハーゴンはまやかしが得意なんだ。
精霊ルビスが、
きっとこのまやかしを解いてくれることだろう。
しかし、
まやかしのうちに、
どさくさに紛れて宿屋に泊ってしまおうじゃないか。
ボクたちは今、満身創痍だ。
まやかしを見破ったところで、
それ以上のことはできないからね。
ひとまず回復だ。
と思って宿に泊まって、
一見全快したように見えたけど、
城を出たら、瀕死状態に戻っていたよ。
くっ。
やっぱりまやかしの中で回復してもダメなのか。
財布の中身も元に戻っていたのが救いだよ。
黙ってくすねておいてもよさそうだけど、
意外と律儀じゃないか、ハーゴン。
しかし、
辿り着いたはいいけど、辿り着いただけ。
満身創痍なわけだから、
一旦戻って態勢を立て直すしかない。
ボクたちは、
一度ルーラで祠に戻り、
またハーゴンの城を目指した。
が、
1度行けたからといって、
何度も行けるとも限らない。
途中に立ちはだかったギガンテスとデビルロードに、
逃げ損ねた挙句に眠らされてタコ殴りにされたよ。
気が付けばベラヌールだ。
お金がまた半分になっていた。
なんだか、
お金が減ってばかりだ。
取られたお金はハーゴンに献上されるのだろう。
これじゃハーゴンを潤わせてばかりだ。
なんとかしないと。
そう思って、
また少しお金が貯まった時に、
テパまで遠征して隼の剣を買ったよ。
とても軽くて使い心地のいい剣だよ。
ボクにピッタリだ。
少々物足りなかったボクの攻撃も、
これで少しは役に立てるようになった。
ギガンテスに25ほどのダメージを与えるんだけど、
2回攻撃すれば50だ。
効くか効かないかわからないベギラマよりも、
ずっと計算がしやすいよ。
しかし、
その剣を使っていると、
ろと王子が物欲しそうな顔をするようになってね。
仕方ないから、
ボクはろと王子に隼の剣を譲った。
その代わり、
ろと王子の稲妻の剣をもらったよ。
装備はできないけど、
道具として使えば、
ボクのベギラマと同じほどのダメージを与えることができる。
実は、
ボクは本当はこの剣が欲しかったんだ。
その装備交換が功を奏してね。
ボクたちは敵をうまく倒せるようになった。
そしてまたハーゴン城へと辿り着く。
ボクたちは、また幻を見せられた。
ふふっ。
いいことを思いついたよ、ろと王子。
さっき拾った破壊の剣を装備してみなよ。
どうせ幻だからさ。
きっと呪われるだろうけど、
幻の中で呪われたって怖くないだろう?
ちょっと装備して見せてくれよ。
You装備しちゃいなよ。
ボクが破壊の剣を渡すと、
ろと王子はその剣を装備したよ。
あはは!
似合わないな、ろと王子。
ウケるー!
おっと。
ちょっとはしゃぎすぎたようだ。
さて、ジョークもここまで。
精霊ルビスにまやかしを解いてもらおうじゃないか。
「騙されてはなりません。これらは全て幻です」
ルビスはそう言って、
ハーゴンの幻を解いてくれたよ。
さっきまで人だと思っていたのは、
生気のない人魂だったみたいだ。
幻を解くと、
玉座横にいたデビルロードが襲ってきてね、
そして、恐ろしいことが起こった。
ろと王子が、破壊神のごとく、
1度に2匹のデビルロードを惨殺してしまったんだ。
今までの隼の剣の威力じゃない!
何か特殊なチカラが舞い降りたみたいじゃないか!
隼の剣と、まやかしの中の破壊の剣とが合体した剣。
ひとまず、ボクは、はかぶさの剣と呼ぶことにした。
いいなぁ。
もしも、ボクも、
いずれ光の剣でも装備できるようになったときには、
隼の剣と合体させてみたいものだよ。
そのときは、フレッツ光ネクスト隼、
という名前にしようと思う。
それは後日の楽しみにとっておくとして。
玉座の横にはデビルロードがいたものの、
肝心の玉座にハーゴンはいなかった。
しかし、
ボクには薄々わかっている。
歴代のロトたちは、
玉座の後ろを調べて、
秘密の抜け道を見つけてきたんだ。
ボクたちも、それに倣って、
玉座の後ろを調べてみたよ。
すると、
案の定牢屋のカギの扉があった。
フフッ。
こういうのは名探偵に任せておきたまえ。
名探偵ついでに、
ボクはハーゴンを呼び出す妙案を思いついていた。
出てこないとこれを壊すぞ、と、
信仰の証である邪神の像を振り上げながら歩き回ったよ。
するとどうだろう。
やはり、それは困るとハーゴンも思ったんだろう。
ハーゴンはボクたちを自分の根城へとワープさせたよ。
向こうから来るかと思ったけど、
ボクたちのほうが歩かないといけないなんて、
なかなかいい度胸じゃないか、ハーゴン。
ハーゴンには3体の部下がいた。
いや、部下なのか、召喚した神々なのか、
よくわからなかったんだけど、
アトラス、バズズ、べリアル、
という魔神だ。
3体とも強いは強かったんだけど、
ろと王子のはかぶさの剣の威力には敵わなかった。
切れ味が鋭いのに気分を良くしたろと王子は、
もっと試し斬りがしたいとばかりに、
はぐれメタルを探し始めたよ。
さんざんやられて、
苦労して、
逃げ損ねて、
ベギラマの餌食となって。
そんなやられっぱなしで終われない気持ち、
ボクにもよくわかるさ。
ボクたちは悪魔神官、ギガンテス、はぐれメタル3匹、
というパーティーと戦った。
ろと王子の剣は、
1度に2匹のはぐれメタルを斬り殺すことができる。
そして悪魔神官は、
ザオリクではぐれメタルを生き返らせる。
ろと王子が斬って、悪魔神官がザオリクをかける。
ヤツのザオリクは戦闘中でも使えるのはズルい、
と思いもする。
しかも、HP1で復活するわけじゃなく、
HP35のはぐれメタルがザオリクで復活すると、
はじめより強くなって、HP100や200で復活するんだ。
ズルいといえばズルいけど、
ろと王子が上機嫌にはぐれメタルを斬っているので、
まぁそれはそれでよしとしよう。
この戦闘で、
ボクたちは5633の経験値を得た。
スライム5633匹分の経験値だ。
そうこうしていると、
時間切れになったのか、
はかぶさの剣の効力が失われて、
ただの隼の剣に戻ったよ。
なんだ。
時間制限があるのか。
期待持たせるんじゃないよ、ろと王子。
やっぱりボクが隼の剣を持つことにする。
キミには稲妻の剣を返しておくよ。
道具で稲妻を呼ぶことにも飽きてきたところだ。
やっぱり斬るほうが楽しそうだ。
そのほうが、
魔法剣士であるサマルトリアっぽいだろう?
今日のところは、
ひとまずここでリレミトだ。
次は、いよいよ最終決戦になることだろう。
顔を洗って待っているがいい、ハーゴン。
引導を渡してあげるよ。
ろと:レベル31
カイン:レベル29
サマンサ:レベル23
紋章:☀★☾
♥

べはぺ ぐへら ぐがるら
やむも ざくた けめまゆ
てかて ぱふろ こねぬへ
とぴよ いごぼ さりむゆ
けろげ はおへ あじいび ぶ
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目次
【1話:出会い】
【2話:銀の鍵】
【3話:ムーンペタ】
【4話:ラーの鏡】
【5話:ドラゴンのツノ】
【6話:ルプガナ】
【7話:アレフガルド】
【8話:大灯台】
【9話:ベラヌール】
【10話:デルコンダル】
【11話:ペルポイ】
【12話:テパ】
【13話:盗賊ラゴス】
【14話:海底洞窟】
【15話:ロンダルキアへの洞窟】
【16話:ロンダルキア】
【17話:ハーゴンの城】
【18話(最終話):破壊神シドー】
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