月の紋章を目指して、
ボクたちはヘルコンドルに行きたい。
いや、違った。
デルコンダルだ。
そして、
そのヘルコンドルだかデルコンダルだかは、
ローレシアから海を越えて南にあると言う。
しかし、今、
ボクたちは、
自分のいる位置がわからないでいる。
ローレシアを知っていても、
ローレシアの南に行けばいいことがわかっても、
肝心のローレシアに辿り着くことが、
今のボクたちにはできないんだ。
というのも、
ベラヌールに来た移動手段というのが、
アレフガルドの聖なる祠の、
旅の扉での移動だったんだ。
だから、
旅の扉を逆に戻って、
アレフガルドに返れば、
船でルプガナに戻り、
ドラゴンの角から南に飛び降りて、
ムーンペタに戻り、
ローラの門を通って、
リリザ経由でローレシアに、
戻ることは可能だ。
とは言うものの、
実は先日風のマントを売ってしまったのもあり、
ドラゴンの角から南に飛ぶことはできないので、
結局は船での移動になるとは思う。
ただ、心配なのは、
聖なる祠からラダトームまでは、
陸路が繋がっていたのかどうか、
その記憶が曖昧なんだ。
船は今ベラヌールにあるんだけど、
旅の扉を通ってしまうと、
船とはぐれてしまうことになる。
船を移動させる手段として、
ボクのルーラがあるんだけど、
言うまでもなく、
とんでもないエネルギーを使うんだ。
ろと王子の怪力でも運べない船を運ぶんだ。
ろと王子が持つエネルギーよりも、
ずっと大きなエネルギーを使わなければならないことは、
誰にでもわかることだと思う。
だから、
本当なら、
どこにでも飛んで行けて、
どこにでも船を運べるほどのポテンシャルが、
ボクのルーラにはあるんだけど、
ボクのチカラが、
それに耐えれるほど大きくはないというのが、
残念ながら今の現状なんだ。
しかし、
かつて歴史的に、
好きな場所に船を運べるほど、
強いルーラのチカラを持っている人なんて、
存在していない。
とても限定的に、
特定の場所にしか、
ボクたちはルーラで移動できないし、
船も運べない。
その特定の場所というのに、
復活の呪文が関係している。
復活の呪文で何が復活するのかと言うと、
僕のルーラエネルギーだと思ってもらえばいい。
ボクにとっての復活の呪文というのは、
とても大きな意味を持っているんだ。
きっと、
ろと王子にもサマンサ王女にも、
わかってもらえないと思うけど、
復活の呪文でエネルギーを復活してもらうかどうか、
というのは、
移動戦略として非常に重要なんだ。
これは歴史的には、
複数の町にルーラできた人物も多いから、
ボクがまだ未熟だ、
ということになるんだけど、
現状では、
ボクには1ヶ所しかルーラができる場所がないんだ。
ルーラエネルギーを復活させてもらうのはいいんだけど、
そうすると、
前にエネルギーを補充した場所に、
ルーラすることができなくなるんだ。
つまり、
復活の呪文をもらうかどうかで、
どこにルーラできるかが変わってくるわけだ。
だから、
ボクは、
このパーティーでリーダーシップを取らなければならない。
ろと王子が、
考え無しに、
どこでもここでも僕のルーラエネルギーを
復活させてしまうと、
移動戦略として支障を来すからだ。
さて、
そういう理由があって、
ボクがアレフガルドに船を運ぶためには、
ラダトームまで徒歩で移動して、
ラダトームにてエネルギーを復活した後に、
ルーラで船を引き寄せなければならない。
つまり、
陸路で行けないところには、
船を運べないってことさ。
聖なる祠からラダトームまで、
陸路が繋がっていたかどうか、
心配しているのは、その部分だ。
古い時代には、
洞窟や橋で繋がっていたはずなんだけど、
それが今も繋がったままなのかどうか、
確認していなかった、
そういうことだ。
長い話になったけど、
要するに、
ボクたちは今、
ベラヌールで迷っていて、
ローレシアに行きたいものの、
海路でも陸路でも、
思った通りに辿り着けるかどうか、
全く確証がないってことさ。
ボクたちは、
ベラヌールから西のほうに船を出したよ。
東に行けば世界樹があった。
今度は逆に西のほうに、
進んでみようと思うんだ。
しかし、
長い海の旅の末、
太陽の祠の島があっただけで、
結局は世界樹の島まで何もなく、
世界を1周してしまったよ。
一方で、
世界樹の島のすぐ北西には、
別の大陸があって、
小さな家のような町があった。
小さな家は鍵で閉ざされていて、
ボクたちが持っている銀の鍵では、
扉は開かなかった。
この小さな家のような町に入るためには、
ボクたちは、
別の鍵を手に入れなければならないようだ。
さて、
ボクたちは、
今度は、その入れない鍵の町から、
北へと舵を向けたよ。
しばらく北上すると、
海の中に浅瀬に囲まれた洞窟があり、
それからさらに北上すると、
また違う大陸に辿り着いた。
そして、すぐにわかった。
ローレシア大陸だ。
リリザの町が見えたからね。
長い海の旅の末、
ボクたちは、
やっとローレシアに辿り着き、
やっとヘルコンダル、
じゃなくてデルコンドルを目指すことができた。
ローレシアから南下すると、
海の中の寂れた祠を通過して、
城のある浅瀬の島に辿り着いたよ。
やっとコンドル出るに着くことができた。
船を接岸して、
陸路に乗り出したところで、
ホークマンとガストが、
ボクたちの進路に立ちはだかったよ。
ホークか。発音が悪いな。
しかし、ガストはお箸を使うとばかり思っていた。
ガストは注文もしないのに、
マヌーサ、マホトーン、ラリホーを提供してくれたよ。
せめてドリンクバーでも出してくれればいいものを。
しかし、ボクがそんなことを考えているうちに、
箸よりも軽いものを持ったことがないろと王子は、
怪力を活かして、
あっという間にホークマンとガストをなぎ払ってしまったよ。
ごちそうさまだったね。
お釣りは要らないよ。
と言っても、
お金をいただいたのはボクたちのほうだったけどね。
そんな道中があったものの、
ボクたちは、
やっとコンドル城に足を踏み入れたよ。
コンドル王は気持ちのいいほど実力主義でね。
楽しませてくれれば褒美を出す、と言って、
牢屋の扉を開いたよ。
牢屋からは小さな犬がよちよちと出てきてね。
ボクたちは軽い気持ちで犬に近寄ってみたら、
犬に見えたのは、
犬じゃくてキラータイガーだったんだ。
軽い気持ちだったボクたちは痛い目を見たんだけど、
痛い目に見合うだけの報酬をもらったよ。
月の紋章だ。
コンドル王は気前がいい。
もっとも、
ボクたちじゃなければ、
この紋章は褒美でもなんでもないと思うけど、
兎にも角にも、
ボクたちの目的は、
ひとつ達成できたわけだ。
さて次はどこに行こうか、
と、ボクたちが考えていることを
知っているかのようなタイミングで、
占い師を名乗る老人が、
ボクたちの行くべき方向を教えてくれたよ。
「探しものは西じゃ!」
と、言うわけさ。
探し物というのが何か、
ボクたちにもわかっていないんだけど、
とりあえず老人は西と言った。
しかし、
訝しむボクは、
念のためにもう一度老人に尋ねてみたよ。
すると、
案の定だったよ。
2度目には北と言い、
3度目には南と言ったよ。
なるほど、
当てずっぽうで言っているのか。
そんなことを思ったけど、
何度も何度も同じ質問を繰り返すうちにね、
不思議なことに気付いたんだ。
20回ほど尋ねても、
1度も東とは言わないんだ。
ボクは悟ったね。
東が正解だ。
老人は、
ボクたちを混乱させたくて、
いろいろとデタラメを言っているんだけど、
さすがに、本当のことを言うことに、
抵抗があったんだろう。
ウソをつくのが下手な老人だ。
そんなことでは、
上司のハーゴンに見限られてしまうよ。
ラダトーム王ハーゴンに命じられて、
コンドル王の動向を調べに来たんだろうけど、
どうやら実力足らずのようだね。
ボクたちは、
その老人を鼻で笑いながら、
牢に入っている兵士に話を聞いた。
「南の島ザハンに住むタシスンが金の鍵を持っている」
と、兵士は言った。
裏をかいて東に行こうと思っていたのに、
どうやら南が正解だったようだ。
占い師の老人がハーゴンの手下というのは、
ボクの見当違いだったのかもしれない。
ボクたちは、
コンドル城からさらに海路で南下し、
漁師の町ザハンを訪れた。
そして、
金の鍵を持つというタシスンを訪ねた。
しかし、
この町の男たちは、
みんな漁に出ていて、
今は留守にしているという。
当然、
ボクたちは時期を変えて出直そうかと思ったさ。
ところがね、
知ってしまったんだ。
漁に出た船は魔物に襲われて、
すでに海の藻屑になってしまっていた、という事実を。
そのことを伝えに来た商人風の旅人は、
伝えなければという使命感を持ちながらも、
とても伝えられないと震えながら神に祈りを捧げていたよ。
確かに、
この町の人々は、
漁に出た夫や恋人の帰りを
まだかまだかと待ち遠しそうに暮らしている。
そのことを知ってしまうと、
今しがたやって来たボクたちでも、
胸を打たれるような苦しさを覚えたよ。
とはいえ、
タシスンがいないとなると、
金の鍵も、もう手に入らないことになる。
とすると、
この先の旅が難しいものになるのかもしれない。
そう悩んでいるところに、
1匹の犬と出会った。
聞くところによると、
タシスンは犬が好きだったという。
きっと、
タシスンが可愛がっていた犬なんだろう。
犬は、ボクたちを見ると、
走って草むらに飛び込み、
地面に向かって吠え続けるんだ。
同じ場所を何度も何度も、だ。
とはいえ、
犬が何かを言っていたとしても、
ボクにわかるわけもない。
犬の言葉がわかるのは犬ぐらいのものだ。
と、考えたボクは、
突然、天啓を閃いたよ。
サマンサ王女がいるじゃないか。
サマンサ王女は犬になった経験がある。
犬語がわかるかもしれない。
さあ、
この犬が何を言っているか聞いてくれ王女!
今はキミのチカラが必要なんだ!
と、ボクが言っている横で、
ろと王子が犬が吠える地面を掘り出したよ。
すると、鍵が出てきた。
金の鍵だ。
なんだ、
ろと王子は犬語がわかるのか。
最初から言ってくれよ。
と、声をかけたところ、
どうやら犬語は全く分からないが、
そこに何かが埋まっているであろうことは、
すぐに分かったのだと顔で語る。
や、やるじゃないか、ろと王子。
と、ボクがサマンサ王女のほうを見ると、
王女も、犬語とは無関係に分かっていた様子だ。
う。
なんてことだ。
ボクだけがわかっていなかったってわけか。
あ、いや、
そうじゃなくてさ。
なんというか。
ほら。
ボクもわかってたんだけどね。
敢えて言わなかったというか、
サマンサ王女に見せ場を作ろうと思ったというか、
えっと、
穴を掘るのは、ろと王子の担当だと、
そう思ったわけだよ。
そんな目で見るなよ。
金の鍵が手に入ったんだからいいじゃないか。
金の鍵を手に入れたボクたちは、
すぐにコンドル城に戻ったよ。
何のため、だって?
それは、ほら。
武器屋がガイアの鎧を隠し持ってる、
って噂を聞いたからさ。
金の鍵で武器屋に忍び込んで、
ガイアの鎧をくすねようって作戦さ。
とはいえ、
ガイアの武具というのは、
伝承によると、
サマンオサに住むサイモンが身に付けていた物。
サイモンとは、
ロトとは別の血筋の勇者だ。
ラーの鏡の伝承のこともあるし、
サマンオサとゆかりのありそうなサマンサ王女が、
もしかしたら装備できる鎧なのかもしれない。
と、思ってくすねたガイアの鎧は、
なんと、ろと王子が装備してしまった。
ろと王子。
キミはロトの子孫だけじゃなく、
サイモンの子孫なのかもしれないな。
ロトとサイモンは、
きっと、どの代かで血を交えたんだ。
まぁ、
血を引いていないボクには、
あまり関係のない話だけどね。
もっと関係のない話だけど、
ボクの好きなフィクション物語に、
サイモンとガーファンクルという登場人物がいて、
彼らは「コンドルは飛んでいく」という歌を歌うんだ。
サイモン由来のガイアの鎧を
コンドル城に持っているというのが、
武器屋のユーモア心なのだろうけど、
それも、
ボクたちが鎧を持ち去ったことでぶち壊しというわけさ。
だけど、
ボクを恨まないでくれよ。
装備しているのはろと王子なんだからね。
ボクは何も知らないし何も見ていない。
だいたい、
ボクが欲しいのは魔法の鎧なんだ。
欲しい物は盗ってないんだから、
ワルいのはボクじゃないョ。
ろと:レベル19
カイン:レベル17
サマンサ:レベル13
紋章:☀★☾
けけぎ ごまれ めみやま
ぱぶひ はらげ みらかす
ねじほ べごほ れぺあき
べしぴ らばぴ けれげせ
ろぽき ぽなぷ はげるよ ら
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目次
【1話:出会い】
【2話:銀の鍵】
【3話:ムーンペタ】
【4話:ラーの鏡】
【5話:ドラゴンのツノ】
【6話:ルプガナ】
【7話:アレフガルド】
【8話:大灯台】
【9話:ベラヌール】
【10話:デルコンダル】
【11話:ペルポイ】
【12話:テパ】
【13話:盗賊ラゴス】
【14話:海底洞窟】
【15話:ロンダルキアへの洞窟】
【16話:ロンダルキア】
【17話:ハーゴンの城】
【18話(最終話):破壊神シドー】
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